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第一章 愚王と愚妹による婚約破棄
第一話 婚約破棄と王宮追放は突然に
「アメリア・フィンドラル、ちょうどいい機会だからここでお前との婚約を破棄する! いいか、これは現国王である僕ことアントン・カスケードがずっと前から決めていたことだ! だから異議は認めない!」
突如として舞踏会に響き渡った、アントンさまの高らかな声。
すると舞踏会に参加していた貴族の子息令嬢たちからどよめきが起こった。
無理もない。
アントンさまはアメリア・フィンドラルこと私の婚約者であり、現国王さまなのだ。
そんなアントンさまが、唐突に私の婚約破棄を公衆の面前で宣言したのだ。
何の事情も知らずにこの舞踏会に参加した貴族の子息令嬢たちは、それこそ文字通り目を見開いただろう。
当然だけど、婚約破棄を告げられた私本人も驚いた。
あのう、アントンさま……そんな話も態度も今の今までまったくこれっぽっちもされてませんでしたよね?
私はハッとすると、さりげなく周囲を見渡した。
舞踏会には王族や公爵家の方々をはじめ、他の諸侯の方々も参加している。
ああ……皆さま、私と同じでポカンとしていらっしゃる。
などと私が思っていると、豪華なドレスを着た1人の少女が近寄ってきた。
「あ、あなた……」
私は目の前に現れた少女を見てつぶやいた。
私と同じ栗色の髪の毛をしているが、背中まで伸びている私と違って髪の毛はうなじの辺りで綺麗に切り揃えられている。
身長も170センチの私よりも20センチは低い。
よく私は周囲から「アメリアさまは目鼻立ちが整っていて、凛々しいお顔をしていらっしゃいますね。可愛いというよりは美人と呼ぶほうがしっくりときます」と言われているが、目の前の少女は圧倒的に可愛いと言われる顔立ちだった。
他にも私はお屋敷を守る専属騎士たちから特異能力を向上させるために肉体鍛錬も欠かさなかったため、17歳の同年代の子たちよりも少しばかり背筋が伸びて体格もしっかりしている。
でも、そんな私は筋骨隆々というわけではない。
日頃からの適度な運動と食事制限により、ちょっと同年代の子よりも良いプロポーションをしているだけだ。
でも、私の眼前にいる少女は違う。
幼少から身体が少し弱かったこともあって、私とは正反対に両親から蝶よ花よと過保護に育てられてきた。
なので体型は花の茎のように細く、とはいえガリガリとまではいかない体型をしている。
え? どうして私が目の前の少女のことに詳しいのかって?
私が少女について詳しいのは当たり前だった。
少女の名前はミーシャ・フィンドラル。
私の1つ下の実妹に他ならなかったからだ。
「ミーシャ……どうしてあなたがここに?」
私はミーシャを見て頭上に疑問符を浮かべた。
今日は私とアントンさまが主役のパーティーであり、ミーシャには参加の手紙など届いていないはずだ。
現に私が屋敷から馬車で出るとき、ミーシャは「色々と楽しんできてくださいね、お姉さま」と見送ってくれた。
「お姉さま、わたしがどうしてここにいるか理由を聞きたいですか?」
そう言ったミーシャは、ゾッとするほどの酷薄した笑みを浮かべた。
「それはこういうことですよ」
言うなりミーシャは隣にいたアントンさまに抱き着き、自分の唇をアントンさまに重ね合わせた。
どれぐらいキスをしていただろうか。
アントンさまはミーシャからのキスを拒むどころか、むしろ受け入れているような感じがあった。
やがて互いに唇を離したあと、ミーシャは私に顔を向けてニヤリと笑った。
「お姉さま、本日をもってミーシャ・フィンドラルはアントン・カスケードさまと婚約いたします。お姉さまの代わりにね」
突如として舞踏会に響き渡った、アントンさまの高らかな声。
すると舞踏会に参加していた貴族の子息令嬢たちからどよめきが起こった。
無理もない。
アントンさまはアメリア・フィンドラルこと私の婚約者であり、現国王さまなのだ。
そんなアントンさまが、唐突に私の婚約破棄を公衆の面前で宣言したのだ。
何の事情も知らずにこの舞踏会に参加した貴族の子息令嬢たちは、それこそ文字通り目を見開いただろう。
当然だけど、婚約破棄を告げられた私本人も驚いた。
あのう、アントンさま……そんな話も態度も今の今までまったくこれっぽっちもされてませんでしたよね?
私はハッとすると、さりげなく周囲を見渡した。
舞踏会には王族や公爵家の方々をはじめ、他の諸侯の方々も参加している。
ああ……皆さま、私と同じでポカンとしていらっしゃる。
などと私が思っていると、豪華なドレスを着た1人の少女が近寄ってきた。
「あ、あなた……」
私は目の前に現れた少女を見てつぶやいた。
私と同じ栗色の髪の毛をしているが、背中まで伸びている私と違って髪の毛はうなじの辺りで綺麗に切り揃えられている。
身長も170センチの私よりも20センチは低い。
よく私は周囲から「アメリアさまは目鼻立ちが整っていて、凛々しいお顔をしていらっしゃいますね。可愛いというよりは美人と呼ぶほうがしっくりときます」と言われているが、目の前の少女は圧倒的に可愛いと言われる顔立ちだった。
他にも私はお屋敷を守る専属騎士たちから特異能力を向上させるために肉体鍛錬も欠かさなかったため、17歳の同年代の子たちよりも少しばかり背筋が伸びて体格もしっかりしている。
でも、そんな私は筋骨隆々というわけではない。
日頃からの適度な運動と食事制限により、ちょっと同年代の子よりも良いプロポーションをしているだけだ。
でも、私の眼前にいる少女は違う。
幼少から身体が少し弱かったこともあって、私とは正反対に両親から蝶よ花よと過保護に育てられてきた。
なので体型は花の茎のように細く、とはいえガリガリとまではいかない体型をしている。
え? どうして私が目の前の少女のことに詳しいのかって?
私が少女について詳しいのは当たり前だった。
少女の名前はミーシャ・フィンドラル。
私の1つ下の実妹に他ならなかったからだ。
「ミーシャ……どうしてあなたがここに?」
私はミーシャを見て頭上に疑問符を浮かべた。
今日は私とアントンさまが主役のパーティーであり、ミーシャには参加の手紙など届いていないはずだ。
現に私が屋敷から馬車で出るとき、ミーシャは「色々と楽しんできてくださいね、お姉さま」と見送ってくれた。
「お姉さま、わたしがどうしてここにいるか理由を聞きたいですか?」
そう言ったミーシャは、ゾッとするほどの酷薄した笑みを浮かべた。
「それはこういうことですよ」
言うなりミーシャは隣にいたアントンさまに抱き着き、自分の唇をアントンさまに重ね合わせた。
どれぐらいキスをしていただろうか。
アントンさまはミーシャからのキスを拒むどころか、むしろ受け入れているような感じがあった。
やがて互いに唇を離したあと、ミーシャは私に顔を向けてニヤリと笑った。
「お姉さま、本日をもってミーシャ・フィンドラルはアントン・カスケードさまと婚約いたします。お姉さまの代わりにね」
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