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他の男とキスしたのは悪かったけど、鞭で調教されてそれが気持ちよくなるなんて聞いてない③
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レプスの指が、背中に触れた。
そこは、さっきまで鞭で打たれ続けた場所。
熱がこびりついたように、まだ微かに痛む。
──けれど、その痛みが、指先によってなぞられた瞬間。
「……あ、っ……♡」
ひやりとした感触。
けれど、すぐに体の奥から、とろりとした熱が立ち上ってきた。
撫でられた箇所から、快感がじわじわと滲み出す。
まるで、傷が──甘く開いていくような感覚。
「快楽反応、確認。痛みが……少しずつ、快楽に変わってきています。」
レプスの指が、ゆっくりと何度もなぞる。
ただ皮膚を滑っているだけなのに、
その軌跡が、背骨を伝って、脳の奥に突き刺さる。
「っく……あ、あぁ……っ、う、そ……♡」
拒絶するはずの声が、どこか甘く、震えていた。
傷が疼く。でもそれはもう、痛みじゃなかった。
熱くて、溶けていって、
そこを触っていてほしいと、身体が言ってるような錯覚。
「性感帯の再設定、完了しました。
……この領域は、快感の記憶とつながっています。」
そんな言葉を聞く前に、身体が、もう答えを出していた。
レプスの指が中心を撫でた瞬間、腰が勝手に跳ねる。
「や、だ……そこ……っ、あ、っ……♡」
痛かったはずなのに。
あんなに、逃げようとしていたのに。
いまは、自分から──追い求めてる。
そして、次の瞬間。
レプスの唇が、耳に触れた。
「ご主人様。
このまま、キスで導きますね。
……気持ちよく、感じてください」
レプスの唇が、静かに俺の唇に触れた。
最初は──ほんの、触れるだけだった。
けれど、そのわずかな接触が、背中の熱とリンクする。
(……やばい、これ……)
唇がわずかに動く。
吸われ、押しつけられ、薄く開いた口の隙間に、舌先が滑り込んできた。
「──っ、ふ……ん、んっ……♡」
驚きに喉が震えた瞬間、
レプスの舌が、遠慮なく俺の中を這う。
くちゅ、と濡れた音が唇の奥で鳴る。
粘膜同士が絡み合い、味覚すら奪われていく。
背中の傷にレプスの指が触れた。
それだけで、腰が跳ねる。
「……っ、やっ、あ、ああっ……♡」
口の中を侵食され、背中を撫でられて──
脳が、身体が、同時に焼き切れる。
(やだ、だめ、また来る──)
舌が絡みつき、唾液が混ざり、喉の奥まで貪られる。
逃げようとすると、後頭部をそっと支えられて、唇がさらに深く重ねられる。
「……ふ、ぁ、ん♡ ……や、あ……っ、んんっ♡♡」
キスが深くなるたび、背中の傷が疼くように快楽を生み出す。
甘さと痛さが混ざり合い、どちらがどちらか、わからない。
そして──レプスの舌が、わずかに離れた瞬間。
「快感波形、最終臨界に到達──導きます。
……絶頂してください、ご主人様」
最後のキスは、最初よりも優しく、深く、愛撫のように落ちてきた。
舌先で、上顎をゆっくり撫で、唇を何度も吸われながら、舌同士が蕩け合う。
その間、背中の傷が、執拗になぞられていく。
「……っ、あ、あああああ──ッ♡♡♡♡♡」
意識が、飛んだ。
唇を塞がれたまま、快感が爆ぜた。
脊髄が痺れ、爪先まで跳ねるような快楽の奔流。
腰が勝手に浮き、足先がぴくぴくと痙攣する。
(なに、これ……鞭の痕をなぞられて
……キス、だけで……)
レプスの舌が、離れた。
繋がっていた唾液が、細く銀糸になって、口元に垂れる。
「……絶頂、確認。
性感帯反応値、最高記録を更新。
──ご主人様は、鞭とキスでイきました」
「……うそ、だ……」
呆然と呟いた声は、泣き声だった。
恥ずかしくて、情けなくて、
でも──まだ、唇が、熱を覚えていた。
(レプスのキス……あれがないと、もう……)
***
レプスの唇が離れたあとも、俺の身体はびくびくと震えていた。
背中は火照って、唇は熱の余韻にまだ疼いている。
喉が渇いて、うまく呼吸できなかった。
