βからΩになったなら

hina

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「おはよう、瑞希くん」
「おはようございます。寝過ぎちゃいました……」
「渚に合わせて一度起きてたんでしょう? それにまだ充分早いし、今日は学校を休んでるんだし、渚の部屋は瑞希くんにとって落ち着ける場所なのよね」
「いえ、起きたのは起きたんですが、半分以上寝てたような……でも、あの、はい。渚さんの匂いが凄く心地良くて……」
「運命の番だと、きっと余計にそうなんだと思うわ。だからよく寝れたのね」
いつも朝は早いとは言え、普段なら渚と登校している時間に起きた僕を見て苦笑した渚のお母さんは、それでも僕のことを分かってくれていた。

「朝ごはん今用意するわね。座って待ってて」
「あ、運ぶのとかお手伝いしましょうかっ」
「静養するためにうちにいるんだから気にしなくていいのよ」
「すみません、ありがとうございます」
「いっぱい食べてゆっくり休んで元気になって渚を安心させてあげてね」
「はいっ」

にこっと微笑む渚のお母さんに元気づけられながら、僕は食卓についた。





「んー……」
渚の匂いが濃い渚のベッドで休んでいるけど、僕はそこが気になって仕方なかった。

……渚のクローゼットが。

「巣作り……って発情期にするものだよね……?」

発情期は来月だ。
でもベッドの匂いだけでは物足りなくなって、立ち上がってクローゼットの扉に手を伸ばしかけて、いやいや、ダメだと左右に首を振って手を引っ込めた。

でも寮に戻る時、渚の服を何着か借りてもいいかな……なんて思いつつ、渚の枕に顔を埋める。

「渚……」


名前を呼んでも抱きしめてくれる腕がなくて、寂しくて空しい。
渚が恋しくて、足りなくて、どうしようもない。

僕はもう一度クローゼットに近付いて、思いっきりドアを開けた。
渚の匂いが一段と濃く香る。

渚が帰ってきた時どう思うかなんて考える余裕もなく、僕は次々と渚の服を掴みベッドに並べてその中に寝転び、うっとりとした。
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