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第十一章 作戦会議
第77話 それまでの1週間
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「エストー! 起きなー!」
「起きてるよ。ちょっと待ってて!」
朝日が昇り、コンコンと扉を叩くセリアに対しおれは返事を返した。日の傾き具合からするにちゃんと朝だな。昼まで寝坊とかにならなくてよかった。おれは着替えを済ませ、水分補給だけして部屋を出た。扉の向こう側では、セリアとグラが待っていた。
「お前、今日は起きるの早いんじゃな」
「でもちゃんと起きれて偉いわよ」
顔を合わせるなりそんなことを言う2人であったが……なんか子供みたいに見られてないか? おれだって早起きしてるときもあるだろ。珍しいっちゃ珍しいけどよ。
「エスト様! おはようございます」
「え……お、おはよう……」
おれ達のやり取りを聞いてか、デモンゲートがどこからともなく現れた。本当に……気味の悪いヤツだな。
おれはデモンゲートには先に大聖堂にでも行っておくように伝え、セリア達と軽く朝食を済ませてからおれ達も大聖堂へ向かった。バンリューはまだ来ていないようだ。
「エスト様、どうぞこちらにお掛けになって下さい。何かご所望ございますか?」
「い、いや。大丈夫だ」
「承知しました」
「な、なぁ。……本当にアイツ大丈夫かな? なんというか……頭おかしいんじゃないか?」
デモンゲートが離れるのを見た後、おれは隣に座ったセリアに話しかけた。昨日おれが承諾してしまったのは早計だったのかも知れない。もっと慎重になるべきだったかな。
「………まぁ変なのは否定出来ないけど……いや、本当に変ではあるんだけど、別にいいんじゃない? 害はないんだし」
「儂はちょっと気味が悪いがな。あんな性格ではなかったじゃろ。………まぁ面白いからいいんじゃけど」
グラめ……コイツは本当に……! いや、グラがこんな目に遭ってたらおれも面白がるだろうけどよ。もう少しおれの心配とかはないのか。
「……よし……。始めるか……」
すると、バチバチと鳴る音と共にバンリューが現れた。コイツはこういう登場の仕方しか出来ないのか? もっとこう……普通に来いよ。………まぁこっちの方が早く来れるんだろうけど……急に話しかけられるとビビるからな。
「…………お前達も……一緒にやるか……?」
「いえ、せっかくだけど私達はいいわ。今日は兄様が来るから。エストをしごいてあげて」
「……そうか……」
セリアとグラはギルバートさんとやるのか。そう言えば3年間鍛えてくれたらしいしな。すっかり師弟関係といった感じか。
「……まず……いや……お前の昇華は……一旦諦めるか……」
「えっ!? なんでだよ! 昇華した方がいいだろ!」
「お前が……強いのは……理解している……。それこそ……昇華している八法帝以上に……。その上で昇華していないとなると……求められている次元が高いのだろう……。そもそも……固有能力者は……昇華が難しいと言うしな……」
……そうか……。なんか残念だな。なんとか1週間で仕上げられないものか……。昇華って能力を熟知した上で自身の力が一定まで高まったらなるもんだと思ってたんだけど……ちょっと違うのかな?
