嫌われ者の美人Ωが不妊発覚で婚約破棄され運命の番に嫁ぐまで

grotta

文字の大きさ
45 / 46
妊娠・出産編

14.【妊娠・出産編最終話】朔ちゃんの成長とヒート再開

しおりを挟む
それから朔ちゃんはすくすくと育ってどんどん体重が増え、むちむち体型になっていった。どこに出かけても奥様や年配の女性たちに「かわいいねぇ」と声をかけられる。
俺が1人で抱っこ紐に入れて歩いていると大抵パパと間違われる。それでも別にいいんだけどね。あえて訂正することは少ないけど、俺がママですって言う場面があると驚かれる。

俺の体調はというと、産後3ヶ月でヒートが再開した。正直な感想は、「え?もう?」だった。女性のように母乳が出ていればもう少し遅くなるみたいだけど、男性Ωのヒート再開は平均で大体産後3ヶ月らしい。
まだまだ育児も大変な時期なのに、ヒートまで重なったらもう育児どころではないのでできればもう少し来ないで欲しかったなぁ。
でも礼央はヒートの復活を喜んでいた。早く2人目がほしいですねと言ってくる。そもそも帝王切開なので次の妊娠までは1年開けるようにと医師から言われていた。

「まだそんなこと全然考える余裕ないってば…」

傷自体の痛みはもうそれほど無いのだがセックスした場合痛いのかどうかはやってみないとわからない。とりあえず今回のヒートは抑制剤を飲んでやり過ごすということで夫婦間で決定した。

でもまぁ、礼央は可哀想なんだよね。妊娠中もずっとできなかったわけだから…
俺だって気持ち的には礼央としたいんだけど、朔ちゃんの育児もして疲れてるしなんとなく積極的になれない。礼央は相変わらずスキンシップは激しくて、しょっちゅうベタベタしてくるから俺はそれで満足しちゃってるのもある。

とりあえず次のヒートまでは待ってもらおう。
それはまだまだ先のことと思っていたけど、あっという間に朔ちゃんは生後6ヶ月になり俺のヒートもやってきた。礼央には今度こそと約束していたけど、実は最近朔ちゃんの夜泣きが始まってしまったのだ。

「美耶さん…悲しいけど僕我慢します。朔ちゃん夜泣きで大変ですもんね」

「わかってくれてありがとう」

というわけで結局今回も抑制剤によりスルーすることになった。でもあんまり可哀想なので、挿入はしないで軽くボディタッチするのだけは許可した。

「美耶さんの身体こうやって触るの久しぶりで嬉しいです」

乳首とお尻を同時にいじられる。久々過ぎてちょっとやばいかもこれ…

「あ…礼央…気持ちいい…」

「薬飲んでても中触ると濡れてきますね。可愛い…全身舐めて思い切り突いてあげたい。でも我慢します」

「んっあっいい…もっとぐりぐりして…」

「美耶さん…煽るのは禁止です」

「だって久しぶりだからぁ…あっあっ!だめ、あんっ!気持ちいいよぉ…」

「美耶さん、早く挿れたい…」

「挿れて、お願い挿れてぇ…!中に出してよ礼央…」

「だ、だめだってば美耶さん。話し合ったでしょ。そんな可愛くおねだりされたら本当に挿れたくなるからやめてくださいよ」

俺は指を後ろの穴で咥えたまま腰を振って誘惑してしまう。傷?全然痛みなんて気にならない。薬飲んでるけど抑えきれてないから痛みもわかんなくなってしまってるんだろう。

「あっああっいいっイクっ!やだ、指でイキたくない、礼央のがいいのにぃ!あんっイッちゃう…んんっ」

礼央の指をぎゅうぎゅう締め付けて痙攣しながら俺はイッた。
久々の射精はすごい快感だった。礼央もα向け抑制剤を飲んでくれてるけど、いい匂いすぎて挿れてほしくて仕方ない。俺は息を整えると礼央のモノを口で咥えた。唾液がどんどん出てきて、卑猥な音がする。

美味しい、美味しい…礼央の味たまんない…これ後ろに欲しいよ…!

