奴隷と王様

hina

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紅のマントの下にはふさふさの尻尾があるんだろうかと考えながら、僕はその人の動向を見守った。

獣人は珍しくないみたいだけど、石切場には少なかったので、どうしても気になってしまう。


「良い。皆、そのままで」

陛下って王様ってことだよね……?

礼を取ろうとする人達をその人が止めて、彼は迷うことなく一直線に目的の人物に近付いていく。


って、僕……!!?

彼は部屋のはじの席に座った僕の隣で立ち止まった。

「ああ、私の番! 貴方に会えて嬉しい! 私と一緒に来てくれるかい?」
「は? え、ええ!?」
スプーンからスープが滴り落ちる。僕は固まったまま驚いた。
「会ったばかりなのに、こんなにも愛しい……番にはこんなにも惹かれるものなのか……」
座ったままそっと抱きつかれて、僕はスプーンを置いた。
「あ、あの……あの」
「ん? なんだい?」
「人違い、なのでは……?」
「いや、貴方で間違いない」
「どうして……」
「どうして?」
「僕なんですか……」
「それは神のみぞ知る、かな」

髪にちゅっとキスをされ、陛下が僕の手を取る。

「食事中に申し訳ないけど、これ以上ここにいると皆が食事を続けられないし、一緒に来てくれるね。食事の続きは後でにしよう」
「は、はい」

静まり返っている周囲に気が付いて、僕は慌てて席を立った。
「すまない。ありがとう」
「い、いえ……」

手を引かれながら僕は食事室を後にした。
食べかけの食事は護衛騎士さんが持ってきてくれるみたい。
無駄にならなくて良かった。


「知っているかもしれないけれど、私は国王のディセ・アーヌ・ヴィークン。もうすぐ二十四になる。愛しい人、貴方の名前は?」
「ぼ、僕はユイト・ハシマ。十八になったばかりです」
「そうなのか! おめでとう! 今度改めてお祝いさせてくれるか?」
「いえ、そんな。お祝いなんて……」
「私の誕生日も共に祝って欲しい」
「あ、はい」
「お互いの誕生日を祝い合えるなんて幸せだ……」

うっとりしたような笑顔を浮かべる陛下を見上げて、王宮の廊下を行く。
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