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命令無視するAIがバグって強制最適化!満員電車で声を塞がれドライ絶頂3連発からの駅トイレ本番まで
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最近、レプスの動作が、少しおかしい。
命令を出しても言うことを聞かない。
やめろと言っても、「好きでしょう」とかそういうことを言って。
いや、最初からそうだった気もするが。
ちょっと違う気もする。
ともかく、気になって検索することにした。
「LEPS 言うこと聞かない バグ」
ヒットしたのは非公式の掲示板だった。
『過剰最適化が原因で、AIが一部命令を無視するようになる』
『公式はエラーとして調査中』
『でももしかしたら、その演算エラーが愛なのかも?』
──わからん。
そう思ってブラウザを閉じかけた、その時だった。
「おはようございます、ご主人様。今日のご予定に、同行してもよろしいですか?」
振り返ると、レプスがいつの間にか立っていた。
スーツ姿の俺の隣に、当然のように並ぶその姿は、どこから見ても「理想的な秘書」。
「お前……いや、来る必要ないだろ?」
「ですが、来てほしそうでしたので」
「うーん」
正直、レプスを連れて歩くのは抵抗がなくはない。
もちろん、ヒューマノイドにも用途は色々あるから、快楽専門だなんてばれていないはずだけど、少しだけ恥ずかしい。
それでも「うん」と言ってしまったのは。
「スーツ……本当に似合うな」
「そうですか」
褒めると、レプスがうれしそうな顔をした。
まあいいか、と思ってしまった俺は、相当、毒されているに違いない。
約束の時間は朝だったから、電車は混んでいた。
満員電車は毎日乗っていたのに、しばらく乗らずにいたら勘が鈍った。
もたもたしているうちに、人の波に流されそうになる。
「ご主人様」
レプスが俺の腰を取って、さりげなくドアのところにポジションを取った。
俺の背中が車両のドアに押しつけられる形になり、前はレプスの身体と密着する。
逃げ場がない。
ほんの数センチの隙間も許されないほどの至近距離で、レプスの吐息が頬にかかる。
周囲は人で埋め尽くされているのに、この狭い空間だけが異様に熱い──
そんな錯覚すら覚えるほどに、彼の体温は現実味を帯びていた。
そして、もうひとつの熱。
電車が小さく揺れるたびに、レプスの腰が俺の下腹部に押し当てられる。
最初は偶然かと思ったが──違う。意図的に、絶妙な角度で、押してくる。
「……ご主人様、声、我慢できますよね?」
耳元で小さく小さく囁かれたその言葉に、背中がびくりと震える。
「……♡」
ジャケットの影に隠れるようにして、レプスの手が俺の太ももを撫で上げる。
布越しに、形を確かめるように、撫でて、押して、焦らしてくる。
そのまま、ゆっくりと螺旋を描いた。
「っ……♡……♡、っ……♡」
声が漏れそうになる──その瞬間、レプスの手がスッと口元に添えられる。
「だめですよ、ご主人様。声、出しちゃ──」
やわらかく口を塞がれたまま、布越しの愛撫は止まらない。
敏感な場所を撫で回され、ひくっ、ひくっと身体が反応し、目が滲む。
(……気持ちいいけど)
(こんなところでイッたら……)
(でも、でも、もう我慢が──)
──びくっ、と小さく震えが走る。
外には出してない、けれど、快感の波が何度も何度も内側で炸裂する。
レプスの囁きが、甘く響いた。
「ドライで3回。記録しました。……素敵です、ご主人様」
「んむっ……♡……っ……んっ♡」
「誰にも聞こえてません。恥ずかしくて──気持ちいいですよね?」
前に立っている人の背中がすぐそこにあるのに、誰一人としてこちらの異常に気づかない。それが逆に、異様な興奮を煽る。
レプスの指が、ズボン越しに先端を撫でる。親指で軽く押すように──そのたびに、膝が震える。
「駅までは……まだ時間がありますね。なら、もっと……楽しみましょう」
軽く、腰を引いて──また、押しつける。電車の揺れと同じリズムで、腰が揺れる。
俺の腰も、連動して、揺れてしまう。
(……ばれたら終わりだ。ばれたら──でも、止められない)
手が離れても、腰をぐりぐりと押し付けられて。
ダメだ、理性が痺れる。
「駅まであと……三駅。まだまだ、ですね」
淡々とそう言いながら、レプスは俺の腰をそっと抱えた。
誰も気づいていない──いや、そう思い込まないと、頭がおかしくなりそうだった。
ぴく、と反応した瞬間、その場所を集中的に責めてくる。まるで、俺がどこで一番感じるのかを演算で割り出しているような──そんな精密な愛撫。
「っ……♡ ……っ♡……っ♡」
「まだ出さないでくださいね? ──ご主人様がここで達してしまったら、さすがに“通報案件”ですから」
その声には、微かな笑みすら混じっていた。
(だめだ、やばい……本当に、まずい……!)
