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幸せのオムライス

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第二章 ヤマネコ商会、爆誕!:電力革命! 魅惑の家電と至福のバスタイム

第139話 地縛霊は見た! 贅沢すぎるお湯と得体の知れない黒い目玉

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 一方、その頃。
 脱衣所の鏡の裏側で、女将の霊は目を丸くしていた。

(な、なんなのよあの部屋! 湯気が充満してるじゃない!)

 彼女が生きていた頃、お湯といえば貴重品だった。
 大きな鍋で沸かし、少しずつ大事に使って体を拭くのが精一杯。
 それなのに、あの部屋からは、滝のようにお湯が流れる音が絶え間なく聞こえてくる。

(もったいない! なんて罰当たりな! 水漏れでもしたの!?)

 彼女は様子を見ようと、浴室の中をそっと覗き込んだ。
 するとそこには、見たこともない真っ白な浴槽に、並々と注がれたお湯に浸かるコトリの姿があった。

(えっ……お湯に、入ってる? 王様みたいに?)

 あまりの贅沢さと、見たこともない光景に、彼女は言葉を失った。
 その時、鏡越しにコトリと目が合った気がした。

(見つかった!? ……って、え? 『覗き』ですって!?)

 コトリの独り言を聞いて、彼女は憤慨した。

(失礼な! 私はこの店の女将よ! 水漏れを心配して見に来てあげたのに、犯罪者扱いしないでよ!)

 しかし、その後コトリが設置した「黒い目玉のような道具(防犯カメラ)」を見て、彼女は背筋が寒くなった。
 あの黒い球体は、じっと動かずに、しかし確実にこちらを見ているような気がする。

(なんなのあれ……気持ち悪い……。私の姿が見えてるの……?)

 得体の知れない「科学の目」に恐れをなした彼女は、文句を言うこともできず、すごすごと屋根裏部屋へと引き返していった。

 ◇

 翌朝。
 いつも通り出勤してきたリアちゃんとミアちゃんは、厨房に入った瞬間、入り口で石化した。

「……え?」
「こ、これは……」

 二人の視線は、昨日までそこにあった古ぼけた石造りの流し台ではなく、その場所に鎮座する、銀色に輝く物体に釘付けになっている。

「おはようございます、二人とも!」

 私はピカピカのステンレスシンクの前で、さも「前からありましたけど?」みたいな顔をして挨拶する。

「お、おはようございます……店長? あの、この銀色の台は……?」

 リアちゃんが、おそるおそる指差す。

「これですか? 新しい流し台、『業務用ステンレスシンク』です!」

「すてんれす……? 金属、ですよね? こんなに大きくて、継ぎ目が全くないなんて……」

 ミアちゃんが、職人の目つきでシンクの縁を撫でている。
 この世界の金属加工技術では、これほど大きな一枚板を複雑な形に加工するのは難しいのだろう。

「ふふふ、驚くのはまだ早いですよ。見ててくださいね」

 私はシンクに設置された、シングルレバー混合栓に手をかける。
 そして、レバーをくいっと上にあげた。

 ジャーーーーーッ!!

 勢いよく吐水口から水がほとばしる。
 それだけなら、井戸ポンプでもありえる光景だ。
 でも、ここからが違う。

 湯気だ。
 水と一緒に、ほわわ、と白い湯気が立ち上ったのだ。

「えっ……!?」

 リアちゃんが慌てて水に手を差し伸べる。

「あ、温かい!? お湯だわ!」

「……火を使ってないのに?」

 ミアちゃんも目を丸くしている。

「これが『給湯システム』です。このレバーをひねるだけで、いつでも好きな時にお湯が出るんですよ」

「す、すごい……! これなら、冬場の洗い物でも指がかじかまないわ!」

「油汚れも、お湯ならすぐに落ちます……。革命的です」

 二人は感動のあまり、拝むように蛇口を見つめている。
 うんうん、冬の水仕事の辛さは、万国共通の悩みだものね。

「さあ、驚くのはまだ早いですよ。今日は女子だけですからね。もっとすごい秘密の場所へご案内します!」
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