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第5話 美味しい愛
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チュンチュン……チュンチュン……
私はスズメの鳴き声で目を覚ました。
ゆっくりと上半身を起こし、何度も瞬きをして周囲を見渡す。
「……待って」
私の視界には簡素な部屋の様子が飛び込んできた。
「待って待って待って……」
意識が鮮明になってくるほど額から冷や汗が浮かんでくる。
どうやら私は一泊三銀貨ほどの宿の部屋にいるようだった。
ちゃんとした造りのベッドには分厚いマットが敷かれ、私の身体は毛布が掛けられていたのだろう。
ベッドの横にはランタンと水差し、そして二つのコップが置かれている小机が置かれている。
部屋の隅には小さな暖炉があり、一時間ぐらいまで薪が燃えていた形跡があった。
おかげで部屋の中はそれなりに暖かく、私は今の今まで全裸で快適に寝ることができていたらしい。
そう、今の私は生まれたままの全裸の状態だった。
「スー……スー……」
私は瞬きを忘れ、小さな寝息が聞こえている真横に視線を移そうか迷った。
正直なところ、目が覚めてから隣に誰かいることはわかっていた。
でも、本能が確認することを明確に拒んでいたのだ。
ただ、意識してしまってはもう無理である。
きちんと確認しないことは前には進めない。
私はおそるおそる真横に顔を向けた。
正確には真横の斜め下――私の隣で健やかな寝息を立てている男性の顔を確認するために。
「嘘でしょう……」
うろ覚えの記憶の中の顔と、隣の青年の顔は完全に一致していた。
銀髪のカイトさんだ。
(これってもしかして……朝チュン?)
朝チュンとは、貴族令嬢の中で流行っていた恋愛小説に登場する造語だ。
設定は様々だったが、特に人気なのは高貴な身分を隠している美青年が身分の低い女性――読者を想定――と一夜の逢瀬を過ごし、朝を告げるスズメの「チュンチュン」という鳴き声で目覚めることから「朝チュン」と言われていた。
つまり過激な性的描写を行わず、物語の中で男女の関係があったことを示唆する表現技法のこと。
いや、そんなことはどうでもいい。
私は冷や汗をダラダラと搔きながら、毛布をめくって本当に男女の関係があったのかを確認する。
というか、実は自分の身体の一部の違和感によって大体のことはわかっていた。
それでも確認せずにはいられない。
「…………」
はい、ダメでした。
きっちりと男女の行為が行われていたようです。
「う、う~ん……」
私が唖然としていると、カイトさんがようやく目を覚ました。
上半身をゆっくりと起こし、「ふわ~」とあくびをする。
凄い、と私は思ってしまった。
イケメンはあくびをしてもイケメンだった。
「おはよう」
「お……おはよう……ございます」
カイトは首をかしげた。
「どうしてそんなに他人行儀なんだい?」
それは私のほうが訊きたい。
なぜ、彼のほうがそんな親近感を覚えているのだろう。
今の状況をかんがみるに、私たちは昨日の夜に飲みすぎたことで意気統合。
意識が朦朧とするまで飲み明かしたあと、そのまま安宿に向かって事を致したのだろう。
というか、そうとしか考えられない。
(何てこと! 貴族令嬢がいきずりの相手に乙女の純潔をあげるなんて!)
……と普通ならこうなるところだが、あいにくと今の私は元貴族令嬢だ。
一方的に婚約を破棄され、生家からは勘当を言い渡された。
しかも将来どころか自分は今日までの命である。
「そうか……そうよね……だったら、いいか」
私はクスッと笑った。
カーズのような最低の男に純潔を捧げるよりも、こうして正体不明のイケメンと一夜の逢瀬をしたという事実が今の私にはお似合いだ。
むしろ最後の最後に本当の女になったことは幸いだったかもしれない。
(まあ……昨夜のことは全然覚えていないんだけど)
などと思っていると、カイトさんはベッドから降りて全裸を晒す。
私はギョッとした。
カイトさんの身体は鋼のような筋肉がついている。
おでん屋台でもそうなのかもと思っていたが、実際に明るい場所で見ると衝撃は凄まじい。
本当に男性として火の打ちどころがなかった。
(こんな人と結婚できる女性は幸せ――)
でしょうね、と心中でつぶやこうとしたときだ。
「さあ、カレン。旅立つ準備をしよう」
とカイトさんが満面の笑みで切り出した。
「旅立つ?」
私はポカンとした。
カイトさんの言っている意味がわからない。
「そうさ。昨日言っただろう? 君は俺の国に来て〈結界姫〉になる、と。そして第一王子である俺と結婚するって」
「はあっ!?」
寝耳に水とはまさにこのことだった。
私がカイトさんの国に行って〈結界姫〉になる?
