6 / 6
6 *
しおりを挟む
「アランの気持ちはわかったよ。俺もね、アランの香り、本当に好きだと思った。香りがなくても、アランのこと好きだった。それこそアランさんって呼んでた頃から。アランが無理じゃないなら、次の発情期は抱いて欲しい。この首輪を外す鍵はアランに預けるよ。なくさないでね?」
俺は笑って、小さな鍵をアランに押し付けた。
「じゃあ、これにさげておくね。いつでも外さないからなくしません」
アランがシルバーのネックレスを外して鍵を通し、付け直す。
まあ、もしなくしても首輪を買ったお店に行けばなんとかしてもらえるんだけど、。
それは言わないでおくとして。
アランは俺をふわっと抱きしめてから、俺の手を取って、それから手をしっかり繋いで歩き出した。
◇
「あっ、あっ! そこ、もっと!」
パンパンと音が寝室内に響く。
日本の南のリゾートホテルのスイートルームで繰り広げられる睦事はとろりと甘く熱を上げていく。
「イツキは奥が好きだね。もっともっと気持ちよくさせてあげる」
「んっ。あ、いきそ、だめっ、出ちゃう!」
白濁を吐き出した俺の陰茎は、ふにゃりとしている。
同時に後ろで締め付けたアランの硬いそれがさらに大きくなって、俺の中で震えた。
「イツキ、イツキ……」
αの射精は長く濃い。避妊薬を飲むから妊娠はしないはずで、αの精液で発情が緩やかになるとかならないとか……。
「ごめんね。思いっきり噛んだ首、痛む?」
「んーん。大丈夫。噛んでくれてありがとう」
俺をぎゅっと抱きしめているアランの首に腕を巻き付けて、俺も抱きつく。
広い室内だけど、二人のフェロモンが混じり合って香りが充満している。
俺のフェロモンを嗅げるαはもうアランだけで、だからこれは二人だけが嗅げる特別な香りなのだ。
アランは残り香を嗅がれるのも嫌がって、徹底的に消臭するだろう。
ほんのちょっと消臭剤の無駄遣いなんじゃないかと思わなくもないけれど。
「お風呂入りたいな」
「一緒に入ろう」
「やだって言ったら?」
「いやでも入る」
「えー」
「むー」
「可愛くない」
「イツキは可愛い」
もう少ししたら、アランにお風呂のお湯を溜めてもらおう。そうしよう。
それまでは、余韻に浸って。
◇
「あらまあ。跡くっきり」
「翼はまだ番うのは先?」
「Ωからすれば一生の問題だからね。慎重にもなりますとも」
「あー。そうだよなあ」
「創は噛みたいって言うんだけどね。ま、卒業までは待ってもらいます」
「首輪の鍵は死守してな」
「気を付ける」
発情期が終わり、首輪を外してすっきりした俺は噛み跡を翼に見せていた。
Ωの発情期は無くなったりはしないけど、番と過ごす発情期は悪くない。
そう思えただけでも大きな進歩だ。
◇
「何度も言うけど、発情期には必ず駆けつけるから、兆候があったら、なるべく早く教えてね。イツキが高校卒業したら欧州に来てもらうことになるから、言語も少しずつ覚えてね」
「うう……」
笑顔が美しいって罪だ……。
相変わらずFTOもやっているけれど、アランは前より甘さが抜けた気がする。
いつかこの手に下剋上! と思いながら、燃え上がる火山の街への道をアランと二人、歩く。
俺はマイペースにソロプレイヤーで楽しんでいた頃を懐かしく感じたのだった。
俺は笑って、小さな鍵をアランに押し付けた。
「じゃあ、これにさげておくね。いつでも外さないからなくしません」
アランがシルバーのネックレスを外して鍵を通し、付け直す。
まあ、もしなくしても首輪を買ったお店に行けばなんとかしてもらえるんだけど、。
それは言わないでおくとして。
アランは俺をふわっと抱きしめてから、俺の手を取って、それから手をしっかり繋いで歩き出した。
◇
「あっ、あっ! そこ、もっと!」
パンパンと音が寝室内に響く。
日本の南のリゾートホテルのスイートルームで繰り広げられる睦事はとろりと甘く熱を上げていく。
「イツキは奥が好きだね。もっともっと気持ちよくさせてあげる」
