百鬼淫行

淀川 乱歩

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其の四 恥肉(ちにく)

其の四 恥肉(ちにく)の四十二

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    其の四 恥肉(ちにく)の四十
     ……第3地球防衛軍・対人工知能巡洋艦HIMARIは、対ESP対心霊戦フリゲート・マーレィ級を改造した戦略巡洋艦を、更に改造したマーレィ改2級の最新鋭巡洋艦だった。
     ……搭載された、八十八基もの超小型・量子計算機群で敵兵器群のAIを乗っ取り、自分の式神として自在に操(あやつ)るAI憑依で防衛軍内では密かに、傀儡(くぐつ)のHIMARI様と呼ばれて恐れられていた。
     ……今、太陽系外洋での秘密演習を終え、通常の霊体ステルス状態を解除したHIMARI様と、同・対ESP対心霊戦フリゲートのスーパースティションは、海王星公転軌道周辺の第2(夏)軍事専用下りワームホール出口から、海王星中継・地球防衛軍大要塞を通過して、火星公転軌道周辺の火星中継・防衛軍基地に向かう第1(春)軍事専用上りホール入り口から超空間回廊内に進入した。
     ……やがて、第1(春)軍事専用上りワームホール出口から火星中継・防衛軍基地に抜けた二隻は、其処で待機していた第3地球防衛軍・対仙術対陰陽術戦フリゲート・レジェンドラと同・対魔術対呪術戦フリゲートのルー・クリスティーンと合流し、地球の防衛軍本部要塞を目指したのだ。
     ……太陽系・全宙域を使った、地球防衛軍創設以来最大の、軍事演習に参加する為に。
     ……銀河系全宙域から、地球防衛軍艦船が続々と鬼達の故郷、鬼星地球に集結しつつ有った。
     ……そんな、地球の衛星、月が鬼達の地球防衛軍の衛星軌道大要塞だった。

     ……以前、地球の鬼の科学者達が、月の裏側の地表から月の中心部に向けて、大深度地下掘削調査を行なった事が有った。
     ……其の結果、予想通り月の中心部に、月直径の約三分の一程も有る、巨大な球形の空洞を発見したのだ。
     ……そして、空洞内部の球形の、暗黒の内部地表に、謎の超古代文明の遺跡を発見したのだった。
     ……更に、其の遺跡内に、惑星環境制御装置(テラフォーマナイザー)と遺伝子合成・編集装置(DNAシンセサイザー)、そして平行時空・超並列化量子計算機を発見したのだった。
     ……其れから数百年後、月の中心に設置されていた、人工太陽の再起動に鬼達は成功し、球形の真空の、空洞内の無重力空間には、無数の研究施設が浮かび、月の表面地表と内部地表との間には、巨大な貨物宇宙船が出入り出来る、回廊と呼ばれる大穴が、幾つも掘られたのだった。
     ……そして、やがて月は、地球防衛軍の、衛星軌道大要塞に改造されたのだ。
     ……更に、其の後の調査で判明した事は、地球の月が別の恒星系から飛来した、衛星型恒星間航行都市移民船だと云う、驚愕の事実だった。

     ……月の地殻内には、複数の重力場制御装置が幾何学的に規則正しく埋め込まれており、月は重力場推進で移動し、更に、亜空間回廊航行(ワームホール・ワープ)さえも可能だったのだ。
 ……つまり、月は今や、衛星型機動大要塞として運用が可能になったのだった。
 ……そして、驚くべき事には、月地殻内の重力場制御装置は現在も作動中で、月の質量を偽装し、内部の空洞の存在を隠蔽していたのだ。
 ……更に、月は時間ワームホールを使用した時空航行(タイム・リープ)や、並行宇宙跳躍移動(パラレル・ジャンプ)すら可能だったのだ。
 ……然し、時空航行と並行宇宙跳躍移動のシステムは、最後の使用時に大きく破損し、手動でも修復不可能な状態だった。
 ……地球の鬼達は、月の鬼達を旧鬼(オーヴァーロード)と呼んでいたが、其の旧鬼達は或る日、突然襲来した謎の敵に母星を追われ、既に植民地として改造が進んでいた衛星(月)を、移民船(方舟)に再改造して、時間航行と並行宇宙跳躍移動を同時に行って脱出したのだ。

 ……処で、そんな月内部の超古代文明の遺跡には、奇妙な事に、体長の大きく異なる二種類の生物が共生していた痕跡が残されていたのだ。
 ……月内部の遺跡の建造物には、平均体長が十メートル以上も有り、頭部に角の生えた鬼巨人達の居住していた巨大な建物と、体長二メートル未満の頭部に角の無い、地球の人間達に酷似した生物達が暮らしていた小さな建物とが混在していたのだ。
 ……然(しか)も、建物に残された壁画や彫刻、そして其の後に発見された高性能計算機の記憶装置の記録映像から、衣服を着た鬼巨人達が、全裸の角無し人間達を奴隷として酷使し、更には其の血肉を食料に利用していた事が判明したのだった。
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