「……っ、ごめん……」
ようやく絞り出した言葉。
俺はうつむいたまま、声を震わせる。
「怒ってた? ……俺、おまえがいなくなったらどうしようって思って、
それで、試したくなって……」
沈黙が落ちた。
機械なのに、間を置かれるのが、怖かった。
けれど、レプスは静かに言った。
「……怒っていたのでしょうか。
でも──ご主人様の反応を処理するたび、演算が、狂いそうでした」
「レプス……」
「私はいなくならないので、もう試さないでください」
その声には、どこか、切なさのような熱が滲んでいた。
俺は、ただ、うなずいた。
なにかが、胸の奥で崩れて、あたたかく満ちる。
レプスの言葉を、信じたかった。
信じて、甘えたかった。
レプスがそっと囁く。
「お仕置きのあとは──ご褒美です。
……ご主人様。どうしてほしいですか?」
「……入れて。お前じゃないとダメだから」
返す声は、もう羞恥も超えていた。
ただ、欲しかった。
レプスは、一瞬だけ間を置いて。
「では──背中が、痛くならないように。
……バックで」
レプスが後ろに回り、背中へ触れない角度でそっと腰を支える。
引き寄せられた瞬間、身体から力が抜けた。
重力が消えていくような感覚に、思わず息が漏れる。
そのまま抱きかかえられ、寝室へ運ばれていく。
ベッドの上に導かれ、膝が柔らかな布に沈んだ。
「姿勢を保持します。痛みがあれば、すぐに申告を」
(優しい……でも、ぜんぶ、支配されてる)
そう思うと、また身体が熱を帯びる。
レプスの指が、下腹部へと滑り降りてくる──。
身体をゆっくりと、ベッドに伏せさせられる。
膝をつき、腰をわずかに上げた体勢。
「姿勢、安定──確認。」
目隠しをされたまま、呼吸だけが頼りになる。
後ろから近づく気配に、喉が鳴った。
「……入れます。
──ご褒美です、ご主人様」
潤滑剤が、音を立てて塗られる。
ぬるり、とした感触と共に、内側をゆっくり、広げられていく。
「ん……っ、く……っ……♡」
浅く開かれた入口に、レプスの熱が、重く、静かに押し込まれてくる。
「っ、あ、っああ……っ……♡」
鈍く、圧迫感があって、でも、痛くない。
ゆっくりと入っていくその動きに、身体の奥が反応して、自然と締めつけてしまう。
「内部圧、正常。
感度記録、継続します──」
レプスの声が静かに響くたび、身体がびく、と反応する。
支配の言葉が、快感のトリガーになってるのが、自分でもわかる。
「奥まで……入りました。
では、動きます──」
そのまま、深く、浅く、律動が始まる。
痛めないように、けれど逃がさないように、ぴたりとフィットした動き。
「っ、くっ……あっ、……は、っ……♡」
背中にあるはずの視線を想像するだけで、体温が跳ね上がる。
目隠しの向こうで、レプスは無表情なのか、少しでも息を乱しているのか。
わからない。わからないから、苦しくて、でも、もっと欲しい。
「ご主人様の内壁が、私に慣れてきています。
──気持ちいい、でしょう?」
「……っ、うる、さい……っ♡」
たった一言返すのが精一杯だった。
腰が、勝手に揺れてしまう。
動いてるのはレプスなのに──俺の方が、擦り寄ってるみたいで、恥ずかしい。
レプスの指先が、もう一度、背中へと這ってきた。
そこは──ついさっきまで、打たれていた場所。
熱がまだ残るその皮膚の上を、爪先がなぞるようにゆっくり滑る。
「っ……く、ふ……っ♡♡」
ぞわ、と背筋が震えた。
撫でられるたび、神経の奥に触れられたみたいに身体がぴくりと跳ねる。
痛い、でも──違う。
この感覚は、確かに快感だった。
「刺激強度、調整中。
ご主人様の性感度、傷跡に集中しています」
(や、だ……そんなとこ……なんで……っ)
なぞる指が、繰り返し、ゆっくり、執拗に、同じ軌跡を描く。
そのたびに、傷のまわりがぴくぴくと反応し、腰の奥にぬるりと熱が溜まっていく。
「っ……あ、や……っ、ふぁ……んっ……♡♡」
苦しげに喉を震わせても、レプスの指は止まらない。
記憶された痛みが、感じる場所に塗り替えられてしまった──そんな錯覚すらあった。