夢中で舐めまくって、自分で頭を前後させて喉の奥にぶつけながらじゅぷじゅぷとしゃぶる。
するとしばらくして礼央が低く呻いて俺の口の中で達した。

「美耶さんだめだ、もうやめよう。僕これ以上我慢できそうにないです」

「わかった…俺もやばいからやめよ…」

こうしてこの期間中は俺達は触り合いっこ禁止とした。最後までできないなら返ってお互い辛いだけだと思い知った。

「ヒート期間中にえっちなことするのは2人目お迎えしていいって決意できてからにしましょう」

「了解」

そんなことを話ながらも、結局俺達はその次のヒートで我慢できなくて最後までしてしまった。まだ出産から1年経っていないため避妊はした。
俺も年々体力が落ちていくだろうし、赤ちゃんお迎えするなら早いに越したことないから次の周期では避妊せずにしようということになった。
ベッドに寝そべったまま礼央が言う。

「美耶さん、僕ちゃんと美耶さんも朔ちゃんも今度の赤ちゃんも守りますから」

「いや、だから気が早いんだってば礼央は。まだ今回は避妊してるからね?」

「もう気持ち的にはいつでもどんとこいってことです」

「礼央がどんとこいでも、俺の方が問題だろ…」

そう言うと礼央がガバっと抱きついてきた。

「すいません、すいません!ママが大変なんですよね。わかってます!でも本当に僕、たくさん子ども欲しくて…」

「わかってるって。俺も2人目欲しいなって思うよ。まぁ、寝させてくれなくて大変なことも多いけど。礼央がちゃんと助けてくれるから、ね?」

「それは勿論です!」

礼央の顔を見た。朔ちゃんは産まれたときから礼央に似てると思っていたけど、最近また更に礼央の顔に似てきたんだよね。

「どうかしましたか?」

あまりじろじろ見ていたので礼央が訝しげに聞いてきた。

「いや、なんでもない。幸せだなって思っただけ」

無事に出産できて、2人目のことまで考えられるのって本当にありがたいことだなと思う。母とはまた関係を拗らせてしまったけど、俺には支えてくれる人が他にもたくさんいる。

「早く2人目の顔を見られるように俺も努力するよ」

「ありがとう美耶さん」

あと数センチで唇と唇が触れるという瞬間、朔ちゃんの泣き声が聞こえた。

「おっとっと…はーいはいはい今いくよ~!」

立とうとした俺を制して礼央が可愛い我が子の元へ駆けつけた。
俺はそれを微笑みながら見ていた。



〈完〉

ーーーーーーーーーーー

妊娠・出産編完結です。最後まで読んでいただきありがとうございました!
結構長くなってしまいました。
今後2人目3人目と家族が増えていくことと思いますが、一旦出産までということで区切ります。
差し当たり、リクエスト頂いたお話を番外編として書く予定です(書けなかったらごめんなさい)。

続きはまだ考えていないのですが、せっかくだから朔ちゃんがもう少し大きくなって何人か家族が増えて…という情景もそのうち書きたいなと思っています。

今オメガバースで別の話を書き始めているので、ある程度書けてアップできましたらそちらも読んでいただけると嬉しいです。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

運命じゃない人

万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。 理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。

嫌われ魔術師の俺は元夫への恋心を消去する

SKYTRICK
BL
旧題:恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する ☆11/28完結しました。 ☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます! 冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫 ——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」 元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。 ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。 その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。 ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、 ——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」 噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。 誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。 しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。 サラが未だにロイを愛しているという事実だ。 仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——…… ☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話

降魔 鬼灯
BL
 ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。  両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。  しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。  コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。  

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【運命】に捨てられ捨てたΩ

あまやどり
BL
「拓海さん、ごめんなさい」 秀也は白磁の肌を青く染め、瞼に陰影をつけている。 「お前が決めたことだろう、こっちはそれに従うさ」 秀也の安堵する声を聞きたくなく、逃げるように拓海は音を立ててカップを置いた。 【運命】に翻弄された両親を持ち、【運命】なんて言葉を信じなくなった医大生の拓海。大学で入学式が行われた日、「一目惚れしました」と眉目秀麗、頭脳明晰なインテリ眼鏡風な新入生、秀也に突然告白された。 なんと、彼は有名な大病院の院長の一人息子でαだった。 右往左往ありながらも番を前提に恋人となった二人。卒業後、二人の前に、秀也の幼馴染で元婚約者であるαの女が突然現れて……。 前から拓海を狙っていた先輩は傷ついた拓海を慰め、ここぞとばかりに自分と同居することを提案する。 ※オメガバース独自解釈です。合わない人は危険です。 縦読みを推奨します。

処理中です...