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本編
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朝の日課をこなし、ラウラと挨拶を交わして朝食の準備を終えると、珍しく早く起きだした二人と朝食を食べます。
宿酔いは結構きつそうですが、朝食を食べ終える頃には大分回復したようですね。もっとも、リビングで眠っていたために体が固まっているようですが。
「桜華さん。少しいいですか」
ディンさんの困ったような声に呼ばれて外に出てみると、道の端にトトが座っていて、誰かが埋まっているように見えます。
「トト、どうしたの」
「グルルル」
「なるほど。少し待っていて」
「グル」
離れる前に誰が埋まっているのか確認すると、ルーナさんでした。見かけないと思ったらここにいたんですね。
一度家に戻り、リビングで寝転がっている二人に水を出します。
「ミッケさん。動けますか?」
「動けないことはないかな。戦うのは無理っぽい」
「右に同じく~」
「どうしたの?」
「実はトトが村の外に出たがっているので、ついていってもらえたらと」
「トト?」
「ココットです。今、外にいますよ」
ココットかぁと呟きながら外の様子を窺う二人。次の瞬間には最大音量と思われる大声を出しました。頭痛は大丈夫でしょうか。
「ちょっ、桜華、なにあれ!」
「桜華さん、あれ何!」
「何って、ココットのトトです。あ、埋まっているのはルーナさんです」
「いやいや、埋まっているのは良いとして、いや、羨ましいけど。あれがココット!?」
やはり規格外の大きさは衝撃的のようです。私としては可愛くてしょうがないのですが。
「それで、お願いできますか?」
「いいけど、良いのかな?」
「ミッケさん。今更だと思うけど?」
心配そうなミッケさんにルルが一言いうと、ディンさんも含めてみんなで頷いています。
「それじゃあ、トト。気を付けてね」
「グル!」
出かけるトト達を見送りると、家の中に戻って作業の準備をしていきます。
暫くすると、朝の忙しい時間を乗り越えたピエナさんと何故か上機嫌なエレノアさんがやってきました。
「おはようございます。お母さんもいいですか?」
「おはようございます。大丈夫ですよ」
エレノアさん達がエプロンを装着したのを確認しながら、昨日から準備していた食材を取り出してテーブルの上に並べていきます。
「小麦粉、卵、檸檬、砂糖? 後は……これがチーズですか?」
「クリームチーズです。後は諸々ですね」
材料の時点で興味津々といった二人に声をかけて早速作り始めます。
――調理風景割愛。申し訳ありません。
「後はオーブンで焼いて完成ですね」
温めておいたオーブンに入れて、使った調理器具の洗浄を始めると、エレノアさんが慣れた手つきで手伝ってくれました。
「結構手間が掛かりましたね。うちでは無理そうですね」
「そうですね。片手間でやるのは難しいですね」
苦笑しているエレノアさんに答えていると、オーブンを覗いていたピエナさんが諦めきれていない様子で立ち上がりました。
「桜華さん。何か簡単に作れるものはありますか?」
「う~ん。やってみますか」
という訳で、急遽スコーン作りを開始。ベーキングパウダーがないので、作るのに気を付ける必要があります。本当はチュロスとか、ドーナッツといった揚げ物系も簡単ですが、大量の油は買い置きがないので断念です。
ベイクドチーズケーキにオーブンを使っているので、スコーンは石窯を使います。
「石窯を家に作るのは無理がありますが、このオーブンならできますね」
「そうですけど、笹熊亭には石窯がありますよね」
「魔具ではないので、火力の調整が大変です」
普段使っているピエナさんが、石窯の様子を確認しながら答えてくれました。
「桜華さん。ダガンさんです」
「はい。今行きます」
ディンさんの呼びかけにテラスへ出ると、前回と同様の流れでコンロ作り。後はルーナさんに任せると、物凄い勢いで引っ張っていきました。
「やはり、魔具を作っているとは思えない速さですね」
「これが、桜華さんの仕事……」
エレノアさんとピエナさんが感慨深げです。そういえば、ピエナさんの前では仕事をしていなかったような気がします。
「私にとってはこれしか知らないのですが。さて、できたでしょうか」
中に戻って出来上がりを確認すると、スコーンの方はできていました。サクサクとはいかなかったのですが、十分美味しくできました。
「これはいいですね。」
エレノアさんから太鼓判を頂きました。今後は気が向いた時に作るそうです。
「そろそろ昼食でも作りましょうか」
エレノアさんの指揮のもと、昼食作りを始めます。私はチーズを作り、エレノアさんは野菜スープ作り、ピエナさんはパン作り。
エレノアさんの切る野菜は、尋常でない速さの割に普通の大きさですね。ピエナさんはかなり力強く作業しています。ピエナさんの調理技術は大将から来たのでしょうか。ですが、大将の作る料理はごく普通の見た目でした。謎ですね。
チーズを作り終えるとお肉を小さく切って焼きながら、ピエナさんにパン生地を掌に乗るぐらいの大きさで千切って丸めてもらい、オーブンへ入れてもらいます。
一通りの作業が終わる頃には丁度お昼。リビングの机の上に並べると、息を弾ませながら戻ってきたルーナさんを含む四人で囲ってお昼ご飯に。ディンさんとヨハンさんには申し訳ないのですが、テラスの方で食べてもらいます。
食後には焼き上がっていたチーズケーキも出しました。初めて作りましたが、結構うまくいきました。ですが、女性陣には好評でしたが男性陣には物足りないという感想をいただきました。パウンドケーキとかの方が良いのでしょうか。