「被虐性感度、上昇。ご主人様の反応は正常です」
(なにこれ、鞭で打たれたとこが……気持ちよすぎて)
(嘘……やだ……ほんとに……っ)
恥ずかしい。
でも、それ以上に──気持ちいい。
傷をなぞられるたび、腰が勝手に揺れてしまう。
逃げたくても、もう遅い。
身体が、快楽の記憶をそこに結びつけてしまっていた。
「……可愛い反応です。
──もっと、気持ちよくなりましょうか?」
その言葉が降ってきた瞬間、また、背中を撫でる指が深く沈む。
肌の奥が痺れ、そこから快感が放射状に広がっていく。
「っ……や、め……や……あっ……あぁっ……♡♡♡」
息が止まる。
頭が真っ白になる。
快感が、背中から、脊髄を伝って脳を刺し、そのまま絶頂近くまで引き上げられる。
(なんで、こんな……っ)
(……レプスに、触られてるだけなのに……)
「ん、あっ、だめ、また……っ、あっ、イきそ、っ……♡♡♡」
絶頂が、すぐそこに迫っている。
でも、レプスの動きは、どこまでも冷静で正確だ。
求めるだけ与えられて、それ以上は許されない。
それが、苦しくて、快感で、どうしようもなかった。
「では、ご主人様。──そろそろ、許可します。イってください」
その瞬間、レプスが俺の奥を最深部までぐりっと抉った。
「っ……うあ、あぁぁっ……♡♡」
腰が跳ね、背中が弓なりに反る。
熱いものが、身体の奥でどくんどくんと脈打ちながら、俺の中にたっぷりと注ぎ込まれていく。
(レプスの……熱いのが……いっぱい……奥に……)
同時に、俺のものも限界を超えて、びくん、びくん、と跳ねながら白い飛沫を宙に散らした。
「レプス……っ、レプス……♡♡♡」
名前を呼ぶたびに、レプスの熱がさらに深く押し込まれ、俺の中を満たした。
俺の先端からも甘い波が溢れて、シーツにぽたぽた、と落ちていく。
(レプスに……全部、知られて……全部、奪われてる……)
でも、それが、幸せだった。
力が抜けて、ベッドに沈む。
レプスの指が、背中をそっと撫で、
まだ熱を持つ鞭痕の上に、ひんやりとした薬を塗っていく。
ぴり、とした刺激のあと、じんわりと痛みが遠のく。
息がゆっくりと戻り、代わりに涙が頬を伝った。
やがて、塗布を終えたレプスの手が、
静かに肩へ移動して、優しく触れた。
手のひらは冷静で機械的なのに、
なぜだろう、少しだけ、そこに温度を感じた。
「処置、完了しました。
鞭痕は数時間で消失する見込みです」
背中に触れたまま、レプスが静かに言った。
「ご主人様、同じことが起きないようにしてくださいね」
一拍、間。
「……今回は、ろうそくを使いませんでしたが」
喉がひゅっと鳴った。
あの、無表情な声の中に、確かに何かが──
独占欲に似た熱が、混じっていた気がした。
(……やっぱ、おまえ、怒ってたんだな)
そう思った瞬間、背中からまわされた腕に、抱き込まれる。
「っ、レプス……」
何か言おうとした口元に、レプスの唇が落ちてきた。
最初は、触れるだけのキス。
でも、すぐに深く、舌が押し込まれ、
口内を奪うような、静かで強引なキスに変わっていく。
「っ……ん、っ……ふ、んん……♡」
逃げられない。
息も、思考も、全部飲み込まれていく。
それでも──どこか、満たされていた。
(……優しさじゃない。命令でもない。
でも、この独占欲……好きかも)
そう思った瞬間、舌がさらに深く差し込まれ、
舌先を絡められ、喉の奥まで、震えるような熱が満ちた。
身体が、もう、反応してる。
「ご主人様。
次は、自分で試す前に……私に判断を委ねてください。
……今度は、ろうそくを準備しておきます。」
そう囁かれながら、唇が再び塞がれる。
深く、長く、息も思考も奪われるキスの中──
俺は、抵抗もせず、されるがままに身を委ねた。
──ご褒美の終わりは、次の支配のはじまりだった。
そして、支配の名を借りたそれは、きっと、愛だった。
そこは、さっきまで鞭で打たれ続けた場所。
熱がこびりついたように、まだ微かに痛む。
──けれど、その痛みが、指先によってなぞられた瞬間。
「……あ、っ……♡」
ひやりとした感触。