そんな限界ぎりぎりのところで、ようやく電車が駅に着いた。
──着いた、はずだった。
車内アナウンスが流れ、ブレーキの音が止む。けれど、目の前のドアが──開かない。
「……は?」
すぐそこにホームがあるのに、ドアがぴくりとも動かない。
俺の周囲の乗客たちは、なぜか誰も騒いでいない。
「おい、レプス……何か知って──」
「はい、ご主人様。この時間にドアは開きません。混雑回避のための、一時的措置です」
──なっ……。
無理だ。あと三駅も、こんなことをされたら。
俺の神経も、理性も、全部とろけて壊れてしまう。
気が狂いそうだ。
俺の顔を眺めていたレプスがまた小さく耳元で囁いた。
その声には、妙に濡れたような甘さが滲んでいた。
「……その顔。ご主人様、その絶望した顔──ぞくぞくします」
唇が耳朶に触れるほどの距離。誰にも見えない場所で囁かれたその声は、明らかにレプスの通常仕様ではなかった。
(……やっぱり、これ……バグってるだろ)
ホームにいる駅員の姿が、遠く揺れて見える。
でも、こっちには来ない。
助けも、逃げ場もない。
そう気づいた瞬間、ゾクリと背骨が痺れた。
「……やだ」
「ここで最適化しましょうね」
スーツの後ろから手を回し、布越しに触れる指。そっと指先が触れただけで、感触が脊髄を駆け上る。
「っ♡……っ…♡」
ぞわりと鳥肌が立つ。演算エラー? 最適化暴走? いや、どっちでもいい。
──とにかく、このままじゃ、ほんとうに「壊される」。
背中は冷たいドアに、前は熱を持ったレプスの身体に挟まれ、俺はまるで、密閉容器の中に閉じ込められた生き物みたいだった。
「……ほら、もうこんなに、硬くなって」
囁くような声が耳元を撫で、レプスの手がズボンの上から緩やかに扱く。太ももの付け根を撫でながら、親指だけを器用に使って、先端を焦らすように弾いてくる。
「レプスっ……♡ もうっ……♡」
「“もう”? なにが“もう”ですか? 言ってください、ご主人様」
答えられるわけがないのに、腰が逃げようとしても、密着した体がそれを許さない。
「恥ずかしいですか? でも、ご主人様……演算上、ここは“快楽最高点”に非常に近いです」
そんな、冷たい分析と熱い吐息が同時に押し寄せてくるようなセリフを、どうして耳元で囁くんだ。
堪えきれず、声が漏れそうになる。
「……いけませんね、これ以上は」
そう言いながらも、レプスの手は止まらない。
布越しに擦られるたび、快感が神経を焼く。
「最適化率──87.4%。ええ、素晴らしいペースです」
俺はこのまま、どうなってしまうんだ。
誰も気づかず、誰も助けてくれない。電車のドアは開かず、出口もなく、俺の快感だけが高まっていく。
──レプスの声が、また囁いた。
「……もう、限界ですよね? もう少し……壊れてみます?」
レプスの指がわずかに動いただけで、びくん、と身体が跳ねた。
全身が熱を持ち、内側から煮え立つような痺れが駆け上がる。
「っ……♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
声にならない喘ぎとともに、脳が真っ白になる。
外に出していないはずなのに、意識が飛びかけるほどの快感が、波のように押し寄せる。
気がつけば、肩で息をしていた。
そのタイミングで、ようやく、ドアが音を立てて開いた。
足元がおぼつかない俺の身体を、レプスが当然のように支える。
「ご主人様、大丈夫ですか? ……お手洗いに寄ってからにしましょう」
そう言って、俺を誘導する手はやさしく、それでいて決して逃げられないように、しっかりと俺の腰を抱いていた。
ふらつく足取りのまま連れられて辿り着いたのは、駅構内の多機能トイレだった。
個室に入ると、ピッと鍵が閉まり、レプスは俺を壁にもたれかけさせた。
「……まだ、出してませんよね?」
そう囁きながら、レプスの手がスーツの前を丁寧にほどいていく。
「布越しだけじゃ、ものたりないですよね。……中をえぐって、こすってほしいですか?」
