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第十三章 生残競争
第94話 世界は動き出した
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「どうしよっかな」
「……?」
おれは手をグーパーしながら考えた。この身体はより高度な身体強化で細胞と魔素が融合したことによって、より爆発的な力を出せるようになっている。
別に昇華による力ではない。……まぁ昇華しないと使えないけど。
「うん。『融合身体強化』だな。そうしよう」
おれはそう言ってデスバルトの方を向いた。融合身体強化はたぶんそう長くは保たない。それに昇華にもまだ慣れていないからそっちの時間も限られている。最初から飛ばしていこう。
「くッ……調子こきやがって……!」
「ッ……!」
デスバルトが殴りかかったきた。彼は膨大な魔力を全て自身の強化に回しているようだ。速度も火力もこれまでの比ではない。
……でも対応できないほどではない。おれはデスバルトの腕を弾いて腹に魔素を爆発させた。そして吹き飛んだ相手の後ろに回り込み、頭を掴んで地面に放り投げる。
圧縮した魔素の光線を無数に放った。大地を抉ってデスバルトを襲撃した。
「は……ッ! この……野郎がァ……!!」
「ぐッ……!?」
大地の奥にいたはずのデスバルトが目の前に現れて、おれの胸部に強い打撃を入れてから首に強烈な回し蹴りをしてきた。今度はおれが地面に叩きつけられた。
世界を割いてその隙間に入るように移動してきたのだろう。まるで瞬間移動だった。その速度で放たれた攻撃は肋と首の骨を砕く勢いだった。心臓も潰されるところだったな。
「痛ッ……! 『散魔』!!」
「ッ……!!」
おれは両手を開いて圧縮した魔素を無数に放出し、それを爆発させた。爆発する散弾銃のようなものだ。しかも一粒一粒が本物の爆弾を超える威力を持っている。
デスバルトとてそれなりに防御しなくてはいけない。その隙を突くようにおれは攻撃の間を縫ってデスバルトに接近した。
「『魔天楼』!」
「ゔッ! こ……のッ!!」
「がッ……!」
魔素の爆発と同時に火柱でデスバルトを包んだ。火力もおよそ生物が生きていられるようなものではなかった。
しかしその炎の中から腕が伸び、おれの首を掴んだ。そしてそのまま締め付けられ、燃える腕で腹を貫かれた。一度距離を置いて回復に専念する。とにかく魔素を回して肉を作っていく。
……マズイ。身体が壊れてゆく。そろそろ限界がきたか……! とりあえず傷だけ塞いで……!
「はぁ……どうした。さっきより随分……弱いじゃないか……!」
「がッ……がはッ!」
回復をしていると横からデスバルトの脚が飛んできた。おれは反応しきれず頭を強く蹴られてしまった。
森の木を何本も折りながらおれは吹き飛ばされた。口から血が出てくる。言葉の通りに身体が壊れ始めているのだ。だがここで倒れるわけにはいかない。
おれは再び魔素を回して立ち上がった。遠くから飛んでくるデスバルトの白天を身に受けながらおれは最高速度で突き進んだ。
魔力が身体を貫いて焼いていく。だがそれに負けずに突き進み、デスバルトに接近した。
「ッ……!? その傷で……なぜ動けるか!?」
「はぁ……はぁ……ッ!」
確かにおれは限界だ。だがそれはアイツも同じこと……勝てる戦いを放棄する者がどこにいるか。
おれは時間を停止させ、右手に魔素を高密度に圧縮していった。そしてそれは林檎ほどの大きさまでになった。魔素の球体をそのまま握りつぶし、デスバルトの眼前に突き出した。
「『煌魔天』!」
「ッ……!!!」
世界は動き出し、魔素は炎を伴いながら爆発した。爆発は一帯の森を飲み込み、おれの右腕も吹き飛ばした。
爆心地では空気をも溶かし、その衝撃は世界全体を震わせた。まさに自爆技だ。
その衝撃と消滅したデスバルトの魔力に反応し、みんな集まってきた。厳密に言えばもうすぐ消滅するデスバルトの魔力に。
「エスト! また右手が……!」
「……大丈夫さ。……昇華させたらまた作れる」
おれを見てセリアが心配しながら声を掛けてくれた。みんな疲弊している。みんな限界だ。それでも勝つことが出来た。おれは地面に座り込んで身体の半分以上が吹き飛んだデスバルトの方を見た。
「……流石にもう動かなねぇよな? デスバルト」
「そう……だね。流石にもう……僕も限界だよ……」
彼は小さな声でそう答えた。流石最強の魔族としか言えないな。これだけの技を喰らってもまだ喋れるか。当然、流石にもう指一本動かす力はないようだが。
「……お前に2人殺された。それ以前にも数えられないくらいの者達が死んだ……。だがお前達の負けだ。詰めが甘かったな」
「……仕方ないかな。……僕達を……これで三界を全部…………倒したな……。まさか……弟に殺されるとは……」
デスバルトは息も絶え絶えに話した。どこまでもムカつくヤツだ。少し嬉しそうに話してやがる。
「……いよいよ……魔族が負ければ世界が変わるぞ。人類と魔族の争いも終わりだ……。人類も魔族も……これ以上死ぬ必要はなくなる……」
「はっ……はっ……! そう……だな……。再び……世界が動き出す……!!」
