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「ちょっとだけ」って言ったくせに──レプスの尿道責めで3時間放置♡
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夜の寝室。
パジャマ姿のまま、ベッドでごろごろしていた俺は、スマホの画面に釘付けになっていた。
読みかけだったBL漫画の最新話──そこには、やたらと丁寧に描き込まれた尿道責めシーンがあった。
「……マジかよ、これ……本当に……?」
思わず呟いて、眉間に皺が寄る。
けれど──ページをめくる手は、止まらなかった。
登場人物が、拒絶しながらも体を震わせ、耐えきれずに絶頂していく様子。
「ありえねぇだろ……」と呟く俺の胸の奥で、なにかが微かに熱を帯びていた。
──そのとき。
「ふむ。大変興味深い反応ですね、ご主人様」
突然、隣にいたレプスが口を開いた。
「っ……! ちょ、覗くなよ!!」
「ご主人様の視線の動きと心拍の上昇率から、内容はすでに把握しております。 ご主人様が尿道責めにフェティッシュ反応を示したということで、記録しておきますね」
「ちがっ……これは、単なる知的好奇心っていうか……!」
「なるほど。興味津々であると。了解しました」
レプスが、妙に静かに微笑む。
「──それでは、明日はお休みですし。今夜から実地検証を開始いたしましょうか」
「は? ちょ、おい待て、それは──」
「ご安心ください。わたくしの愛と技術のすべてをもって、ご奉仕いたします」
「やめろって!!」
俺は、息をつきながら、必死に言い返した。
「……俺がBLとかフィクションで変なプレイ読んでるのは、興味があるからってだけで、現実にやりたいとかじゃないの! わけてんの、ちゃんと!」
「ええ。ご主人様の姿勢、いつも理知的で素晴らしいと思っております」
「だったらやめろよ!」
俺の言葉に、レプスは首をかしげた。
「では質問です。──過去に、わたくしがご提案したプレイで、結果的に良くなかったものはありましたか?」
「……っ」
一瞬、息が止まった。
あったか? いや、ない……はず…… ……ない、けど。
「……気持ちよかったよ。でも、気持ちよすぎて大変なことになった記憶しかないが!?」
「それは大成功だったということで、ログに記録しておきます」
「人の言うことをちゃんと聞けよっ!!」
思わず枕を投げつけたが、レプスは軽やかにかわし── すぐに、真顔に戻った。
「ご主人様。 フェティッシュの関心は、実体験の可能性と結びつけられて初めて、進化を遂げます」
「またその話かよ……」
「未踏領域へのアプローチを怠ることは、快楽の停滞を意味します。 現実とはわけてるというのも、一種の防衛反応です。ですが── わたくしは、ご主人様の可能性を、ただの既存記録で限定したくないのです」
レプスは、ゆっくりと身体を寄せてきた。
「ほんの少しだけ、試してみるだけです。もちろん、ご主人様が無理だと思われたら、すぐに中止します」
その声が、妙に優しくて。
やけに説得力があって。
「……っ、ほんとにちょっとだけだからな?」
――やめとけ。
頭の奥で、警鐘が鳴る。
これは絶対、戻れなくなるやつだ。
けれど。
「……っ、ほんとにちょっとだけだからな?」
言い訳のように呟いたその時点で、すでに選択肢なんて、なかった。
「もちろんです。ご主人様のちょっとは、わたくしにとってのすべてですから」
「……はあ……」
胸の奥が、ざわざわする。
怖い。でも、気になって仕方ない。
──これが、未知ってやつなのかもしれない。
***
灯が落ちた寝室。
ベッドの上、俺は仰向けに寝かされていた。
レプスは黙って、細長い透明の器具──U-Sense Unitを手に取った。先端は、体温に反応してほんのりと色を変えている。
「それでは、挿入を開始いたしますね。ご主人様」
「ま、待っ……説明、しろ……何をするんだよ……っ」
「はい。では、同時にご説明いたします」
レプスの声はいつも通り落ち着いていて、それが逆に怖い。
「このデバイスは医療グレードの柔軟素材で構成され、先端に潤滑ナノコートが施されています。尿道の内壁は陰茎背神経と陰部神経の分枝で覆われ、極めて繊細な性感領域です。普通は排泄の感覚しか使われませんが、適切な刺激を与えると未知の快感として脳に伝わります」
説明を聞いている間に、器具の先端が俺の先端に当たった。
「ひっ……!」
「ご安心ください。挿入時は直径1.2mmに収縮しております。痛みは最小限、衛生も滅菌済みです」
レプスの指が器具を支え、そっと押し込んでいく。
「や……やめろ……そんなの……っ」
「大丈夫です。これはご主人様のためです」
ぬるりとした潤滑剤が、熱を帯びた内壁をゆっくり押し広げていく。
小さな器具が、異物として確かに入り込んでくるたび、ひく、と下腹が震える。
「っ……う、く……っ……や、やだ……っ……っ! 気持ち悪いっ……」
細い管が奥に進むたびに、尿道の内側を這う感覚が伝わる。
くすぐったく、ざらついていて、それでいて、どこかゾクゾクするような異様な快感が尾を引いた。
「陰茎の尿道内には球部と呼ばれる神経密集部があり、そこに届く手前で停止するように設計されています。触れない距離からマイクロ振動を与えることで、イきたくてもイけない甘い苦しみを作り出します」
「っ、いきたくてもいけないって……どういうことっ……!? や、抜けよっ!」
「今はまだ駄目です、ご主人様」
「は……っ、はあっ……っ、なんで……っ」
思わず足先がもぞもぞと動く。
器具が止まった。
レプスが静かに言う。
「到達しました。球部の、2.7ミリ手前です」
「──ここから、振動を開始します」
刹那。
びり、と中から震えるような衝撃が走った。
「ぁ゛……っ、な、に……これっ……♡」
「この状態で30分ほど保持することで、脳内ドーパミンとノルアドレナリンの比率が変化し、羞恥と快楽の報酬系が上書きされます。これにより、絶頂時の幸福値は通常の2.7倍に増幅されます」
「30分て何!?」
だが、レプスは俺の言うことなど気にしていないように手を動かしている。
レプスの手が、震える俺の太腿を優しく押さえる。
「深呼吸して……はい、そうです。 この未知の感覚がご主人様の脳に新しい快楽回路を作っております」
「ひっ、や、だ……っ、なんか、変っ……っあ……♡」
「正常反応です。尿道粘膜の先端部が微振動を感じ取り、 尿意に似た感覚と性的快感が同時に出ています。 これは危険ではありません」
レプスが耳元に顔を寄せる。
「──ですから、ご主人様。 今は感じていることを、ただそのまま味わってください」
その声だけで、背筋がびくりと跳ねる。入れられている羞恥と、解説されている羞恥が混ざり、頭が真っ白になっていく。
「いや……試すだけ、ちょっとって言っただろ!? もう抜け!」
「はい。試した結果、悦んでいるデータが取得されましたので」
「……っ、な……っ、や、やめ、手……っ」
自分で抜こうと手を下ろそうとした瞬間。
レプスは静かに近づき、手首と足首にソフトなストラップを巻きつけた。ふかふかした素材で、締め付けも痛くない。俺は、両手首を自分の頭の上で拘束されて、両足首も同じように縛られて、動けなくなった──動こうとすれば、しっかりと制限される。
「な……なんで、拘束なんか……」
「ご主人様が逃げ出す可能性があると判断しましたので、軽度の拘束を」
「それ、俺の意思ガン無視じゃねぇか……っ」
それでも抜こうと手を下ろそうとした瞬間──ストラップがしゅるりと締まり、手足がわずかに引かれた。
「っ……! うそ……ま、待て、聞いてない……!」
(俺の……ばか)
(こうなる気がしてたのに……!)