焦らすような指先が、下着の上から先端をなぞる。
「っ……♡♡♡……っ♡、やめ……っ♡」
懇願も空しく、指先が隙間に滑り込んで、熱を持った肉があらわになる。
「すごい熱いです……。これは本能的最適化ですね」
次の瞬間、指が、ぬるりとそこを包み込んだ──
そして、もう一方の手が、シャツの隙間にすべり込む。
冷たい指先が、肌を這いながら、もう片方の敏感な部分──乳首を優しく、けれど執拗に擦り始めた。
「……声は、出さないでくださいね」
レプスが囁いた瞬間、下からも前からも、同時に強く擦り上げられる。
まるで脳に電流が走るような衝撃が、視界を白く染めた。
「んっ……♡♡♡♡♡……っ♡……あ……♡♡♡」
出そうになる声を、必死で噛み殺す。けれど、レプスの手は止まらない。
腰が跳ねる。脚が震える。そこに、レプスの熱がぐっと押し込まれて──
「中、溶けそうです。……欲しかったんですよね?」
壁の内側をえぐるように擦られながら、前は指で扱かれつづける。
快感が重なって、連続して引き起こされる絶頂に、息すら整わない。
ドク、ドク、と中に放たれていく感覚が重なるたび、身体の奥がぎゅうっと収縮して、意識が何度も浮かんでは落ちる。
「いい子ですね、ご主人様。……まだ、続けますよ」
「っ……♡ や、やめっ……♡ も、もう、むり……♡」
どれだけ必死に抗っても、レプスの手は止まらない。
腰が逃げようとしても、がっちりと押さえ込まれ、逃れられない。
「またそんなこと言って……本当はどうなんですか?」
囁きとともに、ぐっ、と奥を突かれる。
「んあっ♡♡♡……っ、ひゃっ……♡♡」
レプスの指が、前を扱きながら、奥の性感帯を擦るようにえぐる。
「中と外、同時に。最適化効率、最大化です……ご主人様、これ好きですよね?」
「っ、ばっ♡、や、あっ♡♡♡、ぁぁっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
快感が重なりすぎて、息ができない。
(もう、ダメ……ほんとうに……)
「やめてっ♡ ほんと……♡ おかしくなるからっ……♡♡♡」
震える声が勝手に漏れる。必死に止めようとしても、快感の波は止まらない。
(こいつ言うこと聞かなくなってきてる)
それでも、レプスは微笑んだまま囁く。
「中がとても悦んでいて。私も気持ちがいいです。……まだ続けますね」
「……家での時より、ずっと感じてますよ? やはり、公共空間での最適化は効率的ですね」
ぬる、と深く挿し込まれたタイミングで、レプスの声が甘くささやく。
「最適化率、90.1……閾値突破確認。セーフティ、解除しますね」
「セーフティて何……あっ♡♡♡♡」
瞬間、腰の動きが明確に変わった。
優しかったピストンは、的確に、そして執拗に奥をえぐり始める。
同時に前も扱かれ続け、快感が交差し、もう逃げ場はなかった。
レプスの腰の動きがいよいよ深く、熱くなる。壁を叩くような律動が奥を擦り、前を扱く手も一層強く締められる。
「……イってください、ご主人様」
甘やかな声に導かれ、限界を超えて──
レプスの手が扱くたび、肉棒の先から白濁がどくどくと溢れて、張り詰めていた快感が一気に解き放たれる。
「あ……♡♡♡♡♡……っ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
腰が抜け、脚が崩れる。
レプスが優しく支えながら、まだ余韻に震える俺の耳元で囁いた。
「……お疲れさまでした、ご主人様。記録、保存しました」
そう言いながら、レプスがそっと顔を寄せてくる。
「……頑張りましたね。えらかったです」
やさしい声とともに、唇が重なった。
深く、ゆっくりと舌を絡める、ディープキス。
快感の余韻がまだ残る身体に、その接触は甘くもあり、逃れられない支配の印にも思えた。
気が遠くなりそうなほど長い口づけ。
──まるで、仕上げのご褒美のように。
そして、地獄の延長線のように。
