仮 伍

淀川 乱歩

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其の九 淫獄転生 其の伍 半人半戯 其の後獣指

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 ……処が、今朝の俺は、ルームサービスの朝食も食べずに、二人の全裸の稚児達と、海豚(ドルフィン)号の出入り口の、真っ暗な水密扉(ハッチ)の中へ飛び込んだ。
 ……俺と、二人の全裸少年達は流星(コメット)号、じゃぁ無くて、海豚号の中枢人工知性の音声入出力へ、水密扉を閉じろと命じながら、船の操舵室(ブリッジ)へ全員全裸で駆け込んだ。

 ……俺は、船長(キャプテン)の席に座り、兄の金白華(アマラ)を俺の横の副長の席に、弟の黒褐華(カマラ)を通信・索敵士の席に座らせて、全裸少年達の安全帯(シートベルト)を締めてやった。
 ……そして、海豚号へ緊急発進を命じ、目の良い金白華の副長席の前の制御盤(コンソール)を、索敵表示中心(レーダー)に変更させ、耳の良い黒褐華には通信傍受を命じた。
 ……実は、此の海豚号は人工知能を持った、快速艇(クルーザー)の形をした魔法生物(ゴーレム)で、特に風水魔法に特化した高速艇なのだ。

 ……そして、そんな海豚号の船体(ハル)の船底には船首(バウ)と船尾(スターン)、つまり前後左右の四ヶ所に、強力な風と水の本質(エレメント)を操る、特殊な呪紋(マントラ)の風水紋(フォンシュェイ)が装備されていたのだ。
 ……今も、其の美しく輝く、艦底の風水紋で風を操り、怒派手な砂煙を上げて、砂浜の上を滑る様に、浮上移動中(ホバリング)なのだ。
 ……海豚号の船体が再び、透明化迷彩(ステルサー)を作動させ、船体の全ての水密扉(ハッチ)を閉じると、海岸の砂を派手に巻き上げながら浮上し、百八十度回頭して、今度は怒派手に海水を巻き上げながら、海面へ滑る様に進入した。
 ……推進中は、透明化迷彩は無意味だから止めろと何度言っても、頑固な海豚号は船長(オレ)の命令に従わ無い。

 ……其れ依りも、此の童娼窟・極楽亭の海の別館、海浜童娼窟・南海亭に迷惑を掛けて仕舞った事が心残りだった。
 ……昨日は、色々ヤバい仕事で稼いだ大金で、金白華(アマラ)と黒褐華(カマラ)を身請(みう)けして、今日は二人を俺の秘密基地へ連れて行く予定だった。

 ……実は、海豚号は賭けで手に入れた船で、然(しか)も如何様賭博(イカサマ)で勝って入手した船だった。
 ……其れが、とうとう如何様(いかさま)がバレたらしい。
 …… 海上に出た海豚号は、一直線に犯罪組織の海賊艦隊へ向かうと、敵艦隊の目の前で突然、空中へ舞い上がった。
 ……万能探検船の海豚号は、輝く艦底の風水紋(フォンシュェイ)で風を操って、空中移動、つまり飛行も可能なのだ。

 ……赤黒く、暗く光っていた海豚号の船体の、四っつの風水紋が一気に青白く輝き、噴き出す風の音が、低いゴーッと云う音から、キーンと云う甲高い音に変化した。
 ……同時に、パンと云う衝撃波と共に、海豚号の船体が、丸で海面に弾かれた様に、空中高く飛び上がった。
 ……海豚号は、船体の四っつの風水紋(スラスター)の方向(ベクトル)を細かく操作して、空中での姿勢を安定させた。

 ……俺は、ザマァ、カンカンと海面の海賊艦隊を見下ろしながら、海豚号に南西への転進を命じた。
 ……処が、海賊艦隊の頭上を飛び越えて、俺の秘密の無人島へ転進した直後に、犯罪組織の空中艦隊に待ち伏せされたのだ。

 …… 突然、雲の中から降下して、姿を現した犯罪組織の空中艦隊が、海豚号の行く手を遮った。
 ……数隻の、全金属飛行戦艦(メタルクラッド)に、双胴の巨大な飛行空母まで一隻いた。
 ……そして、敵空中戦艦達が一斉に、我が海豚号に向けて、大型弩砲(バリスタ)の一斉射撃を始め、海豚号は撃墜されて海面に落下し、怒派手な水柱を上げて沈没した。
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