君との距離。

hina

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「アランの気持ちはわかったよ。俺もね、アランの香り、本当に好きだと思った。香りがなくても、アランのこと好きだった。それこそアランさんって呼んでた頃から。アランが無理じゃないなら、次の発情期は抱いて欲しい。この首輪を外す鍵はアランに預けるよ。なくさないでね?」
俺は笑って、小さな鍵をアランに押し付けた。

「じゃあ、これにさげておくね。いつでも外さないからなくしません」
アランがシルバーのネックレスを外して鍵を通し、付け直す。
まあ、もしなくしても首輪を買ったお店に行けばなんとかしてもらえるんだけど、。

それは言わないでおくとして。


アランは俺をふわっと抱きしめてから、俺の手を取って、それから手をしっかり繋いで歩き出した。











「あっ、あっ! そこ、もっと!」
パンパンと音が寝室内に響く。
日本の南のリゾートホテルのスイートルームで繰り広げられる睦事はとろりと甘く熱を上げていく。
「イツキは奥が好きだね。もっともっと気持ちよくさせてあげる」
「んっ。あ、いきそ、だめっ、出ちゃう!」
白濁を吐き出した俺の陰茎は、ふにゃりとしている。
同時に後ろで締め付けたアランの硬いそれがさらに大きくなって、俺の中で震えた。

「イツキ、イツキ……」
αの射精は長く濃い。避妊薬を飲むから妊娠はしないはずで、αの精液で発情が緩やかになるとかならないとか……。

「ごめんね。思いっきり噛んだ首、痛む?」
「んーん。大丈夫。噛んでくれてありがとう」

俺をぎゅっと抱きしめているアランの首に腕を巻き付けて、俺も抱きつく。

広い室内だけど、二人のフェロモンが混じり合って香りが充満している。
俺のフェロモンを嗅げるαはもうアランだけで、だからこれは二人だけが嗅げる特別な香りなのだ。
アランは残り香を嗅がれるのも嫌がって、徹底的に消臭するだろう。
ほんのちょっと消臭剤の無駄遣いなんじゃないかと思わなくもないけれど。


「お風呂入りたいな」
「一緒に入ろう」
「やだって言ったら?」
「いやでも入る」
「えー」
「むー」
「可愛くない」
「イツキは可愛い」


もう少ししたら、アランにお風呂のお湯を溜めてもらおう。そうしよう。

それまでは、余韻に浸って。













「あらまあ。跡くっきり」
「翼はまだ番うのは先?」
「Ωからすれば一生の問題だからね。慎重にもなりますとも」
「あー。そうだよなあ」
「創は噛みたいって言うんだけどね。ま、卒業までは待ってもらいます」
「首輪の鍵は死守してな」
「気を付ける」

発情期が終わり、首輪を外してすっきりした俺は噛み跡を翼に見せていた。

Ωの発情期は無くなったりはしないけど、番と過ごす発情期は悪くない。

そう思えただけでも大きな進歩だ。






「何度も言うけど、発情期には必ず駆けつけるから、兆候があったら、なるべく早く教えてね。イツキが高校卒業したら欧州に来てもらうことになるから、言語も少しずつ覚えてね」
「うう……」
笑顔が美しいって罪だ……。

相変わらずFTOもやっているけれど、アランは前より甘さが抜けた気がする。

いつかこの手に下剋上! と思いながら、燃え上がる火山の街への道をアランと二人、歩く。
俺はマイペースにソロプレイヤーで楽しんでいた頃を懐かしく感じたのだった。
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