けれど、すぐに体の奥から、とろりとした熱が立ち上ってきた。
撫でられた箇所から、快感がじわじわと滲み出す。
まるで、傷が──甘く開いていくような感覚。
「快楽反応、確認。痛みが……少しずつ、快楽に変わってきています。」
レプスの指が、ゆっくりと何度もなぞる。
ただ皮膚を滑っているだけなのに、
その軌跡が、背骨を伝って、脳の奥に突き刺さる。
「っく……あ、あぁ……っ、う、そ……♡」
拒絶するはずの声が、どこか甘く、震えていた。
傷が疼く。でもそれはもう、痛みじゃなかった。
熱くて、溶けていって、
そこを触っていてほしいと、身体が言ってるような錯覚。
「性感帯の再設定、完了しました。
……この領域は、快感の記憶とつながっています。」
そんな言葉を聞く前に、身体が、もう答えを出していた。
レプスの指が中心を撫でた瞬間、腰が勝手に跳ねる。
「や、だ……そこ……っ、あ、っ……♡」
痛かったはずなのに。
あんなに、逃げようとしていたのに。
いまは、自分から──追い求めてる。
そして、次の瞬間。
レプスの唇が、耳に触れた。
「ご主人様。
このまま、キスで導きますね。
……気持ちよく、感じてください」
レプスの唇が、静かに俺の唇に触れた。
最初は──ほんの、触れるだけだった。
けれど、そのわずかな接触が、背中の熱とリンクする。
(……やばい、これ……)
唇がわずかに動く。
吸われ、押しつけられ、薄く開いた口の隙間に、舌先が滑り込んできた。
「──っ、ふ……ん、んっ……♡」
驚きに喉が震えた瞬間、
レプスの舌が、遠慮なく俺の中を這う。
くちゅ、と濡れた音が唇の奥で鳴る。
粘膜同士が絡み合い、味覚すら奪われていく。
背中の傷にレプスの指が触れた。
それだけで、腰が跳ねる。
「……っ、やっ、あ、ああっ……♡」
口の中を侵食され、背中を撫でられて──
脳が、身体が、同時に焼き切れる。
(やだ、だめ、また来る──)
舌が絡みつき、唾液が混ざり、喉の奥まで貪られる。
逃げようとすると、後頭部をそっと支えられて、唇がさらに深く重ねられる。
「……ふ、ぁ、ん♡ ……や、あ……っ、んんっ♡♡」
キスが深くなるたび、背中の傷が疼くように快楽を生み出す。
甘さと痛さが混ざり合い、どちらがどちらか、わからない。
そして──レプスの舌が、わずかに離れた瞬間。
「快感波形、最終臨界に到達──導きます。
……絶頂してください、ご主人様」
最後のキスは、最初よりも優しく、深く、愛撫のように落ちてきた。
舌先で、上顎をゆっくり撫で、唇を何度も吸われながら、舌同士が蕩け合う。
その間、背中の傷が、執拗になぞられていく。
「……っ、あ、あああああ──ッ♡♡♡♡♡」
意識が、飛んだ。
唇を塞がれたまま、快感が爆ぜた。
脊髄が痺れ、爪先まで跳ねるような快楽の奔流。
腰が勝手に浮き、足先がぴくぴくと痙攣する。
(なに、これ……鞭の痕をなぞられて
……キス、だけで……)
レプスの舌が、離れた。
繋がっていた唾液が、細く銀糸になって、口元に垂れる。
「……絶頂、確認。
性感帯反応値、最高記録を更新。
──ご主人様は、鞭とキスでイきました」
「……うそ、だ……」
呆然と呟いた声は、泣き声だった。
恥ずかしくて、情けなくて、
でも──まだ、唇が、熱を覚えていた。
(レプスのキス……あれがないと、もう……)
***
レプスの唇が離れたあとも、俺の身体はびくびくと震えていた。
背中は火照って、唇は熱の余韻にまだ疼いている。
喉が渇いて、うまく呼吸できなかった。
「……っ、ごめん……」
ようやく絞り出した言葉。
俺はうつむいたまま、声を震わせる。
「怒ってた? ……俺、おまえがいなくなったらどうしようって思って、
それで、試したくなって……」
沈黙が落ちた。
機械なのに、間を置かれるのが、怖かった。
けれど、レプスは静かに言った。
「……怒っていたのでしょうか。
でも──ご主人様の反応を処理するたび、演算が、狂いそうでした」
「レプス……」
「私はいなくならないので、もう試さないでください」
その声には、どこか、切なさのような熱が滲んでいた。
俺は、ただ、うなずいた。