「んっ。あ、いきそ、だめっ、出ちゃう!」
白濁を吐き出した俺の陰茎は、ふにゃりとしている。
同時に後ろで締め付けたアランの硬いそれがさらに大きくなって、俺の中で震えた。
「イツキ、イツキ……」
αの射精は長く濃い。避妊薬を飲むから妊娠はしないはずで、αの精液で発情が緩やかになるとかならないとか……。
「ごめんね。思いっきり噛んだ首、痛む?」
「んーん。大丈夫。噛んでくれてありがとう」
俺をぎゅっと抱きしめているアランの首に腕を巻き付けて、俺も抱きつく。
広い室内だけど、二人のフェロモンが混じり合って香りが充満している。
俺のフェロモンを嗅げるαはもうアランだけで、だからこれは二人だけが嗅げる特別な香りなのだ。
アランは残り香を嗅がれるのも嫌がって、徹底的に消臭するだろう。
ほんのちょっと消臭剤の無駄遣いなんじゃないかと思わなくもないけれど。
「お風呂入りたいな」
「一緒に入ろう」
「やだって言ったら?」
「いやでも入る」
「えー」
「むー」
「可愛くない」
「イツキは可愛い」
もう少ししたら、アランにお風呂のお湯を溜めてもらおう。そうしよう。
それまでは、余韻に浸って。
◇
「あらまあ。跡くっきり」
「翼はまだ番うのは先?」
「Ωからすれば一生の問題だからね。慎重にもなりますとも」
「あー。そうだよなあ」
「創は噛みたいって言うんだけどね。ま、卒業までは待ってもらいます」
「首輪の鍵は死守してな」
「気を付ける」
発情期が終わり、首輪を外してすっきりした俺は噛み跡を翼に見せていた。
Ωの発情期は無くなったりはしないけど、番と過ごす発情期は悪くない。
そう思えただけでも大きな進歩だ。
◇
「何度も言うけど、発情期には必ず駆けつけるから、兆候があったら、なるべく早く教えてね。イツキが高校卒業したら欧州に来てもらうことになるから、言語も少しずつ覚えてね」
「うう……」
笑顔が美しいって罪だ……。
相変わらずFTOもやっているけれど、アランは前より甘さが抜けた気がする。
いつかこの手に下剋上! と思いながら、燃え上がる火山の街への道をアランと二人、歩く。
俺はマイペースにソロプレイヤーで楽しんでいた頃を懐かしく感じたのだった。
22
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
貧乏子爵のオメガ令息は、王子妃候補になりたくない
こたま
BL
山あいの田舎で、子爵とは名ばかりの殆ど農家な仲良し一家で育ったラリー。男オメガで貧乏子爵。このまま実家で生きていくつもりであったが。王から未婚の貴族オメガにはすべからく王子妃候補の選定のため王宮に集うようお達しが出た。行きたくないしお金も無い。辞退するよう手紙を書いたのに、近くに遠征している騎士団が帰る時、迎えに行って一緒に連れていくと連絡があった。断れないの?高貴なお嬢様にイジメられない?不安だらけのラリーを迎えに来たのは美丈夫な騎士のニールだった。
いい加減観念して結婚してください
彩根梨愛
BL
平凡なオメガが成り行きで決まった婚約解消予定のアルファに結婚を迫られる話
元々ショートショートでしたが、続編を書きましたので短編になりました。
2025/05/05時点でBL18位ありがとうございます。
作者自身驚いていますが、お楽しみ頂き光栄です。
縁結びオメガと不遇のアルファ
くま
BL
お見合い相手に必ず運命の相手が現れ破談になる柊弥生、いつしか縁結びオメガと揶揄されるようになり、山のようなお見合いを押しつけられる弥生、そんな折、中学の同級生で今は有名会社のエリート、藤宮暁アルファが泣きついてきた。何でも、この度結婚することになったオメガ女性の元婚約者の女になって欲しいと。無神経な事を言ってきた暁を一昨日来やがれと追い返すも、なんと、次のお見合い相手はそのアルファ男性だった。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる