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本編
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冗談はほどほどに切り上げて、ルーナさんを励ましてから話を切り替えます。
「ルーナさん。その荷車って借りることはできますか?」
「壊さなければ問題ないですよ。何をするんですか」
「後で石材の端材を移動させようと思うので、使いたいです」
ルーナさんに許可をもらっておいて作業を再開します。魔法陣の貼り付けと状態の確認を終えて箱詰めを済ませると、ルーナさんと一緒に荷車を押して広場へ移動します。
ルーナさんはそのままギルドへ向かい、私は公衆浴場の建設現場へ移動します。
それほど時間は経っていないのでそれほど変化はない物と思っていましたが、大工の皆さんの作業速度を甘く見ていたようで、既にあらかたの組み上げを終えていました。
「おう、おはようさん。早いな」
「おはようございます。グレンさん達には負けますよ」
「そうかぁ? ま、ゴーレムはもういいぞ。あれのお陰で大分助かった。借りたいときは声を掛ければいいか?」
「正直な話、あのゴーレムをどうしようか考えていなくて」
「おいおい。借りといてなんだけどよ、あんなでかい物どうするんだ。よく考えてから作れよ」
呆れ顔のグレンさんと職人の皆さん。視線が痛いです。
そうですね。クストースは護衛代わりとして傍にいてもらうとして、他の子達はどうしましょうか。自我がないので命令したことしかできないし。
「村の警邏とかどうだ」
考えているとグレンさんが提案してくれました。警邏ですか。
「門のところで待機して、有事に備えることは可能ですね。ディンさん、どうでしょうか」
「心強いけど、どうでしょうか。隊長に相談してみます」
ディンさんが引き受けてくれた処でルーナさんが手押し車を持ってきてくれたので、ゴーレムにお願いして岩の端材を積み込んでもらいます。
「こいつも持っていけ。すぐに乾くから気を付けろ」
グレンさんがついでの様に、目地を埋めるのに使っている漆喰の様な物を荷車に載せてくれました。
「ありがとうございます。それでは、失礼します」
「おう。また頼まぁ」
仕事に戻るグレンさんを見送って出発しようとすると、ルーナさんがアワアワしていました。
「どうしました」
「こ、こ、これ、重くて動かせそうにないなと」
「ああ。大丈夫ですよ。ゴーレムに後ろから押してもらいますから」
ルーナさんに退いて貰うと、身体強化を行いながら荷車を引きます。ゴーレムに押してもらっているから、結構簡単に動き出しました。
「あ、おねーちゃんだ!」
「え、どこ」
「あそこにいるよ~」
広場を出ようとしたところで子供達の元気な声。昨日より三人程増えていますね。
「おねーちゃん。牧場で遊んでもいい?」
「いいけど、約束は守ってね」
「は~い」
子供たちは今日も元気ですね。
賑やかな子供達と一緒に牧場へ入ると、牧場の中央からやや自宅寄りの位置に荷車を止めます。
ゴーレムに荷車の端材を下ろしてもらっていると、イアンさんが牛乳缶をもってやってきました。
「桜華さん、今日の分」
「ありがとうございます」
「何か作業?」
「メリちゃん達の毛刈りの為にも水浴び場兼用の噴水を作ろうかと」
「ほほう。面白そうだね」
端材を下ろし終えたようなので、地面を直径三メートル深さ四十センチぐらいの大きさで掘ってもらいます。
底面には比較的大きな物を、切断面を上にして平らになるように地面を調整しながら敷き詰めていきます。
縁も岩を斬って形を整えて並べて、親方に頂いた目地材を使って目地を埋めていく。乾くのを待っている間、他の岩を斬って形を整えていきます。
岩を斬っていると、子供達が目を輝かせて歓声を上げながら注目してきます。少しやりづらいです。
ここまで作業を終えると目地が乾いていたので、魔石を利用して一定量の水を生成する魔法陣を底面に張り付け。 次に、整えた石材を水面下に当たる部分は所々隙間を開けた円錐状で、水面より上に当たる部分は円筒状に六十センチ程積み上げて、目地を埋めます。
