βからΩになったなら

hina

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しゃぶしゃぶは凄く美味しかった。
牛肉と豚肉、どっちもいいお肉が用意されていて、野菜もたっぷりで手作りだというポン酢とごまだれも味わい深くて、大満足だった。

食後、渚のお母さんがホールのチョコケーキを持ってキッチンからやってきた。
渚は蝋燭を吹き消して、みんなが誕生日おめでとうと祝いの言葉を口にする。
渚は「俺を気にせずみんなで食べて」と言ったけど、僕は「明日渚さんと一緒に頂きます」と言って、ケーキを遠慮した。

昼にパフェ食べちゃったし……。

今日は早く帰ってきたという渚のお父さんは、「仲良しだね」と言って笑った。

渚はチョコレートケーキが好きらしい。
パフェももっと食べたかったのかな……と思うと、ちょっと申し訳なくなった。



「明日、頑張ってね」
「ん。またかっこいい俺を瑞希に見せてあげる」
「渚はいつでもかっこいいよ……」
「嬉しいことを言ってくれるね。どうしてくれよう」
「や、やめて! くすぐらないで!」
笑い声をあげながら、渚のベッドの上で身を捩る。

「可愛い、瑞希。たまんない」
「んっ、ふっ……!」
いきなり荒々しく口付けされて、僕はぎゅっと渚の着ている服を掴んだ。
「な、なぎさ! だめっ」 
「あ、ああ。ごめん、理性が飛んだ」
おでこにキスされて、でも渚は僕を離さずゆっくりと僕の背を摩った。

「どれだけ出してもやっぱしたくなる……」
「えっ……」
悩ましげに吐き出された渚の呟きにどう返したらいいのかわからなくて、僕は思わず渚の頭を撫でた。

「我慢してくれてありがと、渚……」
「ん。それでも離してやれなくてごめんな」
「渚、大好き」
「だから煽るなって」
そう言う渚の声は弾んでいる。
「煽ってないよ」
僕は渚の首筋に顔を寄せた。

「あー。瑞希には敵わない」
僕の髪にすりすりと頬を擦り寄せる渚を受け止めながら、僕はほぅと吐息をこぼした。




「まだ寝てていいよ、瑞希」
早朝に渚が隣で起き上がったのを感じて、僕もうとうとしながら目を擦った。
渚のベッドは渚の匂いがして、微睡むのが気持ち良い。
「朝から可愛いな、瑞希」
「う、うん……」
唇に触れるだけのキスをした渚がベッドから抜け出した。
朝の空気が冷たくて、僕は布団から起き上がれずにまた瞼を下ろした。
「なぎさ……」
布団のはじを抱きしめていると、頭にそっと手が触れた。

「準備して行ってくるよ、瑞希」
「うん……」

離れていく温もりが寂しかったけど、睡魔には逆らえなかった。
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