白い結婚だと思っていたら、(溺愛)夫にガブガブされて、番になっていたようです

まんまる

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いよいよ今日、僕とアリウスは結婚する。

王族の僕と、現侯爵であり、王宮騎士団団長を務めるアリウスの立場もあって、披露宴は盛大にする事になった。
でも結婚式は、落ち着いた雰囲気の中で愛を誓いたくて、極々身近な人達だけを呼ぶ事にした。


コンコン

ちょうど僕の支度が終わった時、自室の扉が軽やかに叩かれた。
僕が小さくうなずいて侍女に目配せをすると、侍女が扉を開けてくれた。

「シルティ、お迎えに上がりました」
「アリウス!」

僕は、扉から入ってきたアリウスに飛びついた。

ふぁっ、アリウス、かっこいい。

アリウスは、騎士団の正装である白い騎士服を身にまとい、漆黒の髪を凛々しく後ろに流していた。

こんなかっこいいアリウスが、今日から僕の夫になるなんて、まるで幸せな夢を見てるみたいだ。

「アリウス、迎えに来てくれて、ありがとう」

僕は、ぎゅっとアリウスを抱き締めた。
でも、アリウスは背筋をぴんと伸ばしたまま、何も言わずに立ち尽くしている。

「アリウス?どうしたの?わわっ!」

僕がアリウスの顔を覗き込もうとすると、アリウスは慌てて僕の背中に腕を回して、離れかけた僕を抱き寄せた。

「はぁ、シルティが美しすぎて、今、目を合わせたら、私は何をするか分かりません」
「へっ?」
「私が贈った婚礼衣装を身にまとい、私が選んだ私の瞳の色の宝石を身に付け、色白の肌を存分に活かした淡い化粧を施し、全身から甘い香りを漂わせ、ああっ、くそっ、私の想いの半分も言葉にできん!」
「アリウス!もう充分、しゃべってるよ!」
「ああ、見せたくない。結婚式はやるとして、披露宴は、無駄に人を呼んでしまったからな」

アリウスはぶつぶつと、僕の頭の上で独り言を呟いている。

「ア、アリウス、あんまりくっつくと、僕のお化粧が付いちゃうよ。結婚式は今からなのに」
「私は、そんな事は気にしません」
「僕が気にするのっ!」

僕はアリウスの胸に両手を当てて、ぐっと腕を伸ばした。

「アリウス、早く神殿に行こう」

僕はアリウスを見上げて、わざと瞳を潤ませた。

「ぐうっ、し、仕方ない」

アリウスは渋々僕から離れ、腰に腕を当てて、エスコートの形を取った。
僕は自分の腕を、するりとアリウスの腕に絡ませ、たくましい二の腕にもたれかかった。

「僕だって、こんなにかっこいいアリウスを、誰にも見せたくないよ。あっ、声に出ちゃった」

思わず心の声が漏れて、僕は慌てて空いている手で口を塞いだ。

アリウス、聞こえてないよね?

歩きながら、そっとアリウスの顔を見上げると、アリウスは前も見ずに、僕の顔を穴が開く程見つめていた。

「わわっ、アリウス、もしかして、聞こえた?」

アリウスは何も言わずに、ぴたりと歩みを止め、僕をいきなり横抱きにした。

「わあっ!アリウス、何するの!?」
「シルティ、結婚式も披露宴も、さっさと済ませましょう」
「ええっ!?」

アリウスは僕を抱えたまま、広い王城の中を駆け抜け、そのまま馬車に乗り込むと、御者ぎょしゃに急いで神殿に向かわせた。



「アリウス・キーファ、シルティ・フレア、汝ら、富める時も、病める時も、生涯、互いを愛する事を誓いますか?」

「「はい、誓います」」

「それでは、誓いの口づけを」

神官長の合図で、僕とアリウスは互いに向き合い、視線を絡ませた。
アリウスとの口づけは初めてじゃないけど、やっぱり今日は、特別な気持ちが込み上げてくる。

アリウスの顔がすっと近づいてきた。
僕は静かに目を閉じた。

チューーーッ

⋯⋯長くない?

いつまで経っても、アリウスが離れてくれない。
僕は、アリウスの背中を何度も叩いた。
さすがに、招待客がざわざわと騒ぎ始めた。

「んんん!んん!」

チューーーッ

「ごほん、キーファ団長、いい加減に⋯」

チューーーッ

「いい加減に、しなさいっ!!」

神官長はそう叫ぶと、アリウスの後ろに回り込み、脇の下から肩に腕を回して、ぐいぐい引き離しに掛かった。
それでもアリウスは、僕の唇から離れようとしない。

「キーファ団長、いい歳して、みっともないですよっ!」

「いい歳して⋯」(小声)

神官長の言葉の何がアリウスに刺さったのか分からないけど、アリウスはようやく僕を解放してくれた。

僕が肩で息をしながら恐る恐る招待客を見ると、皆、一様に口をぽかんと開けて、呆然としていた。



結婚式も無事(?)に終わり、披露宴は慌ただしく挨拶だけ済ませると、僕はアリウスにさらわれるように、侯爵邸に連れてこられた。

それから、あれよあれよと侍女から体を磨かれ、僕はアリウスの自室に放り込まれた。

ごくっ

これからいよいよ、初夜が始まるのか。

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