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第一章【レイシア編】
昇格
しおりを挟む「ーーそういえばクエストなんだけど、リビングデッドは全部倒せたよ」
シンはリザとソフィーヤと共に冒険者ギルドへと向かう道中、昨晩無事クエストを終えたことをソフィーヤに報告していた。
「分かりました。流石シン様、あれだけのリビングデッドを倒せる冒険者はBランクでも中々居ませんよ!
勿論私はシン様がクエストをクリア出来ると信じておりましたので、今日になったらギルドの者へ墓地にリビングデッドの魔素が残っていないか調査するよう、事前に手配しておきました!
ギルドに着きましたら調査結果の報告を受け次第、依頼達成報酬をお渡ししますね」
どうやらソフィーヤが気を利かせて既に手を回しておいてくれていたようだ。
(美人で有能でド変態とか、最高かよ)
昨日はソフィーヤさんに喰われた有望新人達への嫉妬でクソビッチなどと呼んでしまったシンだったが、基本は美人で優しく有能な受付嬢だ。
そんな滾る性欲を溢れさせるソフィーヤを、自分が独占出来るというのは悪くない。
隣で優しく微笑むソフィーヤを、帰ってからどんな風に犯そうかと、期待に胸が膨らむシンだったーー
「ーーまさかたった2日で追い付かれるとはね……驚き通り越して呆れるよ」
冒険者ギルドでソフィーヤからクエスト報酬を受けるシンを、レイシアがやれやれといった表情で迎えた。
シンは今回のクエストで、レイシアと同じCランクに昇格したのだ。
「ですがレイシアさんも昨日のクエストでBランクに昇格したらしいじゃないですか。
お二人とも昇格おめでとうございます!」
シンに追い付かれたと言いながら、実はレイシアもちゃっかり昇格していたらしい。
「Bランクだなんて、凄いですねレイシアさん!」
「数日後にはAランクになっていそうな勢いの君に褒められても、ちっとも嬉しくないよ」
シンとソフィーヤが手放しで褒める中、レイシアは不満げに謙遜の言葉を述べた。
「それではこちらがシンさ……シン君のクエスト報酬金と、魔石の買い取り金額を合わせた金貨120枚になります」
「有難うございます。ソ、ソフィーさん」
『わー! すっごい大金ー!』
机に置かれた金貨の山に、リザが感嘆の声を上げる。
ちなみにリザの姿はシンだけでなく、ソフィーヤにも見えるようにしてある。
互いに呼び名を変えるのに慣れない様子の二人は、たどたどしいやり取りでお金の受け渡しを行った。
ーーそんな三人の様子を、不満そうな顔で見つめる者達の姿があった。
「おい。あの新入り、最近やたらとレイシアや受付嬢と楽しそうにしてるな」
「ふん。ガキが色付きやがって」
素行の悪そうな冒険者達が、ギルドの隅でヒソヒソと毒付いている。
どうやら楽しそうに美人達と話すシンの事が気に食わない様子だ。
「何でもあのレイシアがパーティを申し出たらしいぞ」
「何!? あの女……俺達の誘いを散々断っておきながら、あんな新入りのガキとパーティを組むつもりか!?
益々気に入らねえ……!」
シンに男達の殺意が送られるが、当の本人はそれに気付く様子もない。
「なんだお前ら、そんなに目くじら立ててどうしたってんだ」
男達の輪に一人の男が割って入る。
「あ、ジェラルドさん! いや実はあそこにいる新入りなんですが、最近見るようになったと思ったら、何やら随分調子に乗っているみたいで」
「ふーん」
ジェラルドと呼ばれた男はチラリとシンの方を見やる。
周りの男達の反応からして、彼等のリーダー的存在なのだろう。
中央で分けられ癖のあるミドルヘアーの赤毛と、雑に剃られた無精髭が目立つが、他のごろつきと違って自分の見た目に自信を持っていそうな風貌だ。
ベストタイプのレザー装備や深めのブーツは、機能性よりもファッションを重視している事が伺える。
腰に携える剣の柄や鞘にも派手な装飾が施されている。
「粗方お節介なレイシアとソフィーヤが、新米のボウズにあれこれ世話を焼いているんだろう」
ジェラルドは興味ないといった素振りで『ドカッ』と椅子に座り込んだ。
「ですがジェラルドさん、どうもあいつ等パーティまで組もうとしているらしいですぜ」
「ーー何?」
パーティという言葉にジェラルドの目付きが変わる。
「そいつは聞き捨てならねえな。レイシアの奴、ナイスガイな俺の誘いを断っておきながら、あのボウズとパーティを組もうとは。
どうやら……このジェラルド様がレイシアとボウズに、冒険者としての礼儀ってもんを教えてやらなきゃならねえみたいだな!」
「おお! やっちゃいましょうジェラルドさん!」
「レイシアの今までの舐めた態度を改めさせてやりましょうぜ!」
ジェラルドが立ち上がると、周りの男達がそれを囃し立てるように息巻いた。
「やあレイシア、ソフィー。気分はどうかな?」
ジェラルドが紳士を装うようにレイシアとソフィーヤの元へ近付いて挨拶する。
その後ろにいやらしい笑みを浮かべた仲間達が連れ立つ。
「……やあジェラルド。気分は普通だよ」
それに対しレイシアは、低いトーンで冷たく応えた。
ソフィーヤに至っては、挨拶を返さずそっぽを向いている。
男達の声に気付いたシンも、声の方向を振り返る。
その姿を見て、シンは大きく目を見開いた。
(こ、こいつ等は……ジェラルド一派!)
男達の人を見下すような憎たらしい表情に、シンの嫌な記憶が甦ったーー
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