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腹減り雀

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本編

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 近くまで来たカイゼルさんとミッケさんが、扉の有った場所を丹念に調べています。

「こいつはまた……頭が痛いな」

 カイゼルさんの口元が引きつっていることに気がついたミッケさんが理由を尋ねる。

「ああ、ここの扉は樫の木と鉄板補強で作られている。それをここまで破壊するなんて……」

 警邏隊が使う事もある木製の盾と同等の強度と頭を掻くカイゼルさん。それを聞いた周囲の兵士の皆さんにミッケさんとルルが目を丸くして顎を落としています。

「まいったね。なあ、警邏隊に入らないか?」
「入りません」
「残念なような、嬉しいような」

 そういいながら部屋の中に入って、備え付けの椅子に座ってこちらを手招きするので、私を挟む形でミッケさんとルルも席に着く。

「昨夜の一件で暴れていたハンターを事情聴取していたんだが、二人も仲間で酒場に迷惑をかけて脅迫、うまくいけばそのまま乗っ取る予定だったと言い始めてな」
「な! そんなことしない!」

 両手で机をたたきながら立ち上がったミッケさんに、カイゼルさんは落ち着かせる様に両手を上下させる。

「最後まで聞いてくれ。な? うん。実は、他の町でも外から来た人間が原因で治安が悪くなっているらしくて、はっきり言って渡来人の心象が悪くなっているんだ。そこで起きたこの事件。俺としては巻き込もうと咄嗟についた嘘だと思っているが、周りが納得しない。だから話を聞こうと呼んだんだが……」
「私の対応は火に油を注ぐ結果ですね」

 思わず壊れた扉を幻視すると、つられたのかミッケさんもそっちを見つめる。

「いや、話を聞くだけだっていうのに、碌な説明もせずに強引な手を使ったこっちも悪かった」

 すまなかったと頭を下げるので、こちらもすみませんでしたと頭を下げる。

「さて、本題に移るが――」
「全く関係ありません。桜華さんもそうだよね?」
「あの時が初対面だったし、あの人達と手を組む理由もないですね」

 きっぱりと告げると、ルルも同意するように首を縦に振る。

「……そうか。じゃあ、二人はこの町でどう暮らす気なのか教えてくれ」

 真剣な表情はカイゼルさんだけでなく、部屋の中を伺っている兵士の皆さんも。その無言の圧力にミッケさんが助けを求めるような目を向けてきます。

「どうもこうも、ルルは私と一緒にいるだけで、私自身はこの村に根を張った暮らしをするつもりですよ? 真偽をお疑いになられるのなら、この村で暮らす旨の挨拶を村長にしていますので、尋ねてみてください。それと、一般人に無言の威圧はしないでください」

 萎縮して何も発言できませんと続ければ、全員が口をあんぐりと開けました。

「立て板に水の如く喋っておいてそれはどうかと思うが……ま、確認してみるか。威圧はすまん」

 申し訳なさそうにするカイゼルさんの向こう側で、兵士の姿が消える。早速確認に向かったのでしょう。

「ミッケさんは?」
「私はのんびり狩猟生活かな」
「のんびり……か。そうか」

 カイゼルさんが困ったように額を掻いています。

「渡来人で問題が起きているとして、何か対策を?」

 気になった事なので質問すると、カイゼルさんは渋り切った表情になる。

「今日会議が有ってその辺の話し合いが行われたが、詳細はまだ聞いてないな。調べてくるから少し待っていてくれ」

 カイゼルさんが退室したので大人しく待ちます。扉から時折兵士の方がおっかなびっくり覗いてくるので手を振ってみると、青い顔して引っ込んでいきます。そこまで怖がらなくても暴れません。

 暫くして戻ってきたカイゼルさんに詰所の食堂に案内されます。

「阿呆の事は最後にする。まず、村長の件は確認が取れた。ま、細かい事は抜きにして三人は緩い監視付きだ。問題なしとなればそれも止めにする」

「監視付きですか。あれだけやったのに?」
「こちらの対応が悪いから問題なし。あいつらは王都で鍛え直してもらう事にする」

 血反吐を吐いても終わらない訓練をすることになるそうです。勿論、心は圧し折れるそうです。
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