一度家に戻って水の魔石を回収してくると、こちらも魔石の魔力を利用して水を吸い上げて、勢いをそのままに吹き上げる魔法陣を張り付けます。
「これでよしっと。後は魔石を付けて」
先程持ってきた魔石を取り付けようとすると、ディンさんとヨハンさんが子供達と見物していたイアンさんを噴水から遠ざけていき、ルーナさんも大げさとしか言いようのない速さで距離を取ります。
「……皆さん」
「いや、何が起きても対処できるように。ね」
ヨハンさんが笑顔で返してくれましたが、ディンさんとルーナさんはこちらを見ようとしてくれません。
「別にいいですけど」
まずは底面側の方に魔石を取り付けて起動させます。勿論魔石には魔力回復促進付です。狙い通り、予定水位まで水が溜まりました。
次は噴水の方です。こちらにも魔石を取り付けて起動をさせると少し離れます。最初は変化ないように見えましたが、少し時間が経つと勢いよく水が噴き上がりました。
「……三メートルは上がっていますね」
元気が良すぎる気もしますが、これでも最低値で設定しているはずです。どうしようもないですね。
一度停止させると、噴水の外側に噴水内へ向けて緩い傾斜になるよう円状に石材を埋めていき、目地を埋めて作業完了です。
魔力の残量はまだ余裕があるようです。日毎に増えていっているのでしょうか。
「色々とやっていたら、もうお昼ですね」
子供達も一度お昼ご飯を食べに帰るそうなので、牛乳缶をテラスに置いてから中央広場まで一緒に荷車を押しながら移動します。
道中、男の子達から岩を斬るコツを教えてとせがまれました。道具のお陰なのですが、そう伝えるとやらせてほしいと言われそうなので、地道な基礎練習を突き詰めたらできると言っておきました。真っ直ぐで輝く瞳がつらいです。
広場に付けば、賑やかな子供達とは別れてギルドで荷車の返却を行い、食材屋に入って食料の購入をして帰宅すると、買ってきた食材で調理します。ルーナさん達も持ってきていなかったようなので、纏めて作って一緒に食べます。
ディンさんからお褒めの事を頂き、ヨハンさんからは口説かれ、ルーナさんは夢中で食べてくれました。断ってもしつこいヨハンさんの事は、ルーナさんを通してエレノアさんに報告してもらうことにしましょう。
「ルーナさん。その荷車って借りることはできますか?」
「壊さなければ問題ないですよ。何をするんですか」
「後で石材の端材を移動させようと思うので、使いたいです」
ルーナさんに許可をもらっておいて作業を再開します。魔法陣の貼り付けと状態の確認を終えて箱詰めを済ませると、ルーナさんと一緒に荷車を押して広場へ移動します。
ルーナさんはそのままギルドへ向かい、私は公衆浴場の建設現場へ移動します。
それほど時間は経っていないのでそれほど変化はない物と思っていましたが、大工の皆さんの作業速度を甘く見ていたようで、既にあらかたの組み上げを終えていました。
「おう、おはようさん。早いな」
「おはようございます。グレンさん達には負けますよ」
「そうかぁ? ま、ゴーレムはもういいぞ。あれのお陰で大分助かった。借りたいときは声を掛ければいいか?」
「正直な話、あのゴーレムをどうしようか考えていなくて」
「おいおい。借りといてなんだけどよ、あんなでかい物どうするんだ。よく考えてから作れよ」
呆れ顔のグレンさんと職人の皆さん。視線が痛いです。
そうですね。クストースは護衛代わりとして傍にいてもらうとして、他の子達はどうしましょうか。自我がないので命令したことしかできないし。
「村の警邏とかどうだ」
考えているとグレンさんが提案してくれました。警邏ですか。
「門のところで待機して、有事に備えることは可能ですね。ディンさん、どうでしょうか」
「心強いけど、どうでしょうか。隊長に相談してみます」
ディンさんが引き受けてくれた処でルーナさんが手押し車を持ってきてくれたので、ゴーレムにお願いして岩の端材を積み込んでもらいます。
「こいつも持っていけ。すぐに乾くから気を付けろ」
グレンさんがついでの様に、目地を埋めるのに使っている漆喰の様な物を荷車に載せてくれました。
「ありがとうございます。それでは、失礼します」
「おう。また頼まぁ」
仕事に戻るグレンさんを見送って出発しようとすると、ルーナさんがアワアワしていました。
