家族内ランクE~とある乙女ゲー悪役令嬢、市民堕ちで逃亡します~

りう

文字の大きさ
42 / 60
第三章 平民の実習期間

41 私の名前は、サラ

しおりを挟む
リンゴ、私が持ちたいんだけど、せめて買い物かごにいくつか入れてくれないかな……、と思って、テル君の箱を引っ張ろうとしたんだけど、「別に買い物あるだろ」と言われて断られてしまった。くそう。子どもに重いもの持たせたくないんだけどなあ。
眉間にしわを作った私を見たのか、おばちゃんがもう一度声をかけた。
「あ、そうだアンタ」
「……はい?」
「これ」
ぽんと、投げられたのはおばちゃんが宣伝に持っていた大きなリンゴだった。
「なんで?」
見比べると、「腹が減ってるだろうからだよ」と笑われた。
う、と声をつまらせて、思わず三人を見る。何を言われてるのか分かっていないみたいで一安心。流石にお腹鳴っている音とか、この子達にはあんまり聞かせたくないよね。年上の威厳がなくなる――っておつかいのお守りさせてる時点で威厳も何もないか。
「あんた細いからね。しっかり食べて、ちゃんと働くんだよ。手に職つけて、働いて、そしたらこんなもんが食べれるんだーって思っときな」
「受け取るのがマナーですよ」
そう、ヨーイ君が耳打ちする。はい、と小さく頷いて、にっこり笑った。
「ありがとう!」
「はいはい、またうちを贔屓にしとくれ」
おばちゃんには当たり前なんだろう。
そのまま作業に戻る。「フィロイ産のリンゴがおすすめだよ!」と声を張り上げて、呼込みをしている。おばちゃんの声に、道行く人が立ち止まり、まじまじと陳列している果物を見る。これが、あれが、と興味の有りそうな果物を楽しそうに解説する、時折笑顔が交じる。
「おばちゃん」
ためらったけど、思い切って声をかける。
突然の私の声にヨーイ君たちが、驚いて足を止めた。
ガブ、とそのままリンゴを噛んだ。甘くて、酸っぱくて昔前世で食べたリンゴの味を思い出した。
すごい、蜜がジュワって出て、サクサクしてる。
さすがファンタジー。加護でここまで、品質が保てるんだと感心する。
簡潔に話さないといけない。じゃないと違和感を持たれるかもしれないから。
「おいしい、ありがとう」
ぶきっちょな言葉に、おばちゃんは吹き出した。
「あー、はいはい」
ケラケラ笑う。嫌じゃない、優しい、見守ってくれる笑顔だ。
やっぱり。
それじゃあ、そうしよう。
「おばちゃん、名前は?」
おや、とおばちゃんは目を見開く。
「名前? サラだよ。平凡な名前だろ」
珍しくもなんともない、この世界では当たり前の名前。
よかった、と私は微笑んだ。リンゴを持っていない手で、自分を指差す。
「私も、おんなじ名前」
「えええ、今ぁ?」
隣でヨーイ君が声をあげる。瞬時にテルくんに脛を蹴られ、スタ君が口を塞いだ。
うん、ごめんね。あとでリンゴパイ、私の分あげるから、許してね。
「あらほんと。また古臭い名前をもらったもんだね」
「うん、でも気に入ってる」
幼く聞こえるように、大きく頷いた。
「そうかい。私も気に入ってるよ。
あんたの今後に神のご加護を!」
そう声をかけて、手を振られた。私も振り返す。
「神のご加護を」


てくてくと、歩調は早めに歩く。歩きながら食べたって大丈夫。むしろ難しいくらいだ。シャクシャクと音も美味しいリンゴは、すぐ芯だけになる。どうしようかな、とヘタを摘んで見ながら歩くと、横からため息が聞こえた。それも複数。
「確かに、――確かに総司祭様は、名前決めろって言いました。ええ言いましたよ。
ゆ――いぅ、あー、ああーっとサラさん? サラさんサラさんサラさん。よし、えっとサラさん」
「うん」
行き交う人の波はざわざわ。人目を気にするのはヨーイ君たちも同じだ。
あ、猫耳の人がいる。女子? 可愛い、ミケネコ柄だ! かわいいいい! 尻尾もゆらゆらしてる! 
あっちには尖った耳の人、妖精族とかかな? それとも魔族系の生き残りとかかな。
持ってる串も気になる。多分肉料理。美味しい肉かもしれない。ちょっとタレついてない? 話しながら、呪文を唱えてで串を消す。
「地に還るために炭となれ、炭となるために蒼き炎を、ファイヤー」
私の側からも、ぽそぼそと呪文が聞こえた。テルくんかしら? と、私がつまんで持っていたはずのリンゴの芯の重さがなくなる。あれ、と視線を戻すと、そこには何にも残っていなかった。
え、何この子達魔法使えたの? さっすが期待の新人なだけあるね!
手とテルくんを交互に見ていると、スタ君が目のまえて手を揺らした。
「お姉さ~ん、聞いてる?」
「聞いて……いる」
丁寧語になりそうなのを、慌てて修正する。
さくさく、そうしている間にも私たちは買い物をすすめる。
市場は不思議なくらい、前世で見覚えのあるものがたくさんあった。塩、胡椒、唐辛子、トマト。トマトはブサイクでかなり安い。美味しくないのかな。魚や鳥は不思議な色をしている。透明な野菜もある。この世界は不思議だ。さすがファンタジー。トウモロコシ、マメ、コメらしきものもあるんだけど、そういうのはなぜかゴザを敷いた人たちが売っていて、一山いくらだよって声をかけてる。あら。銅貨三枚? 安いんじゃないのこれ。
「あれはなんで安いの?」
聞くと、スタ君が答えてくれる。
「あれ? あーあそこらへんで売ってるのは貧乏人の生活の足しだからね」
たしかに皆、着ているものが古めかしいというか、擦り切れているというか。
「大概ドラゴンとかモンスターが移動した時についてきたやつで、食べられるけど毒抜きが必要だったり、美味しくないんだよね。でもまあ、珍しいし他の食材よりは安いかな」
おお、そうか。外来の動植物はドラゴン類が連れてくるのか。
「まあトマトみたいに、美味しくて大量に作ることができるのも見つかるんだけどねー。あっちで売ってるのはほとんどダメだと思うよ。ほら、あれは前食卓でサラダに入ってたでしょ、コメっていうの。麦に似て粒状なんだけど挽いてみてもボロボロするし、煮たら粘り気が強すぎるっていうか――」
炊いて。
お米は炊いて、あのサラダに入ってたのは細かく砕いてた上にベチャベチャだったじゃん。多分磨きすぎでしょ。っていうかアレお米だったの?!
「なんか生臭かった」
げんなりとテル君が会話に加わる。
「そういうのを食べるのも修行の一環」
ちゃんと糠部分洗って。あと干して! あ、でも専門の農家が育ててないから美味しくないのかな。いや、加護でこんだけ品種改良みたいなことできるなら、愛情注いでたら美味しくなるんじゃないの? んん??
「米……」
「だめだよ、安いからって安易に手を出しちゃ」
「まあ寮のメシは少ないけどな」
私の想像とは違うかもしれない。でもせめても自分で調理して実験したい。
ノロノロ足になり、食い入るようにコメ類があるエリアを見つめていると、ヨーイ君が私の顔を覗き込んだ。
「ユー! ゴホンゴホン、サラさんはサラさんでいいんです、か?」
「うん」
ごめん、その話が途中で終わってたんだっけ。
ヨーイ君、なんか会った当時より敬語・丁寧語が上達しているな。まだ一ヶ月経ってないのに。さすが成長期。伊達に修道士じゃないってことね。
「私は、サラです」
サラ、と名前を言ってみるとなかなかにしっくり来る。大丈夫だ。
「また突飛な……」
「こいつが突然なのは、いつものことじゃね?」
突飛と言えないこともないけど、一応理由はちゃんとある。
「この姿で出て、最初に優しくしてくれた人の名前にしようと決めていたの」
平凡な私になるために、平凡な誰かの名前をもらいたかった。
そしてそれは、親切な人からがよかった。
「サラ……ねえ」
「お姉ちゃん、サラの意味分かってる?」
失礼な。一応次期王妃の教育内容に、よくある名前一覧と由来辞典も含まれておりましてよ! 
サラっていう名前には、王女って意味がある。
でもそんなのは、ずっとずっと前の廃れた由来だ。
今では、この名前は古くて、よくある女の人の名前。
だったら、いいじゃないか。
「――まあ、んだし、そういう名前を、育てられた婆さんから譲り受けてても不思議じゃない」
「そうそう、テルの言うとおり。おばあちゃんが心配症で、12歳で亡くなるまでずーっと閉じ込められたんだもんね」
よくがんばったねーえらいでしゅねー、みたいな感じでスタ君が頭を撫でようとするので、流石にそれは遠慮した。いや、こちらも君たちをズッコケ修道士と心で呼ぶくらいには気を許しているのよ? でもちょっと最近馴れ馴れしすぎない? 確かに庶民の生活のご教授は貴方達から受けているし、寮で一緒に生活してるけどさあ。
私は十八、君たちは――うーん。具体的に年齢は聞いてないけど、精々小学校中学年? 十歳前後ってところなんじゃない。
いくら前世で人生経験あるからって、許せることとそうじゃないことがあるのよ。
「まったく。シュトレン家っていう名門貴族に、とんだ勘違い娘がいたもんだよ」
「ねえ、うちら平民は平民だけどさー。誰のお陰でおまんま食えてるって話だよ」
「きっとドレスしか目に入らなかったんじゃない? そんな人が王妃にならなくてよかったー」
買い物を終えて帰る途中、貸本屋さんで本を見る女の子たちの話が耳に入った。
断罪の日から、多分もう一ヶ月は経っている。噂はもちろん、書籍もちゃんと地方都市たるこの街に流通している。
一人でいる時は聞き流せたそれに、肩を震わせてしまって、買い物かごの荷物を抱えた手に力が入る。思わず腕の中のものがグシャグシャになりそうになった。
「サラさん、あの、ご飯が待ってる……ますよ!」
動きが鈍くなった私に、いち早く気づいたヨーイ君が、背中を押した。
「はい」
視界の端にかかるのは、濃い茶色の髪の毛。クセが強くて、自然にウエーブがかかって扱いにくい。――昔はストレート過ぎてまとまらないって、悩んでたのと正反対。
きっと、――何もかもが違っている。
だから彼女たちは気づかないだろう。
「ほんっと、この本おもしろーい!」
「やっぱ現実に起こったことが元になってると、スカッと度合いが違うよね!」
「ハイド様かっこいい~」
ぎゅっと、きっと借りた本を胸に抱いて、今の私の見た目と、そんなに変わらない少女達がすれ違って去っていく。
「そういえば流星劇団の次の地方公演の時に、この話やるかもって!」
「えええ、絶対見る! アリア様とハイド様見るー!!」
きゃっきゃ、と黄色い声が遠のいていった。
同時に、三人組が急に世間話を始める。
「平民姫を虐めてた魔女のお嬢様は、今や牢屋みたいな修道院でひとり懺悔の日々だよね」
そう言いながら、スタ君は私達の前に回り込む。
「そうそう。平民になるって喚いてたけど、平民が大っ嫌いな貴族様だからな」
重いだろうリンゴの箱を持ち替えながら、テル君が相槌を打った。
「だいたい、平民への道のりは、早くとも半年、遅くて一年。市井に身を置くには、環境が違う――っていう」
うんうん、と自分の言葉に頷いて、ヨーイ君は私を見る。
「一ヶ月と少しで、平民に紛れられるような、甘い世界じゃないって、なあ」
ふん、とテルくんも私を見た。
「ホント、そうね」
最短ルートをぶっ飛ばしてここにいる。
――だから、大丈夫。
そんな設定を口にする頃には、買い物を終えて、現在の住まいである教会に到着していた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。

