キミノタメ

greven1980

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5年後・・・

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グレヴェンはトトの横でうなっていた。

「もっとこう、空中に魔力で渦を作るような気持ちでぎゅーっとしてごらん。」
「渦?ぎゅーっと?んーと、ぐるぐる?」

トトの前に浮いている洗濯物は空中でくるくると回っていた。
一方、グレヴェンの前に浮いている洗濯物は動くことはなく水を滴らせていた。

「上に移動させたり遠くにはできるんだからあとはこう・・・ちょっと休憩にしようか。」
「むーーー、できなーーーーーーーい!!」
「あーーーーだめ!お願い!!!おちつ・・・・いて」

グレヴェンが泣き出したと同時にグレヴェンの前に浮いていた洗濯物が4方に飛び散った。
そのうちの一つがトトの前の洗濯物にぶつかりすべてが地面に落ちた。
うなだれるトトを前に自分のやってしまったことに気付いたグレヴェンが一言つぶやいた。

「トトがちゃんと教えてくれないのがいけないんだもん!そんなんじゃわかんないよ!!」

そして、小屋のほうに走って行ってしまった。

「渦作るほうが簡単だと思うんだけど・・・今日も洗い直しかぁ。」

そういうと、トトは地面に落ちた洗濯もをまとめて宙に浮かせてまた洗濯を始めた。


小屋の裏側に回ったグレヴェンはシンを探していた。

「トト怒ってるかなぁ…」
「大丈夫。あいつは許してくれるさ」

突然後ろから声がしてグレヴェンは振り返ることができなくて転んでしまった。
一回転して立ち上がると回転しながら確認したシンに怒りの表情を向けた。

「ナイス受け身。回転中も敵の確認してたから及第点かな。」
「気配もなく後ろから来るのやめてよ・・・でも、後ろに回られた時点で失格じゃないの?」
「立ち止まらずに前方に逃げたから致命傷は避けれてるよ。」
「そんなもんかなぁーまあシンが言うならいいのかなぁ。」

シンに褒められて?少し安心していると上から嫌な予感がしたので横に飛ぶと
グレヴェンがいたはずの場所に石が落ちてきた。

「いいね。油断してない。ところで、今日はトトと洗濯のはずじゃ?」
「トトが何言ってるかわかんない。洗濯嫌い。」
「おババにやれって言われたんでしょ?グレヴェンのために言ったんだからちゃんとやらないと。」
「・・・わかってるよ。でも、うまくできないんだもん。トトは何も言わないけどきっと
 めんどくさいと思ってる。」

目に見えてグレヴェンは落ち込んでいた。

「トトはめんどくさがっていないよ。トトにとって洗濯は空気を吸うのと同じくらい
 簡単なことなんだ。それにグレヴェンはまだ5歳だ。うまくできるまで時間かかるよ。」

下を向いて泣くのをこらえているグレヴェンにやさしく声をかけると立ち上がった。

「じゃあ、今日は僕と魔力の操作の練習しようか?」
「む~やらなきゃだめ?」
「1日でも努力することをやめちゃダメ。今まで頑張ってきた自分がかわいそうじゃないか。
 早く強くならないとレイリアを守れないよ?(守ってもらうような女じゃないけど…)」

突然、シンの背中に土煙が上がった。
グレヴェンは驚いてシンのうしろをのぞき込むと、そこには地面にめり込んだ木の枝と
その枝にささる針が3本見えていた。グレヴェンは寒気を押さえながら小屋のほうを見ると。

