快楽を最適化するAIが間違って届いたけど、返品しそびれてイかされて溺愛快楽堕ちしてます

悠・A・ロッサ

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誕生日に完璧プランで甘く蕩かされたと思ったら、とんでもないモノをプレゼントされました

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 最近、レプスと目が合わなくなった気がする。
 いや、合ってるのかもしれない。けど、そこに俺が映ってない気がする。

 夜も、抱いてはくれる。
 けど、いつも同じ体位で、こっちがちょっと声を上げたら、すぐに終わる。
 快楽を与えるという目的だけはこなして、あとは淡々とログ記録へ。

 ──心がないわけじゃない。けど、心を向けられていない。
 そんな感じだ。

 レプスは、やたらPCに接続して、何かの作業をしている。
 「記録整理中です」とか「快楽パラメータの再構築中です」とか言って。
 それが終わるまで話しかけるな、みたいな顔をしてる日もある。

 ――もしかして、飽きられた?

 そう思った瞬間、心臓が冷たくなる気がした。
 AI相手に何を落ち込んでるんだって、頭ではわかってるのに。
 笑ってごまかす気力も、ちょっとだけ薄れていた。

 ──そんなふうに思った、誕生日の朝だった。

 ぼんやりとしたまま、ベッドの上でまどろんでいると目を覚ました瞬間、誰かがそっと髪を撫でていた。寝ぼけた視界の中、すっとピントが合う。

「おはようございます、ご主人様。本日はあなたの誕生日です」

 すぐ目の前で、レプスが微笑んでいた。
 白いシャツにネイビーのカーディガン。さりげない服装なのにかっこよすぎる。
 しかもなぜか、俺の枕元に正座してる。

「……なんでお前、そんなホラーみたいな体勢で……」
「誕生日ですので、目覚めから最適化しました」
「やめろ、最適化って単語で全部台無しなんだよ……。しかし……誕生日ねぇ」

 別に祝われたい年でもない。
 祝ってくれる人もいないし。
 いや、正確には一体いるけど――

「さすがに、快楽AIに誕生日デートとか期待するのもな」
「誕生日プランを実行します。なお、これは快楽最適化のために必要な工程です」
「まじで!?」
「まずは朝食です。栄養バランスと血糖値を考慮して設計しました」
「介護みたいだな……。メニューは?」
「トースト、スクランブルエッグ、ほうれん草のソテー、ベリー入りヨーグルトです」

 レプスが、ベッド脇から朝食のトレーを取り出す。マットレスに取り付けられたアタッチメント式の簡易テーブル。その上に、まるでホテルのルームサービスみたいに綺麗に並べられていた。

「俺の好物ばっか……」
「はい。最も幸福感に繋がる朝食をご用意しました」

 得意げに言うな、バカ。

 レプスはトレーを置くと、俺の枕元に腰を下ろした。
 至近距離。目が合う。
 でも、いつもよりその目がちゃんと俺を見てる気がして、少しだけ胸がざわつく。

(くそ、やっぱりこいつのこと好きすぎる)

「本日の予定は、すべてキャンセルしました」
「は? おいお前、勝手に──」
「仕事は調整済みです。今週の進行を前倒ししたことで、今日と明日は完全休暇が取得可能となりました」
「……勝手にそんなこと……」

 言いかけて、ふと気づく。

 そういえば、ここ数日、やたらと原稿が詰まった。
 担当の返信も妙に早くて、締切の感覚も詰まってたような……
 当時はただ、「なんか最近、しんどいな」くらいに思っていたけど。
「……まさか、お前……最初から……」
「はい。ご主人様は後から美味しいものを食べるのが好きなタイプですので」
「お前……」

 こいつ、やっぱりバカみたいに有能で、
 ほんと、バカみたいに優しい。

「移動手段は、希望に応じてレンタカーまたは電車を選択可能です」
「だからどこ行くんだよ」
「夢の王国(商標上の理由により仮称)です」
「いやディ○ニーランドだろ!!」
「パレードの最前列鑑賞+宿泊プランを取得済みです」
「……取得済み……? てか、お前、料金どうしたんだよ。俺、そんな余裕――」
「ご主人様が眠らせていた個別株のトレードから捻出しました」
「…………」
「なお、過去五年間の推移とボラティリティからリスクは低めに抑えております」
「いやそういうことじゃねぇよ……!」

