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第四章 ~空手家という名の闘神、大草原に舞い降りる~
道場訓 二十五 今さら気づいても、もう遅い!
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「――〈神遠拳〉!」
俺は襲いかかってきた魔物どもに対して、遠距離用の技であるその場での気力を乗せた正拳突き――〈神遠拳〉を放った。
ゴオオオオオオオオオオ――――ッ!
数秒後、巨大な黄金色の気力の光弾が魔物の群れに直撃する。
顕現化させた気力を高出力で放った〈神遠拳〉。
それは圧倒的な火力を誇る、極大魔法と比べても何ら遜色はない。
現に俺の〈神遠拳〉をモロに食らった一部の魔物どもは、耳をつんざく悲鳴とともに肉体を爆裂四散させて地獄へと落ちていく。
これが人間ならば一発で戦意を喪失しただろう。
しかし、残っているのはAランクの上級魔物たちばかりだ。
同じ種族だろうと他種族だろうと、狂気と殺意を高めていた状況で弱腰になることなどない。
そうだよな……お互い、冷静にもうキレているもんな。
俺はニヤリと笑って残りの魔物どもを睥睨した。
3分の1の魔物を一瞬で倒した俺の〈神遠拳〉を見ても、残りの魔物どもはまったく怯むことなく向かってくる。
けれどもAランクの上級魔物は馬鹿ではない。
二発目の〈神遠拳〉を最大限に警戒したのだろう。
一塊にならないよう、各種族ともバラバラになりながら距離を縮めてきた。
直後、様々な種族の殺意の牙が容赦なく襲いかかってくる。
それでも俺の心は乱れない。
俺は地面を力強く蹴ると、3メートル以上はある前方のオーク・エンペラーに飛びかかった。
そしてオーク・エンペラーの筋肉と脂肪が詰まった太鼓腹に必殺の前蹴り――〈足先蹴り〉を叩き込む。
内臓を中から破壊されたオーク・エンペラーが血反吐を吐いて絶命したのを確認するまでもなく、俺は瞬時に隣にいたオーガ・カイザーに向かって駆け出した。
巨大な棍棒を振り回してくるオーガ・カイザー。
だが、今の俺はオーガ・カイザーの攻撃など目を瞑っても避けられる。
俺はオーガ・カイザーの棍棒を身を屈めることで躱すと、すぐさま6つに分かれた腹筋に体重と気力を乗せた正拳突きをお見舞いする。
それだけでは終わらない。
俺は間髪を入れず、飛び跳ねながらオーガ・カイザーの顎に真下から揚げ突き(アッパーカット)を放った。
ゴキンッ!
俺の揚げ突き(アッパーカット)でオーガ・カイザーの首の骨はへし折れ、そのまま3メートル以上はあったオーガ・カイザーは背中から倒れて絶命する。
まだまだ!
気が乗ってきた俺は本能のままに肉体を動かした。
俺の制空圏の中にいたジャイアント・トロール、ダーク・フェンリル、メタル・ゴーレムどもに闘神流空手の上位技を次々と繰り出していく。
まずはもっとも倒しやすいジャイアント・トロールだ。
俺は全身毛むくじゃらの巨人であるジャイアント・トロールのパンチを避けると、ジャイアント・トロールの左膝に渾身の蹴りを叩き込む。
あまりの蹴りの衝撃に膝をつくジャイアント・トロール。
俺は助走なしに数メートルの高さをジャンプすると、無防備だったジャイアント・トロールの頭頂部に――〈神雷・肘落とし打ち〉を繰り出して脳天を砕く。
次はお前だ!
俺は地面に颯爽と降り立ち、右方から襲いかかってくる敵に顔を向けた。
身体と凶暴さが巨大化した魔狼の上位種――ダーク・フェンリルだ。
ダーク・フェンリルは上顎と下顎を大きく開けて猛進してくる。
その口で俺を捉えて一気に噛み砕こうとしたのだろう。
しかし、俺からしてみれば悪手も悪手だった。
俺は神速の踏み込みから軸足を返し、力と勢いと気力を最大限に乗せた〈旋風・回し蹴り〉をダーク・フェンリルの顔面に放った。
バアンッ!