しかも、その国の第一王子がカイトさん?
私はもう何が何だかわからなくなった。
「もしかして……お酒のせいで全然覚えていないのかい?」
私は無言のままコクリとうなずいた。
カイトさんは「そうか……」と床に畳んでいたパンツをはき始める。
「じゃあ、もう一度説明する」
その後、カイトさんは自身の事情を教えてくれた。
カイトさんの国はランドルフ王国から北にある小国で、国の名前はカーマイン王国だった。
カーマイン王国。
この名前は私も知っている。
貴重な結界石の巨大原産国だ。
しかし結界石の原産国でありながら魔力を持つ者がほとんどおらず、長年にわたって魔物の襲撃も少ないので魔法使いや〈結界姫〉がいなくても何とか国の平穏は保たれていたらしい。
ところが一か月前、カーマイン王国の近くに大量の魔物が出現するダンジョンが発生したことで事態は急変。
大量の魔物からの襲撃に耐える高純度の結界石はあるものの、肝心の結界石の効力を発揮させる〈結界姫〉がいない。
そこでカーマイン王国はランドルフ王国に協力を要請した。
できれば〈結界姫〉、もしくは魔法使いを派遣して欲しいと。
けれどランドルフ王国はこの協力要請に否定的だった。
イエスともノーとも言わず、どんな使者を送っても返事をはぐらかされたという。
そこでカーマイン王国は本気という意思表示のため、何とカーマイン王国の第一王子を使者として派遣させた。
その使者こそ私の目の前にいるカイトさんらしい。
すべてを聞き終えたとき、私はようやく納得した。
確かにカイトさんには隠し切れない高貴なオーラが放たれている。
それでも異国の第一王子とは夢にも思わなかった。
しかも、そんな異国の王子様と私が結婚って……冗談ですよね?
「冗談って顔をしているけど、冗談じゃないよ。俺の国の王族には最初に身体の関係を持った女性と結婚するというしきたりがある。他の国の王族は知らないが、カーマイン王国ではそうだから仕方ない」
でもね、とカイトさん改めカイト様は真剣な表情になる。
「そんなしきたりとは関係なく、俺は君の人柄に惚れた。人間は一緒に食事をすればその人間の人柄がわかるらしいが、君と一緒におでん屋台で飲み明かしたときに思ったんだ。この女性こそ俺の伴侶となるべき女性だってね」
「いえ、私はそんな大層な女じゃありません」
「悪いけど、君の否定を俺は否定する。君はとても知的で魅力的な女性だ。しかも結界石に特別な魔力が込められる〈結界姫〉候補だったんだろ? だったらカーマイン王国の王家に嫁ぐ資格は十分にある。いや、むしろ俺の父上は大歓迎だ。何せ君を王家に向かえればこのランドルフ王国の属国にならずに済むのだから」
「まさか……カイトさんは自身を人質にランドルフ王国に自分の国を明け渡そうとしたのですか?」
「ああ、それしかカーマイン王国が生き延びる手段がなかった。このままだとカーマイン王国は魔物の大群に蹂躙されて滅びてしまう」
私はカイト様の言葉に胸を打たれた。
下手をすれば殺されかねない状況にあっても、第一王子として国のために命を懸けて使者の役目を引き受けるなど素晴らしいの一言に尽きる。
「わかりました」
私はカイト様に対して深くうなずく。
「私はあなたの妻となってカーマイン王国に向かいます。そして結界石に魔力を込めて魔物の攻撃を防いで見せます」
「ほ、本当なのか?」
「貴族令嬢に二言はありません……まあ、元がつきますが」
「カレンッ!」
カイト様は感極まったのか、私をギュッと抱きしめる。
私はあらためて男性の力強い筋肉の厚みと熱をひしひしと感じた。
「この俺――カーマイン王国第一王子、カイト・カーマインも二言はない。君を王族に招いて俺の妻として生涯愛すると誓う」
「はい、これからよろしくお願いします」
私もカイト様を抱きしめ返した。
その後、私はカーマイン王国に行って正式な〈結界姫〉となり、結界石に魔力を込めてカーマイン王国全体に強力な結界魔法を施すことに成功。
最初こそ奇異な目で見られた私だったが、実力と人柄が認められたあとは王位を継いだカイト様の妻となってカーマイン王国の王妃となった。
こうして私は順風満帆な人生を掴むことができた。
ところがである。
そんな不遇な環境から一転して幸福を手に入れた私とは違い、ランドルフ王国はとんでもない事態に陥っていた。
それは――。
私はスズメの鳴き声で目を覚ました。
ゆっくりと上半身を起こし、何度も瞬きをして周囲を見渡す。