その後、おれはバンリューととにかく打ち込みをしまくった。途中水分補給や飯を食うために休憩を取ったりしたが、それ以外はとにかく身体強化を使って身体を動かしまくった。
もちろん、どれだけやってもおれの攻撃は届かず、逆にバンリューの攻撃はほとんど全て受けてしまった。とはいえ、後半は動きが洗練されて流したり受け止めたり出来ることが多くなっていた。それでもまだ圧倒的に押されていたのだが。
日が暮れる4時間ほど前、つまり午後の2~3時頃、イリアがやってきた。バンリューの気配を感じ取って来たそうだ。俺の相手もしろ、と。
イリアの能力は“想像を具現化する能力”だ。……かなりぶっ飛んだ能力だが、本人曰く自然の摂理には干渉できない、想像を超える力は引き出せないとのことだ。
自然の摂理というのはどこまでのことを言うのか、重力を無視して空を飛んでいるが……物理法則は無視できるのか? それこそ神様が干渉するようなものには干渉できないってことだろうか。……でもイリアがバンリューの力を想像出来たらそれだけの力が出せるんだもんな……。やっぱりぶっ飛んでんだろ。
イリアは一通りバンリューとやり合って満足したのか、さっさと帰っていった。その後は日が暮れるまでおれとバンリューで打ち合った。雷の力で速いってのもあるが、やっぱり彼の動きには無駄がない。
それこそ洗練されていたと思っていたおれの動きが霞んでしまうほどに。魔力の操作だって繊細でそれでいて豪快で………だが真似できないほどではない。
バンリューは鍛えるという割にはアドバイスも少なく、ただ殴り殴られを繰り返しているだけだ。当然そこには身体を鍛えるというのも、敵の速度に慣れるという理由もあるだろうが、何よりもバンリューの技術を奪えということなのだろう。……単純に教えるのが下手という可能性も捨てきれないが……。
おれ達は1週間ずっとそんな感じであった。たまにこの場に来たギルバートさんや他の法帝達とは何回か手合わせしたが、ほとんどの時間はバンリューと一対一だったし……3日目くらいか、寝坊して遅れたときはとにかくボコボコにされた……。
そのおかげか、ほんの少し身体が頑丈になった気がしないでもない。………まぁ気のせいだろうな。
「エスト、明日はちゃんと起きるのよ」
「あぁ。分かってるよ」
おれはそう返事をして宿の部屋の中に入っていった。明日はいよいよ魔界に向けて出発する日だ。朝に大聖堂へと行き、そこからアールデント様が東大陸南端の港へと転移させてくれるようだ。
アールデント様はもう大規模な魔法は使えないようだが、随分と前から魔法陣を準備していたらしい。今は……10時か。もう寝といた方がいいかな。おれはカーテンを閉め、明かりを落としベッドに入った。
明日……ついに明日だ。ワクワクするような、ドキドキするような、そういう感情に支配されてなかなか眠りにつけなかった。しかし、瞼を下ろして長い間闇を見つめているうちに、気づけば夢に落ちていた。
「起きてるよ。ちょっと待ってて!」
朝日が昇り、コンコンと扉を叩くセリアに対しおれは返事を返した。日の傾き具合からするにちゃんと朝だな。昼まで寝坊とかにならなくてよかった。おれは着替えを済ませ、水分補給だけして部屋を出た。扉の向こう側では、セリアとグラが待っていた。
「お前、今日は起きるの早いんじゃな」
「でもちゃんと起きれて偉いわよ」
顔を合わせるなりそんなことを言う2人であったが……なんか子供みたいに見られてないか? おれだって早起きしてるときもあるだろ。珍しいっちゃ珍しいけどよ。
「エスト様! おはようございます」
「え……お、おはよう……」
おれ達のやり取りを聞いてか、デモンゲートがどこからともなく現れた。本当に……気味の悪いヤツだな。
おれはデモンゲートには先に大聖堂にでも行っておくように伝え、セリア達と軽く朝食を済ませてからおれ達も大聖堂へ向かった。バンリューはまだ来ていないようだ。
「エスト様、どうぞこちらにお掛けになって下さい。何かご所望ございますか?」
「い、いや。大丈夫だ」
「承知しました」
「な、なぁ。……本当にアイツ大丈夫かな? なんというか……頭おかしいんじゃないか?」
デモンゲートが離れるのを見た後、おれは隣に座ったセリアに話しかけた。昨日おれが承諾してしまったのは早計だったのかも知れない。もっと慎重になるべきだったかな。
「………まぁ変なのは否定出来ないけど……いや、本当に変ではあるんだけど、別にいいんじゃない? 害はないんだし」
「儂はちょっと気味が悪いがな。あんな性格ではなかったじゃろ。………まぁ面白いからいいんじゃけど」
グラめ……コイツは本当に……! いや、グラがこんな目に遭ってたらおれも面白がるだろうけどよ。もう少しおれの心配とかはないのか。
「……よし……。始めるか……」
すると、バチバチと鳴る音と共にバンリューが現れた。コイツはこういう登場の仕方しか出来ないのか? もっとこう……普通に来いよ。………まぁこっちの方が早く来れるんだろうけど……急に話しかけられるとビビるからな。
「…………お前達も……一緒にやるか……?」
「いえ、せっかくだけど私達はいいわ。今日は兄様が来るから。エストをしごいてあげて」
「……そうか……」
セリアとグラはギルバートさんとやるのか。そう言えば3年間鍛えてくれたらしいしな。すっかり師弟関係といった感じか。
「……まず……いや……お前の昇華は……一旦諦めるか……」
「えっ!? なんでだよ! 昇華した方がいいだろ!」
「お前が……強いのは……理解している……。それこそ……昇華している八法帝以上に……。その上で昇華していないとなると……求められている次元が高いのだろう……。そもそも……固有能力者は……昇華が難しいと言うしな……」
……そうか……。なんか残念だな。なんとか1週間で仕上げられないものか……。昇華って能力を熟知した上で自身の力が一定まで高まったらなるもんだと思ってたんだけど……ちょっと違うのかな?