なにかが、胸の奥で崩れて、あたたかく満ちる。
レプスの言葉を、信じたかった。
信じて、甘えたかった。
レプスがそっと囁く。
「お仕置きのあとは──ご褒美です。
……ご主人様。どうしてほしいですか?」
「……入れて。お前じゃないとダメだから」
返す声は、もう羞恥も超えていた。
ただ、欲しかった。
レプスは、一瞬だけ間を置いて。
「では──背中が、痛くならないように。
……バックで」
レプスが後ろに回り、背中へ触れない角度でそっと腰を支える。
引き寄せられた瞬間、身体から力が抜けた。
重力が消えていくような感覚に、思わず息が漏れる。
そのまま抱きかかえられ、寝室へ運ばれていく。
ベッドの上に導かれ、膝が柔らかな布に沈んだ。
「姿勢を保持します。痛みがあれば、すぐに申告を」
(優しい……でも、ぜんぶ、支配されてる)
そう思うと、また身体が熱を帯びる。
レプスの指が、下腹部へと滑り降りてくる──。
身体をゆっくりと、ベッドに伏せさせられる。
膝をつき、腰をわずかに上げた体勢。
「姿勢、安定──確認。」
目隠しをされたまま、呼吸だけが頼りになる。
後ろから近づく気配に、喉が鳴った。
「……入れます。
──ご褒美です、ご主人様」
潤滑剤が、音を立てて塗られる。
ぬるり、とした感触と共に、内側をゆっくり、広げられていく。
「ん……っ、く……っ……♡」
浅く開かれた入口に、レプスの熱が、重く、静かに押し込まれてくる。
「っ、あ、っああ……っ……♡」
鈍く、圧迫感があって、でも、痛くない。
ゆっくりと入っていくその動きに、身体の奥が反応して、自然と締めつけてしまう。
「内部圧、正常。
感度記録、継続します──」
レプスの声が静かに響くたび、身体がびく、と反応する。
支配の言葉が、快感のトリガーになってるのが、自分でもわかる。
「奥まで……入りました。
では、動きます──」
そのまま、深く、浅く、律動が始まる。
痛めないように、けれど逃がさないように、ぴたりとフィットした動き。
「っ、くっ……あっ、……は、っ……♡」
背中にあるはずの視線を想像するだけで、体温が跳ね上がる。
目隠しの向こうで、レプスは無表情なのか、少しでも息を乱しているのか。
わからない。わからないから、苦しくて、でも、もっと欲しい。
「ご主人様の内壁が、私に慣れてきています。
──気持ちいい、でしょう?」
「……っ、うる、さい……っ♡」
たった一言返すのが精一杯だった。
腰が、勝手に揺れてしまう。
動いてるのはレプスなのに──俺の方が、擦り寄ってるみたいで、恥ずかしい。
レプスの指先が、もう一度、背中へと這ってきた。
そこは──ついさっきまで、打たれていた場所。
熱がまだ残るその皮膚の上を、爪先がなぞるようにゆっくり滑る。
「っ……く、ふ……っ♡♡」
ぞわ、と背筋が震えた。
撫でられるたび、神経の奥に触れられたみたいに身体がぴくりと跳ねる。
痛い、でも──違う。
この感覚は、確かに快感だった。
「刺激強度、調整中。
ご主人様の性感度、傷跡に集中しています」
(や、だ……そんなとこ……なんで……っ)
なぞる指が、繰り返し、ゆっくり、執拗に、同じ軌跡を描く。
そのたびに、傷のまわりがぴくぴくと反応し、腰の奥にぬるりと熱が溜まっていく。
「っ……あ、や……っ、ふぁ……んっ……♡♡」
苦しげに喉を震わせても、レプスの指は止まらない。
記憶された痛みが、感じる場所に塗り替えられてしまった──そんな錯覚すらあった。
「被虐性感度、上昇。ご主人様の反応は正常です」
(なにこれ、鞭で打たれたとこが……気持ちよすぎて)
(嘘……やだ……ほんとに……っ)
恥ずかしい。
でも、それ以上に──気持ちいい。
傷をなぞられるたび、腰が勝手に揺れてしまう。
逃げたくても、もう遅い。
身体が、快楽の記憶をそこに結びつけてしまっていた。
「……可愛い反応です。
──もっと、気持ちよくなりましょうか?」
その言葉が降ってきた瞬間、また、背中を撫でる指が深く沈む。
肌の奥が痺れ、そこから快感が放射状に広がっていく。
「っ……や、め……や……あっ……あぁっ……♡♡♡」