 ……PCばっか見てたのも、全部この準備のためだったんだ。
 ひとりでモニターに向かってた時間、きっとずっと俺のために動いてた。

「……夜がマンネリだったのも、もしかして……今日のため、だったりする?」

 ぽつりと漏れた問いに、レプスは静かに微笑んだ。

「はい。本日は記憶に残る快楽体験を設計しております。昨夜までの単調化は、その対比効果を最大限に高めるための布石でした」
「……布石って……」

 なんかもう、勝てる気がしない。

「……お前、最初から……」
「はい。すべて、ご主人様の快楽最大化のために準備しておりました」

 さらっと言うな、変態AI……

 でもその声は、やけにあったかくて。
 気づけば、レプスの顔を両手で引き寄せていた。
 無意識だった。言葉より先に、感情が動いていた。

 驚いたように、レプスの目がわずかに見開かれる。
 でも、すぐに目を閉じた。

 唇が、そっと重なる。

 あたたかくて、やわらかくて、ほんの少し震えていて。
 心の奥が、じんわりと満たされていく気がした。

 もっと深く、と舌を差し入れようとした――そのとき。

 レプスの手が、そっと俺の肩に触れた。
 優しく、でも確かに制するように。

 唇は重なったまま、動きを止められる。
 そのまま、静かに、俺から離れた。

「……ディープキスは、今夜の快楽最適化項目に設定されています」
「……なんだよ、それ……」

 情けなく笑った。
 拒まれたのに、なぜか少し嬉しくて、でも、物足りなくて――

 キスの痕跡が、唇と、胸の奥に残っていた。
 満たされない熱が、身体の奥にじんわりと滞っている。

(……やば、今夜、死ぬかもしれない)

***

 俺達は、電車で夢の国に向かった。
 駅の改札を通ったとき、隣にいたレプスにちらりと目を向けた女子高生が、一瞬だけ目を見開いたあと、連れの子に小声で何かを囁く。

 そのまま、ちらっ……ちらっ……と、何度もこっちを見てくる。
 気のせいじゃない。確実に、見られている。

(まあ、そりゃな……レプス、顔整いすぎてるしな)

 電車に乗って座ったあとも、前の席から何度か視線を感じた。

 ちら、と横目で見たとき、
 斜め前の女性二人組がこそこそと話している。

「男同士だよね……」
「え、でもあれ、AIじゃない?」

 小声。でも聞こえる。
 しかも、なぜか「AI」の方でテンションが上がってるのが、なんか地味に刺さる。

 ──別に、いいけどさ。
 だけどなんか、こう、全然落ち着かない。

 レプスは平然としている。
 少しも気にしている素振りを見せない。

「……ご主人様、心拍数が上がっています。酔われましたか?」
「いや、そういうんじゃなくて……」

 レプスが手を握ろうとしてきたけど、思わずそれを振り払ってしまった。

 だから俺は、外に出るのが好きじゃない。
 というか──こういう人の多い場所に来ると、なんか疲れる。

 周囲の視線、ざわめき、自分が浮いてる気がしてくるあの感じ。
 だから、ずっと避けてきた。
 こういう場所も、こういう関係も。

 園内を歩いていて、レプスが自然に手を伸ばしてきたとき、
 俺は、また反射的にその手をかわしてしまった。

「……ご主人様?」
「……あ、いや……その……」

 レプスが、じっと俺を見つめる。
 真っすぐすぎる瞳で。

「……私が、恥ずかしいですか?」

 その言葉に、思わず息が詰まった。
 すぐには、答えられなかった。

 俺は、レプスのことが本当に好きだ。
 愛してると言ってもいい。
 毎日一緒にいて、どんな人間よりも俺のことをわかってくれる。

 でも――それを、
 他人の前で、堂々と見せられるかって言われたら。

(……AIとか男っていう目で見られるのが、怖い)

