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第八章 復活
第53話 最強降臨
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ここは、北大陸と中央大陸を隔てるウルジア山脈ウルジア山。麓は木に覆われているものの、4000メートルを超える標高のため、山頂近くは植物が一切ない岩山である。
その山の中腹、まだ生い茂る木の陰が日差しを遮る高さのある地点の地下深くに大きな部屋があった。その部屋は魔障石と呼ばれる魔素や魔力を遮断する特殊な鉱石で作られており、外部からの発見はほぼ不可能であった。山奥ともなれば尚更だ。
そんな部屋には、魔王と魔族が一体ずつ、人間が20人ほど集まっていた。そしてその部屋の中央には、巨大な魔法陣が準備されていた。
「デュールが書いていた“地獄の情報”、これを使って長年魔神様の復活を目指していたが……ついに魔力を集められた……! これだけあれば現世から地獄へ干渉できるかも知れん……!!」
「3年前あの人が死んだときは焦ったけど……昔からあの人が情報を書き記しておいてくれてよかったな。教主様」
「まったくだ……! さっさと試すぞ! 貴様ら人間共も我らが王の復活を目の当たりに出来るのだ。感謝しろ!」
「ありがとうございます……!」
仕切っているのは魔王、邪教の教主であった。そしてその隣にいる魔族は九月・現五番だ。
邪教は魔神の復活を目標としている。魔神が死んだとされてから約2000年、常に地獄から死者を復活させるために活動していた。デュールが地獄に干渉する能力であったため、それを元に研究を進めていたようだ。
これまでは死者を復活させることは出来なかったが、冒険者など大きな魔力を持っている者から魔力を絞り出しこれまでにない程の魔力を蓄えていた。
「さぁ……! 始めるぞ!!」
「『死者復活の魔術』!」
大きく部屋が揺れた。現世から地獄に干渉する、つまりは次元を越えている術だ。何人もの命を犠牲にしてやっと完成した術であった。
一分ほど魔力を注ぎ続けたときだろうか、魔法陣から1人の男が現れた。男の容姿は、身長は170センチメートル強、背中まで伸びた黒髪を結んでいて、ボロボロの服を着ている黒い右腕の青年だった。
「…………ん? 何だここは……?」
おれはさっきまで地獄にいたはずだ。急に知らない部屋に連れてこられて……ここは地獄ではなさそうだな。空気が違う。
「ほ……本当に現れた……! 教主様! この方が魔神様か!?」
「………い、いや……。違う……! コイツは我の父上とは違う……! 魔神様ではない!!」
「魔神……? ……ああ、なんとなく状況が掴めた……。そうか。お前ら、地獄で一番強いヤツを召喚する術でも開発したのか?」
「……!?」
「まったく……おれが出てこれたのは良かったとして……何人の犠牲の上に復活できたんだ?」
「貴……貴様は何なんだ……!」
「うるさい。ちょっと黙れ」
おれは魔族の胸に白天を撃ち込んだ。普通の魔族ではない。恐らくは魔王だろう。おれは一旦状況を把握するために思考を巡らせた。
「教主様!!」
「……うん。まぁお前らを許すことはねぇけどよ……一応おれを呼び出してくれたんだから感謝はしねぇとな。冥土の土産にいいことを教えてやるよ」
「……? 舐めるなよ……! 俺は九月五番だぞ……!!」
「死者を蘇生させる術がこの世に存在する訳がないだろ。それと、今の地獄は殺し合いが少なくなってるはずだ。おれが全員叩きのめしたからな」
「……!!?」
おれは九月を名乗る魔族の裏に回り、脳天に指で穴を空けた。さっきの魔王もそうだが、的確に攻撃しておけば苦しませずに殺すことができる。
「さて……人間も同罪だからな」
「ひ……ひィ……!」
***
ところ変わって中央大陸の聖都・ヘルダルム。ここにはクラン“煌焔”の本部があった。“煌焔”は3年前から本格的に活動を始めたクランで、最高指揮官であるセリアをリーダーとしている。