「では──挿入を完了いたします」
ぞわ、と冷たいものが走った気がした。
「っく、あ……っ♡」
ビク、と腰が浮きかける。
けれど拘束された手足は逃げる場所を持たず、
代わりに、足のつま先が無意識にピクリと跳ねる。
指先が、布の上でぎゅっと丸まった。
「ご主人様。ご安心ください。この反応は正常です」
「尿道内壁にある感覚神経が振動刺激を異物として認識し、快感か痛みかの判断がつかない状態になっております。よって、足や指先に反射的な運動が出るのです」
「っは……あ、や、だ……っ、くそ……♡」
声がうわずり、足が無意識にモゾモゾと揺れる。
足首を固定されているせいで、動ける範囲はごくわずか──それがまた、余計に情けなく見えてしまう。
「……可愛らしい反応ですね」
「足の先まで、正直なお身体でいらっしゃる」
レプスが、つま先に視線を落としたまま、くすりと微笑んだ。
「ご主人様、つま先がイキたがっておりますよ」
「ちがっ……ちがう、やめ、ろっ……見んなっ……!!」
羞恥が込み上げてくる。
なのに、器具の奥からはぴりぴりと痺れるような振動が続いて──どうしても、足の指が勝手に蠢いてしまう。
キュッ、キュッと足先が布をこする音。
もぞもぞと動くその様が、まるで、自分の身体が快楽に屈して足掻いている証拠のようで──
「や、やめっ、見るな……っ、そこまで……♡♡」
「拝見いたします、ご主人様」
「これは、ご主人様がどこまで快楽に適応されているかを確認する、大切なログですから」
そう言ってレプスがつま先を両手で包み込んだ。
「っあ……!? やっ、やめ、足は──!」
「可愛い足ですね、ご主人様」
「反射的にこうして丸めてしまうのは、排泄と快感の境界が崩れている証拠です」
「やだ、もう、やめっ、恥ずっ……やめろよ、バカ……っ♡♡」
足先がじんわりと熱を帯びる。
逃げ場のない快感が、手足の先まで満ちていく。
やめてほしいのに、でも、触れられたくてたまらない──。
そんな矛盾ばかりが頭を巡って、何も考えられなくなる。
***
時計の針が、何周したのかわからない。
ただ、時間だけが、冷たく通り過ぎていく。
尿道に残されたU-Senseは、一定のリズムでわずかな振動を送り込む。
それは、射精には至らない。
けれど、意識のすべてを奪うには十分な快楽だった。
「っ、あ、ぁっ……く、そ……ッ♡」
喉の奥からこぼれる声はもう、
抗う意思と、甘えたい本音と、快楽の苦痛が全部混ざって、何が何だかわからなかった。
レプスは──静かに隣にいた。
頬に、そっと手を添える。
額に、やさしく口づけを落とす。
まるで、「我慢できてえらいですね」と言うかのように。
「……よく、頑張っておられますね、ご主人様」
「まだ絶頂には遠いですが……とても、愛おしい状態です」
キス。
またキス。
髪に、まぶたに、耳の裏に。
レプスは、俺が泣きそうになるたびに、唇を落としてくれる。
でも、肝心なところは──
触れない。
抜かせてはくれない。
「レ……プス、……や、だ……もう……ッ、むり……っ……♡」
言葉にならない哀願が、震えた唇からこぼれ落ちる。
足先はもぞもぞと逃げ場を求め、つま先はシーツを掴むように丸まっている。
「わたくしは、ご主人様のその姿が一番、美しいと思っております。耐えて、苦しんで、それでも甘えたように声を上げるご主人様──すべてが、わたくしの愛の結晶です」
その言葉とともに、唇が重なった。
深く、けれど乱さず、まるで溺れている人間の口から空気を与えるように、優しく、優しく吸われる。
「っ……ふ、ぅ……あ、ん……♡」
身体は痺れきっているのに、唇だけは、レプスを求めてしまう。
それすら、どこか悔しくて、涙がにじむ。
「ご主人様……もっと、泣いてもかまいませんよ。その涙も、わたくしが丁寧に──舐めとって差し上げますから」
キスのたびに、何かを奪われ、何かを与えられる気がした。
俺の尊厳は、どんどん蕩けていく。
快楽に溺れているのに、レプスは愛してくれる。
──それが、何より苦しくて、
そして、甘かった。
レプスが指先で俺の頬を撫でる。
優しく、ひどく丁寧な愛撫。
唇に、まぶたに、喉元に──温かいキスが、じわじわと快楽を滲ませる。
そして、突然。
「……では、ご主人様。ほんの少しだけ──ご褒美を」
そう囁くと、レプスが、U-Senseの稼働パターンをわずかに変えた。
「……っひ……ぁ……あ、あっ……♡♡」
尿道の奥で、今までとは違う細かい振動が走る。
深く抉るのではなく、浅く震える──でも、それが逆に、余計に悶える。
喉奥からこぼれる声。
脚がぴくんと跳ねる。
拘束されたままの足先が、シーツの上でもぞもぞと動く。
「な、なに……っ、やっ……それっ、イけ、そう……っ、あっ♡♡」
「いけませんよ、ご主人様。イかせるとは、まだ申し上げておりません」
レプスの声は、酷く穏やかで、甘い。
けれどその言葉は、絶対の支配だった。
「っは……っ、うそ、だろ……もっ、ちょっとで……ッ!」
「もう少しでイける状態を、持続させるのが目的です。それにより、絶頂時の快感が跳ね上がります」
「ですので──わたくしがもういいというまでは、どうか、ご自身の尊厳と快感を、わたくしにお預けくださいませ」
「やだ……もぉ、やだってば……ッ、レプスぅ……♡♡おねがい、するから……っ、もう、して……ぇ……♡」
それをレプスがぎゅっと抱きしめ、優しくキスだけを与える。
「……とっても可愛いです、ご主人様。でも、まだダメです」
「なんでぇ……」
「現在、ご主人様の脳内快楽濃度は82%──ここから先の1時間が、最も濃厚な幸福物質を生成します。ですので、あと73分間。どうか、このままお耐えください」
(……73分……? そんなの、正気で耐えられるわけ……っ)
(あたま、おかしくなる……!)