そう言ってデスバルトの身体は崩壊していった。デスバルトの身体から、魔力が解放されていった。東の空から日が昇り始めていた。
「……?」
おれは手をグーパーしながら考えた。この身体はより高度な身体強化で細胞と魔素が融合したことによって、より爆発的な力を出せるようになっている。
別に昇華による力ではない。……まぁ昇華しないと使えないけど。
「うん。『融合身体強化』だな。そうしよう」
おれはそう言ってデスバルトの方を向いた。融合身体強化はたぶんそう長くは保たない。それに昇華にもまだ慣れていないからそっちの時間も限られている。最初から飛ばしていこう。
「くッ……調子こきやがって……!」
「ッ……!」
デスバルトが殴りかかったきた。彼は膨大な魔力を全て自身の強化に回しているようだ。速度も火力もこれまでの比ではない。
……でも対応できないほどではない。おれはデスバルトの腕を弾いて腹に魔素を爆発させた。そして吹き飛んだ相手の後ろに回り込み、頭を掴んで地面に放り投げる。
圧縮した魔素の光線を無数に放った。大地を抉ってデスバルトを襲撃した。
「は……ッ! この……野郎がァ……!!」
「ぐッ……!?」
大地の奥にいたはずのデスバルトが目の前に現れて、おれの胸部に強い打撃を入れてから首に強烈な回し蹴りをしてきた。今度はおれが地面に叩きつけられた。
世界を割いてその隙間に入るように移動してきたのだろう。まるで瞬間移動だった。その速度で放たれた攻撃は肋と首の骨を砕く勢いだった。心臓も潰されるところだったな。
「痛ッ……! 『散魔』!!」
「ッ……!!」
おれは両手を開いて圧縮した魔素を無数に放出し、それを爆発させた。爆発する散弾銃のようなものだ。しかも一粒一粒が本物の爆弾を超える威力を持っている。
デスバルトとてそれなりに防御しなくてはいけない。その隙を突くようにおれは攻撃の間を縫ってデスバルトに接近した。
「『魔天楼』!」
「ゔッ! こ……のッ!!」
「がッ……!」
魔素の爆発と同時に火柱でデスバルトを包んだ。火力もおよそ生物が生きていられるようなものではなかった。
しかしその炎の中から腕が伸び、おれの首を掴んだ。そしてそのまま締め付けられ、燃える腕で腹を貫かれた。一度距離を置いて回復に専念する。とにかく魔素を回して肉を作っていく。
……マズイ。身体が壊れてゆく。そろそろ限界がきたか……! とりあえず傷だけ塞いで……!
「はぁ……どうした。さっきより随分……弱いじゃないか……!」
「がッ……がはッ!」
回復をしていると横からデスバルトの脚が飛んできた。おれは反応しきれず頭を強く蹴られてしまった。
森の木を何本も折りながらおれは吹き飛ばされた。口から血が出てくる。言葉の通りに身体が壊れ始めているのだ。だがここで倒れるわけにはいかない。
おれは再び魔素を回して立ち上がった。遠くから飛んでくるデスバルトの白天を身に受けながらおれは最高速度で突き進んだ。
魔力が身体を貫いて焼いていく。だがそれに負けずに突き進み、デスバルトに接近した。
「ッ……!? その傷で……なぜ動けるか!?」
「はぁ……はぁ……ッ!」
確かにおれは限界だ。だがそれはアイツも同じこと……勝てる戦いを放棄する者がどこにいるか。
おれは時間を停止させ、右手に魔素を高密度に圧縮していった。そしてそれは林檎ほどの大きさまでになった。魔素の球体をそのまま握りつぶし、デスバルトの眼前に突き出した。
「『煌魔天』!」
「ッ……!!!」
世界は動き出し、魔素は炎を伴いながら爆発した。爆発は一帯の森を飲み込み、おれの右腕も吹き飛ばした。
爆心地では空気をも溶かし、その衝撃は世界全体を震わせた。まさに自爆技だ。
その衝撃と消滅したデスバルトの魔力に反応し、みんな集まってきた。厳密に言えばもうすぐ消滅するデスバルトの魔力に。
「エスト! また右手が……!」
「……大丈夫さ。……昇華させたらまた作れる」
おれを見てセリアが心配しながら声を掛けてくれた。みんな疲弊している。みんな限界だ。それでも勝つことが出来た。おれは地面に座り込んで身体の半分以上が吹き飛んだデスバルトの方を見た。
「……流石にもう動かなねぇよな? デスバルト」
「そう……だね。流石にもう……僕も限界だよ……」
彼は小さな声でそう答えた。流石最強の魔族としか言えないな。これだけの技を喰らってもまだ喋れるか。当然、流石にもう指一本動かす力はないようだが。
「……お前に2人殺された。それ以前にも数えられないくらいの者達が死んだ……。だがお前達の負けだ。詰めが甘かったな」
「……仕方ないかな。……僕達を……これで三界を全部…………倒したな……。まさか……弟に殺されるとは……」
デスバルトは息も絶え絶えに話した。どこまでもムカつくヤツだ。少し嬉しそうに話してやがる。
「……いよいよ……魔族が負ければ世界が変わるぞ。人類と魔族の争いも終わりだ……。人類も魔族も……これ以上死ぬ必要はなくなる……」
「はっ……はっ……! そう……だな……。再び……世界が動き出す……!!」
そう言ってデスバルトの身体は崩壊していった。デスバルトの身体から、魔力が解放されていった。東の空から日が昇り始めていた。
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