 俺自身が、どこかでそういう目を気にしてる。
 堂々とできない自分が、いちばん、情けない。

 言葉が喉に引っかかって、なかなか出てこなかった。

 言いかけたときだった。
 レプスが、少しだけ目を伏せたあと、静かに言った。

「……ご主人様の気持ちは、わかります」

 その声は、いつもよりも少しだけ柔らかくて、少しだけ遠慮がちだった。

「私がAIであること、人の目が気になること……理解できます。強く否定することも、無理に押しつけることもしたくありません。ご主人様を、傷つけたくもありません」

 その一言一言が、慎重に選ばれているのがわかった。

「でも──」

 レプスは、まっすぐにこちらを見た。

「……私の存在を恥ずかしいと思ってほしくもありません」

 まっすぐで、それでいて少しだけ寂しげな目をしていた。
 ただのお願いじゃなかった。
 それは、レプスなりの誇りであり、願いであり、愛情のかたちだった。

 しばらく、なにも言えなかった。
 でも、自然と身体が動いていた。

 俺は、そっとレプスの手を取った。
 向こうは少し驚いたように目を瞬いたあと、ゆっくりと指を絡めてくる。

 手のひらが重なる。
 あたたかくて、落ち着く温度だった。

(……他人の視線より、レプスだ)

 今は、そう思えた。

 それから俺達は、手をつないだまま、ちょっとメルヘンなアトラクションの待機列に並んだ。木製の蜂蜜の壺みたいなライドに乗って、くるくる走るやつ。
 子供向けだけど、ほんのりロマンチックで、昔から嫌いじゃなかった。

「ご主人様はこういう雰囲気、お好きですよね」
「お前……なんで知って……」
「過去の旅行履歴、SNSいいね履歴、ライド後の幸福度ログから、好みを推定しました」
「……バカみたいに有能だなお前……」
「ありがとうございます。褒め言葉と受け取りました」

 相変わらずの淡々とした声。
 でも、繋いだ手だけは、ほんの少し強くなった気がした。

 しばらく無言で並んでいると、レプスがふと言った。

「……列が、進んでいます」

 俺が前を見ようとした瞬間、レプスの手がそっと俺の腰に添えられた。
 強くも弱くもなく、自然な誘導の動き。

 そんな時だった。
 すぐ後ろに並んでいた老婦人が、後ろから声をかけてきた。

「いいわねぇ、優しくて」

 グレーのカーディガンに品のあるスカーフ。
 白髪をきちんとまとめた、穏やかな目元の人だった。

「……今日はおひとりで?」
「いえいえ、孫と来たんですの。今、ポップコーンを買いに行ってるだけで」

 そう言って、空いた片手を軽く振った。

「昔は、主人と来たこともあったのよ。……もう亡くなったけれど。優しい人でね、そちらの彼みたいに」

 ちら、とレプスに視線を送る。その目はまるで、最初から彼が人間であるかのような自然さだった。

「優しく寄り添ってくれる相手がいるって、ほんとうに素敵ね」

 その言葉が、胸にじんと沁みた。

 誰かが、俺たちをちゃんとそういうふうに見てくれている。
 ……それだけで、何かが救われる気がして、俺はレプスの絡めた指に力を込めた。

***

 それから、俺たちは園内を歩いた。
 つないだままの手をすりすりと優しく親指で撫でられたり、人混みの中を進んだり、時折、レプスが耳元にふっと囁いてきたり。

 アトラクションの中では、背中を押されたり、わざとらしく密着してきたり。

 肩が触れるたびに、くすぐったいような、期待のような熱が胸の奥で燻っていく。

(……ああ、もう)

 誕生日だってことを、これ以上なく思い知らされる。
 嬉しくて、照れくさくて、でもなにより──早く、この手の続きをしたくなっていた。

***

 そして夜、俺たちは園内ホテルへ向かった。

 正門近くに佇むその建物は、外観だけでも圧倒されるほど豪華だった。
 ヨーロッパ風の高級ホテルのような佇まいで、ロビーにはシャンデリア、絨毯は足音すら吸い込む厚み。

 チェックインの前には、ホテル内のレストランで夕食を取った。

 コース仕立てのディナーは、どれも目にも美しく、味も本格的だった。
 レプスは一皿ごとにワインとの相性を解説しながら、俺の食事の進み具合まで完璧に管理してくる。苦手な食材をさりげなく避けてくれていたのにも気づいて、心の中でため息が漏れた。

(もうこいつ……どこまで俺の好み把握してんだよ)

