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第二章 ヤマネコ商会、爆誕!:新たな拠点探し
第80話 さようなら孤児院! 新天地での最初のミッションは『宿探し』
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ギィィ……。
今日も元気に断末魔のような悲鳴を上げて、孤児院の古びた木の扉がゆっくりと閉じていく。
扉の隙間から見えていた、子供たちの笑顔と、ぶんぶん振られる小さな手。
最後に、扉が完全に閉まる直前。
壁に寄りかかっていたリックが、そっぽを向いたまま、ほんの少しだけ、こっちに手を上げたのが見えた。
ガチャン、と。
重い閂(かんぬき)が下りる音がして、私のいた世界と、これから進む世界が、完全に隔てられた。
「…………さて、と」
シン、と静まり返った道で、私は一つ、大きく伸びをする。
もちろん、寂しくないと言えば嘘になる。
でも、メソメソしている暇なんて、一秒もないのだ。
(みんな、見ててよね。必ず成功して、君たちが毎日ケーキを食べられるくらいのビッグな商人になって帰ってくるから!)
胸の中でそっと誓いを立て、私はすぐに思考を切り替える。
感傷に浸るのは、ここまで!
ビジネスは、感傷では動かないのだ!
「よし、コロ! 私たちの、最初のミッションを開始します!」
私がパン、と一つ、自分の頬を軽く叩いて気合を入れると、足元で待機していたコロが『待ってました!』とばかりに一声鳴いた。
『ミッション!』
「まずは、昨夜のうちに当たりをつけておいた、活動拠点の確保だ! 安全で、快適で、そして何より、私のビジネスプランを遂行するのに最適な、最高の拠点よ!」
『きょてん!』
コロは、「拠点」という言葉の意味がよく分かっていないようだけど、とにかく何かすごいことが始まる、ということは理解したらしい。尻尾をちぎれんばかりにぶんぶん振って、私の顔を見上げてくる。
その瞳には、「それで、どこに行くの?」という、期待が満ち溢れていた。
そう、全ては計画通り。
私の脳内では、すでに今日の行動計画(スケジュール)が、分刻みで組まれているのだ。
あの時、マーサさんたちの優しさに胸を熱くしながらも、私の脳の半分は、すでに次のミッションへと切り替わっていたのだ。元OLの悲しい性(さが)である。
◇
あれは、旅立ちを翌日に控えた、昨夜のこと。
子供たちが、綺麗になったベッドで、すーすーと穏やかな寝息を立てている。
足元では、コロが温かい湯たんぽのように丸くなっていて、その背中からは、安心しきった寝息が聞こえてくる。
(……静かだなあ)
私は、ふかふかの布団の中で、その穏やかな静寂に耳を澄ませていた。
明日には、この温かい場所を出ていく。
そう思うと、胸がきゅっと締め付けられるような、寂しい気持ちになる。
でも、それと同時に、明日から始まる新しい挑戦への、期待と興奮が、心の奥で静かに燃え上がっているのも、確かだった。
(……いかんいかん、センチメンタルになっている場合じゃない。明日からは、本当の意味で一人。無計画は、即、破産と野宿に繋がるのだ。元OLのスキル、見せてやる!)
私は、布団の中でそっと寝返りを打つと、意識を集中させた。
【異世界インターネット接続】、起動。目の前に、ふわっと、いつもの半透明のウィンドウが浮かび上がる。
まずは、先日試しに起動してみた『ポイント換金アプリ』のことを思い出す。
1リント=10ポイントというレートは把握済み。でも、あの時気になっていたのは、やっぱりあの忌々しい一文だ。
『※換金時には、手数料として10%が差し引かれます』
(この手数料が、地味に、しかし確実に、私の資産計画に重くのしかかるのよね……)
例えば、通販で1,000ポイントのものが欲しくて、現地通貨から換金する場合、1,110ポイント分の価値がある111リントを稼がなければならないのだ。逆もまた然り。
通販は、まさに生命線。でも、それに頼りすぎるのは、資産運用として三流だ。
(賢く稼いで、賢く使う。当面、なるべく現地通貨で生活を回し、通販ポイントはここぞという時の投資、あるいは自分へのご褒美に使う。うん、それが最適解ね!)
