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三章
45-お願い
しおりを挟むその後俺と茜は今まで通り、授業中に教師の目を盗んではセックスに勤しんだ。
今までは席に茜が居ないことに気付かれることもあり、その度に茜は教師からの説教を食らいながらそそくさと席に戻っていた。
だが今は後ろに教育実習生がいるからか、授業を進める教師達の監視が緩く、今まで以上にセックスに没頭することが出来た。
ただし、その後ろでは圓がしっかりと俺達の行為を見つめている。
時折後ろから艶めかしい吐息が聞こえ、俺の股間が更に昂ぶる。
チラリと後ろを見やると、俺の目線に気付いた圓はクスリと笑い、大きく股を開いてストッキングに包まれたアソコを下着の上から擦った。
手に持ったボールペンを口に咥えて、いやらしく舌をなぞる。
俺は堪らず目を逸らすが、脳裏にはそのエロ過ぎる姿が焼き付いて離れない。
正に魔性の女。
例えるなら、何もないところに転んで女のアソコをクパァする、ラッキースケベ満載の某人気ラブコメ漫画に出てくる、主人公の性欲を焚き付ける積極系魔性ヒロインのように男を惹き付ける雰囲気を放っている。
俺の正体を知った上で俺に接近してきて、俺達に自由な性交を促す圓。
そんな彼女が俺達の秘め事を眺めながら自慰に耽る様には、もしかせずとも、俺を誘っているのでは―――という気がしてくる。
大抵の女はSランクの俺に羨望の念を抱いているし、声を掛ければ誰だって股を開きそうだ。
俺の情報を掴んで俺に接近し、俺とセックスしたがっていると思えば、全ての行動に合点がいく。
そしてそうなると、先程圓が言っていた"お願い"というのも、そういう類のものである可能性が格段に上がる。
前世の少年をすべからく骨抜きにしそうなあの魅惑的な女子大生と、セックス出来るかもしれない―――
その期待に俺の情欲は滾り、思わず腰に力が入る。
「んんっ……!」
堪らず茜の口から悩ましい声が漏れ、俺は慌てて腰を引いた。
いけないいけない。
今は授業中だった。
それに他の女のことを考えて女を抱くなんて、紳士な行いではない。
いや、授業中にクラスメイトと交わるなど野蛮極まりない行為だが、それでも男としてそこまでの野暮な思考は憚られた。
目下にその身を捧げている少女は、他の女に目移りするのは勿体無い程の魅力とエロさを兼ね備えている。
(茜、ごめんな)
俺は心の中で茜に謝罪の言葉を述べ、窮屈な体制で必死に腰を動かす茜の尻をそっと撫でた。
本来授業に集中すべきところだが、今は授業でも教育実習生でもなく、目の前の美少女の身体に意識を注ごう。
そう心に決めながらも、妙に背中をなぞる生暖かい視線に、俺の意識は所々に注意を散漫させるのだった―――
放課後、俺は圓に言われた通り教室に独りで残っていた。
圓のお陰で茜と散々性欲を発散することが出来たが、俺の下半身は新たな期待に劣情が沸き起こる。
その時が来るのを今か今かと待ち侘びる。
果たして、これ程までに一人の女性に対して恋い焦がれたことがあっただろうか。
俺が前世の記憶を取り戻してからというもの、かつて追い求めた女体は何もせずともあちらから次々にやってくる。
礼子の屋敷でも、目の前にいるメイド達を好きにして良いと言われ、誰も拒まないどころか、自ら進んで股を開く。
だが、教育実習生とはいえ教師となると、当たり前のように女体に伸ばしてきた手が、その垣根を超えることを妙に躊躇ってしまう。
『教師と生徒』
それは我々学生にとって、まるで聖書に定められた禁断の領域。
或いはどれだけ思いを馳せ、追い求めても決して届かない魅惑の幻影。
現実に教師と生徒が性的関係になるなど、あってはならないことであり、美人な先生とそのような関係になるなど、宝くじ以上の夢物語。
誰もが妄想し、誰もが儚く打ち砕かれた幻想。
故に幾ら女の性欲が旺盛になった今の世の中でも、教師へ自らアプローチするのは吝かな行為であるという意識が働く。
だが―――
『コツ……コツ……』
この櫻川圓という教育実習の教師は―――
『コツ……コツ……』
その幻想を抱かずにはおれない程の―――
『コツ……』
超越的な魅了オーラを放っていた……
『ガララッ』
「お待たせ、游助君」
扉から顔を出し、ニコリと微笑む圓の姿に、俺の心臓は『ドキリ』と鼓動を打った。
背中で手を組み、可憐に腰を曲げて頭を傾げる無邪気な仕草。
パーマ掛かったミドルヘアーがサラリと垂れ、姿勢を戻すと共に耳に掛ける。
小さなピアスが優雅に煌めき、耳筋から首までの細いラインを彩る。
ああ……なんて可愛らしい教師なのだろう。
仮に俺が今まで出会った女達を分類分けするとしたら―――
礼子は洗練された美貌を有する完璧美女。
まるでトップモデルの如く、美を追究するカリスマ。
凛は真面目な気質の中で垣間見える優しさに、思わず甘えたくなるような母性を感じる。
こってり叱られた後で心身共に慰められたいお姉さん。
美香は見るのも愛でるのも癒やされる、麗しき精霊のような淑女。
人形のように、常に側へ置きたくなる従順なメイドだが、誰よりも色に狂うというギャップも兼ね揃えた理想のヒロイン。
茜は明るさと破天荒さが合わさったギャル。
クラスでアンケートを取れば『ワンチャンエロい関係になりたい女子』の部門で、間違いなく一位を獲得するであろう抜群のプロポーションと好奇心旺盛さ。
どれも皆、前世ならたった一人と会話が出来ただけでも心躍る程の美女。
だが―――この櫻川圓は、単なる美女という枠組みには収まらない。
他の女達も圓に劣らない美貌を有しているが、圓から漂う妖艶な雰囲気は、まるで常に惚れ薬を嗅がされているような感覚に陥る。
物凄く砕けた表現をするなら―――
『なんかスンゲーそそられる』
大学生というステータスか、はたまた教師という立場によるものか。
いや、そんな肩書きだけで説明はつかない。
垢抜けた髪の色合いとウェーブ。
常に俺を誘うような目線。
色っぽく火照った頬。
仔猫のように愛くるしい仕草。
接吻をせがむようにプルンと開かれた唇。
圓という女を構築する全ての要素や振る舞いが、俺の心臓を掴んで離さない。
この人と、交わりたい。
その劣情だけに俺の頭は支配されていた。
「それじゃあ……先生のお願い、聞いてもらおうかな?」
ああ……何でも応えたい。
今すぐ俺に、どんなことでも命じてくれ。
俺は期待に満ちた目で、コクリと頷いた―――
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