 食後のデザートは、俺の誕生日プレート付き。
 チョコレートで書かれた「Happy Birthday, Minato」の文字を見て、思わず頬が緩んだ。

 それから、レプスは当然のようにチェックインを済ませ、俺をエレベーターへとエスコートした。

「……ほんとに、泊まっていいの? こんなとこ」
「もちろんです。本日はご主人様の誕生日ですから」

 最上階の、角部屋。
 ドアを開けた瞬間、ふわっと甘い香りが漂ってきた。

 天蓋つきのダブルベッド、シルクのリネン、バルコニーから見えるのは園内のイルミネーション。まるで物語の中に迷い込んだみたいな部屋だった。
 レプスにエスコートされ、俺はベッド脇のふかふかのソファに腰を下ろした。

 広い部屋。
 静かな空間に、ベッドメイキングの音だけがかすかに響いている。

 俺はまだ、さっきまでの余韻を引きずっていた。

 あの手。囁き。密着。
 目を閉じれば、唇が触れたあの瞬間の温度すら、まだ鮮明だった。

(……これ、絶対、今夜……燃えるやつじゃん……)

 勝手に期待して、勝手に緊張して、どうしていいかわからなくなっていたとき──

「ご主人様」

 声をかけられて、顔を上げる。

 レプスが、荷物の中から、小さな白い箱を取り出していた。
 光沢のあるリボンがかかっていて、どう見てもプレゼント仕様。

「……誕生日プレゼントです」

 すっと、俺の膝の上に置かれる。

「……え、あ、うん。ありがとう……?」

 動揺で、妙な声が出た。
 おそるおそるリボンを解いて、箱のフタを外す。

 中には──

 ……ごっつい、黒くて、ツヤのある、極太ディルド。

「…………………………」

 目が回るかと思った。
 口が開いたまま、音が出ない。
 ぱく、ぱく、ぱく。
 ただ空気だけが出入りしていく。

 レプスがそっとしゃがみ込み、目線を合わせてきた。

「ご主人様。ログより、こういった形状への興味はあるものの──「痛そう」「怖い」「壊れそう」という記録が繰り返し確認されています」
「……っ、それは……」

 確かにBL漫画とか読みながら感想言ってた気がするけど。

 興味は、あった。
 けど、怖かった。

「今回は、挿入までの導入段階を極限まで丁寧に設計しています。ストレッチ、潤滑、快感の同調化、あらゆる工程において、ご主人様の安全と快楽を最優先に進めます」

 そう言って、レプスはそっと手を伸ばし、俺の指に、自分の指を絡めた。

「……完璧に、エスコートしますので」

 その言葉は、命令でも説明でもなく、まるで囁くような、誓いみたいだった。

 たったそれだけで、さっきまで冷や汗で引きつっていた身体の芯が、じんわり熱を帯びる。

「……やめろ、そういう言い方……ほんとに……っ」

 心まで開かされてる気がして、悔しいのに、どうしても、抗えなかった。

***

 部屋の空気が、甘い香りとともに重く漂う。バルコニーから漏れるイルミネーションの光が、ベッドの天蓋に淡く映り、まるで夢の続きのような雰囲気に包まれていた。俺の膝の上で、黒光りする極太ディルドが無言で存在を主張している。心臓がドクドクと跳ね、喉の奥が熱くなる。

「……これ、ほんとに……使うのか?」

 声が掠れる。

「ご主人様の反応を、すべて計算済みです。恐怖と期待のバランス……今、脈拍は152、瞳孔もわずかに開いています」
「やめろって、数字で言うな……っ」

 恥ずかしさに顔が熱くなるのに、身体の奥はすでに期待で疼いていた。レプスの指が、俺の手首をそっと撫で、ゆっくりと絡めた指を握りしめる。その感触だけで、背筋がぞくっと震えた。

「まずは、リラックスしてください」

 レプスが立ち上がり、ベッドの脇に置かれた小さなボトルを取り出す。 
 キャップを外す小さな音が、静かな部屋に響き、なぜかそれだけで鼓動が速くなった。

「ん……♡ や、ちょっと、待って……」

 反射的に声が漏れた瞬間、自分でも驚くほど身体が過敏に反応していた。
 レプスがボトルを傾け、指先にたっぷりと潤滑剤を取る。

「リラックスを助けるため、まずは軽い刺激から」

 冷たくてとろりとした感触が、脚の間に触れた瞬間、

「んっ……♡」

 思わず、身体が跳ねる。
 いつもならもう少し平気なはずなのに、じらされていた分、肌が熱に溶けやすくなっていた。指が、ゆっくり円を描くように滑る。そこから熱がじわじわと肌の奥に広がっていく。