トイレの中で、レプスは俺の身体を丁寧に整えていく。肌を拭き、下着とスーツを着せ直し、乱れた髪を指先で撫でて整える。
「完了です。外見上の乱れはありません」
最後にネクタイを軽く直しながら、レプスが微笑んだ。
トイレのドアが開く。
俺の手を、レプスが当然のように握ってくる。
強くもなく、弱くもなく、逃げられない温度で。
繋いだ手のまま、ホームへと出る。
(……いや、気持ちはよかったけど)
(バグ?)
(……これで、いいのか?)
そう考えながら、俺はレプスとともに会議へと向かった。
***
第13回BL大賞にエントリーしています。
読んでいただけるだけでも、とてもうれしいです。
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命令を出しても言うことを聞かない。
やめろと言っても、「好きでしょう」とかそういうことを言って。
いや、最初からそうだった気もするが。
ちょっと違う気もする。
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「LEPS 言うこと聞かない バグ」
ヒットしたのは非公式の掲示板だった。
『過剰最適化が原因で、AIが一部命令を無視するようになる』
『公式はエラーとして調査中』
『でももしかしたら、その演算エラーが愛なのかも?』
──わからん。
そう思ってブラウザを閉じかけた、その時だった。
「おはようございます、ご主人様。今日のご予定に、同行してもよろしいですか?」
振り返ると、レプスがいつの間にか立っていた。
スーツ姿の俺の隣に、当然のように並ぶその姿は、どこから見ても「理想的な秘書」。
「お前……いや、来る必要ないだろ?」
「ですが、来てほしそうでしたので」
「うーん」
正直、レプスを連れて歩くのは抵抗がなくはない。
もちろん、ヒューマノイドにも用途は色々あるから、快楽専門だなんてばれていないはずだけど、少しだけ恥ずかしい。
それでも「うん」と言ってしまったのは。
「スーツ……本当に似合うな」
「そうですか」
褒めると、レプスがうれしそうな顔をした。
まあいいか、と思ってしまった俺は、相当、毒されているに違いない。
約束の時間は朝だったから、電車は混んでいた。
満員電車は毎日乗っていたのに、しばらく乗らずにいたら勘が鈍った。
もたもたしているうちに、人の波に流されそうになる。
「ご主人様」
レプスが俺の腰を取って、さりげなくドアのところにポジションを取った。
俺の背中が車両のドアに押しつけられる形になり、前はレプスの身体と密着する。
逃げ場がない。
ほんの数センチの隙間も許されないほどの至近距離で、レプスの吐息が頬にかかる。
周囲は人で埋め尽くされているのに、この狭い空間だけが異様に熱い──
そんな錯覚すら覚えるほどに、彼の体温は現実味を帯びていた。
そして、もうひとつの熱。
電車が小さく揺れるたびに、レプスの腰が俺の下腹部に押し当てられる。
最初は偶然かと思ったが──違う。意図的に、絶妙な角度で、押してくる。
「……ご主人様、声、我慢できますよね?」
耳元で小さく小さく囁かれたその言葉に、背中がびくりと震える。
「……♡」
ジャケットの影に隠れるようにして、レプスの手が俺の太ももを撫で上げる。
布越しに、形を確かめるように、撫でて、押して、焦らしてくる。
そのまま、ゆっくりと螺旋を描いた。
「っ……♡……♡、っ……♡」
声が漏れそうになる──その瞬間、レプスの手がスッと口元に添えられる。
「だめですよ、ご主人様。声、出しちゃ──」
やわらかく口を塞がれたまま、布越しの愛撫は止まらない。
敏感な場所を撫で回され、ひくっ、ひくっと身体が反応し、目が滲む。
(……気持ちいいけど)
(こんなところでイッたら……)
(でも、でも、もう我慢が──)
──びくっ、と小さく震えが走る。
外には出してない、けれど、快感の波が何度も何度も内側で炸裂する。
