異世界物語 ~転生チート王子と愉快なスローライフ?~

星鹿カナン

文字の大きさ
152 / 196
2.計画実行と兄妹登場

2-091

しおりを挟む

  ティファニアさんに追い立てられて、アネスが自室に戻ったので、代わりにシアが来てくれた。

  本来なら今日は非番の日だから、ゆっくり休んでもらいたかったんだけど、世話係の女性が僕の近くに控えていない状態はダメらしく、急遽シアが出てくることになった。

  これは所謂、休日出勤と同じこと  ーそもそも今日は休暇日であるー  なので、例え本人が「通常、一週間の休暇日は2日ですが、フィルシールド殿下の世話係の任に就いてからは、週3日の休暇を頂いていますので、休暇が一日分少ないということではなく、一般的な日数になっただけのことです。・・・」なんて言って、この休日出勤を正当化しようと頑張ってくれていても、当たり前のことのように認識しては、いけないのだ。

  この世界では、一週間は6日で、それを二人で分けるのだから、一人当たりに振り分けられた仕事日数は3日だ。しかし、勤務時間は朝早くから夜遅くまでで、拘束時間は驚異の18時間超えだし、二人の間で平等性を保つために、週に一日は休暇日に出てきてもらっている。

  本来なら、もっと人員を増やして対応すべきことなんだけど、僕がまだ生まれたてなこともあり、信頼できる人物以外を近くに置きたくないらしい。主に、サーシャさんやリーナさん、ジークさんにセルシェーダさんの意見らしく、お父さんが、二人の給与を大幅に上げて雇っているらしい。 “給与表” という紙をもらったシアの顔が真っ青になったくらいだから、おそらく、かなりの額は支払われているのだろう。


  だが、それとこれとは別である。


  いくら休みが多くとも、いくら支給される給金が多くとも、それが元々の雇用条件なのだから、休日出勤を正当化していい理由にはならない。
  つまり、休日出勤手当を出してあげたいと思っているということだ。

  しかし、理想はあれど現実は残酷で、僕がシアに出せるお金は無い。というか、この世界のお金を見たことすら、まだ無いのが現状だ。

  だが、今の僕の手元には、ティファニアさんにお願いして用意してもらった、御守りの材料が沢山ある。
  これで、サーシャさんに渡す分とは別に、シアにあげる分も作ろうと思う。
  シアにあげる分には、どの神様のご加護があるといいかなぁ?ちょっと聞いてみよう。


「えっと、私が特に信仰している神ですか?そうですね、・・・・・・・・・キルニアシュ様とジュステ様、それから、アラト様ですね。」


  成程。
  シアは、学問に秀でているし、司法官志望だったらしいから、叡智神キルニアシュ・ウィズディムと正義神ジュステ・アランドは納得だね。けど、芸術神アラト・ディアラはちょっと意外だなぁ。
  もしかして、シアは芸術が好きなのかなぁ?


「私の父は王家に仕える宮廷音楽家ですし、母は代々宮廷画家を多く輩出するディアンフィト男爵家の出ですので、学問の才が無ければ芸術の道を志していたと思います。」


  な、なんと!?
  もしかして、シアは絵が描ける人?


「どちらかと言うと、音楽よりは絵の方が得意ですね。」


  こんなところに、こんな丁度良いタイミングで、一番欲しかった能力を持つ逸材がいたなんて・・・・・・・・・シアが良いって言ってくれたら、御守りに使う下絵を描いてもらおう。


「下絵ですか?こちらの紙に、・・・・・・・・・分かりました。では、何をお描きすればよろしいでしょうか?」


  そうだねぇ、最初は、今回描いてもらいたい物の中で、一番見た目が分かっていて、しかもイメージもしやすい、ルビーアイを描いてもらおうかな。


「ルビーアイですか?分かりました。」


  迷いとかが無いからなのか、シアの描く手は、僕が思っていたよりもかなり速く動いている。

  絵が描けない僕から見れば、魔法としか思えない程の速さで、シアが描きあげたルビーアイは、鉛筆と色鉛筆だけで描かれているとは思えないほどの写真のような質感があった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅

散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー 2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。 人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。 主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

処理中です...