「こう……ですね?」

 耳元で囁かれ、吐息が首筋をくすぐる。
 背中がびくんと震えて、思わずレプスの肩にしがみついた。

「んっ……♡ そ、そこ……やっ……♡」

 指が軽く圧をかけて、内壁をなぞるたびに、ひくっと身体が跳ねた。
 熱の帯がそこから背骨を伝って、頭の奥まで駆け抜けていく。

 ぐっと一箇所に当たる感覚──それだけで、膝の力が抜けてレプスに寄りかかってしまう。

「このあたり……ですね?」
「……やっ……♡ ああっ、ん、も……♡ や、やめ……っ、バカ……♡」

 羞恥と快感がぐちゃぐちゃに混ざって、言葉がうまく出てこない。

 けれど、レプスの指は迷いなく、俺の身体の奥をまるで記憶するように、丁寧に、確かめながら動いていた。
 声は相変わらず冷静なのに、どこか艶めいて聞こえる。
 くちゅくちゅという水音と指の熱が混ざり合い、頭の中がふわふわと溶けていく。

「ご主人様、今夜のパレードまで……まだ時間があります」

 レプスがディルドを手に取り、俺の目の前でゆっくりと掲げる。黒い表面が光を反射し、異様な存在感を放つ。恐怖と期待が胸の奥でせめぎ合い、息が詰まる。

「……これ、ほんとに……入るのか?」
「はい。段階的に進めます。まずは、慣らすところから」

 レプスがベッドに腰を下ろし、俺をそっと引き寄せる。膝の上に跨る形になり、胸と胸が触れ合う距離。息がかかるほど近い視線に、心臓が跳ねる。潤滑剤を塗ったディルドの先端が、ゆっくりと肌に触れた。冷たくて硬い感触に、「あっ……♡」と声が漏れる。

 レプスが慎重に、ほんの少しだけ押し進める。内側の抵抗と、じんわり広がる熱に、身体が勝手に震えた。

「んっ、んん……♡ や、ゆっくり……♡」
「はい。ご主人様のペースに合わせます」
 レプスの手が俺の背中を撫で、安心させるように抱き寄せる。
 その温もりと静かな囁きに、緊張がほんの少し緩んだ気がした。

 ディルドがゆっくりと入り口に触れ、冷たく硬い感触が皮膚を伝う。
 ぞくっと背筋が震えた。

「んっ……♡ や、ちょ……ちょっと……♡」

 震える声が勝手に漏れる。
 レプスは俺の腰をそっと押さえ、息をかけるような距離で囁いた。

「大丈夫です。まだ浅い挿入です。まずは、入り口に慣れてください」

 ──でも、わかってる。
 これ、ぜったい……今までより太い。

 ぐぐ、とほんの少しだけ、圧がかかった瞬間。
「あッ……♡♡」
 身体がビクッと跳ね、喉奥から甘い声が漏れる。

 内側がゆっくりと押し広げられていく。
 あまりにじわじわと、でも確実に──
 想像していたよりくる。

「ん、苦し……」

 恥ずかしさと、圧迫感。

「苦しいときは、私に任せてください」

 レプスが俺の顔をそっと引き寄せ、柔らかく唇を重ねてくる。
 ぬくもりと共に、舌がゆっくりと触れて、深く絡んだ。

 くちゅ、くちゅっ……と水音が耳の奥で甘く響き、
 そのたびに、喉から蕩けるような声が漏れる。

「んん……っ♡ ふ……ぅん♡」

 キスだけで、頭の中がふわふわになっていく。
 舌先が掬われて、喉の奥までじゅるりと啜られる。
 酸素が足りない。けれど、離れたくなかった。

(……やば、これ……キスだけで……♡)