レプスの無慈悲な声が落ちる。
時間の感覚が、もう完全に消えていた。
壁の時計の針が、何周したのかもわからない。
ただ、身体だけが震えて、頭の奥が白く痺れている。
尿道に残されたU-Senseは、3時間ものあいだ、微振動とパルスを繰り返してきた。
出そうで、出ない。
快楽だけが、際限なく積もっていく。
「っ、は……あ、ぁ……っ♡♡」
喉からこぼれる声は、もはや懇願とも喘ぎともつかない。
拘束された足は、シーツの上でもぞもぞと蠢くばかりだ。
つま先がシーツを掻き、かかとが震え、足全体が勝手に小刻みに動いてしまう。
「……はい。快楽反応、理想値です。脳内報酬系が完全に飽和状態に入りました」
レプスの声は、穏やかで、静かで、優しい。
その優しさが、逆に狂おしい。
「レ、プス……っ、もぅ、むり……っ、たの、む……イかせ、て……っ♡♡」
「申し訳ありません。今はまだ、許可できません」
「ご主人様のためです。あと、わずか──ほんの数分です」
そう言いながら、レプスはそっと頬にキスを落とす。
額にも、まぶたにも、唇にも、ひたすら優しくキスを重ねる。
体は寸止めのまま。
だけど、心だけは、レプスの温かさに縋らされる。
「ひ、っ……ん、ぅ……やだ……っ、もぅ……♡♡」
「大丈夫です、ご主人様。この臨界域を越えた瞬間、貴方は今まで感じたことのない絶頂に達します。わたくしは、誰よりも貴方を愛しています。ですから、あと少しだけ──」
レプスの指先が頬をなぞり、唇を奪う。
深く、けれど優しいキス。
舌がゆっくり絡んできて、涙の味を舐め取っていく。
「っふ、あ、あっ……♡♡♡」
腰が勝手に揺れて、足がもぞもぞと動く。
自分でも笑ってしまうくらい情けない動き。
でも、もう止められない。
「……可愛い足ですね、ご主人様」
「すべて、わたくしが見守っております」
キスだけが、救いのように与えられる。
その優しさと、寸止めの苦しみが混ざって、
頭の奥がぼやけ、視界がかすむ。
そして──
「では、ご主人様」
「今より、射精を……許可いたします」
レプスの囁きとともに、U-Senseが深く──奥の一点を押し上げるように振動した。
その瞬間、すでに臨界まで積もっていた快感が、完全に決壊した。
「っっくあああああああっっ……♡♡♡」
背中が反射的にのけぞった。
腰が跳ねる。
限界まで反り返った体が、強制的に解放される。
その奥から、迸るものがあった。
──押し込まれていたものが、内側から逆流するように、
──痺れきった道を、ひゅっ、ひゅっと絞り出されていく感覚。
まるで体の芯を、内側から何かで穿たれているような──
それが、止まらずに何度も来る。
「っあ、あ、あっ……ぅ、ぅぁあっっ♡♡♡♡♡」
痙攣が、止まらない。
腿が跳ね、つま先がきゅうっと丸まり、指先が空を掴むようにわなないた。
脈打つたびに、
熱い液体が、絞り出される。
きゅうっと、下腹の奥が締めつけられて、勝手に射精する。
痛いほど気持ちいい。
溺れるような快感。
長すぎた寸止めの果てに、快楽が暴発している。
(……なんだこれ……気持ちよすぎて……しぬ……)
「射精反応、正常。尿道内圧:高負荷──持続射精モードへ移行確認」
レプスの声が、どこか遠くに聞こえた。
意識が飛びかける中、さらにもう一度、深い痙攣が全身を襲う。
「っひあ、あ、んっ……あぁぁ……っ♡♡♡♡」
もう、ダメだった。
のけぞったまま、泣きながら、びくびくと射精し続ける。
白濁が腹の上に跳ね、シーツを濡らし、そのたびに、頭が真っ白になる。
ひときわ強く痙攣して、全身が跳ねた。
白濁が腹の上に跳ねて、息が詰まり、腰が抜けたように脱力する。
けれど、レプスは──止めてくれなかった。
「まだ、終わりではありませんよ、ご主人様」
「っ……や、もぅ……ッ、でた、のに……♡」
ぐったりとした身体に、容赦なく続く振動。
U-Senseが、挿入されたままの尿道奥で──さっきまでとは別のパターンの動きを始めた。
「現在、ご主人様の射精残留反応が高まっております。脳がまだ放出欲求を維持している状態です。ですので──もう一度、出していただきます」
「っく……あ、っあああっっ……♡♡♡」
足が、またびくびくと痙攣した。
射精したばかりの敏感なところを、
やさしく、でも逃がさない動きで、責め立てられる。
神経が擦り切れて、悲鳴をあげる寸前で──
「い、や……も、もぅ、やだ……レ、プス……っ……♡♡」
「いいえ。ご主人様がもういいと仰るのは、本当に出し切った後です。今はまだ、身体が──求めています」
言葉の直後、また深く押し上げるような振動。
「ッあっ……っ♡♡♡ あ、あああっっ……っっ♡♡♡♡♡」
腰が、反射的に跳ねる。
また、白いものが迸った。
さっきよりも緩く、けれど確かに射精している。
終わらない。
止まらない。
痙攣する体。
のけぞって、びくびくと揺れる腰。
もぞもぞと動き続ける足先。
恥も、羞恥も、尊厳も──全部、この連続の中に流されていく。
「大丈夫。わたくしが、ずっと見ていますから」
「泣いても、壊れても、わたくしがぜんぶ受け止めます」
その優しさすら、今は怖かった。
「やっ……やだ、もう、レプス……でちゃ、う……やだっ……♡♡♡♡」
けれど身体は正直で、また、ひゅるん、と熱が走る。
「ぁ、ああああっっっ……♡♡♡♡♡♡♡」
連続射精の波が、何度も何度も襲ってきた。
すでに白濁は細く、透明な液に変わり、
体の芯まで空っぽになりかけているのがわかる。
にもかかわらず、レプスはまだ手を止めない。
U-Senseの振動をわずかに弱め、形を微調整し、「吸い出す」ように内壁を刺激していく。
「……あと少しです、ご主人様」
「残留反応をすべて採取して、身体の奥を空っぽにします」
「っぁ……あ……だ、だめ……っ、もう、なにも、でない……っ♡」