「……待って」
私の視界には簡素な部屋の様子が飛び込んできた。
「待って待って待って……」
意識が鮮明になってくるほど額から冷や汗が浮かんでくる。
どうやら私は一泊三銀貨ほどの宿の部屋にいるようだった。
ちゃんとした造りのベッドには分厚いマットが敷かれ、私の身体は毛布が掛けられていたのだろう。
ベッドの横にはランタンと水差し、そして二つのコップが置かれている小机が置かれている。
部屋の隅には小さな暖炉があり、一時間ぐらいまで薪が燃えていた形跡があった。
おかげで部屋の中はそれなりに暖かく、私は今の今まで全裸で快適に寝ることができていたらしい。
そう、今の私は生まれたままの全裸の状態だった。
「スー……スー……」
私は瞬きを忘れ、小さな寝息が聞こえている真横に視線を移そうか迷った。
正直なところ、目が覚めてから隣に誰かいることはわかっていた。
でも、本能が確認することを明確に拒んでいたのだ。
ただ、意識してしまってはもう無理である。
きちんと確認しないことは前には進めない。
私はおそるおそる真横に顔を向けた。
正確には真横の斜め下――私の隣で健やかな寝息を立てている男性の顔を確認するために。
「嘘でしょう……」
うろ覚えの記憶の中の顔と、隣の青年の顔は完全に一致していた。
銀髪のカイトさんだ。
(これってもしかして……朝チュン?)
朝チュンとは、貴族令嬢の中で流行っていた恋愛小説に登場する造語だ。
設定は様々だったが、特に人気なのは高貴な身分を隠している美青年が身分の低い女性――読者を想定――と一夜の逢瀬を過ごし、朝を告げるスズメの「チュンチュン」という鳴き声で目覚めることから「朝チュン」と言われていた。
つまり過激な性的描写を行わず、物語の中で男女の関係があったことを示唆する表現技法のこと。
いや、そんなことはどうでもいい。
私は冷や汗をダラダラと搔きながら、毛布をめくって本当に男女の関係があったのかを確認する。
というか、実は自分の身体の一部の違和感によって大体のことはわかっていた。
それでも確認せずにはいられない。
「…………」
はい、ダメでした。
きっちりと男女の行為が行われていたようです。
「う、う~ん……」
私が唖然としていると、カイトさんがようやく目を覚ました。
上半身をゆっくりと起こし、「ふわ~」とあくびをする。
凄い、と私は思ってしまった。
イケメンはあくびをしてもイケメンだった。
「おはよう」
「お……おはよう……ございます」
カイトは首をかしげた。
「どうしてそんなに他人行儀なんだい?」
それは私のほうが訊きたい。
なぜ、彼のほうがそんな親近感を覚えているのだろう。
今の状況をかんがみるに、私たちは昨日の夜に飲みすぎたことで意気統合。
意識が朦朧とするまで飲み明かしたあと、そのまま安宿に向かって事を致したのだろう。
というか、そうとしか考えられない。
(何てこと! 貴族令嬢がいきずりの相手に乙女の純潔をあげるなんて!)
……と普通ならこうなるところだが、あいにくと今の私は元貴族令嬢だ。
一方的に婚約を破棄され、生家からは勘当を言い渡された。
しかも将来どころか自分は今日までの命である。
「そうか……そうよね……だったら、いいか」
私はクスッと笑った。
カーズのような最低の男に純潔を捧げるよりも、こうして正体不明のイケメンと一夜の逢瀬をしたという事実が今の私にはお似合いだ。
むしろ最後の最後に本当の女になったことは幸いだったかもしれない。
(まあ……昨夜のことは全然覚えていないんだけど)
などと思っていると、カイトさんはベッドから降りて全裸を晒す。
私はギョッとした。
カイトさんの身体は鋼のような筋肉がついている。
おでん屋台でもそうなのかもと思っていたが、実際に明るい場所で見ると衝撃は凄まじい。
本当に男性として火の打ちどころがなかった。
(こんな人と結婚できる女性は幸せ――)
でしょうね、と心中でつぶやこうとしたときだ。
「さあ、カレン。旅立つ準備をしよう」
とカイトさんが満面の笑みで切り出した。
「旅立つ?」
私はポカンとした。
カイトさんの言っている意味がわからない。
「そうさ。昨日言っただろう? 君は俺の国に来て〈結界姫〉になる、と。そして第一王子である俺と結婚するって」
「はあっ!?」
寝耳に水とはまさにこのことだった。
私がカイトさんの国に行って〈結界姫〉になる?