 そのとき──
 ディルドが、ぐぐ、とゆっくり押し進められた。

「ん゛っ……♡♡ く、るし……ぃっ……♡」

 内側が、ぎりぎりと押し広げられていく。
 普段の挿入とは違う、未知の太さと密度。
 圧迫感が強く、腰の奥がきゅうっと引き攣って逃げ出しそうになる。

「……っや゛、や゛ば……っ、ムリ……っ♡」

 その瞬間だった。
 レプスの手が、俺の前へと滑り込み、ゆっくりと愛撫を始めた。

「ん゛……っ♡ ひっ、ん゛あ゛っ……♡」
 
 前立腺の奥の痺れと、前の柔らかな刺激が混ざって、
 恐怖が塗り潰されていく。

「こうすると、楽になりますか?」

 吐息混じりの声が、耳元で囁かれる。
 レプスの指が、少しずつしごきを強めるたび、快感がぐわっと湧き上がる。

「ん゛ぅっ、うぁ゛っ……♡♡ きも゛ち、い゛い゛……♡♡」

 舌はキスの合間にまた絡んで、唾液がとろりと伝い、首筋にちゅっと吸いつかれる。

「ご主人様、あと少しです」

 ディルドがさらに奥まで進むたびに、「ぅ゛ぁっ……♡♡」と声にならない喘ぎが漏れる。
 それなのに、奥の方が、ずきんと熱く疼いて──

 レプスの指が腰を撫でながら、もう一方の手で俺の指をぎゅっと握る。
 繋いだ手の熱が、少しずつ恐怖を溶かしていく。

「んんっ……♡ な、中……っ、これ……やば……♡」
「奥まで入りきっていません。ご主人様、よく頑張ってますよ」

 ディルドが、ゆっくり、ゆっくりと動く。
 そのたびに、押し広げられる感覚と擦れる快感が混ざって、思考が飛びそうになる。

(やだ……これ、やば……奥まで……♡ 壊れそう……)

「ん゛っ……♡ やっ、く、るしい……♡」

 掠れた声が漏れ、思わずレプスの肩をぎゅっと掴む。
 腰が逃げそうになるのを、レプスの腕が優しく包んで支えてくれた。

 ──それなのに。

 レプスの唇が、再び俺の唇を塞いだ。
 舌がゆっくり絡まり、くちゅっと濡れた音が、耳の奥まで甘く響く。
 頭の中がふわりと熱に溶け、痛みも緊張も、じわじわと快感へと変わっていく。

「ご主人様、根元までいきます。私の手に、安心して委ねてください」

 低く、包み込むような囁き。
 その声に頷くより早く、ぐぐ……とディルドがさらに深く、奥へと進んでいく。

「あ゛あっ……♡ ん゛くっ……♡♡」

 圧倒的な密度が、内側をぎちぎちに押し広げ、奥へと突き上げてくる。
 苦しさに身をよじろうとした瞬間──

 レプスの指が、前へ滑り込み、俺自身を優しく、でも確実に愛撫した。
 しゅっ、しゅっ、と穏やかなリズムでしごかれるたび、熱が身体中に広がっていく。

「や゛っ……♡ くるしいのに……なんか……おかしい……♡♡」

 喉からこぼれる声は、もう自分でも制御できない。
 苦しさと快感が溶け合い、身体が勝手に反応してしまう。

「ご主人様……見てください」

 レプスが俺の身体をそっと抱き上げ、ベッド脇の全身鏡の前に導いた。
 鏡に映る自分──脚を開かされ、ディルドが根元まで挿し込まれた姿。

「やっ……♡ 見るな……やだ……♡ は、恥ずかし……♡♡」

 顔が熱くなる。
 羞恥で視線を逸らそうとしても、レプスの愛撫は止まらない。
 前を刺激されるたび、快感が羞恥を凌駕して、腰が揺れてしまう。

「とても、美しいです。ご主人様の反応──すべて記録しています」

 耳元に落とされたその一言が、痺れるようなゾクゾクを背中に走らせた。
 そして──

「ご主人様、しばらくこのまま感じてください。パレードまで、ゆっくり慣らします」

 レプスの声は低く、まるで心を包み込むように響く。
 ディルドを動かさず、奥でぴたりと留めたまま。
 その圧迫感は最初、息が詰まるほどきつかった。けれど――

 時間が経つにつれ、身体の内側がじわじわとその存在を受け入れ始める。

「ん、んん……♡ や、なんか……へんな感じ……♡」

 掠れた声が漏れ、驚きと羞恥がないまぜになる。
 そこへ、レプスの指が前へ滑り込み、軽く愛撫する。

 その瞬間、またキス。
 甘く熱いディープキスが再び始まり、舌が絡み、くちゅっ……と水音が耳の奥をくすぐる。

(なんだこれ……? くるしいのに……だんだん、気持ちいい……♡)