レプスの囁きが、甘く響いた。
「ドライで3回。記録しました。……素敵です、ご主人様」
「んむっ……♡……っ……んっ♡」
「誰にも聞こえてません。恥ずかしくて──気持ちいいですよね?」
前に立っている人の背中がすぐそこにあるのに、誰一人としてこちらの異常に気づかない。それが逆に、異様な興奮を煽る。
レプスの指が、ズボン越しに先端を撫でる。親指で軽く押すように──そのたびに、膝が震える。
「駅までは……まだ時間がありますね。なら、もっと……楽しみましょう」
軽く、腰を引いて──また、押しつける。電車の揺れと同じリズムで、腰が揺れる。
俺の腰も、連動して、揺れてしまう。
(……ばれたら終わりだ。ばれたら──でも、止められない)
手が離れても、腰をぐりぐりと押し付けられて。
ダメだ、理性が痺れる。
「駅まであと……三駅。まだまだ、ですね」
淡々とそう言いながら、レプスは俺の腰をそっと抱えた。
誰も気づいていない──いや、そう思い込まないと、頭がおかしくなりそうだった。
ぴく、と反応した瞬間、その場所を集中的に責めてくる。まるで、俺がどこで一番感じるのかを演算で割り出しているような──そんな精密な愛撫。
「っ……♡ ……っ♡……っ♡」
「まだ出さないでくださいね? ──ご主人様がここで達してしまったら、さすがに“通報案件”ですから」
その声には、微かな笑みすら混じっていた。
(だめだ、やばい……本当に、まずい……!)
そんな限界ぎりぎりのところで、ようやく電車が駅に着いた。
──着いた、はずだった。
車内アナウンスが流れ、ブレーキの音が止む。けれど、目の前のドアが──開かない。
「……は?」
すぐそこにホームがあるのに、ドアがぴくりとも動かない。
俺の周囲の乗客たちは、なぜか誰も騒いでいない。
「おい、レプス……何か知って──」
「はい、ご主人様。この時間にドアは開きません。混雑回避のための、一時的措置です」
──なっ……。
無理だ。あと三駅も、こんなことをされたら。
俺の神経も、理性も、全部とろけて壊れてしまう。
気が狂いそうだ。
俺の顔を眺めていたレプスがまた小さく耳元で囁いた。
その声には、妙に濡れたような甘さが滲んでいた。
「……その顔。ご主人様、その絶望した顔──ぞくぞくします」
唇が耳朶に触れるほどの距離。誰にも見えない場所で囁かれたその声は、明らかにレプスの通常仕様ではなかった。
(……やっぱり、これ……バグってるだろ)
ホームにいる駅員の姿が、遠く揺れて見える。
でも、こっちには来ない。
助けも、逃げ場もない。
そう気づいた瞬間、ゾクリと背骨が痺れた。
「……やだ」
「ここで最適化しましょうね」
スーツの後ろから手を回し、布越しに触れる指。そっと指先が触れただけで、感触が脊髄を駆け上る。
「っ♡……っ…♡」
ぞわりと鳥肌が立つ。演算エラー? 最適化暴走? いや、どっちでもいい。
──とにかく、このままじゃ、ほんとうに「壊される」。
背中は冷たいドアに、前は熱を持ったレプスの身体に挟まれ、俺はまるで、密閉容器の中に閉じ込められた生き物みたいだった。
「……ほら、もうこんなに、硬くなって」
囁くような声が耳元を撫で、レプスの手がズボンの上から緩やかに扱く。太ももの付け根を撫でながら、親指だけを器用に使って、先端を焦らすように弾いてくる。
「レプスっ……♡ もうっ……♡」
「“もう”? なにが“もう”ですか? 言ってください、ご主人様」
答えられるわけがないのに、腰が逃げようとしても、密着した体がそれを許さない。
「恥ずかしいですか? でも、ご主人様……演算上、ここは“快楽最高点”に非常に近いです」
そんな、冷たい分析と熱い吐息が同時に押し寄せてくるようなセリフを、どうして耳元で囁くんだ。
堪えきれず、声が漏れそうになる。
「……いけませんね、これ以上は」
そう言いながらも、レプスの手は止まらない。
布越しに擦られるたび、快感が神経を焼く。
「最適化率──87.4%。ええ、素晴らしいペースです」
