キミノタメ
魔王が世界を闇に堕とそうとした。
勇者が現れ魔王を倒すために冒険をした。
勇者は苦難の末に魔王を倒し世界を光へ導いた。
そんなありふれた物語のなかの一人の男の物語。
勇者が異常なまでの成長速度で強くなっていく頃。
男は勇者に魅せられた。
「自分も勇者のように強くなりたい。」
ただただ、そんな想いで修業を続けた。
一度だけ勇者と話ができる機会があった。
「自分を一緒に連れて行ってくれないか?」
男はもっと強くなりたかった。
憧れた勇者と共に旅をすればもっと強くなれるのではないか?と。
しかし勇者は断った。
「君は・・・勇者の仲間というより、魔王の側近のほうが似合うんじゃないか?」
男は熊のような体躯と鬼のような顔、厳しい修行によってできた傷だらけの体。
手は武器を使いすぎて革の手袋のように硬く、髭も髪もも伸び放題で
魔物と間違われてもおかしくない容貌だった。
深い悲しみにとらわれた男は絶望の底で何者かの意志を感じた。
魔王と名乗るその意志に導かれ魔界への門を開けてしまった。
魔界へと降り立った男は魔物を倒すだけの機械のように次々と戦っていった。
やがて勇者が魔王を倒したころ・・・
勇者が現れ魔王を倒すために冒険をした。
勇者は苦難の末に魔王を倒し世界を光へ導いた。
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