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2.計画実行と兄妹登場
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しおりを挟むシアはルイを紹介すると、それでは、と言わんばかりの勢いで、帰って行った。
今日から、シアの担当だった光、水、土の日は、ルイが担当することになった。
ルイは孤児院出身なだけあって、赤ちゃんの世話に慣れがあるからか、僕の世話は手間がかからないことにかなり驚いていた。
それから、ルイの指示で、僕の今までの生活の見直しが始まった。
今までの僕は、前世の記憶と高い生命力を頼りに、睡眠時間や食生活を調整していた。
けど、ルイ曰く、この生活は赤ちゃんの身体には負担が大きすぎる生活で、このままだと、今後の成長や健康状態に悪影響を及ぼすらしい。
何故かは分からないけど、高身長に憧れがある僕としては、背が高くなりにくくなると言われてしまうと、今までの生活習慣は、改めざるを得ない。
今回の見直しによって、一日の食事の回数を増やし、睡眠時間もかなり長くなる予定だ。
この見直しにより、今世の健康的な生活がようやく始まるようだ。
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ルイは、色々な知識を持っていることもあり、話がとにかく上手い。
ちょっとした出来事や物語を内容が変わらない程度に脚色して、面白おかしく話すことが得意らしく、僕が生まれる前にこの城の中で起きた出来事を話してくれた。
特に面白かったのは、セルシェーダさんの婚約騒動の話。これは、上級に分類される貴族なら大抵知っている上に、脚色された内容が舞台の演目にもなっているため、ベイルマート王国では、かなり有名な話らしい。
ルイは当時、既にセルシェーダさん付きの使用人だったらしく、一番身近なところで見ていたからか、出来事をかなり詳しく語ってくれた。
この話の中で一番面白かったのが、セルシェーダさんが降嫁することを止めたいお爺様とセルシェーダさんの問答で、セルシェーダさんが「父上が婚約を認めないと仰るのであれば、私は愛おしい人と駆け落ちする覚悟です。その際は、どうかあの愚兄と愚姉のどちらかが王位に就けるよう、教育してください。」と言ったところ。
そして、その言葉を受けて一瞬で、「分かった。その婚約を認める。その代わり、あの二人と余を見捨てないでくれ。」と手のひらを返したところが、面白かった。
その問答から分かることは、ラスタリアさんもかなり癖のある問題児であるということ。
そりゃあ、思い込みで報告をし、内容のミスを指摘されても堂々としている人らしいので、有り得はすると思う。
納得すると同時に、癖の強い兄弟の中で個性を獲得できなかった、と嘆くリズベルトさんの顔が、ほんの一瞬、チラっと脳裏に浮かんだ。
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