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第十三章 生残競争
第91話 第二ステージ
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イリアに傷を治してもらおうと思ったが、傷が深いだけにそう簡単には治らなそうだ。まだ脅威が完全に去ったわけではないのでここに魔力を使ってしまうのも勿体無い。
それにこの戦いに勘づいたのか、何人かがここに向かっているしおれが弱っていてもそこまで問題ないだろう。そう思っていると、遠く、遥か遠くから一筋の光がセリアを貫いた。
「ぐッ……ふッ……!」
「ッ!!? セリアッ!」
「白天、自分の技だろ? なんで警戒を解いた?」
無傷……ではない。おれの本気の一撃だったんだ。流石に無傷ではないが……重傷でもない。こっちは今のでボロボロだってのに……。
「イリア! セリアを治してくれ!」
「……分かった!」
おれは再び身体強化を発動してデスバルトに向き合った。
視界は不良、腕は一本、後ろには守るべき者、相手は最強。
状況は最悪だがやるしかない。そもそも今一番許せないのはセリアを撃ち抜いたことだ。
そしてそれを守れなかったおれ自身のことも許せない。おれはデスバルトに突進して蹴りを入れた。
「そんな怒るなよ。死んじゃいないだろ?」
「女子を傷つけるのはそれだけで重罪だろうが……!」
しかし蹴りは簡単に受け止められたので一旦距離を置く。しばらくの間両腕で過ごしてたからどうも身体を動かしづらい。
なにより潰れた右目があまりに痛む。そのせいでイマイチ集中できない。その上、左目にも血が流れてきてまともに前も見ることが出来ない。
「デモンゲート! 一瞬でいい! おれを連れてけ!」
「! ッはい!」
おれはデモンゲートを呼んで手を掴んだ。そして一瞬、1秒にも満たないほんの一瞬だけ、時間の止まった世界に入った。そこで最大限の魔素を脚に纏って技を放った。
「『魔燐凱』……!」
「今のはッ……!!」
腕を交差して防御した上からデスバルトを蹴り飛ばした。デモンゲートも限界が近いからそう長い間は止められない。そう何回も使えない。
願望だが、今の一撃でなんとかなってくれてはいないだろうか。どうかこのまま……。そう思ったが、なかなかそうはならないようだ。
「触れていれば他の人も動けるのか。ま、今の君じゃまともな攻撃は出来ないもんね」
「ッ……『万華穿衝』!」
「そのッ……程度!!」
「ぐッ…………!」
背後から打ち出した何十発もの白天をことごとく跳ね返され、放っている隙に殴り飛ばされた。
いよいよ、本当にマズい。身体がはち切れそうなくらいに限界が来ている。自分でも意識を保てているのが不思議に思うほどだ。
「最後に、僕の仲間になるつもりはないかい?」
「…………ッは。……はぁ……はぁ……。なる訳……ねぇだろ……ばーか……!」
「……そうか」
「づッ…………!」
「……エスト様ッ!!」
「エ……スト……?」
一際大きな魔力の光線がおれの心臓を貫いた。少しずつ身体が冷えていく。呼吸が上手く出来ない。
……いや、少しずつ呼吸が出来なくなっている。ありとあらゆる感覚が薄くなっていく。デモンゲートとセリアのおれを呼んでいる声が次第に遠くなっていく。
……光が見えない。音が聞こえない。さっきまでしていたはずの大地の匂いも。……おれがこの世界から消えていくような感覚だった。
「グルゥワアアアアアア!!」
「ッ! 竜帝……貴様……!」
遠くから飛んできたグラが竜形態でデスバルトに噛みついた。そこから炎の息を吐き出してデスバルトを吹き飛ばす。その背中からガルヴァン、ギルバートが降り、更に遠くからリンシャが走ってきた。
「ッ……イリア……エストを治して……!」
「……任せろ…………!」
セリアは力強くそう言った。その言葉にイリアも従う。
「セリア……無茶はするな」
「無茶な……もんですか……! 6人で……アイツを倒すわよ……!」
ふらつく足でセリアは起き上がった。イリアはセリアの治療を中断し、エストの方へ向かう。
セリア、グラ、デモンゲート、ギルバート、ガルヴァン、リンシャ。この6人でデスバルトに向き合う。
「君達が……僕に勝てるとでも……!?」
「重傷のくせに意地張ってんじゃねぇよ」
6人はデスバルトと激しくぶつかり合った。ガルヴァンとグラ、リンシャが主に攻撃し、セリアとギルバートがそれを補助する。デモンゲートが不意打ちをする。特に時間を止めて攻撃してくるデモンゲートがデスバルトの邪魔をしていた。
拮抗、いや、連携の取れているセリア達の方がやや押していた。デスバルトは疲弊している。ヒットアンドアウェイの戦法はかなり有効であった。
…………次元が変わるまでは。
「『竜の炎拳』!」
「うがッ…………!」
グラの炎を纏った竜の拳がデスバルトを襲った。拳が触れた瞬間に、そこから超高音の炎が吹き出してデスバルトを包んだ。
大地は炎によって蒸発させられ、大きく煙が上がった。その煙から出てきたのは……。
「……! 何……だ……お前は……?」
「ははッ! 第二形態ってやつだよ。大人の方が戦いやすいだろ?」
「……ッ!!」
さっきまでは130センチほどだったデスバルトが、2メートル弱になって起き上がった。さっきまで消えかかっていた魔力が再び膨れ上がる……いや、これまで以上に上がっている。完全回復だった。