「余計なこと考えてないで仕事しなさいよ。」

針仕事をしているのであろうレイリアの姿が開け放たれている窓の向こうに見えた。
先ほどまでこの窓はしまっていたはずである。

「もうすぐ御飯になるからそれまではしっかり練習しなさい。おばあちゃんももうすぐ
 帰ってくるはずよ。」
「は、はい!」

少し緊張して返事をするシンをみてグレヴェンは少し笑っていた。

「シン、お仕事教えて。」

うなずくと、シンとグレヴェンは森の中に入っていった。
シンは器用にナイフを使って果物を取っていく。

「僕もやるよー。1本貸してー。」
「いいかい、必ず柄の部分に魔力を付けるんだよ?そうしないと果物は切り落とせない。
 あとは、勢いが大切なんだ。躊躇しないでね。慣れてくれば10本くらい同時に動かせるようになるよ。」
「わかったーー。いっくよー!」

グレヴェンはナイフに魔力を纏わせるとゆっくりと果物の方へと伸ばしていった。

「そこで一気に柄の部分の魔力を爆発させる感じかな。爆発させても柄につけてる魔力をはなしちゃだめだよ。」
「あい」

グレヴェンは額に汗をかきながら魔力操作を行った。
そして、柄の部分の魔力を爆発させようと魔力を集中した。

「まっっっっっそれはやば」

すると、伸ばしていた魔力ごとすべてが爆発した。
シンの操っていたナイフも9本巻き込まれて飛んで行ったしまった。

「なんでそうなるかな…っていうか、なんで僕の魔力にまで干渉するんだろ・・・。」
『おいぃぃぃぃぃぃ!殺す気か!!!』

森の奥の方から叫び声がした。
グレヴェンはシンの後ろに隠れた。
森の奥から出てきたのはヨウだった。

「今日は獣狩りだったね。成果はあるのかな?」
「俺が狩られるところだったわ!!ほらよ」

3本のナイフと6本のナイフが刺さった猪が地面に置かれた。

「もう一本はどこにいったんだろ?」
「え?あそこにあるよ。」

シンのうしろに隠れていたグレヴェンがつぶやいた。
グレヴェンが操っていたナイフは爆発する前と同じ位置に浮いたままだった。

「どうなってんの?爆発したのにとんでってない?魔力だけばくはつした?」
「グレヴェンがやったのか?あとでお仕置きだな。マッサージ1時間の刑だ。」
「げげ。」

またもやうなだれてしまったグレヴェンにシンは慰めるように声をかけた。

「こんどやるときは柄の部分だけを爆発させるんだよ。たぶん、力の入れすぎかな。」
「シンは簡単に言うけどさ、それけっこう難しいんだぜ?俺だって3本がやっとだもの。」
「あんたは魔力操作の仕事をさぼってばかりだからだよ。私の見立てでは5本は操れるはずなんだけどねぇ。
 ・・・まあいい、今帰ったよ。ご飯にしようじゃないかい。」

突然目の前に初老の女性が現れたが3人とも動くことができなかった。
3人とも冷や汗が体中からあふれ出て、一瞬呼吸すら忘れてしまった。
初老の女性が指を鳴らすと3人とも地面に座り込んだ。
すると、小屋の窓からレイリアの声が響いた。

「おばあちゃんお帰りなさい。もうご飯できてるよー。ヨウはさっさとそこの猪解体しといてよね。
 シンは果物ちょうだい。デザートとジャムにしておかなくちゃ。グレヴェンは手を洗ってきなさい。」

『はーい(よ)』
『へいへい』

「グレヴェン、今日はトトと一緒に洗濯をお願いしたはずだけどね?それと、そこのナイフを
 回収しておきなさい。魔力で位置固定されてるみたいだね。何を間違ったんだか・・・。」
「と、トトが行っていいよっていったんだぁ・・・。」

グレヴェンの頭に大きなたんこぶができた。
シンが泣いているグレヴェンの手を取り小屋の中に入るとトトはすでに食卓に着いていた。
その頭にもグレヴェンと同じたんこぶができていた。そして、ぶつぶつとぼやいていた。

「僕は被害者なのに・・・・いたぃ。」

全員が食卓に着くと初老の女性が口を開いた。

「全員に大事な話がある。ついに・・・」
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