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五章
78-初潮
しおりを挟む「あ……アレ……?」
『コクリ』
未だ意味を理解出来ず聞き返す俺に対し、乙音は恥ずかしそうに頷いた。
目を潤ませ、頬はみるみるうちに真っ赤に染まっていく。
一瞬何を言い出すのかと戸惑ったものの、ここまで明らかな態度を見せられれば自ずと勘付いてくる。
恐らく『アレ』というのは―――
「生理……?」
「―――ッ!」
俺が無神経に発した言葉に、乙音は更に顔を赤らめ、ギュッと手を握り締めながら俯いた。
「い、いつから……?」
「先週金曜日……学校から家に帰ってから……」
ということはその状態で2日間の休日を挟み、この林間学校を迎えたということだ。
道理で朝から様子がおかしい筈だった。
乙音は初めて身に訪れた身体の変化に戸惑いながら、今日一日を過ごしていたのだから。
普通の授業ですら大変だっただろうに、普段とは違う屋外で一日中歩いたり料理を作ったりというのは、さぞ辛い一日だっただろう。
「そ、そうか。そ、その……生理痛は、大丈夫か?」
正直生理の辛さなど男には全く分からないが、精一杯知識をフル活用しながら、乙音の身を気遣う。
「生理痛は最初の方だけだったから大丈夫……
で、でも……そ、それ以外のヤツが、想像以上で……」
そう言いながら乙音はモジモジと身を捩った。
それ以外というのは恐らく、初潮を迎えた女子の身に起こる、性欲増大のことだろう。
やはりあんなに性を毛嫌いしていた乙音も、初潮による性欲の爆発には抗えなかったのか。
道理でいつもより色っぽく見えていた訳だ。
「わ、私……自分がこんな風になるなんて思ってなくて……
エッチなことばっかり考えてる皆を、バカみたいって思ってたのに……
生理になってから日に日に、エ、エッチな気持ちが強くなっていって……
わ、私どうしたらいいのか分からなくてっ……!」
乙音は身体の変化に心がついていかない、二次性徴の典型的な症状に悩まされているのだろう。
今まで潔癖気味だった乙音ならば尚更だ。
「ひ、一人で、してみたりとかは……」
俺は昂る興奮を必死に抑えながら訊ねると、乙音は目口をギュッと閉じ、小さく頷いた。
「わ、私もこんな下品なことっ、し、したく無かったんだけど……
で、でも身体がどうしようもなくて、手が勝手に伸びちゃって……
そ、そしたら、し、信じられないくらい気持ち良くて……」
あの乙音が、本当に自慰に及んだとは。
その姿を想像し、股間が否応無く起き上がってしまう。
「こ、こんなに気持ちいいなんて知らなくてっ……でもっ触っても触っても身体が収まらなくて……!
こんな風にっエッチなことに夢中になっちゃう自分が嫌でっ……!」
心と身体のギャップに苦しむ乙音を他所に、俺はどんどん興奮が高まっていく。
「セ、セックスしたくなったのか?」
『……コクリ』
「もっと、気持ち良いことがしたい……のか?」
『……コクリ』
俺の質問に、乙音は恥を堪えながら頷く。
乙音が―――セックスを求めている。
そのことに俺の頭は沸騰しそうな程に熱くなった。
最早痛い程盛り上がる自分の股間にも気付かぬ程に―――
「あ、あんた、それ……」
「えっ―――」
乙音に指差され我に返ると、そこにはジャージのズボンが高々と山を作っていた。
「あっ、こ、これはっ」
しまった。
乙音に見られた―――
慌てて股間を押さえるが時既に遅し。
明らかに誇張されたそれを見誤る訳がない。
乙音の驚いた顔を見るに、最早言い逃れは出来ない。
乙音の追及を覚悟し、俺は固く目を瞑った。すると―――
「そっ……か。游子もアレ……来てたんだ」
「……ん?」
俺も、とは一体どういうことだろうか。
俺にも生理が……?
いやいや何を言っているんだ。
見るからに息子をおっ立てている俺に、生理など来る筈もない。
だが乙音は俺の股間を見て、妙に安心した表情を浮かべている。
(ま、まさかとは思うけど……)
まさか乙音は、コレを―――
アレと勘違いしているのでは。
「わ、私にもソレ……た、試させてくれない?」
乙音がモジモジしながら手を伸ばしてくる。
まさか男根を引っこ抜いて貸してと言っている訳ではないだろう。
これはどうやら間違いない。
「自分の手じゃ収まらなくて……でも親に頼む勇気も出ないし……
でも、游子が使ってるやつなら、私も苦にならないわ」
乙音は、俺の股間にあるソレを―――
「少し……試させてよ。そのバイブ」
偽物と勘違いしている。
「い、いやでもこれは、その~……」
「何よ……と、友達が困ってるんだから、た、助けてくれたって良いじゃない……」
「た、助けたいのは山々なんだけど……さ、流石にこれは貸せないというか、物理的に不可能というか……」
ジリジリと後退る俺に、乙音はゆっくり近付いてくる。
余程性欲が抑えられずに苦しんでいるのだろう。
発情した乙音に襲い掛かりたい衝動と、正体がバレることへの恐れの狭間で、俺の股間の山はどんどん盛り上がっていく。
それに触発されるように、乙音の息も荒くなっていく。
「何意味分かんないこと言ってるのよ……
い、いいから、ちょっとだけ……ちょっとだけで良いから、貸してっ!」
『ガバッ』
「うわっ―――」
突然、我慢ならなくなった乙音が俺の身体に飛び付いてくる。
『ガララッ!』
俺はその勢いに体制を崩し、そのまま後ろに倒れた。
「い、痛てて……」
床に置いた薪の上に倒れ込み、背中に鈍い痛みが走る。
だがその痛みのお陰で、俺の頭は冷静さを取り戻した。
兎に角今ここで正体をバラすのはマズい。
一旦乙音を冷静にさせ、ここから脱出する方法を模索するべきだ。
変なことを考えるのは止めて、茜か圓先生に連絡を―――
そう思い直したところで、目の前に覆い被さる乙音の顔が固まっていることに気が付いた。
乙音が下を見つめながら、言葉を失っている。
「嘘……」
乙音が漏らした言葉に、恐る恐る視線の先を見るとそこには―――
「へっ―――」
乙音の手によってズボンがずり下げられ、剥き出しになった男根が高く天井を向いていた―――
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