6 / 159
第一章 森の生活と孤児院改革:神様、それは無いと思います
第6話 初期資金1000万ポイントゲット! さあ、快適スローライフへ!
しおりを挟む
「えっ? ああ、そうですね……だいたい、1ポイント=1円くらいに設定してあります」
「1ポイント1円……つまり、10万円、ですか」
私はにっこりと、しかし目の笑っていない笑顔を神様に向ける。前世で、理不尽な要求をしてくる取引先に見せたことのある笑顔だ。
「神様」
「は、はいっ!?」
「私の失われた28年間の人生と、定年まで働けば得られたはずの生涯年収、約2億円。そして、盆栽が頭に直撃して死ぬというあまりに無惨な死に方に対する精神的苦痛への慰謝料。これら全てをひっくるめて、たったの10万円で手を打てと、そうおっしゃるのですか?」
神様の顔がみるみるうちに青ざめていく。
「ひっ……! い、いえ! めっそうもございません! あれはあくまで初期資金と言いますか、ちょっとしたお小遣いと言いますか……!」
「お小遣い。なるほど、人の命は、神様にとっては子供のお小遣い程度の価値しかないと」
「違います! 断じて違います! ああああ、どうすれば……!」
頭を抱えて狼狽する神様。よし、もう少しだ。
「まあ、いいでしょう。もう一度死んだ人間を生き返らせるのですから、あまり無理を言うのも酷というもの。では、こうしましょう。ポイントを100倍の1000万ポイントにしてください。それなら、慰謝料としても納得できます」
「いっせんまん!? 無理です! さすがにそれはシステムが許しません! そんな初期ポイントで転生した前例がありません!」
「前例がないなら、作ればいいんです。あなた、中間管理職なんでしょう? 現場の判断で、それくらいの裁量は認められているはずです。それとも、私が直接あなたの上司に、今回の不祥事とあなたの対応について『ご相談』しましょうか?」
「うううう……分かりました……分かりましたから! 1000万ポイント! 設定します! しますから!」
神様は涙目で空中のコンソールを操作し始めた。
やった! 初期資金が一気に100倍になった! これで当面の生活は安泰だ。
いやー、言ってみるもんだなぁ。
「お、お待たせしました……1000万ポイント、設定完了です……」
「話が早くて助かります。これで安心して転生できます」
私が満足げに頷くと、神様はどこかホッとしたような、疲れたような顔をしていた。
「あの、転生後の姿はどうなるんですか?」
「ああ、それなんですが……」
神様が気まずそうに視線をそらす。
「実は、今空いている転生枠が、10歳の女の子しかなくて……」
「10歳!?」
28歳から10歳って、18年も若返るの!?
「申し訳ありません! もっと上の年齢が良ければ、もう少し待っていただければ……」
「いえ、10歳でいいです」
「え?」
「若返れるんですよね? 肌もつやつやになるんですよね?」
「は、はい。10歳の健康な体ですから」
「じゃあ、問題ありません。10歳の子供でも、若返えるならそれはそれでラッキーです」
神様が呆れたような、感心したような顔をする。
「あなた、本当にポジティブですね」
「ネガティブになっても、死んだ事実は変わりませんから」
いきなり過ぎて、家族や数少ない友人にも別れを言えなかったのは悲しいけど、死ぬ時は皆そんなもんだろう。きっと。
「それでは、転生の準備が整いました。何か質問は?」
「転生先は、ちゃんと安全な場所ですよね?」
「もちろん! ちゃんと人里の近くに転送しますから!」
フラグっぽい言い方だけど、まあいいか。
「あ、あと一つ。異世界でも、神様と連絡取れるんですか?」
「ええ、一応、チャット機能をつけておきました。何か困ったことがあれば、メッセージを送ってください。返信は遅いかもしれませんが」
チャット機能?
神様も現代的だな!
「では、準備はよろしいですか?」
「はい」
「それでは、山根ことりさん。異世界での新しい人生を楽しんでください!」
神様が手を振る。
「いってら~!」
神様の軽い声と共に、足元がぐにゃりと歪んだ。
うわ、とか思う間もなく、体が真っ逆さまに落ちていく!
「1ポイント1円……つまり、10万円、ですか」
私はにっこりと、しかし目の笑っていない笑顔を神様に向ける。前世で、理不尽な要求をしてくる取引先に見せたことのある笑顔だ。
「神様」
「は、はいっ!?」
「私の失われた28年間の人生と、定年まで働けば得られたはずの生涯年収、約2億円。そして、盆栽が頭に直撃して死ぬというあまりに無惨な死に方に対する精神的苦痛への慰謝料。これら全てをひっくるめて、たったの10万円で手を打てと、そうおっしゃるのですか?」
神様の顔がみるみるうちに青ざめていく。
「ひっ……! い、いえ! めっそうもございません! あれはあくまで初期資金と言いますか、ちょっとしたお小遣いと言いますか……!」
「お小遣い。なるほど、人の命は、神様にとっては子供のお小遣い程度の価値しかないと」
「違います! 断じて違います! ああああ、どうすれば……!」
頭を抱えて狼狽する神様。よし、もう少しだ。
「まあ、いいでしょう。もう一度死んだ人間を生き返らせるのですから、あまり無理を言うのも酷というもの。では、こうしましょう。ポイントを100倍の1000万ポイントにしてください。それなら、慰謝料としても納得できます」
「いっせんまん!? 無理です! さすがにそれはシステムが許しません! そんな初期ポイントで転生した前例がありません!」
「前例がないなら、作ればいいんです。あなた、中間管理職なんでしょう? 現場の判断で、それくらいの裁量は認められているはずです。それとも、私が直接あなたの上司に、今回の不祥事とあなたの対応について『ご相談』しましょうか?」
「うううう……分かりました……分かりましたから! 1000万ポイント! 設定します! しますから!」
神様は涙目で空中のコンソールを操作し始めた。
やった! 初期資金が一気に100倍になった! これで当面の生活は安泰だ。
いやー、言ってみるもんだなぁ。
「お、お待たせしました……1000万ポイント、設定完了です……」
「話が早くて助かります。これで安心して転生できます」
私が満足げに頷くと、神様はどこかホッとしたような、疲れたような顔をしていた。
「あの、転生後の姿はどうなるんですか?」
「ああ、それなんですが……」
神様が気まずそうに視線をそらす。
「実は、今空いている転生枠が、10歳の女の子しかなくて……」
「10歳!?」
28歳から10歳って、18年も若返るの!?