木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。 本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。 しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。 特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。 せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。 そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。 幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。 こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。 ※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

『悪役』のイメージが違うことで起きた悲しい事故

ラララキヲ
ファンタジー
 ある男爵が手を出していたメイドが密かに娘を産んでいた。それを知った男爵は平民として生きていた娘を探し出して養子とした。  娘の名前はルーニー。  とても可愛い外見をしていた。  彼女は人を惹き付ける特別な外見をしていたが、特別なのはそれだけではなかった。  彼女は前世の記憶を持っていたのだ。  そして彼女はこの世界が前世で遊んだ乙女ゲームが舞台なのだと気付く。  格好良い攻略対象たちに意地悪な悪役令嬢。  しかしその悪役令嬢がどうもおかしい。何もしてこないどころか性格さえも設定と違うようだ。  乙女ゲームのヒロインであるルーニーは腹を立てた。  “悪役令嬢が悪役をちゃんとしないからゲームのストーリーが進まないじゃない!”と。  怒ったルーニーは悪役令嬢を責める。  そして物語は動き出した…………── ※!!※細かい描写などはありませんが女性が酷い目に遭った展開となるので嫌な方はお気をつけ下さい。 ※!!※『子供が絵本のシンデレラ読んでと頼んだらヤバイ方のシンデレラを読まれた』みたいな話です。 ◇テンプレ乙女ゲームの世界。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げる予定です。

ヒロインだと言われましたが、人違いです!

みおな
恋愛
 目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でした。  って、ベタすぎなので勘弁してください。  しかも悪役令嬢にざまあされる運命のヒロインとかって、冗談じゃありません。  私はヒロインでも悪役令嬢でもありません。ですから、関わらないで下さい。

どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)

水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――  乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】! ★★  乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ! ★★  この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

処理中です...