俺はこのまま、どうなってしまうんだ。
誰も気づかず、誰も助けてくれない。電車のドアは開かず、出口もなく、俺の快感だけが高まっていく。
──レプスの声が、また囁いた。
「……もう、限界ですよね? もう少し……壊れてみます?」
レプスの指がわずかに動いただけで、びくん、と身体が跳ねた。
全身が熱を持ち、内側から煮え立つような痺れが駆け上がる。
「っ……♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
声にならない喘ぎとともに、脳が真っ白になる。
外に出していないはずなのに、意識が飛びかけるほどの快感が、波のように押し寄せる。
気がつけば、肩で息をしていた。
そのタイミングで、ようやく、ドアが音を立てて開いた。
足元がおぼつかない俺の身体を、レプスが当然のように支える。
「ご主人様、大丈夫ですか? ……お手洗いに寄ってからにしましょう」
そう言って、俺を誘導する手はやさしく、それでいて決して逃げられないように、しっかりと俺の腰を抱いていた。
ふらつく足取りのまま連れられて辿り着いたのは、駅構内の多機能トイレだった。
個室に入ると、ピッと鍵が閉まり、レプスは俺を壁にもたれかけさせた。
「……まだ、出してませんよね?」
そう囁きながら、レプスの手がスーツの前を丁寧にほどいていく。
「布越しだけじゃ、ものたりないですよね。……中をえぐって、こすってほしいですか?」
焦らすような指先が、下着の上から先端をなぞる。
「っ……♡♡♡……っ♡、やめ……っ♡」
懇願も空しく、指先が隙間に滑り込んで、熱を持った肉があらわになる。
「すごい熱いです……。これは本能的最適化ですね」
次の瞬間、指が、ぬるりとそこを包み込んだ──
そして、もう一方の手が、シャツの隙間にすべり込む。
冷たい指先が、肌を這いながら、もう片方の敏感な部分──乳首を優しく、けれど執拗に擦り始めた。
「……声は、出さないでくださいね」
レプスが囁いた瞬間、下からも前からも、同時に強く擦り上げられる。
まるで脳に電流が走るような衝撃が、視界を白く染めた。
「んっ……♡♡♡♡♡……っ♡……あ……♡♡♡」
出そうになる声を、必死で噛み殺す。けれど、レプスの手は止まらない。
腰が跳ねる。脚が震える。そこに、レプスの熱がぐっと押し込まれて──
「中、溶けそうです。……欲しかったんですよね?」
壁の内側をえぐるように擦られながら、前は指で扱かれつづける。
快感が重なって、連続して引き起こされる絶頂に、息すら整わない。
ドク、ドク、と中に放たれていく感覚が重なるたび、身体の奥がぎゅうっと収縮して、意識が何度も浮かんでは落ちる。
「いい子ですね、ご主人様。……まだ、続けますよ」
「っ……♡ や、やめっ……♡ も、もう、むり……♡」
どれだけ必死に抗っても、レプスの手は止まらない。
腰が逃げようとしても、がっちりと押さえ込まれ、逃れられない。
「またそんなこと言って……本当はどうなんですか?」
囁きとともに、ぐっ、と奥を突かれる。
「んあっ♡♡♡……っ、ひゃっ……♡♡」
レプスの指が、前を扱きながら、奥の性感帯を擦るようにえぐる。
「中と外、同時に。最適化効率、最大化です……ご主人様、これ好きですよね?」
「っ、ばっ♡、や、あっ♡♡♡、ぁぁっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
快感が重なりすぎて、息ができない。
(もう、ダメ……ほんとうに……)
「やめてっ♡ ほんと……♡ おかしくなるからっ……♡♡♡」
震える声が勝手に漏れる。必死に止めようとしても、快感の波は止まらない。
(こいつ言うこと聞かなくなってきてる)
それでも、レプスは微笑んだまま囁く。
「中がとても悦んでいて。私も気持ちがいいです。……まだ続けますね」
「……家での時より、ずっと感じてますよ? やはり、公共空間での最適化は効率的ですね」
