βからΩになったなら

hina

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電車で実家まで帰ろうと思っていたら、渚が八雲さんを呼んで車で送ってくれた。
夜になってしまったし発情期が終わったばっかりで危なっかしいと言われて「そんなことない」って言ったけど、聞いてもらえなかった。
渚はもう夜だからとうちに寄ることもなく帰っていった。

『今日からまた一人寝で寂しいだろうけど、いつでも連絡してきて?』
『ゆっくり眠れるから一人で大丈夫!』
『瑞希は俺が抱きしめて寝てる時もぐっすりだったけど』
『それはその……フェロモンでぐっすりだっただけで……』
『可愛いな、瑞希』

渚には何を言っても、結果的に僕が不利になる。
なんでだろ……と思いながら、久しぶりの実家の自分の部屋で、ローテーブルの前に座って上体をぐでーっとローテーブルに預けた。

「なんか怒涛の二学期だった……」

夏休みからも世界が一変したようだったけど、まさかαのパートナー、しかも運命の番に会うなんて誰が予想出来ただろうか。


「渚……」

伸ばした手の先で握った小型端末を見つめて、首を少しだけ傾げた。
メッセージの言葉が渚の声で再生されるようで、僕はぽっと頬を染めた。

『渚はそればっかり』
『事実だから仕方ない。可愛い瑞希が悪い』
『え、僕が悪いの?』
『こんなに夢中にさせて、俺をどうするつもりなの?』
『どうもしないよ!?』

部屋の外、階段の下から母さんの声がする。
ご飯が出来たみたいだ。

僕は小型端末をローテーブルに置いて、ダイニングへ向かった。




無事にお許しを得て、年末年始にまで付き合わせて申し訳なく有り難く思いつつ、八雲さんが運転する車で渚と別荘にやってきた僕は、別荘に着いてそんなに経たないうちに渚に服を脱がされかけていた。

「やっ、待って渚」
「瑞希もこうしたかっただろう? 反応してる」
「そうだけど……、せめて暖房が効いてから……」
「あ……そうだな。ごめん、瑞希と二人きりになるとどうしてもやりたくなって」
「部屋があったまるまでせめてくっついてよう?」
「瑞希……! 嬉しいよ、愛してる」

運命の番の渚に飢えていたのは僕も同じだ。
でも例えフェロモンがなかったとしても、渚を知ったらきっと渚を好きになっていた。ただ完璧な渚と付き合えていたかと考えると、ちょっと難しかったかもしれない。

フェロモンと偶然の出会いに感謝しながら、僕は服を着たまま渚に身体を寄せた。
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