「どうしました」
「こ、こ、これ、重くて動かせそうにないなと」
「ああ。大丈夫ですよ。ゴーレムに後ろから押してもらいますから」
ルーナさんに退いて貰うと、身体強化を行いながら荷車を引きます。ゴーレムに押してもらっているから、結構簡単に動き出しました。
「あ、おねーちゃんだ!」
「え、どこ」
「あそこにいるよ~」
広場を出ようとしたところで子供達の元気な声。昨日より三人程増えていますね。
「おねーちゃん。牧場で遊んでもいい?」
「いいけど、約束は守ってね」
「は~い」
子供たちは今日も元気ですね。
賑やかな子供達と一緒に牧場へ入ると、牧場の中央からやや自宅寄りの位置に荷車を止めます。
ゴーレムに荷車の端材を下ろしてもらっていると、イアンさんが牛乳缶をもってやってきました。
「桜華さん、今日の分」
「ありがとうございます」
「何か作業?」
「メリちゃん達の毛刈りの為にも水浴び場兼用の噴水を作ろうかと」
「ほほう。面白そうだね」
端材を下ろし終えたようなので、地面を直径三メートル深さ四十センチぐらいの大きさで掘ってもらいます。
底面には比較的大きな物を、切断面を上にして平らになるように地面を調整しながら敷き詰めていきます。
縁も岩を斬って形を整えて並べて、親方に頂いた目地材を使って目地を埋めていく。乾くのを待っている間、他の岩を斬って形を整えていきます。
岩を斬っていると、子供達が目を輝かせて歓声を上げながら注目してきます。少しやりづらいです。
ここまで作業を終えると目地が乾いていたので、魔石を利用して一定量の水を生成する魔法陣を底面に張り付け。 次に、整えた石材を水面下に当たる部分は所々隙間を開けた円錐状で、水面より上に当たる部分は円筒状に六十センチ程積み上げて、目地を埋めます。
一度家に戻って水の魔石を回収してくると、こちらも魔石の魔力を利用して水を吸い上げて、勢いをそのままに吹き上げる魔法陣を張り付けます。
「これでよしっと。後は魔石を付けて」
先程持ってきた魔石を取り付けようとすると、ディンさんとヨハンさんが子供達と見物していたイアンさんを噴水から遠ざけていき、ルーナさんも大げさとしか言いようのない速さで距離を取ります。
「……皆さん」
「いや、何が起きても対処できるように。ね」
ヨハンさんが笑顔で返してくれましたが、ディンさんとルーナさんはこちらを見ようとしてくれません。
「別にいいですけど」
まずは底面側の方に魔石を取り付けて起動させます。勿論魔石には魔力回復促進付です。狙い通り、予定水位まで水が溜まりました。
次は噴水の方です。こちらにも魔石を取り付けて起動をさせると少し離れます。最初は変化ないように見えましたが、少し時間が経つと勢いよく水が噴き上がりました。
「……三メートルは上がっていますね」
元気が良すぎる気もしますが、これでも最低値で設定しているはずです。どうしようもないですね。
一度停止させると、噴水の外側に噴水内へ向けて緩い傾斜になるよう円状に石材を埋めていき、目地を埋めて作業完了です。
魔力の残量はまだ余裕があるようです。日毎に増えていっているのでしょうか。
「色々とやっていたら、もうお昼ですね」
子供達も一度お昼ご飯を食べに帰るそうなので、牛乳缶をテラスに置いてから中央広場まで一緒に荷車を押しながら移動します。
道中、男の子達から岩を斬るコツを教えてとせがまれました。道具のお陰なのですが、そう伝えるとやらせてほしいと言われそうなので、地道な基礎練習を突き詰めたらできると言っておきました。真っ直ぐで輝く瞳がつらいです。
広場に付けば、賑やかな子供達とは別れてギルドで荷車の返却を行い、食材屋に入って食料の購入をして帰宅すると、買ってきた食材で調理します。ルーナさん達も持ってきていなかったようなので、纏めて作って一緒に食べます。
ディンさんからお褒めの事を頂き、ヨハンさんからは口説かれ、ルーナさんは夢中で食べてくれました。断ってもしつこいヨハンさんの事は、ルーナさんを通してエレノアさんに報告してもらうことにしましょう。
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