俺の〈旋風・回し蹴り〉の直撃を浴びたダーク・フェンリルの顔面は、爆発系の火魔法を食らったように破裂した。
そしてダーク・フェンリルは大量の血と脳漿を飛び散らせて絶命する。
続いての敵はそれなりに厄介なメタル・ゴーレムだった。
一般種のゴーレムは単一的な動きしかしない土人形だが、上位種であるメタル・ゴーレムは複雑な動きをこなす金属人形だ。
通常の打撃や斬撃はもちろんのこと、攻撃魔法でも火力が低ければダメージは与えられない。
金属の肉体が生半可な攻撃などすべて弾き返すからだ。
けれどもメタル・ゴーレムの恐ろしさはそれだけではない。
メタル・ゴーレムは丸まった口から魔法とは異なる、光線と呼ばれている異様な力の塊を連続で発射してくる。
頑強な金属鎧でも一発でも食らえば爆ぜ溶ける威力の光線。
俺はそんな光線の軌道を完全に読みながら間合いを詰める。
そしてメタル・ゴーレムの胴体に、衝撃波が内部へ深く浸透する〈波状・掌底打ち〉を叩き込んだ。
〈波状・掌底打ち〉を食らったメタル・ゴーレムは、全身をビクビクと痙攣させた末に頭部から大量の煙を出して地面に倒れる。
といった具合に俺はそれぞれの種族に合わせた、もっともダメージを与えられる攻撃で魔物どもを戦闘不能にさせていく。
もちろん一打一蹴ごとに練り上げた気力も加えているため、俺の攻撃の衝撃波は内部に伝わって体内を破壊している。
俺はジャイアント・トロール、ダーク・フェンリル、メタルゴーレムを倒すと、後の先(カウンター)を捨てて、とにかく先手を取るために動いた。
できれば1体たりともエミリアに近づかせたくない。
俺のそんな思いを感じ取ったのではないだろうが、幸いなことに魔物どもは俺のはるか後方にいる冒険者の一団よりも、俺一人のほうが脅威の存在だと察してくれたのだろう。
1体たりとも冒険者の一団へは向かわず、今のところ俺だけをターゲットにしてくれている。
その点だけは本当にありがたかった。
俺一人だけをターゲットにしてくれるのなら、心置きなくお前たち全員を1体残らず始末できる。
次の瞬間、残っていた魔物どもが目を血走らせつつ突進してきた。
憎悪と狂気が入り乱れた、何十もの眼光が俺の全身に槍衾のように突き刺さってくる。
魔物どもはようやく気づいたのだろう。
目の前の捕食される側だと思っていた人間が、実は自分たちを捕食する側の圧倒的な強者だということに。
だからこそ、誰が先に殺されようが一斉に襲いかかって俺を仕留める決意を強めたのかもしれない。
「今さら気づいても、もう遅いけどな」
それに魔物どもは根本的に勘違いをしている。
俺としてはむしろ束になって襲ってきてくれたほうが非常に助かる。
まだこいつらの大将が残っているのだ。
そいつを倒すまでは少しでも体力と気力を温存しておきたい。
などと俺が再び戦意の炎を燃え上がらせたときだ。
何だ、この異様な気配は?
俺はアリアナ大森林から得体の知れない二つの気配を感じると、闘いの渦中にいながらも大森林へと視線を向ける。
そして俺はあまりの予想外の出来事に驚愕した。
なぜなら――。
俺は襲いかかってきた魔物どもに対して、遠距離用の技であるその場での気力を乗せた正拳突き――〈神遠拳〉を放った。
ゴオオオオオオオオオオ――――ッ!
数秒後、巨大な黄金色の気力の光弾が魔物の群れに直撃する。
顕現化させた気力を高出力で放った〈神遠拳〉。
それは圧倒的な火力を誇る、極大魔法と比べても何ら遜色はない。
現に俺の〈神遠拳〉をモロに食らった一部の魔物どもは、耳をつんざく悲鳴とともに肉体を爆裂四散させて地獄へと落ちていく。
これが人間ならば一発で戦意を喪失しただろう。
しかし、残っているのはAランクの上級魔物たちばかりだ。
同じ種族だろうと他種族だろうと、狂気と殺意を高めていた状況で弱腰になることなどない。
そうだよな……お互い、冷静にもうキレているもんな。
俺はニヤリと笑って残りの魔物どもを睥睨した。
3分の1の魔物を一瞬で倒した俺の〈神遠拳〉を見ても、残りの魔物どもはまったく怯むことなく向かってくる。
けれどもAランクの上級魔物は馬鹿ではない。
二発目の〈神遠拳〉を最大限に警戒したのだろう。
一塊にならないよう、各種族ともバラバラになりながら距離を縮めてきた。
直後、様々な種族の殺意の牙が容赦なく襲いかかってくる。
それでも俺の心は乱れない。
俺は地面を力強く蹴ると、3メートル以上はある前方のオーク・エンペラーに飛びかかった。
そしてオーク・エンペラーの筋肉と脂肪が詰まった太鼓腹に必殺の前蹴り――〈足先蹴り〉を叩き込む。
内臓を中から破壊されたオーク・エンペラーが血反吐を吐いて絶命したのを確認するまでもなく、俺は瞬時に隣にいたオーガ・カイザーに向かって駆け出した。
巨大な棍棒を振り回してくるオーガ・カイザー。
だが、今の俺はオーガ・カイザーの攻撃など目を瞑っても避けられる。
俺はオーガ・カイザーの棍棒を身を屈めることで躱すと、すぐさま6つに分かれた腹筋に体重と気力を乗せた正拳突きをお見舞いする。
それだけでは終わらない。
俺は間髪を入れず、飛び跳ねながらオーガ・カイザーの顎に真下から揚げ突き(アッパーカット)を放った。
ゴキンッ!
