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3.祝日のお祭り
3-002
しおりを挟むベイルマートの王城を囲う城壁は、上空から見ると六芒星のような形をしている。
内側の城壁が正六角形を形作っていて、その各辺の先を覆うように三角形の出っ張りがあり、それが外側の城壁となっている。
外側の城壁の周りは、堀に囲まれていて、城内側からしか操作できない跳ね橋が掛かっている。
内側の城壁と外側の城壁の間には小さな街のようなものがあり、ここで第一騎士団や宮廷魔術師団に所属する者や、その他の王城勤務の法衣貴族などの一部が生活している。城内に部屋を持つ、という言葉は、大抵がこのエリアに住むことを意味している。
このエリアの六つの角には、それぞれ塔が建っている。
初期に建った北東・南東・南西・北西が、北を起点として時計回りに、第一・第二・第三・第四と数字が振られていて、後に建てられた東と西の塔は、前塔・後塔と名が付いている。
内側の城壁より内側には、上空から見ると正方形に見える中枢館を囲うように、長方形に見える東館・南館・西館・北館にという名の、五つの館が建っている。
そして、王族の私室がある西館と医療センターのある第二塔は、馬車でも一刻近い時間がかかるため、この距離を通常徒歩では移動しない。
そして、サーシャさんが倒れたのは、王族専用の修練場として活用されている、ウェストという中庭で、中枢館と西館の間に位置しているが、四つの中庭を分断するように中枢館の角から伸びている、特殊な生垣があるため、中庭を出入りをするには、西館を経由するか、北方面へ進み中枢館から北西方向に伸びている生垣のアーチを通るといったような、遠回りをする必要性がある。
つまり、サーシャさんを担架に乗せて運んで行った医療センターのスタッフさんたちは、凄まじい肉体を持っている、ということ。
少なくとも僕は、人ひとり抱えた状態で歩きたいとは思えない程の距離がある。
しかも、相手は体調不良者どころか、大公家の出の懐妊した王妃様だ。
もし、何事かが起きてしまえば、自分どころか、自分の家族や親しい友人などの首も纏めて跳ね飛ばされてしまいかねないような、圧倒的な身分のある相手だ。
それでも、きちんと仕事をやり遂げた彼らを、少なくとも、僕は英雄と呼びたい。
恐らくだが、そういった活躍が、過去にも認められたからこそ、医療センターは自治と特別法権が認められているのだろうと思うと、納得も出来る。
それと同時に、その法権も自治も通用しないリーナさんのイレギュラー性を改めて感じる。
この世界には、リーナさん相手に同格以上の対応が出来る人物が存在するのだろうか?
少しだけ、気になるなぁ。
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