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腹減り雀

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本編

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「ま。あいつのことは忘れて次いくぞ。渡来人への対応。特定の条件を満たした渡来人以外を対象として、商店は客扱いしない。ギルドでは冷遇を基本とする。一般の住人は極力関わらず、何かあれば拘束して罰金、牢屋行き」

 思っていたより深刻な事態に頭が痛くなってきました。

「二人の場合は、この村の中なら今までと変わらない」
「詳細を教えてくれますか?」

 商店。品の売り買いはするが細かい注文は一切受け付けない。場合によっては商売しない。
 生産関係も、場所の利用料が高くなる。素材の販売も制限が付く。

 商売。土地の購入に際し、厳格な審査が発生。賃貸物件だと賃金の増額。商売のやり取りを監視。

 狩猟者。買い取り素材の厳格化。昇格条件の厳格化。降格条件の簡素化。支援内容の簡素化。酷い場合は賞金首として手配。

「簡単だが、大体こんな感じだ。ああ。もう遅いし、ここで食っていけ。大将の店には劣るが、十分旨いぞ」

 横目で見ると、ミッケさんが頭を抱えています。気になったので軽く呼びかけると、勢いよく立ち上がると同時に叫びました。

「だー! むしゃくしゃする! こうなったらやけ食いだ!」
「おー!」

 ミッケさんとルルがカウンターへと走っていったと思ったら、大きな声で大盛りを要求しています。

「……元気な奴らだ」
「そうですね」

 自分たちも受け取りに行くと、時間的な問題なのか次から次へと人が食堂へやってきて、あっという間に席が埋まっていきます。さっきまで座っていた席は、カイゼルさんについてきていた目つきのきつい女性の兵士がキープしてくれていたので、五人で固まって席に着きます。

「ミッケさん、そんなに食べて大丈夫?」

 周りの人達は体が資本だから食べる量も多い。確かにミッケさんも体を動かす狩猟者ではあるけれど、彼らと比べると体の線は細い。それにも拘らず、周りの人より量を掻きこんでいます。
 ルルは小さな体なので、それなりの量なので心配にはなりません。

 心配で聞いてみたけど食べるのに集中しているらしく、綺麗に無視されました。その様子を苦笑しながらカイゼルさんが見つめています。

「後で胃薬でも渡すよ。ああ、明日からの監視だが、ミッケさんにはベテランのハンターが付く。桜華さんにはこのカレンだ」

 席を確保していてくれた女性兵士のカレンさんが無言のまま睨みつけてくるのに対して、目を合わせたままお辞儀します。

「あの、ベテランのハンターって、もしかして?」
「恐らく想像した人で合っている。明日からは地獄を見るかも知れないな」

 想像したのは、妙に大剣の似合う綺麗な若奥様。地獄って、なんでしょうか。

「厄介な事態にはなっているが、改めてよろしく」
「同胞がご迷惑をおかけしてすみません。こちらこそ、よろしくお願いします」

 ミッケさんは食べるのに夢中ではあるけど、きっちりと謝罪して話を切り上げる。この後はカイゼルさんの生まれたばかりの息子さんの話へと移り、立派な親馬鹿を知ることとなりました。

「ふぅ。満腹です」
「だね。もう入らない」
「はぁ。二人とも食べ過ぎですよ。それと、ちょっと寄り道しますよ」

 二人に断ってから雑貨屋によって布団を購入し、抱えたまま帰宅。家の近くまで来ると、ミッケさんから感嘆の声がでてくる。

「はぁ~。夜は夜で綺麗だね~」
「そういえば、夜は初めてでしたっけ」
「うん。ファンタジーだね」
「桜華と同じこと言ってる」

 ルルからの突っ込みに、ミッケさんと視線を合わせて微笑み合う。家の中に入ると、荷物はいったんリビングに置く。

「ミッケさん。こっちに水浴び場があるので、まずはさっぱりしてください。荷物は部屋の方に運んでおきます」
「お、ありがとう。では早速」

 着替えを持って浴室に行くのを見送ると、ミッケさんの荷物と布団を部屋に運ぶ。

「こっちにも洋服棚と、装備を置くための棚とか必要か」

 どういう形状にするかはレガードさんの店で確認するとして。
 リビングに戻って夜空を見ながら、ミッケさんが出てくるのを待ちます。

「さっぱりした。あ、桜華さん。ありがとう」
「いえいえ。ミッケさん、部屋にご案内しますね」

 ミッケさんを、自分が使っている部屋の向かい側にある部屋へと案内します。

「ありがとう。って、ベッドがある!」
「素人が作っているので強度に不安がありますが、使ってください。それと、棚に関してはこれから作っていくので、暫くはこのままで我慢してください」
「十分だけど、作るの? 桜華さんって魔具職人じゃなかったけ?」
「桜華は魔具を作らずに家具ばかり作ってるよ」

 驚いているミッケさんに対し、ルルが腰に手を当てて胸を逸らして答えています。お腹がポッコリと出ているので、笑いが込み上げてきます。

「生活環境を整えているだけです。私の部屋は向かい側にあるので、何かあったら来てください。では、おやすみなさい」
「あ、うん。おやすみ」

 ミッケさんと別れて自室に戻ると、魔力が切れるまで文字探しをしてからベッドに横になります。
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