「さぁ、第二ラウンドを始めようか。」
「くッ……そッ!」
デスバルトは煙を払って堂々とした姿勢で6人と向き合った。
それにこの戦いに勘づいたのか、何人かがここに向かっているしおれが弱っていてもそこまで問題ないだろう。そう思っていると、遠く、遥か遠くから一筋の光がセリアを貫いた。
「ぐッ……ふッ……!」
「ッ!!? セリアッ!」
「白天、自分の技だろ? なんで警戒を解いた?」
無傷……ではない。おれの本気の一撃だったんだ。流石に無傷ではないが……重傷でもない。こっちは今のでボロボロだってのに……。
「イリア! セリアを治してくれ!」
「……分かった!」
おれは再び身体強化を発動してデスバルトに向き合った。
視界は不良、腕は一本、後ろには守るべき者、相手は最強。
状況は最悪だがやるしかない。そもそも今一番許せないのはセリアを撃ち抜いたことだ。
そしてそれを守れなかったおれ自身のことも許せない。おれはデスバルトに突進して蹴りを入れた。
「そんな怒るなよ。死んじゃいないだろ?」
「女子を傷つけるのはそれだけで重罪だろうが……!」
しかし蹴りは簡単に受け止められたので一旦距離を置く。しばらくの間両腕で過ごしてたからどうも身体を動かしづらい。
なにより潰れた右目があまりに痛む。そのせいでイマイチ集中できない。その上、左目にも血が流れてきてまともに前も見ることが出来ない。
「デモンゲート! 一瞬でいい! おれを連れてけ!」
「! ッはい!」
おれはデモンゲートを呼んで手を掴んだ。そして一瞬、1秒にも満たないほんの一瞬だけ、時間の止まった世界に入った。そこで最大限の魔素を脚に纏って技を放った。
「『魔燐凱』……!」
「今のはッ……!!」
腕を交差して防御した上からデスバルトを蹴り飛ばした。デモンゲートも限界が近いからそう長い間は止められない。そう何回も使えない。
願望だが、今の一撃でなんとかなってくれてはいないだろうか。どうかこのまま……。そう思ったが、なかなかそうはならないようだ。
「触れていれば他の人も動けるのか。ま、今の君じゃまともな攻撃は出来ないもんね」
「ッ……『万華穿衝』!」
「そのッ……程度!!」
「ぐッ…………!」
背後から打ち出した何十発もの白天をことごとく跳ね返され、放っている隙に殴り飛ばされた。
いよいよ、本当にマズい。身体がはち切れそうなくらいに限界が来ている。自分でも意識を保てているのが不思議に思うほどだ。
「最後に、僕の仲間になるつもりはないかい?」
「…………ッは。……はぁ……はぁ……。なる訳……ねぇだろ……ばーか……!」
「……そうか」
「づッ…………!」
「……エスト様ッ!!」
「エ……スト……?」
一際大きな魔力の光線がおれの心臓を貫いた。少しずつ身体が冷えていく。呼吸が上手く出来ない。
……いや、少しずつ呼吸が出来なくなっている。ありとあらゆる感覚が薄くなっていく。デモンゲートとセリアのおれを呼んでいる声が次第に遠くなっていく。
……光が見えない。音が聞こえない。さっきまでしていたはずの大地の匂いも。……おれがこの世界から消えていくような感覚だった。
「グルゥワアアアアアア!!」
「ッ! 竜帝……貴様……!」
遠くから飛んできたグラが竜形態でデスバルトに噛みついた。そこから炎の息を吐き出してデスバルトを吹き飛ばす。その背中からガルヴァン、ギルバートが降り、更に遠くからリンシャが走ってきた。
「ッ……イリア……エストを治して……!」
「……任せろ…………!」
セリアは力強くそう言った。その言葉にイリアも従う。
「セリア……無茶はするな」
「無茶な……もんですか……! 6人で……アイツを倒すわよ……!」
ふらつく足でセリアは起き上がった。イリアはセリアの治療を中断し、エストの方へ向かう。
セリア、グラ、デモンゲート、ギルバート、ガルヴァン、リンシャ。この6人でデスバルトに向き合う。
「君達が……僕に勝てるとでも……!?」
「重傷のくせに意地張ってんじゃねぇよ」
6人はデスバルトと激しくぶつかり合った。ガルヴァンとグラ、リンシャが主に攻撃し、セリアとギルバートがそれを補助する。デモンゲートが不意打ちをする。特に時間を止めて攻撃してくるデモンゲートがデスバルトの邪魔をしていた。
拮抗、いや、連携の取れているセリア達の方がやや押していた。デスバルトは疲弊している。ヒットアンドアウェイの戦法はかなり有効であった。
…………次元が変わるまでは。
「『竜の炎拳』!」
「うがッ…………!」
グラの炎を纏った竜の拳がデスバルトを襲った。拳が触れた瞬間に、そこから超高音の炎が吹き出してデスバルトを包んだ。
大地は炎によって蒸発させられ、大きく煙が上がった。その煙から出てきたのは……。
「……! 何……だ……お前は……?」
「ははッ! 第二形態ってやつだよ。大人の方が戦いやすいだろ?」
「……ッ!!」
さっきまでは130センチほどだったデスバルトが、2メートル弱になって起き上がった。さっきまで消えかかっていた魔力が再び膨れ上がる……いや、これまで以上に上がっている。完全回復だった。
「さぁ、第二ラウンドを始めようか。」
「くッ……そッ!」
デスバルトは煙を払って堂々とした姿勢で6人と向き合った。
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