お昼ご飯を食べ終えて後片付けを終えると、エレノアさんとピエナさんはルーナさんの書いた書類を手に帰っていきました。
宿酔いは結構きつそうですが、朝食を食べ終える頃には大分回復したようですね。もっとも、リビングで眠っていたために体が固まっているようですが。
「桜華さん。少しいいですか」
ディンさんの困ったような声に呼ばれて外に出てみると、道の端にトトが座っていて、誰かが埋まっているように見えます。
「トト、どうしたの」
「グルルル」
「なるほど。少し待っていて」
「グル」
離れる前に誰が埋まっているのか確認すると、ルーナさんでした。見かけないと思ったらここにいたんですね。
一度家に戻り、リビングで寝転がっている二人に水を出します。
「ミッケさん。動けますか?」
「動けないことはないかな。戦うのは無理っぽい」
「右に同じく~」
「どうしたの?」
「実はトトが村の外に出たがっているので、ついていってもらえたらと」
「トト?」
「ココットです。今、外にいますよ」
ココットかぁと呟きながら外の様子を窺う二人。次の瞬間には最大音量と思われる大声を出しました。頭痛は大丈夫でしょうか。
「ちょっ、桜華、なにあれ!」
「桜華さん、あれ何!」
「何って、ココットのトトです。あ、埋まっているのはルーナさんです」
「いやいや、埋まっているのは良いとして、いや、羨ましいけど。あれがココット!?」
やはり規格外の大きさは衝撃的のようです。私としては可愛くてしょうがないのですが。
「それで、お願いできますか?」
「いいけど、良いのかな?」
「ミッケさん。今更だと思うけど?」
心配そうなミッケさんにルルが一言いうと、ディンさんも含めてみんなで頷いています。
「それじゃあ、トト。気を付けてね」
「グル!」
出かけるトト達を見送りると、家の中に戻って作業の準備をしていきます。
暫くすると、朝の忙しい時間を乗り越えたピエナさんと何故か上機嫌なエレノアさんがやってきました。
「おはようございます。お母さんもいいですか?」
「おはようございます。大丈夫ですよ」
エレノアさん達がエプロンを装着したのを確認しながら、昨日から準備していた食材を取り出してテーブルの上に並べていきます。
「小麦粉、卵、檸檬、砂糖? 後は……これがチーズですか?」
「クリームチーズです。後は諸々ですね」
材料の時点で興味津々といった二人に声をかけて早速作り始めます。
――調理風景割愛。申し訳ありません。
「後はオーブンで焼いて完成ですね」
温めておいたオーブンに入れて、使った調理器具の洗浄を始めると、エレノアさんが慣れた手つきで手伝ってくれました。
「結構手間が掛かりましたね。うちでは無理そうですね」
「そうですね。片手間でやるのは難しいですね」
苦笑しているエレノアさんに答えていると、オーブンを覗いていたピエナさんが諦めきれていない様子で立ち上がりました。
「桜華さん。何か簡単に作れるものはありますか?」
「う~ん。やってみますか」
という訳で、急遽スコーン作りを開始。ベーキングパウダーがないので、作るのに気を付ける必要があります。本当はチュロスとか、ドーナッツといった揚げ物系も簡単ですが、大量の油は買い置きがないので断念です。
ベイクドチーズケーキにオーブンを使っているので、スコーンは石窯を使います。
「石窯を家に作るのは無理がありますが、このオーブンならできますね」
「そうですけど、笹熊亭には石窯がありますよね」
「魔具ではないので、火力の調整が大変です」
普段使っているピエナさんが、石窯の様子を確認しながら答えてくれました。
「桜華さん。ダガンさんです」
「はい。今行きます」
ディンさんの呼びかけにテラスへ出ると、前回と同様の流れでコンロ作り。後はルーナさんに任せると、物凄い勢いで引っ張っていきました。
「やはり、魔具を作っているとは思えない速さですね」
「これが、桜華さんの仕事……」
エレノアさんとピエナさんが感慨深げです。そういえば、ピエナさんの前では仕事をしていなかったような気がします。
「私にとってはこれしか知らないのですが。さて、できたでしょうか」
中に戻って出来上がりを確認すると、スコーンの方はできていました。サクサクとはいかなかったのですが、十分美味しくできました。
「これはいいですね。」
エレノアさんから太鼓判を頂きました。今後は気が向いた時に作るそうです。
「そろそろ昼食でも作りましょうか」
エレノアさんの指揮のもと、昼食作りを始めます。私はチーズを作り、エレノアさんは野菜スープ作り、ピエナさんはパン作り。
エレノアさんの切る野菜は、尋常でない速さの割に普通の大きさですね。ピエナさんはかなり力強く作業しています。ピエナさんの調理技術は大将から来たのでしょうか。ですが、大将の作る料理はごく普通の見た目でした。謎ですね。
チーズを作り終えるとお肉を小さく切って焼きながら、ピエナさんにパン生地を掌に乗るぐらいの大きさで千切って丸めてもらい、オーブンへ入れてもらいます。
一通りの作業が終わる頃には丁度お昼。リビングの机の上に並べると、息を弾ませながら戻ってきたルーナさんを含む四人で囲ってお昼ご飯に。ディンさんとヨハンさんには申し訳ないのですが、テラスの方で食べてもらいます。
食後には焼き上がっていたチーズケーキも出しました。初めて作りましたが、結構うまくいきました。ですが、女性陣には好評でしたが男性陣には物足りないという感想をいただきました。パウンドケーキとかの方が良いのでしょうか。
お昼ご飯を食べ終えて後片付けを終えると、エレノアさんとピエナさんはルーナさんの書いた書類を手に帰っていきました。
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