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番外編
エルネイン、幼少の日の出来事(2)
しおりを挟む静かに廊下を歩きながら、イザベラ母様とコーナウドが居るお部屋へ向かっています。
医療センターのある第二塔は、城壁内の南東部に位置しているため、私たちの住んでいる西館からはかなり離れています。
そのため、私の世話係を務めてくれている者が馬車を手配してくれましたが、西館から出ないことには意味がありません。
・・・・・・・・・ところで、ここはいったい何処なのでしょうか?
西館は住居区になっているため、他の館や塔と繋がる連絡路はありません。
そして、私は一度も屋外には出ていません。
ですので、少なくとも現在地は、西館内の何処か、なのでしょう。
ですが、人の気配の無いこんな区画があったなんて知りませんでした。
おや、あちらの方に一瞬、人影が見えました。
あの人に聞けば、ここが何処かは分かるはずです。ついでに、正面玄関まで案内していただけると助かります。
そう思い、走らない程度に早歩きをして人影を追いかけます。
いくら人の気配があまりないからとは言え、何かの拍子に廊下を走ったことがリーナにばれれば、お説教確定ですからね。
廊下の角を曲がったところで、ようやく、人影の姿をハッキリと見ることが出来ました。
その人物は、私のお爺様に当たる、オルヴァージ=ハインリム・ヴァン・ベイルマートの弟さんで、現在、王国の第一騎士団の団長を務めているエバンディウム・ヴァン・ベイルマートさんでした。
そして、もう一人、神々しさすら感じるほどに麗しい女性の方が一緒にいらっしゃいますが、そちらの方は私の記憶にない人物でした。
ですが、その方のお顔を見つめた瞬間、私の創神教の神官の一族であるコファルニスの血を引く者としての本能なのか、とある記憶がフラッシュバックしました。
その記憶は、創神教が崇める神々の一柱、最高位神にして魔法神であるマギル・メルフォレトの絵姿でした。
まさか、とは思うものの、本当にマギル様だったら、申し訳ないと思い、私は、密かに角に隠れました。
暫くすると、エバンディウムさんがこちらに近付いて来ました。
焦るのも束の間、一瞬にして抱えあげられた私は、とてつもなく無様な姿で、マギル様に謁見することとなりました。
ですが、マギル様は、そんな私を咎めるようなことは仰らず、ありがたいお言葉と、何かしらの加護をいただきました。魔法神の加護・・・・・・・・・特別な魔法のスキルか適性をいただけたのだと思います。
エバンディウムさんとマギル様が、私にはまだ理解出来ない言葉で少し会話をされている間に、私はうっかり、眠ってしまったようです。
目が覚めると、エバンディウムさんに抱えられたまま、馬車に揺られていました。
どうやら、私は一人歩きをしている間に、未婚で城内に部屋を持つ王族の住居区画に入ってしまったらしく、非番で部屋にいた第一騎士団長に保護されたことになっているようです。
状況としては概ね合っていますし、最高位神が下界に降臨なさったなどという話をするのは野暮でしょう。
・・・・・・・・・いずれ、エバンディウムさんだけでなく、マギル様にも、私の弟を紹介したいものですね。
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