俺の揚げ突き(アッパーカット)でオーガ・カイザーの首の骨はへし折れ、そのまま3メートル以上はあったオーガ・カイザーは背中から倒れて絶命する。
まだまだ!
気が乗ってきた俺は本能のままに肉体を動かした。
俺の制空圏の中にいたジャイアント・トロール、ダーク・フェンリル、メタル・ゴーレムどもに闘神流空手の上位技を次々と繰り出していく。
まずはもっとも倒しやすいジャイアント・トロールだ。
俺は全身毛むくじゃらの巨人であるジャイアント・トロールのパンチを避けると、ジャイアント・トロールの左膝に渾身の蹴りを叩き込む。
あまりの蹴りの衝撃に膝をつくジャイアント・トロール。
俺は助走なしに数メートルの高さをジャンプすると、無防備だったジャイアント・トロールの頭頂部に――〈神雷・肘落とし打ち〉を繰り出して脳天を砕く。
次はお前だ!
俺は地面に颯爽と降り立ち、右方から襲いかかってくる敵に顔を向けた。
身体と凶暴さが巨大化した魔狼の上位種――ダーク・フェンリルだ。
ダーク・フェンリルは上顎と下顎を大きく開けて猛進してくる。
その口で俺を捉えて一気に噛み砕こうとしたのだろう。
しかし、俺からしてみれば悪手も悪手だった。
俺は神速の踏み込みから軸足を返し、力と勢いと気力を最大限に乗せた〈旋風・回し蹴り〉をダーク・フェンリルの顔面に放った。
バアンッ!
俺の〈旋風・回し蹴り〉の直撃を浴びたダーク・フェンリルの顔面は、爆発系の火魔法を食らったように破裂した。
そしてダーク・フェンリルは大量の血と脳漿を飛び散らせて絶命する。
続いての敵はそれなりに厄介なメタル・ゴーレムだった。
一般種のゴーレムは単一的な動きしかしない土人形だが、上位種であるメタル・ゴーレムは複雑な動きをこなす金属人形だ。
通常の打撃や斬撃はもちろんのこと、攻撃魔法でも火力が低ければダメージは与えられない。
金属の肉体が生半可な攻撃などすべて弾き返すからだ。
けれどもメタル・ゴーレムの恐ろしさはそれだけではない。
メタル・ゴーレムは丸まった口から魔法とは異なる、光線と呼ばれている異様な力の塊を連続で発射してくる。
頑強な金属鎧でも一発でも食らえば爆ぜ溶ける威力の光線。
俺はそんな光線の軌道を完全に読みながら間合いを詰める。
そしてメタル・ゴーレムの胴体に、衝撃波が内部へ深く浸透する〈波状・掌底打ち〉を叩き込んだ。
〈波状・掌底打ち〉を食らったメタル・ゴーレムは、全身をビクビクと痙攣させた末に頭部から大量の煙を出して地面に倒れる。
といった具合に俺はそれぞれの種族に合わせた、もっともダメージを与えられる攻撃で魔物どもを戦闘不能にさせていく。
もちろん一打一蹴ごとに練り上げた気力も加えているため、俺の攻撃の衝撃波は内部に伝わって体内を破壊している。
俺はジャイアント・トロール、ダーク・フェンリル、メタルゴーレムを倒すと、後の先(カウンター)を捨てて、とにかく先手を取るために動いた。
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俺のそんな思いを感じ取ったのではないだろうが、幸いなことに魔物どもは俺のはるか後方にいる冒険者の一団よりも、俺一人のほうが脅威の存在だと察してくれたのだろう。
1体たりとも冒険者の一団へは向かわず、今のところ俺だけをターゲットにしてくれている。
その点だけは本当にありがたかった。
俺一人だけをターゲットにしてくれるのなら、心置きなくお前たち全員を1体残らず始末できる。
次の瞬間、残っていた魔物どもが目を血走らせつつ突進してきた。
憎悪と狂気が入り乱れた、何十もの眼光が俺の全身に槍衾のように突き刺さってくる。
魔物どもはようやく気づいたのだろう。
目の前の捕食される側だと思っていた人間が、実は自分たちを捕食する側の圧倒的な強者だということに。
だからこそ、誰が先に殺されようが一斉に襲いかかって俺を仕留める決意を強めたのかもしれない。
「今さら気づいても、もう遅いけどな」
それに魔物どもは根本的に勘違いをしている。
俺としてはむしろ束になって襲ってきてくれたほうが非常に助かる。
まだこいつらの大将が残っているのだ。
そいつを倒すまでは少しでも体力と気力を温存しておきたい。
などと俺が再び戦意の炎を燃え上がらせたときだ。
何だ、この異様な気配は?
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