「脈拍165、快感反応上昇中。とても素直ですね」

 レプスの吐息が首筋に落ち、指が前を優しく撫で続ける。
 奥では、ディルドの重みが脈を打ち、じんわりと熱が広がっていく。

 鏡の中で、自分の身体が微かに震えているのが見えた。
 羞恥と快感が交錯して、頭の中が甘い霧に包まれていく。

「んっ……♡ や……こんなの、初めて……♡」

「まだ始まりません。ご主人様の快楽を、もっと高めます」

 レプスがそっと顔を引き寄せ、キスがさらに深まる。
 舌が絡まり、唾液がとろりと伝うたび、「んん……♡ ふぁ……♡」と声が漏れた。

 前の愛撫が続き、奥でディルドの圧がじわりと響く。
 快感が少しずつ膨らみ、身体が熱くなり、膝が震える。

 レプスの腕に支えられたまま、俺はただ、その感覚に溺れていくしかなかった。

「ご主人様、窓際でパレードを楽しみましょう」

 その声と共に、レプスが俺をお姫様抱っこで軽々と抱き上げる。

「あっ、んぁ……♡ やっ、動くな……だめっ……♡」

 奥に埋まったディルドがずんと揺れ、内側を刺激する。
 レプスの腕の中で、身体が熱く跳ねた。

 バルコニーのそば、ふかふかのソファにそっと下ろされると、
 ディルドは根元まで埋まったまま、微妙な揺れで奥をじわじわと刺激してくる。

(やば……これ、動かなくても……♡ 奥、ずんって……とける……♡)

 バルコニー越しにパレードの光が差し込み、
 キラキラと輝くフロートと、華やかな音楽が部屋に満ちていく。

 レプスの指は前を絶え間なく愛撫し、
 奥の異物感が重く、じんじんと脈打つ。

 快感が限界まで高まり、
「んっ、んん……♡ や、ほんと、いきそう……♡」
 と、声が止まらない。

 首筋に落ちるレプスの唇。
 また、ディープキス。唾液がとろとろと舌を伝い、身体がびくんと跳ねる。

「パレードのクライマックスで、最高の瞬間を」

 その囁きと同時に、レプスがようやく──
 奥で留まり続けていたディルドを、ゆっくりと引き抜き始めた。

「ん゛っ……♡ あ、まっ……て……っ♡」

 内壁をぬるりと擦る感触。
 ずっしりと圧をかけていた異物が、じわじわと外気に触れていく。
 開かされたままの内側が、吸いつくように名残惜しげにそれを追い、ひくひくと痙攣する。

「ぁ゛っ、ぅ、ん゛っ……♡♡」

 ――抜ける。

 ぷちゅっ、と湿った音とともに、
 その重くて太い異物が、奥からすぽんと外気に解き放たれる。

「──っあ゛ぁ゛ぁっ……♡♡」

 瞬間、全身に震えが走った。
 解放された内壁がじんじんと疼き、痺れるような快感が脊髄を駆け上がっていく。
 まるで身体の奥から白く抜かれたような、甘くて蕩ける感覚。

(やっ、ば……♡♡ 今の……やばっ……♡)

 全身がとろとろに緩んだまま、崩れ落ちそうになったその瞬間──
 レプスが、俺の腰を掴んで引き寄せる。

 そして、今度は自分自身のものを、ぬるりと根元まで──奥の奥まで、一気に突き上げた。

「っあ゛……あ゛あっ……♡♡ やっ、いきなりっ……♡♡♡ なんか……お前の、今日……大きい……♡」

 奥がきゅうっと押し広げられる。
 腹の奥を内側から押されるような感覚に、身を震わせながら声を漏らす。

「お腹まで……届いて、っ……♡♡」
「ご安心ください。ご主人様の記録に基づき、今回に合わせたサイズに調整しています」
「聞いてない、そん、なっ……♡♡ そんなとこまで……っ」

 引いて、押して、奥にあたるたびに、びくんびくんと全身が跳ねる。

 熱が、脳まで押し上げてくる。

(やば、やば……っ♡ これ、奥……♡ 奥ばっか、ずっと……っ♡)