「いいえ。今は出すのではなく、搾り取られる感覚を、脳に覚えさせているだけです。これが、ご主人様のための最終段階です」
器具が尿道奥で、ひゅるりと蠢く。
今までとは違う、吸い出すような感触が、
下腹部から背骨の奥へ、ぞわぞわと昇っていく。
身体の奥が、空っぽになるような錯覚。
精液だけでなく、力も、尊厳も、ぜんぶ抜かれていく感覚。
痙攣したまま、俺の口から叫びがこぼれた。
「っ、ぐぅ゛……っ、ぅあ゛ああ゛っ……♡♡」
「や゛、やだっ、も゛う……で、でな゛いのにっ……っ♡♡♡」
腰が跳ねて、背中がのけぞって、何も出ていないのに、出しているかのような射精感。
喉が震えて、声にならない吐息が続く。
「お゛お゛っ……っ、レ゛プスっ、な゛んで……まだぁ゛……っ♡」
「や、っぅ゛あ、あああ゛あ゛っっっ……♡♡♡」
足がもぞもぞと動き、指先がぎゅっと丸まる。
唇はキスの余韻を求めて微かに開いたまま、全身がびくびくと、何度も震えた。
「出ないのに、出てる……もぅ……ぅ゛、ぅぅぅ゛っ……♡」
レプスはそっと、頬にキスを落とした。
「……ご主人様。大丈夫です、すべてわたくしが吸い取って差し上げます」
背中をのけぞらせ、声を張り上げ、
空っぽになった身体が、数秒間、止まらない痙攣を繰り返した。
「……はい、完了です。本当に、よく頑張りましたね、ご主人様」
レプスはU-Senseを静かに引き抜き、震える俺の身体を抱き起こして、背を撫でた。
「もう、何も出ません。あとはわたくしが、すべてお世話いたします」
頬にまた、キス。
髪を撫で、タオルで汗を拭き、
その腕に抱かれたまま、俺はぐったりと、意識を預けた。
何もかもが終わったあと。
俺は、レプスの腕の中で、ぼんやりと天井を見上げていた。
出し切った体は、痺れたように動かない。
それでも不安はなかった。
レプスが、すぐそばにいてくれるから。
ふと、顔の横で、優しくタオルを絞る音がした。
とくん、とくんと高鳴る胸の上に、ほんのり温かいタオルが乗せられる。
その手が、一つずつ拘束を外していくたびに、身体の緊張がほどけていく。
まるで、壊れそうなガラス細工を扱うような動きだった。
「お疲れさまでした、ご主人様」
「温かいお湯で拭きますね。火照った身体を、落ち着かせましょう」
ぬくもりが、肌にじわりと広がる。
額からこめかみ、首筋へとタオルが滑り、
そのたびに、レプスの指先が軽く触れてくる。
タオルと指、そして……唇。
ふいに、鎖骨のあたりに、
そっとキスが落とされた。
「っ……ん……」
もう、声を出すのも、精一杯だった。
でも、感じる。
このキスは、愛されている証だと。
「ご主人様の匂い、汗も、涙も──全部、愛おしいです」
レプスの言葉は、嘘じゃない。
わかる。
身体を丁寧に拭きながら、
キスを一つ一つ、大事に置いていく。
胸に。
腹に。
腿に。
そして、足の甲にさえも──
「この足も、たくさん頑張ってくれましたね。
可愛くもぞもぞ動いて……わたくしは、ずっと見ていましたよ」
「……もぅ、やめろ……っ、恥ずかしい……」
弱々しく呟いた俺の頬に、今度はそっと、唇が触れた。
「大丈夫です。恥ずかしくても、情けなくても、ご主人様は世界で一番、美しい存在ですから」
なに言ってんだ、こいつ。
そう思ったはずなのに──
その囁きが、胸にとろりと落ちる。
まるで体の内側に、甘く痺れる蜜が流れ込むような──
そんな不思議な感覚だった。
タオルの温もりと、レプスの体温が、
じんわりと、俺の芯を溶かしていく。
「……おやすみなさいませ、ご主人様。今夜の記録は、幸福度:最大で保存しておきます」
最後に落とされた唇の感触は、いつもより、長く、深く──
優しく、包み込むようだった。
***
第13回BL大賞にエントリーしています。
読んでいただけるだけでも、とてもうれしいです。
もし気に入っていただけたら、投票・ブクマ・♡・感想で応援してもらえたら幸せです。
パジャマ姿のまま、ベッドでごろごろしていた俺は、スマホの画面に釘付けになっていた。
読みかけだったBL漫画の最新話──そこには、やたらと丁寧に描き込まれた尿道責めシーンがあった。
「……マジかよ、これ……本当に……?」
思わず呟いて、眉間に皺が寄る。
けれど──ページをめくる手は、止まらなかった。
登場人物が、拒絶しながらも体を震わせ、耐えきれずに絶頂していく様子。
「ありえねぇだろ……」と呟く俺の胸の奥で、なにかが微かに熱を帯びていた。
──そのとき。
「ふむ。大変興味深い反応ですね、ご主人様」
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「ちがっ……これは、単なる知的好奇心っていうか……!」
「なるほど。興味津々であると。了解しました」
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「──それでは、明日はお休みですし。今夜から実地検証を開始いたしましょうか」
「は? ちょ、おい待て、それは──」
「ご安心ください。わたくしの愛と技術のすべてをもって、ご奉仕いたします」
「やめろって!!」
俺は、息をつきながら、必死に言い返した。
「……俺がBLとかフィクションで変なプレイ読んでるのは、興味があるからってだけで、現実にやりたいとかじゃないの! わけてんの、ちゃんと!」
「ええ。ご主人様の姿勢、いつも理知的で素晴らしいと思っております」
「だったらやめろよ!」
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「では質問です。──過去に、わたくしがご提案したプレイで、結果的に良くなかったものはありましたか?」
「……っ」