その後、おれはバンリューととにかく打ち込みをしまくった。途中水分補給や飯を食うために休憩を取ったりしたが、それ以外はとにかく身体強化を使って身体を動かしまくった。
もちろん、どれだけやってもおれの攻撃は届かず、逆にバンリューの攻撃はほとんど全て受けてしまった。とはいえ、後半は動きが洗練されて流したり受け止めたり出来ることが多くなっていた。それでもまだ圧倒的に押されていたのだが。
日が暮れる4時間ほど前、つまり午後の2~3時頃、イリアがやってきた。バンリューの気配を感じ取って来たそうだ。俺の相手もしろ、と。
イリアの能力は“想像を具現化する能力”だ。……かなりぶっ飛んだ能力だが、本人曰く自然の摂理には干渉できない、想像を超える力は引き出せないとのことだ。
自然の摂理というのはどこまでのことを言うのか、重力を無視して空を飛んでいるが……物理法則は無視できるのか? それこそ神様が干渉するようなものには干渉できないってことだろうか。……でもイリアがバンリューの力を想像出来たらそれだけの力が出せるんだもんな……。やっぱりぶっ飛んでんだろ。
イリアは一通りバンリューとやり合って満足したのか、さっさと帰っていった。その後は日が暮れるまでおれとバンリューで打ち合った。雷の力で速いってのもあるが、やっぱり彼の動きには無駄がない。
それこそ洗練されていたと思っていたおれの動きが霞んでしまうほどに。魔力の操作だって繊細でそれでいて豪快で………だが真似できないほどではない。
バンリューは鍛えるという割にはアドバイスも少なく、ただ殴り殴られを繰り返しているだけだ。当然そこには身体を鍛えるというのも、敵の速度に慣れるという理由もあるだろうが、何よりもバンリューの技術を奪えということなのだろう。……単純に教えるのが下手という可能性も捨てきれないが……。
おれ達は1週間ずっとそんな感じであった。たまにこの場に来たギルバートさんや他の法帝達とは何回か手合わせしたが、ほとんどの時間はバンリューと一対一だったし……3日目くらいか、寝坊して遅れたときはとにかくボコボコにされた……。
そのおかげか、ほんの少し身体が頑丈になった気がしないでもない。………まぁ気のせいだろうな。
「エスト、明日はちゃんと起きるのよ」
「あぁ。分かってるよ」
おれはそう返事をして宿の部屋の中に入っていった。明日はいよいよ魔界に向けて出発する日だ。朝に大聖堂へと行き、そこからアールデント様が東大陸南端の港へと転移させてくれるようだ。
アールデント様はもう大規模な魔法は使えないようだが、随分と前から魔法陣を準備していたらしい。今は……10時か。もう寝といた方がいいかな。おれはカーテンを閉め、明かりを落としベッドに入った。
明日……ついに明日だ。ワクワクするような、ドキドキするような、そういう感情に支配されてなかなか眠りにつけなかった。しかし、瞼を下ろして長い間闇を見つめているうちに、気づけば夢に落ちていた。
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