しかも、その国の第一王子がカイトさん?
私はもう何が何だかわからなくなった。
「もしかして……お酒のせいで全然覚えていないのかい?」
私は無言のままコクリとうなずいた。
カイトさんは「そうか……」と床に畳んでいたパンツをはき始める。
「じゃあ、もう一度説明する」
その後、カイトさんは自身の事情を教えてくれた。
カイトさんの国はランドルフ王国から北にある小国で、国の名前はカーマイン王国だった。
カーマイン王国。
この名前は私も知っている。
貴重な結界石の巨大原産国だ。
しかし結界石の原産国でありながら魔力を持つ者がほとんどおらず、長年にわたって魔物の襲撃も少ないので魔法使いや〈結界姫〉がいなくても何とか国の平穏は保たれていたらしい。
ところが一か月前、カーマイン王国の近くに大量の魔物が出現するダンジョンが発生したことで事態は急変。
大量の魔物からの襲撃に耐える高純度の結界石はあるものの、肝心の結界石の効力を発揮させる〈結界姫〉がいない。
そこでカーマイン王国はランドルフ王国に協力を要請した。
できれば〈結界姫〉、もしくは魔法使いを派遣して欲しいと。
けれどランドルフ王国はこの協力要請に否定的だった。
イエスともノーとも言わず、どんな使者を送っても返事をはぐらかされたという。
そこでカーマイン王国は本気という意思表示のため、何とカーマイン王国の第一王子を使者として派遣させた。
その使者こそ私の目の前にいるカイトさんらしい。
すべてを聞き終えたとき、私はようやく納得した。
確かにカイトさんには隠し切れない高貴なオーラが放たれている。
それでも異国の第一王子とは夢にも思わなかった。
しかも、そんな異国の王子様と私が結婚って……冗談ですよね?
「冗談って顔をしているけど、冗談じゃないよ。俺の国の王族には最初に身体の関係を持った女性と結婚するというしきたりがある。他の国の王族は知らないが、カーマイン王国ではそうだから仕方ない」
でもね、とカイトさん改めカイト様は真剣な表情になる。
「そんなしきたりとは関係なく、俺は君の人柄に惚れた。人間は一緒に食事をすればその人間の人柄がわかるらしいが、君と一緒におでん屋台で飲み明かしたときに思ったんだ。この女性こそ俺の伴侶となるべき女性だってね」
「いえ、私はそんな大層な女じゃありません」
「悪いけど、君の否定を俺は否定する。君はとても知的で魅力的な女性だ。しかも結界石に特別な魔力が込められる〈結界姫〉候補だったんだろ? だったらカーマイン王国の王家に嫁ぐ資格は十分にある。いや、むしろ俺の父上は大歓迎だ。何せ君を王家に向かえればこのランドルフ王国の属国にならずに済むのだから」
「まさか……カイトさんは自身を人質にランドルフ王国に自分の国を明け渡そうとしたのですか?」
「ああ、それしかカーマイン王国が生き延びる手段がなかった。このままだとカーマイン王国は魔物の大群に蹂躙されて滅びてしまう」
私はカイト様の言葉に胸を打たれた。
下手をすれば殺されかねない状況にあっても、第一王子として国のために命を懸けて使者の役目を引き受けるなど素晴らしいの一言に尽きる。
「わかりました」
私はカイト様に対して深くうなずく。
「私はあなたの妻となってカーマイン王国に向かいます。そして結界石に魔力を込めて魔物の攻撃を防いで見せます」
「ほ、本当なのか?」
「貴族令嬢に二言はありません……まあ、元がつきますが」
「カレンッ!」
カイト様は感極まったのか、私をギュッと抱きしめる。
私はあらためて男性の力強い筋肉の厚みと熱をひしひしと感じた。
「この俺――カーマイン王国第一王子、カイト・カーマインも二言はない。君を王族に招いて俺の妻として生涯愛すると誓う」
「はい、これからよろしくお願いします」
私もカイト様を抱きしめ返した。
その後、私はカーマイン王国に行って正式な〈結界姫〉となり、結界石に魔力を込めてカーマイン王国全体に強力な結界魔法を施すことに成功。
最初こそ奇異な目で見られた私だったが、実力と人柄が認められたあとは王位を継いだカイト様の妻となってカーマイン王国の王妃となった。
こうして私は順風満帆な人生を掴むことができた。
ところがである。
そんな不遇な環境から一転して幸福を手に入れた私とは違い、ランドルフ王国はとんでもない事態に陥っていた。
それは――。
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