今日も元気に断末魔のような悲鳴を上げて、孤児院の古びた木の扉がゆっくりと閉じていく。
扉の隙間から見えていた、子供たちの笑顔と、ぶんぶん振られる小さな手。
最後に、扉が完全に閉まる直前。
壁に寄りかかっていたリックが、そっぽを向いたまま、ほんの少しだけ、こっちに手を上げたのが見えた。
ガチャン、と。
重い閂(かんぬき)が下りる音がして、私のいた世界と、これから進む世界が、完全に隔てられた。
「…………さて、と」
シン、と静まり返った道で、私は一つ、大きく伸びをする。
もちろん、寂しくないと言えば嘘になる。
でも、メソメソしている暇なんて、一秒もないのだ。
(みんな、見ててよね。必ず成功して、君たちが毎日ケーキを食べられるくらいのビッグな商人になって帰ってくるから!)
胸の中でそっと誓いを立て、私はすぐに思考を切り替える。
感傷に浸るのは、ここまで!
ビジネスは、感傷では動かないのだ!
「よし、コロ! 私たちの、最初のミッションを開始します!」
私がパン、と一つ、自分の頬を軽く叩いて気合を入れると、足元で待機していたコロが『待ってました!』とばかりに一声鳴いた。
『ミッション!』
「まずは、昨夜のうちに当たりをつけておいた、活動拠点の確保だ! 安全で、快適で、そして何より、私のビジネスプランを遂行するのに最適な、最高の拠点よ!」
『きょてん!』
コロは、「拠点」という言葉の意味がよく分かっていないようだけど、とにかく何かすごいことが始まる、ということは理解したらしい。尻尾をちぎれんばかりにぶんぶん振って、私の顔を見上げてくる。
その瞳には、「それで、どこに行くの?」という、期待が満ち溢れていた。
そう、全ては計画通り。
私の脳内では、すでに今日の行動計画(スケジュール)が、分刻みで組まれているのだ。
あの時、マーサさんたちの優しさに胸を熱くしながらも、私の脳の半分は、すでに次のミッションへと切り替わっていたのだ。元OLの悲しい性(さが)である。
◇
あれは、旅立ちを翌日に控えた、昨夜のこと。
子供たちが、綺麗になったベッドで、すーすーと穏やかな寝息を立てている。
足元では、コロが温かい湯たんぽのように丸くなっていて、その背中からは、安心しきった寝息が聞こえてくる。
(……静かだなあ)
私は、ふかふかの布団の中で、その穏やかな静寂に耳を澄ませていた。
明日には、この温かい場所を出ていく。
そう思うと、胸がきゅっと締め付けられるような、寂しい気持ちになる。
でも、それと同時に、明日から始まる新しい挑戦への、期待と興奮が、心の奥で静かに燃え上がっているのも、確かだった。
(……いかんいかん、センチメンタルになっている場合じゃない。明日からは、本当の意味で一人。無計画は、即、破産と野宿に繋がるのだ。元OLのスキル、見せてやる!)
私は、布団の中でそっと寝返りを打つと、意識を集中させた。
【異世界インターネット接続】、起動。目の前に、ふわっと、いつもの半透明のウィンドウが浮かび上がる。
まずは、先日試しに起動してみた『ポイント換金アプリ』のことを思い出す。
1リント=10ポイントというレートは把握済み。でも、あの時気になっていたのは、やっぱりあの忌々しい一文だ。
『※換金時には、手数料として10%が差し引かれます』
(この手数料が、地味に、しかし確実に、私の資産計画に重くのしかかるのよね……)
例えば、通販で1,000ポイントのものが欲しくて、現地通貨から換金する場合、1,110ポイント分の価値がある111リントを稼がなければならないのだ。逆もまた然り。
通販は、まさに生命線。でも、それに頼りすぎるのは、資産運用として三流だ。
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