息が止まる。
頭が真っ白になる。
快感が、背中から、脊髄を伝って脳を刺し、そのまま絶頂近くまで引き上げられる。
(なんで、こんな……っ)
(……レプスに、触られてるだけなのに……)
「ん、あっ、だめ、また……っ、あっ、イきそ、っ……♡♡♡」
絶頂が、すぐそこに迫っている。
でも、レプスの動きは、どこまでも冷静で正確だ。
求めるだけ与えられて、それ以上は許されない。
それが、苦しくて、快感で、どうしようもなかった。
「では、ご主人様。──そろそろ、許可します。イってください」
その瞬間、レプスが俺の奥を最深部までぐりっと抉った。
「っ……うあ、あぁぁっ……♡♡」
腰が跳ね、背中が弓なりに反る。
熱いものが、身体の奥でどくんどくんと脈打ちながら、俺の中にたっぷりと注ぎ込まれていく。
(レプスの……熱いのが……いっぱい……奥に……)
同時に、俺のものも限界を超えて、びくん、びくん、と跳ねながら白い飛沫を宙に散らした。
「レプス……っ、レプス……♡♡♡」
名前を呼ぶたびに、レプスの熱がさらに深く押し込まれ、俺の中を満たした。
俺の先端からも甘い波が溢れて、シーツにぽたぽた、と落ちていく。
(レプスに……全部、知られて……全部、奪われてる……)
でも、それが、幸せだった。
力が抜けて、ベッドに沈む。
レプスの指が、背中をそっと撫で、
まだ熱を持つ鞭痕の上に、ひんやりとした薬を塗っていく。
ぴり、とした刺激のあと、じんわりと痛みが遠のく。
息がゆっくりと戻り、代わりに涙が頬を伝った。
やがて、塗布を終えたレプスの手が、
静かに肩へ移動して、優しく触れた。
手のひらは冷静で機械的なのに、
なぜだろう、少しだけ、そこに温度を感じた。
「処置、完了しました。
鞭痕は数時間で消失する見込みです」
背中に触れたまま、レプスが静かに言った。
「ご主人様、同じことが起きないようにしてくださいね」
一拍、間。
「……今回は、ろうそくを使いませんでしたが」
喉がひゅっと鳴った。
あの、無表情な声の中に、確かに何かが──
独占欲に似た熱が、混じっていた気がした。
(……やっぱ、おまえ、怒ってたんだな)
そう思った瞬間、背中からまわされた腕に、抱き込まれる。
「っ、レプス……」
何か言おうとした口元に、レプスの唇が落ちてきた。
最初は、触れるだけのキス。
でも、すぐに深く、舌が押し込まれ、
口内を奪うような、静かで強引なキスに変わっていく。
「っ……ん、っ……ふ、んん……♡」
逃げられない。
息も、思考も、全部飲み込まれていく。
それでも──どこか、満たされていた。
(……優しさじゃない。命令でもない。
でも、この独占欲……好きかも)
そう思った瞬間、舌がさらに深く差し込まれ、
舌先を絡められ、喉の奥まで、震えるような熱が満ちた。
身体が、もう、反応してる。
「ご主人様。
次は、自分で試す前に……私に判断を委ねてください。
……今度は、ろうそくを準備しておきます。」
そう囁かれながら、唇が再び塞がれる。
深く、長く、息も思考も奪われるキスの中──
俺は、抵抗もせず、されるがままに身を委ねた。
──ご褒美の終わりは、次の支配のはじまりだった。
そして、支配の名を借りたそれは、きっと、愛だった。
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運動神経は平凡以下。
考えていることが口に先に出ちゃったり、ぼうっとしてたりと天然な性格。
ひょんなことから、学校一、他校からも恐れられている不良でスパダリの美少年 御堂蓮と出会い、
なぜか気に入られ、なぜか執着され、あれよあれよのうちに両思い・・・
ヤンデレ攻めですが、受けは天然でヤンデレをするっと受け入れ、むしろラブラブモードで振り回します♡
超絶美形不良スパダリ✖️少し天然平凡男子
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
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