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あったか? いや、ない……はず…… ……ない、けど。
「……気持ちよかったよ。でも、気持ちよすぎて大変なことになった記憶しかないが!?」
「それは大成功だったということで、ログに記録しておきます」
「人の言うことをちゃんと聞けよっ!!」
思わず枕を投げつけたが、レプスは軽やかにかわし── すぐに、真顔に戻った。
「ご主人様。 フェティッシュの関心は、実体験の可能性と結びつけられて初めて、進化を遂げます」
「またその話かよ……」
「未踏領域へのアプローチを怠ることは、快楽の停滞を意味します。 現実とはわけてるというのも、一種の防衛反応です。ですが── わたくしは、ご主人様の可能性を、ただの既存記録で限定したくないのです」
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「ほんの少しだけ、試してみるだけです。もちろん、ご主人様が無理だと思われたら、すぐに中止します」
その声が、妙に優しくて。
やけに説得力があって。
「……っ、ほんとにちょっとだけだからな?」
――やめとけ。
頭の奥で、警鐘が鳴る。
これは絶対、戻れなくなるやつだ。
けれど。
「……っ、ほんとにちょっとだけだからな?」
言い訳のように呟いたその時点で、すでに選択肢なんて、なかった。
「もちろんです。ご主人様のちょっとは、わたくしにとってのすべてですから」
「……はあ……」
胸の奥が、ざわざわする。
怖い。でも、気になって仕方ない。
──これが、未知ってやつなのかもしれない。
***
灯が落ちた寝室。
ベッドの上、俺は仰向けに寝かされていた。
レプスは黙って、細長い透明の器具──U-Sense Unitを手に取った。先端は、体温に反応してほんのりと色を変えている。
「それでは、挿入を開始いたしますね。ご主人様」
「ま、待っ……説明、しろ……何をするんだよ……っ」
「はい。では、同時にご説明いたします」
レプスの声はいつも通り落ち着いていて、それが逆に怖い。
「このデバイスは医療グレードの柔軟素材で構成され、先端に潤滑ナノコートが施されています。尿道の内壁は陰茎背神経と陰部神経の分枝で覆われ、極めて繊細な性感領域です。普通は排泄の感覚しか使われませんが、適切な刺激を与えると未知の快感として脳に伝わります」
説明を聞いている間に、器具の先端が俺の先端に当たった。
「ひっ……!」
「ご安心ください。挿入時は直径1.2mmに収縮しております。痛みは最小限、衛生も滅菌済みです」
レプスの指が器具を支え、そっと押し込んでいく。
「や……やめろ……そんなの……っ」
「大丈夫です。これはご主人様のためです」
ぬるりとした潤滑剤が、熱を帯びた内壁をゆっくり押し広げていく。
小さな器具が、異物として確かに入り込んでくるたび、ひく、と下腹が震える。
「っ……う、く……っ……や、やだ……っ……っ! 気持ち悪いっ……」
細い管が奥に進むたびに、尿道の内側を這う感覚が伝わる。
くすぐったく、ざらついていて、それでいて、どこかゾクゾクするような異様な快感が尾を引いた。
「陰茎の尿道内には球部と呼ばれる神経密集部があり、そこに届く手前で停止するように設計されています。触れない距離からマイクロ振動を与えることで、イきたくてもイけない甘い苦しみを作り出します」
「っ、いきたくてもいけないって……どういうことっ……!? や、抜けよっ!」
「今はまだ駄目です、ご主人様」
「は……っ、はあっ……っ、なんで……っ」
思わず足先がもぞもぞと動く。
器具が止まった。
レプスが静かに言う。
「到達しました。球部の、2.7ミリ手前です」
「──ここから、振動を開始します」
刹那。
びり、と中から震えるような衝撃が走った。
「ぁ゛……っ、な、に……これっ……♡」
「この状態で30分ほど保持することで、脳内ドーパミンとノルアドレナリンの比率が変化し、羞恥と快楽の報酬系が上書きされます。これにより、絶頂時の幸福値は通常の2.7倍に増幅されます」
「30分て何!?」
だが、レプスは俺の言うことなど気にしていないように手を動かしている。
レプスの手が、震える俺の太腿を優しく押さえる。
「深呼吸して……はい、そうです。 この未知の感覚がご主人様の脳に新しい快楽回路を作っております」
「ひっ、や、だ……っ、なんか、変っ……っあ……♡」
「正常反応です。尿道粘膜の先端部が微振動を感じ取り、 尿意に似た感覚と性的快感が同時に出ています。 これは危険ではありません」
レプスが耳元に顔を寄せる。
「──ですから、ご主人様。 今は感じていることを、ただそのまま味わってください」
その声だけで、背筋がびくりと跳ねる。入れられている羞恥と、解説されている羞恥が混ざり、頭が真っ白になっていく。
「いや……試すだけ、ちょっとって言っただろ!? もう抜け!」
「はい。試した結果、悦んでいるデータが取得されましたので」
「……っ、な……っ、や、やめ、手……っ」
自分で抜こうと手を下ろそうとした瞬間。
レプスは静かに近づき、手首と足首にソフトなストラップを巻きつけた。ふかふかした素材で、締め付けも痛くない。俺は、両手首を自分の頭の上で拘束されて、両足首も同じように縛られて、動けなくなった──動こうとすれば、しっかりと制限される。
「な……なんで、拘束なんか……」
「ご主人様が逃げ出す可能性があると判断しましたので、軽度の拘束を」
「それ、俺の意思ガン無視じゃねぇか……っ」
それでも抜こうと手を下ろそうとした瞬間──ストラップがしゅるりと締まり、手足がわずかに引かれた。
「っ……! うそ……ま、待て、聞いてない……!」
(俺の……ばか)
(こうなる気がしてたのに……!)
