1億の犠牲と1つの居場所

雷兎

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【第3話】出会い

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 私はドアの前に急いで駆け寄る。ドアの前で深呼吸を軽くして、鍵を鍵穴に──

────差し込めなかった。

──ここまで焦らしておいて、鍵が違うとか

「……ないでしょ……」
 確かに喜びのあまり、鍵を確認しなかった。
 けれど、こういうときは大体その見つけた鍵で開くものだと思っていただけに、この絶望は大きい。

「落ち着いて調べないと……」

──もしゲームとかだとどうすれば出られる?

 私は昔やった脱出ゲームを思い出した。その時は、確か本棚の下に穴があってその中に入っていた。

──もしかして

「……本棚の下に穴が?」

 私は本棚に入っている本を全て取り出し、本棚を横から押した。
 するとノアが、かがめば入れそうな扉があった。

──本当にあった。思っていたのと違うけど。とにかくこの部屋から出よう……。

「……!?」

 扉には鍵がかかっていた。

──もうこの鍵じゃなかったら、私もう探すの嫌なんだけど

 恐る恐る鍵を鍵穴に差し込んでみる。どうやらこの鍵だったみたい。
 鍵をひねると、カチッっと小さく音がして扉が開いた。

「よかった。ゲームも意外と役に立つのね」

そう言って私は扉をくぐる。
 扉の抜けて入った部屋は、暗く、部屋を探索する事は不可能だった。

「暗くてよく見えない……。電気をつけなきゃ」

 そう言って明かりをつけようとかべを伝い始めたとき

「ようこそ。おねえちゃん。」

 暗い部屋の中、1人の幼い子供の声が響いたのだった──。
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