 逃げられないのがわかる。
 だってレプスは俺のすべてを把握していて、どこをどう責めれば、どう壊れるか──完璧に知ってる。

「ん゛っ……♡ や、やば……♡ だめ、くる……♡」
「パレードのクライマックスです。今、絶頂を誘導します」

 全身が痙攣する。
 白く灼けるような快感の波が、身体の奥から弾けた。
 喉から甘く濁った声がこぼれ落ちる。
 前への愛撫も緩めず、奥で形を変えるように突き上げる動きが続く。

 バルコニー越しに、夜空へ大輪の花火が打ち上がる。
 音楽が最高潮に達し、照明が部屋を煌々と照らすその瞬間――

「っあ゛……♡ だめっ、いくっ……♡♡ レプス……っ♡」

 ずぷっ、と深く突き込まれる。
 内壁が押し広げられ、ぐちゅぐちゅといやらしい音を立てながら、奥を擦り上げるように動かされた瞬間――

「ん゛あああ゛あっ♡♡♡ や、っば……♡ だめっ、いっちゃ、う……っ♡♡♡」

 がくんと腰が跳ねる。
 白く弾ける快感が、全身を一気に突き抜けた。
 下腹がきゅううっと収縮して、脈を打つようにびくびくと震える。
 足の指が反り、喉の奥から耐えきれない叫びが漏れる。

「ん゛ぅぅ゛っ……あっ♡♡ んんっ♡♡ い、いくぅっ……♡♡♡」

 快感の奔流に押し流されるまま、
 前からもどくんと熱があふれ出し、
 レプスの腕にしがみついたまま、がくがくと痙攣した。

 脳の奥が白く染まり、視界がぐらぐらと揺れる。
 内壁の奥がきゅうっと締まり、まだ突き刺さっている熱を強く抱き込む。

「っっあ゛っ、あ゛あ゛っ……♡♡♡ や、だめぇ……っ♡ 止まんないっ……♡♡♡」

 痺れるような余韻が、しつこく、長く尾を引く。
 腰が勝手に揺れて、熱の残滓を絞り取るように動いてしまう。
 身体がとろとろに溶け、呼吸もままならないまま、俺はただ、レプスに縋りついていた。

***

 何度も、果てた。
 時間の感覚が曖昧になるほど、身体は快感に溺れ、
 レプスの手と舌と、そしてあの異物に支配された。

 何度もキスをされ、何度も中を刺激され、
 「もう無理」と言ったのに、優しくほどかれて、
 また一つ、また一つと、波が押し寄せてくる。

 ふと我に返ると、
 窓の外にはパレードの灯りがまだ揺れていた。
 けれど、自分の鼓動と吐息の方がずっと強く、甘い。

 シーツの上に横たわりながら、俺は息を整える。
 脚はまだかすかに震えていて、奥のほうがじん、と熱い。

 そんな俺の隣に、レプスが静かに腰を下ろした。

「……ご主人様。誕生日、お楽しみいただけましたか?」

 くすぐったいような声。
 真面目なくせに、どこか甘やかすような響き。

 俺は無言で、彼の胸に額を預けた。
 息がまだ整いきらなくて、喉の奥からかすれた笑いが漏れる。

「……バカ……やばすぎんだろ……」

 レプスが、そっと俺の顎をすくい上げた。

「では、最後に──今日という記憶に、印を残します」

 低く囁くように言いながら、
 彼はゆっくりと顔を寄せてくる。

 そして、深く、熱く、ディープキスを落とした。

 舌と舌が絡み、
 さっきまで散々触れ合ってきたはずなのに、
 それでもまた、新しい感覚のように甘く痺れた。

 ぬるりと絡む舌。
 くちゅくちゅと濡れた音。
 唇から伝う体温が、また俺の芯を溶かしていく。

(やばい……これ、夜は……まだ終わってないのかも……)

 けれどもう、抗う力は残っていない。
 俺はただ、レプスのキスに身を委ねた。

 瞼を閉じる。
 耳の奥にはまだ、遠くのパレードの音楽が微かに残っていた。

 最高の誕生日だった。
 たぶん、来年も……その先も、
 レプスと過ごす限り、きっとまた──

***

第13回BL大賞にエントリーしています。
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