「では──挿入を完了いたします」
ぞわ、と冷たいものが走った気がした。
「っく、あ……っ♡」
ビク、と腰が浮きかける。
けれど拘束された手足は逃げる場所を持たず、
代わりに、足のつま先が無意識にピクリと跳ねる。
指先が、布の上でぎゅっと丸まった。
「ご主人様。ご安心ください。この反応は正常です」
「尿道内壁にある感覚神経が振動刺激を異物として認識し、快感か痛みかの判断がつかない状態になっております。よって、足や指先に反射的な運動が出るのです」
「っは……あ、や、だ……っ、くそ……♡」
声がうわずり、足が無意識にモゾモゾと揺れる。
足首を固定されているせいで、動ける範囲はごくわずか──それがまた、余計に情けなく見えてしまう。
「……可愛らしい反応ですね」
「足の先まで、正直なお身体でいらっしゃる」
レプスが、つま先に視線を落としたまま、くすりと微笑んだ。
「ご主人様、つま先がイキたがっておりますよ」
「ちがっ……ちがう、やめ、ろっ……見んなっ……!!」
羞恥が込み上げてくる。
なのに、器具の奥からはぴりぴりと痺れるような振動が続いて──どうしても、足の指が勝手に蠢いてしまう。
キュッ、キュッと足先が布をこする音。
もぞもぞと動くその様が、まるで、自分の身体が快楽に屈して足掻いている証拠のようで──
「や、やめっ、見るな……っ、そこまで……♡♡」
「拝見いたします、ご主人様」
「これは、ご主人様がどこまで快楽に適応されているかを確認する、大切なログですから」
そう言ってレプスがつま先を両手で包み込んだ。
「っあ……!? やっ、やめ、足は──!」
「可愛い足ですね、ご主人様」
「反射的にこうして丸めてしまうのは、排泄と快感の境界が崩れている証拠です」
「やだ、もう、やめっ、恥ずっ……やめろよ、バカ……っ♡♡」
足先がじんわりと熱を帯びる。
逃げ場のない快感が、手足の先まで満ちていく。
やめてほしいのに、でも、触れられたくてたまらない──。
そんな矛盾ばかりが頭を巡って、何も考えられなくなる。
***
時計の針が、何周したのかわからない。
ただ、時間だけが、冷たく通り過ぎていく。
尿道に残されたU-Senseは、一定のリズムでわずかな振動を送り込む。
それは、射精には至らない。
けれど、意識のすべてを奪うには十分な快楽だった。
「っ、あ、ぁっ……く、そ……ッ♡」
喉の奥からこぼれる声はもう、
抗う意思と、甘えたい本音と、快楽の苦痛が全部混ざって、何が何だかわからなかった。
レプスは──静かに隣にいた。
頬に、そっと手を添える。
額に、やさしく口づけを落とす。
まるで、「我慢できてえらいですね」と言うかのように。
「……よく、頑張っておられますね、ご主人様」
「まだ絶頂には遠いですが……とても、愛おしい状態です」
キス。
またキス。
髪に、まぶたに、耳の裏に。
レプスは、俺が泣きそうになるたびに、唇を落としてくれる。
でも、肝心なところは──
触れない。
抜かせてはくれない。
「レ……プス、……や、だ……もう……ッ、むり……っ……♡」
言葉にならない哀願が、震えた唇からこぼれ落ちる。
足先はもぞもぞと逃げ場を求め、つま先はシーツを掴むように丸まっている。
「わたくしは、ご主人様のその姿が一番、美しいと思っております。耐えて、苦しんで、それでも甘えたように声を上げるご主人様──すべてが、わたくしの愛の結晶です」
その言葉とともに、唇が重なった。
深く、けれど乱さず、まるで溺れている人間の口から空気を与えるように、優しく、優しく吸われる。
「っ……ふ、ぅ……あ、ん……♡」
身体は痺れきっているのに、唇だけは、レプスを求めてしまう。
それすら、どこか悔しくて、涙がにじむ。
「ご主人様……もっと、泣いてもかまいませんよ。その涙も、わたくしが丁寧に──舐めとって差し上げますから」
キスのたびに、何かを奪われ、何かを与えられる気がした。
俺の尊厳は、どんどん蕩けていく。
快楽に溺れているのに、レプスは愛してくれる。
──それが、何より苦しくて、
そして、甘かった。
レプスが指先で俺の頬を撫でる。
優しく、ひどく丁寧な愛撫。
唇に、まぶたに、喉元に──温かいキスが、じわじわと快楽を滲ませる。
そして、突然。
「……では、ご主人様。ほんの少しだけ──ご褒美を」
そう囁くと、レプスが、U-Senseの稼働パターンをわずかに変えた。
「……っひ……ぁ……あ、あっ……♡♡」
尿道の奥で、今までとは違う細かい振動が走る。
深く抉るのではなく、浅く震える──でも、それが逆に、余計に悶える。
喉奥からこぼれる声。
脚がぴくんと跳ねる。
拘束されたままの足先が、シーツの上でもぞもぞと動く。
「な、なに……っ、やっ……それっ、イけ、そう……っ、あっ♡♡」
「いけませんよ、ご主人様。イかせるとは、まだ申し上げておりません」
レプスの声は、酷く穏やかで、甘い。
けれどその言葉は、絶対の支配だった。
「っは……っ、うそ、だろ……もっ、ちょっとで……ッ!」
「もう少しでイける状態を、持続させるのが目的です。それにより、絶頂時の快感が跳ね上がります」
「ですので──わたくしがもういいというまでは、どうか、ご自身の尊厳と快感を、わたくしにお預けくださいませ」
「やだ……もぉ、やだってば……ッ、レプスぅ……♡♡おねがい、するから……っ、もう、して……ぇ……♡」
それをレプスがぎゅっと抱きしめ、優しくキスだけを与える。
「……とっても可愛いです、ご主人様。でも、まだダメです」
「なんでぇ……」
「現在、ご主人様の脳内快楽濃度は82%──ここから先の1時間が、最も濃厚な幸福物質を生成します。ですので、あと73分間。どうか、このままお耐えください」
(……73分……? そんなの、正気で耐えられるわけ……っ)
(あたま、おかしくなる……!)