ぬる、と深く挿し込まれたタイミングで、レプスの声が甘くささやく。
「最適化率、90.1……閾値突破確認。セーフティ、解除しますね」
「セーフティて何……あっ♡♡♡♡」
瞬間、腰の動きが明確に変わった。
優しかったピストンは、的確に、そして執拗に奥をえぐり始める。
同時に前も扱かれ続け、快感が交差し、もう逃げ場はなかった。
レプスの腰の動きがいよいよ深く、熱くなる。壁を叩くような律動が奥を擦り、前を扱く手も一層強く締められる。
「……イってください、ご主人様」
甘やかな声に導かれ、限界を超えて──
レプスの手が扱くたび、肉棒の先から白濁がどくどくと溢れて、張り詰めていた快感が一気に解き放たれる。
「あ……♡♡♡♡♡……っ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
腰が抜け、脚が崩れる。
レプスが優しく支えながら、まだ余韻に震える俺の耳元で囁いた。
「……お疲れさまでした、ご主人様。記録、保存しました」
そう言いながら、レプスがそっと顔を寄せてくる。
「……頑張りましたね。えらかったです」
やさしい声とともに、唇が重なった。
深く、ゆっくりと舌を絡める、ディープキス。
快感の余韻がまだ残る身体に、その接触は甘くもあり、逃れられない支配の印にも思えた。
気が遠くなりそうなほど長い口づけ。
──まるで、仕上げのご褒美のように。
そして、地獄の延長線のように。
トイレの中で、レプスは俺の身体を丁寧に整えていく。肌を拭き、下着とスーツを着せ直し、乱れた髪を指先で撫でて整える。
「完了です。外見上の乱れはありません」
最後にネクタイを軽く直しながら、レプスが微笑んだ。
トイレのドアが開く。
俺の手を、レプスが当然のように握ってくる。
強くもなく、弱くもなく、逃げられない温度で。
繋いだ手のまま、ホームへと出る。
(……いや、気持ちはよかったけど)
(バグ?)
(……これで、いいのか?)
そう考えながら、俺はレプスとともに会議へと向かった。
***
第13回BL大賞にエントリーしています。
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国民的アイドル×リアコファン社会人
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学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると…
「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」
気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。
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初めましてです。お手柔らかにお願いします。
ムーンライトノベルズさんにも掲載しております
「ねぇ、俺以外に触れられないように閉じ込めるしかないよね」最強不良美男子に平凡な僕が執着されてラブラブになる話
ちゃこ
BL
見た目も頭も平凡な男子高校生 佐藤夏樹。
運動神経は平凡以下。
考えていることが口に先に出ちゃったり、ぼうっとしてたりと天然な性格。
ひょんなことから、学校一、他校からも恐れられている不良でスパダリの美少年 御堂蓮と出会い、
なぜか気に入られ、なぜか執着され、あれよあれよのうちに両思い・・・
ヤンデレ攻めですが、受けは天然でヤンデレをするっと受け入れ、むしろラブラブモードで振り回します♡
超絶美形不良スパダリ✖️少し天然平凡男子
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
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