悪役令息だと思っていたら健気令息だったので、好きになってしまった

まんまる

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「アンリ、準備は出来たかい?⋯っ!!」
「ジェイド、お待たせ」
「なんて綺麗なんだ⋯」

アンリのあまりの美しさに息を飲んだ。いつもはふわふわしている髪が、今日は波打つように巻いてあり豪華な雰囲気になっている。化粧もしっかり施されていて、目にも頬にも唇にもパッと花が咲いているようだ。

「ジェイドも濃紺ネイビーのスーツかっこいい。そのブローチ僕の瞳の色だね」
「アンリもとても美しいよ」
「今日はサシャが張り切ってくれたんだ。お化粧も綺麗にしてくれたんだよ」
「ああ、とても綺麗だ。サシャよくやった」
「ありがとうございます。やっとアンリ様を綺麗にして差し上げられて、腕が鳴りました」
「ははっ、いつもは着飾るのを嫌がるからな」
「嫌なんじゃなくて、ずっと家にいるから必要ないでしょ。でも髪の毛きれいにしてもらうの楽しかったから、又してね」
「お任せ下さいアンリ様。さあ、そろそろお時間ですよ」
「そうだな、では行こうかアンリ」
「うん!」



二人揃って王城に来るのは久しぶりだ。カイル様が婿入りされる前に挨拶に来てからだから、三年振りになる。夜の王城に来るのは、もちろん夫夫揃っては初めてだ。

「わあ、綺麗」
「今日は夜会だから、いつもより明かりが多く灯してある」
「ジェイドは警備のお仕事で来たことあるんでしょ?」
「そうだな。アンリが夜会に出席しなくていいように、俺が仕事ということにすれば、誰も文句は言わないからな」
「ふふっ、ありがとうジェイド」
「アンリ⋯」
「ジェイド⋯」

ガタン

「ごほん、着いたみたいだな。さあ手をどうぞ」
「ふふっ、はい」


王城の中は多くの明かりが灯され、豪華絢爛な装飾品を照らして目も眩むようだ。赤い絨毯が敷かれた長い廊下を進んで行くと、煌びやかな衣装を纏った人々が見えてきた。

「アンリ、もうすぐ会場に着くよ。緊張しているみたいだけど、大丈夫かい?」
「うん、ジェイドそばにいてね」
「決して離れないよ」

爵位で順番に呼ばれるのでしばらく待ち、呼ばれたところで腕を絡ませ、アンリをエスコートして会場に入る。皆それぞれに会話をしていて、既にザワザワと賑わっている。
俺達の靴音が会場に響くと、皆こちらに目を向ける。
すると、皆会話を止め、会場が水を打ったような静けさになった。そして、感嘆の声が一斉に漏れる。

皆アンリに見惚れているのが分かる。
初めて見た者がほとんどだろう。
急に現れた見たこともない美しい人に皆理解が追いつかないといった顔だ。

自分が注目されているのに気付かないアンリをエスコートして端の方へ行き、皆に見えないような位置に立つ。
しかし、我先にとこちらに向かってくるのが足音で分かる。

「チッ」
「どうしたの?ジェイド」
「何でもないよアンリ」

足音が間近に聞こえ身構えた時、国王陛下お出ましの声が響く。

「アンリ、陛下とカイル様に挨拶したら帰ろうか」
「うん、人が多いのやっぱりちょっと疲れるね」

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