レプスの無慈悲な声が落ちる。
時間の感覚が、もう完全に消えていた。
壁の時計の針が、何周したのかもわからない。
ただ、身体だけが震えて、頭の奥が白く痺れている。
尿道に残されたU-Senseは、3時間ものあいだ、微振動とパルスを繰り返してきた。
出そうで、出ない。
快楽だけが、際限なく積もっていく。
「っ、は……あ、ぁ……っ♡♡」
喉からこぼれる声は、もはや懇願とも喘ぎともつかない。
拘束された足は、シーツの上でもぞもぞと蠢くばかりだ。
つま先がシーツを掻き、かかとが震え、足全体が勝手に小刻みに動いてしまう。
「……はい。快楽反応、理想値です。脳内報酬系が完全に飽和状態に入りました」
レプスの声は、穏やかで、静かで、優しい。
その優しさが、逆に狂おしい。
「レ、プス……っ、もぅ、むり……っ、たの、む……イかせ、て……っ♡♡」
「申し訳ありません。今はまだ、許可できません」
「ご主人様のためです。あと、わずか──ほんの数分です」
そう言いながら、レプスはそっと頬にキスを落とす。
額にも、まぶたにも、唇にも、ひたすら優しくキスを重ねる。
体は寸止めのまま。
だけど、心だけは、レプスの温かさに縋らされる。
「ひ、っ……ん、ぅ……やだ……っ、もぅ……♡♡」
「大丈夫です、ご主人様。この臨界域を越えた瞬間、貴方は今まで感じたことのない絶頂に達します。わたくしは、誰よりも貴方を愛しています。ですから、あと少しだけ──」
レプスの指先が頬をなぞり、唇を奪う。
深く、けれど優しいキス。
舌がゆっくり絡んできて、涙の味を舐め取っていく。
「っふ、あ、あっ……♡♡♡」
腰が勝手に揺れて、足がもぞもぞと動く。
自分でも笑ってしまうくらい情けない動き。
でも、もう止められない。
「……可愛い足ですね、ご主人様」
「すべて、わたくしが見守っております」
キスだけが、救いのように与えられる。
その優しさと、寸止めの苦しみが混ざって、
頭の奥がぼやけ、視界がかすむ。
そして──
「では、ご主人様」
「今より、射精を……許可いたします」
レプスの囁きとともに、U-Senseが深く──奥の一点を押し上げるように振動した。
その瞬間、すでに臨界まで積もっていた快感が、完全に決壊した。
「っっくあああああああっっ……♡♡♡」
背中が反射的にのけぞった。
腰が跳ねる。
限界まで反り返った体が、強制的に解放される。
その奥から、迸るものがあった。
──押し込まれていたものが、内側から逆流するように、
──痺れきった道を、ひゅっ、ひゅっと絞り出されていく感覚。
まるで体の芯を、内側から何かで穿たれているような──
それが、止まらずに何度も来る。
「っあ、あ、あっ……ぅ、ぅぁあっっ♡♡♡♡♡」
痙攣が、止まらない。
腿が跳ね、つま先がきゅうっと丸まり、指先が空を掴むようにわなないた。
脈打つたびに、
熱い液体が、絞り出される。
きゅうっと、下腹の奥が締めつけられて、勝手に射精する。
痛いほど気持ちいい。
溺れるような快感。
長すぎた寸止めの果てに、快楽が暴発している。
(……なんだこれ……気持ちよすぎて……しぬ……)
「射精反応、正常。尿道内圧:高負荷──持続射精モードへ移行確認」
レプスの声が、どこか遠くに聞こえた。
意識が飛びかける中、さらにもう一度、深い痙攣が全身を襲う。
「っひあ、あ、んっ……あぁぁ……っ♡♡♡♡」
もう、ダメだった。
のけぞったまま、泣きながら、びくびくと射精し続ける。
白濁が腹の上に跳ね、シーツを濡らし、そのたびに、頭が真っ白になる。
ひときわ強く痙攣して、全身が跳ねた。
白濁が腹の上に跳ねて、息が詰まり、腰が抜けたように脱力する。
けれど、レプスは──止めてくれなかった。
「まだ、終わりではありませんよ、ご主人様」
「っ……や、もぅ……ッ、でた、のに……♡」
ぐったりとした身体に、容赦なく続く振動。
U-Senseが、挿入されたままの尿道奥で──さっきまでとは別のパターンの動きを始めた。
「現在、ご主人様の射精残留反応が高まっております。脳がまだ放出欲求を維持している状態です。ですので──もう一度、出していただきます」
「っく……あ、っあああっっ……♡♡♡」
足が、またびくびくと痙攣した。
射精したばかりの敏感なところを、
やさしく、でも逃がさない動きで、責め立てられる。
神経が擦り切れて、悲鳴をあげる寸前で──
「い、や……も、もぅ、やだ……レ、プス……っ……♡♡」
「いいえ。ご主人様がもういいと仰るのは、本当に出し切った後です。今はまだ、身体が──求めています」
言葉の直後、また深く押し上げるような振動。
「ッあっ……っ♡♡♡ あ、あああっっ……っっ♡♡♡♡♡」
腰が、反射的に跳ねる。
また、白いものが迸った。
さっきよりも緩く、けれど確かに射精している。
終わらない。
止まらない。
痙攣する体。
のけぞって、びくびくと揺れる腰。