このクランの下には冒険者が所属する“煌焔英団”、商人が所属する“煌焔商団”、研究者が所属する“煌焔研究団”、医療魔法使いが所属する“煌焔医団”、世界中の情報を扱う“煌焔新聞団”の五つの組織が存在する。
各団には団長がいて、煌焔英団団長兼参謀はグラが、煌焔新聞団団長兼参謀はフリナが任されていた。2人は創設者であるため、団長と参謀という重要な役を担っていたのだ。
これほどまでに大規模な組織だと、国の影響力をも凌ぐ力があった。3年でここまで成長したのはまさに奇跡とも言うべきだが、8人いる法帝のうち2人が所属しているので当然といえば当然であった。彼らは3年の間に努力をし、常に成長してきたのだ。
ただし、全ての団を取り仕切る大団長、副クランマスターの席が空いているのは3年間変わっていなかった。
「セリア! 報告が!!」
「何? バルタ?」
「俺と付き合ってくれ!」
クラン長室に1人の男が報告に来た。男の名はバルタ。バルタは炭鉱夫の集落でエスト達と出会ったが、自分の実力不足を実感し、エスト達とは別れ修行の旅に出ていた。しかし、セリアがクランを創ったことを聞き、すぐに加入していた。
「馬鹿なこと言ってないで、何があったの?」
「ウルジア山に邪教の本拠地が見つかったそうで、そこで魔王と五番、Sランクを含めた冒険者20人が殺されたそうだ」
「すごいじゃない! 北ってことはドーランさんがやったのかしら?」
「いや、そこが問題なんだけどな。誰でもないんだよ。八法帝の誰でもなければバンリューでもないらしい。魔障石の壁が壊されて出てきた魔力で気づいたらしいから」
「……ってなると奴らが勝手に争ったか……でもそんなことわざわざしないわよね……。なら魔族や冒険者をまとめて殲滅できる人がいたってこと?」
「そうなるな。それとその部屋には地獄の情報が記された物もあるそうだ」
「……! じゃあ私向かうわ。何かあったらグラかフリナに伝えておいて」
「それなら俺も付いてくぜ!!」
「いえ、いらないわ」
セリアはそう言って外へ出た。ヘルダルムからウルジア山まではかなりの距離があるが、走っていくようだ。グラやフリナ、ユリハに行ってくると伝えて出発した。
その山の中腹、まだ生い茂る木の陰が日差しを遮る高さのある地点の地下深くに大きな部屋があった。その部屋は魔障石と呼ばれる魔素や魔力を遮断する特殊な鉱石で作られており、外部からの発見はほぼ不可能であった。山奥ともなれば尚更だ。
そんな部屋には、魔王と魔族が一体ずつ、人間が20人ほど集まっていた。そしてその部屋の中央には、巨大な魔法陣が準備されていた。
「デュールが書いていた“地獄の情報”、これを使って長年魔神様の復活を目指していたが……ついに魔力を集められた……! これだけあれば現世から地獄へ干渉できるかも知れん……!!」
「3年前あの人が死んだときは焦ったけど……昔からあの人が情報を書き記しておいてくれてよかったな。教主様」
「まったくだ……! さっさと試すぞ! 貴様ら人間共も我らが王の復活を目の当たりに出来るのだ。感謝しろ!」
「ありがとうございます……!」
仕切っているのは魔王、邪教の教主であった。そしてその隣にいる魔族は九月・現五番だ。
邪教は魔神の復活を目標としている。魔神が死んだとされてから約2000年、常に地獄から死者を復活させるために活動していた。デュールが地獄に干渉する能力であったため、それを元に研究を進めていたようだ。
これまでは死者を復活させることは出来なかったが、冒険者など大きな魔力を持っている者から魔力を絞り出しこれまでにない程の魔力を蓄えていた。
「さぁ……! 始めるぞ!!」
「『死者復活の魔術』!」
大きく部屋が揺れた。現世から地獄に干渉する、つまりは次元を越えている術だ。何人もの命を犠牲にしてやっと完成した術であった。
一分ほど魔力を注ぎ続けたときだろうか、魔法陣から1人の男が現れた。男の容姿は、身長は170センチメートル強、背中まで伸びた黒髪を結んでいて、ボロボロの服を着ている黒い右腕の青年だった。
