百鬼淫行

其の四 恥肉（ちにく）

其の四 恥肉（ちにく）の七

　……或る時、男は大陸奥地の山岳地帯で、地崩れで岩山に出来た穴から未知の鍾乳洞の中に降りた。

　……其の、岩山の周囲の村には、古来より妖怪視肉目撃の言い伝えが多く残されていた。其れも、大きな地震の後に、視肉に出会ったと云う話が集中していたんだ。

　……男は、視肉が地震で出来た地崩れの穴から姿を現し、何らかの理由で再び穴の中に戻って行くのではないかと考えた。
　……更に、男は地上に現れた視肉が、再び地中に戻る理由（わけ）を、其の岩山の地下に未知の鍾乳洞が有って、妖怪は其処を住処にしているのではないかと考えたんだ。

　……そして、男は、其の未知の巨大な鍾乳洞の中で、幽かに青白く光る妖怪達を見付けた。