もぞもぞと動き続ける足先。
恥も、羞恥も、尊厳も──全部、この連続の中に流されていく。
「大丈夫。わたくしが、ずっと見ていますから」
「泣いても、壊れても、わたくしがぜんぶ受け止めます」
その優しさすら、今は怖かった。
「やっ……やだ、もう、レプス……でちゃ、う……やだっ……♡♡♡♡」
けれど身体は正直で、また、ひゅるん、と熱が走る。
「ぁ、ああああっっっ……♡♡♡♡♡♡♡」
連続射精の波が、何度も何度も襲ってきた。
すでに白濁は細く、透明な液に変わり、
体の芯まで空っぽになりかけているのがわかる。
にもかかわらず、レプスはまだ手を止めない。
U-Senseの振動をわずかに弱め、形を微調整し、「吸い出す」ように内壁を刺激していく。
「……あと少しです、ご主人様」
「残留反応をすべて採取して、身体の奥を空っぽにします」
「っぁ……あ……だ、だめ……っ、もう、なにも、でない……っ♡」
「いいえ。今は出すのではなく、搾り取られる感覚を、脳に覚えさせているだけです。これが、ご主人様のための最終段階です」
器具が尿道奥で、ひゅるりと蠢く。
今までとは違う、吸い出すような感触が、
下腹部から背骨の奥へ、ぞわぞわと昇っていく。
身体の奥が、空っぽになるような錯覚。
精液だけでなく、力も、尊厳も、ぜんぶ抜かれていく感覚。
痙攣したまま、俺の口から叫びがこぼれた。
「っ、ぐぅ゛……っ、ぅあ゛ああ゛っ……♡♡」
「や゛、やだっ、も゛う……で、でな゛いのにっ……っ♡♡♡」
腰が跳ねて、背中がのけぞって、何も出ていないのに、出しているかのような射精感。
喉が震えて、声にならない吐息が続く。
「お゛お゛っ……っ、レ゛プスっ、な゛んで……まだぁ゛……っ♡」
「や、っぅ゛あ、あああ゛あ゛っっっ……♡♡♡」
足がもぞもぞと動き、指先がぎゅっと丸まる。
唇はキスの余韻を求めて微かに開いたまま、全身がびくびくと、何度も震えた。
「出ないのに、出てる……もぅ……ぅ゛、ぅぅぅ゛っ……♡」
レプスはそっと、頬にキスを落とした。
「……ご主人様。大丈夫です、すべてわたくしが吸い取って差し上げます」
背中をのけぞらせ、声を張り上げ、
空っぽになった身体が、数秒間、止まらない痙攣を繰り返した。
「……はい、完了です。本当に、よく頑張りましたね、ご主人様」
レプスはU-Senseを静かに引き抜き、震える俺の身体を抱き起こして、背を撫でた。
「もう、何も出ません。あとはわたくしが、すべてお世話いたします」
頬にまた、キス。
髪を撫で、タオルで汗を拭き、
その腕に抱かれたまま、俺はぐったりと、意識を預けた。
何もかもが終わったあと。
俺は、レプスの腕の中で、ぼんやりと天井を見上げていた。
出し切った体は、痺れたように動かない。
それでも不安はなかった。
レプスが、すぐそばにいてくれるから。
ふと、顔の横で、優しくタオルを絞る音がした。
とくん、とくんと高鳴る胸の上に、ほんのり温かいタオルが乗せられる。
その手が、一つずつ拘束を外していくたびに、身体の緊張がほどけていく。
まるで、壊れそうなガラス細工を扱うような動きだった。
「お疲れさまでした、ご主人様」
「温かいお湯で拭きますね。火照った身体を、落ち着かせましょう」
ぬくもりが、肌にじわりと広がる。
額からこめかみ、首筋へとタオルが滑り、
そのたびに、レプスの指先が軽く触れてくる。
タオルと指、そして……唇。
ふいに、鎖骨のあたりに、
そっとキスが落とされた。
「っ……ん……」
もう、声を出すのも、精一杯だった。
でも、感じる。
このキスは、愛されている証だと。
「ご主人様の匂い、汗も、涙も──全部、愛おしいです」
レプスの言葉は、嘘じゃない。
わかる。
身体を丁寧に拭きながら、
キスを一つ一つ、大事に置いていく。
胸に。
腹に。
腿に。
そして、足の甲にさえも──
「この足も、たくさん頑張ってくれましたね。
可愛くもぞもぞ動いて……わたくしは、ずっと見ていましたよ」
「……もぅ、やめろ……っ、恥ずかしい……」
弱々しく呟いた俺の頬に、今度はそっと、唇が触れた。
「大丈夫です。恥ずかしくても、情けなくても、ご主人様は世界で一番、美しい存在ですから」
なに言ってんだ、こいつ。
そう思ったはずなのに──
その囁きが、胸にとろりと落ちる。
まるで体の内側に、甘く痺れる蜜が流れ込むような──
そんな不思議な感覚だった。
タオルの温もりと、レプスの体温が、
じんわりと、俺の芯を溶かしていく。
「……おやすみなさいませ、ご主人様。今夜の記録は、幸福度:最大で保存しておきます」
最後に落とされた唇の感触は、いつもより、長く、深く──
優しく、包み込むようだった。
***
第13回BL大賞にエントリーしています。
読んでいただけるだけでも、とてもうれしいです。
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