「…………ん? 何だここは……?」
おれはさっきまで地獄にいたはずだ。急に知らない部屋に連れてこられて……ここは地獄ではなさそうだな。空気が違う。
「ほ……本当に現れた……! 教主様! この方が魔神様か!?」
「………い、いや……。違う……! コイツは我の父上とは違う……! 魔神様ではない!!」
「魔神……? ……ああ、なんとなく状況が掴めた……。そうか。お前ら、地獄で一番強いヤツを召喚する術でも開発したのか?」
「……!?」
「まったく……おれが出てこれたのは良かったとして……何人の犠牲の上に復活できたんだ?」
「貴……貴様は何なんだ……!」
「うるさい。ちょっと黙れ」
おれは魔族の胸に白天を撃ち込んだ。普通の魔族ではない。恐らくは魔王だろう。おれは一旦状況を把握するために思考を巡らせた。
「教主様!!」
「……うん。まぁお前らを許すことはねぇけどよ……一応おれを呼び出してくれたんだから感謝はしねぇとな。冥土の土産にいいことを教えてやるよ」
「……? 舐めるなよ……! 俺は九月五番だぞ……!!」
「死者を蘇生させる術がこの世に存在する訳がないだろ。それと、今の地獄は殺し合いが少なくなってるはずだ。おれが全員叩きのめしたからな」
「……!!?」
おれは九月を名乗る魔族の裏に回り、脳天に指で穴を空けた。さっきの魔王もそうだが、的確に攻撃しておけば苦しませずに殺すことができる。
「さて……人間も同罪だからな」
「ひ……ひィ……!」
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ところ変わって中央大陸の聖都・ヘルダルム。ここにはクラン“煌焔”の本部があった。“煌焔”は3年前から本格的に活動を始めたクランで、最高指揮官であるセリアをリーダーとしている。
このクランの下には冒険者が所属する“煌焔英団”、商人が所属する“煌焔商団”、研究者が所属する“煌焔研究団”、医療魔法使いが所属する“煌焔医団”、世界中の情報を扱う“煌焔新聞団”の五つの組織が存在する。
各団には団長がいて、煌焔英団団長兼参謀はグラが、煌焔新聞団団長兼参謀はフリナが任されていた。2人は創設者であるため、団長と参謀という重要な役を担っていたのだ。
これほどまでに大規模な組織だと、国の影響力をも凌ぐ力があった。3年でここまで成長したのはまさに奇跡とも言うべきだが、8人いる法帝のうち2人が所属しているので当然といえば当然であった。彼らは3年の間に努力をし、常に成長してきたのだ。
ただし、全ての団を取り仕切る大団長、副クランマスターの席が空いているのは3年間変わっていなかった。
「セリア! 報告が!!」
「何? バルタ?」
「俺と付き合ってくれ!」
クラン長室に1人の男が報告に来た。男の名はバルタ。バルタは炭鉱夫の集落でエスト達と出会ったが、自分の実力不足を実感し、エスト達とは別れ修行の旅に出ていた。しかし、セリアがクランを創ったことを聞き、すぐに加入していた。
「馬鹿なこと言ってないで、何があったの?」
「ウルジア山に邪教の本拠地が見つかったそうで、そこで魔王と五番、Sランクを含めた冒険者20人が殺されたそうだ」
「すごいじゃない! 北ってことはドーランさんがやったのかしら?」
「いや、そこが問題なんだけどな。誰でもないんだよ。八法帝の誰でもなければバンリューでもないらしい。魔障石の壁が壊されて出てきた魔力で気づいたらしいから」
「……ってなると奴らが勝手に争ったか……でもそんなことわざわざしないわよね……。なら魔族や冒険者をまとめて殲滅できる人がいたってこと?」
「そうなるな。それとその部屋には地獄の情報が記された物もあるそうだ」
「……! じゃあ私向かうわ。何かあったらグラかフリナに伝えておいて」
「それなら俺も付いてくぜ!!」
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