「申し訳ありません! もっと上の年齢が良ければ、もう少し待っていただければ……」
「いえ、10歳でいいです」
「え?」
「若返れるんですよね? 肌もつやつやになるんですよね?」
「は、はい。10歳の健康な体ですから」
「じゃあ、問題ありません。10歳の子供でも、若返えるならそれはそれでラッキーです」
神様が呆れたような、感心したような顔をする。
「あなた、本当にポジティブですね」
「ネガティブになっても、死んだ事実は変わりませんから」
いきなり過ぎて、家族や数少ない友人にも別れを言えなかったのは悲しいけど、死ぬ時は皆そんなもんだろう。きっと。
「それでは、転生の準備が整いました。何か質問は?」
「転生先は、ちゃんと安全な場所ですよね?」
「もちろん! ちゃんと人里の近くに転送しますから!」
フラグっぽい言い方だけど、まあいいか。
「あ、あと一つ。異世界でも、神様と連絡取れるんですか?」
「ええ、一応、チャット機能をつけておきました。何か困ったことがあれば、メッセージを送ってください。返信は遅いかもしれませんが」
チャット機能?
神様も現代的だな!
「では、準備はよろしいですか?」
「はい」
「それでは、山根ことりさん。異世界での新しい人生を楽しんでください!」
神様が手を振る。
「いってら~!」
神様の軽い声と共に、足元がぐにゃりと歪んだ。
うわ、とか思う間もなく、体が真っ逆さまに落ちていく!
385
あなたにおすすめの小説
異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。
【あらすじ】
異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。
それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。
家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。
十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。
だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。
最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。
この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。
そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。
そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。
旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。
☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。
☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。
子ドラゴンとゆく、異世界スキル獲得記! ~転生幼女、最強スキルでバッドエンドを破壊する~
九條葉月
ファンタジー
第6回HJ小説大賞におきまして、こちらの作品が受賞・書籍化決定しました! ありがとうございます!
七歳の少女リーナは突如として前世の記憶を思い出した。
しかし、戸惑う暇もなく『銀髪が不気味』という理由で別邸に軟禁されてしまう。
食事の量も減らされたリーナは生き延びるために別邸を探索し――地下室で、ドラゴンの卵を発見したのだった。
孵化したドラゴンと共に地下ダンジョンに潜るリーナ。すべては、軟禁下でも生き延びるために……。
これは、前を向き続けた少女が聖女となり、邪竜を倒し、いずれは魔王となって平和に暮らす物語……。
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
グラサン幼女の異世界とらべるっ! ~最強の【魔眼】を宿す転生幼女は、もふかわ神獣を連れてスローライフな旅路を楽しみます~
空戯ケイ
ファンタジー
社畜OL、水城愛璃(みずきあいり)は、女神のうっかりミスにより25歳の若さで死んだ。
お詫びとして女神が提案したのは、オッドアイの幼女ボディへの転生。
そうして幼女の姿で異世界転生を果たしたアイリだったが、
特異体質により『感情が高ぶると暴発する魔眼』が宿っていることが発覚!
しかも両目!?
それを封じるため、女神から与えられたユニークスキルは、『神のサングラス』。
このサングラスをかければ、魔眼の暴発を抑えられるらしいけど……常にグラサンかけてる幼女とか怪しすぎじゃない!?
だけど、とある"激レア魔道具"があれば 、なんと魔眼を完治できるらしい。
ならばその魔道具を手に入れるため、異世界を巡るしかないっ!
さらに旅の道すがら、もふもふフェンリルや忍者少女、特異スライムを仲間にし、珍道中はさらに加速していって――!!
まったりのんびりをモットーに、たまに魔物や刺客に襲われちゃう。
【グラサン幼女】の破天荒な異世界旅が始まる!
※更新は不定期です。
僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
ボクは転生者!塩だけの世界で料理&領地開拓!
あんり
ファンタジー
20歳で事故に遭った下門快斗は、目を覚ますと―――
“塩しか存在しない世界”に転生していた。
前世の記憶を持ったまま生まれ変わった少年、カイト・ブラウン・マーシュ。
塩だけの世界に少しずつ調味料を足し、沖縄風の料理を作り、仲間たちと笑い合い、小さな領地を発展させていく日々。
家族に愛され、周囲に愛され、穏やかに育っていく――
はずだった。
5歳の誕生日。
王都でカイトを待っていたのは、
300年前の“稀人”との遺物、
王太子妃を巡る陰謀、
そして王家を揺るがす思惑。
これは、ただのスローライフでは終わらない。
食は人を変え、
人は国を変え、
やがて世界の均衡さえ動かしていく。
グルメ×領地発展×国家ドラマ
愛に包まれて育った少年が
世界の“調和”を変えてしまう物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる