3 / 4
TS美少女は天使の寝息に癒される
しおりを挟む
この回、がっつりと目新しい情報を詰め込んでいますが、そういう仕様です。
現時点では、唐突な情報は「ふーん」くらいの感覚で読んでいただいて、たぶん大丈夫です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
生まれ育ったシンイット村から旅立って早三日。
初日にはあれほど手こずった野営の準備も卒なく終わらせ、ボクたち双子は暫しの休憩を取っていた。
ロルフが食料を調達するべく周辺を散策してくれている間、妹のリアは旅の緊張を少し緩めてボクに甘えてくる。
こういう場面こそ、姉としての包容力の見せどころである。
「今日もお疲れ様なのです。リアの風読みのおかげで、ここまで順調に進めているのですよ」
リアには、風の流れを読む才能がある。周辺の魔物や人の存在を、ある程度把握することができるのだ。リア曰く、風の流れが周辺の状況に関する情報を伝えてくれるのだとか。
数十メートル程度の範囲しか分からないし、風下はカバーできないから。とリアは謙遜するけれど、おかげで余計なトラブルを避けることができている。本当に頼もしい。
「お姉ちゃんこそ、いつもありがとうね。お姉ちゃんがいるから、わたしもロルフも頑張れているんだよ?」
いつの間にか立場は逆転し、甘えさせていたはずのボクがリアの膝の上に乗せられていた。こんなはずでは……と思うものの、何気に疲れが溜まっていたらしいボクの身体からは、みるみると力が抜けていく。ああダメだ、やっぱりリアの温もりには抗えない。ボクの自慢の妹は、なかなかに手強い。
そもそも、風読みの他にも攻撃系の魔法に長けているリアや、勇者に選ばれるほど才に恵まれたロルフとは違って、凡人のボクなんかは全然役に立ってないのだけど。リアが口にした感謝の言葉に対し、少しネガティブな感情が過る。せめて姉として、二人の支えにならないとね。
お姉ちゃん、頑張ります。
◇
大前提として、ボクたちの旅は、明確な目標がないままに始まっている。
考えてもみてほしい。あの日、女神様から告げられた内容は、まもなく目覚めようとしているナニカをうち滅ぼさなければならないという、その一点のみなのだ。
ナニカ、なんて漠然なものを相手に立ち向かわねばならない状況を作った女神様には、少し反省していただきたい。
ボクたちには圧倒的に情報が足りない。ならば、まずは王都に訪れて情報を仕入れるべきだろう。当然のように導き出された結論が、それだった。
この世界は、ユースフィラ帝国という大国が事実上の覇権を握っている。強大な軍事力を誇り、帝王ロイストフ12世が統治するこの国は、実に世界の三分の一にあたる国家を属国としていた。
その中でも最古参の属国と言われているのが、アマネクス王国だ。十数年前まではすっかり力を弱めてしまっていたこの国だが、国王のシルヴィオ = カネパが弱冠15歳で王位をついて以降は、徐々にかつての栄光を取り戻しつつあるという。
もっとも、これらの知識はどれも村長の息子、ニコラおじさんから教わった話にすぎないのだが。おじさん自身が村から出ている姿を見た記憶がないので、ぶっちゃけ半信半疑なところはある。
そして、ボクたちの生まれ育ったシンイット村は、アマネクス王国の中でも最も西の辺境に位置している。
というわけで、まずは距離的にも向かいやすいアマネクスの王都ヴァルンダを目指そうと決まるのも必然だった。
けっして、幼い頃にニコラおじさんから教わった王都名物の海鮮グルメを食べてみたいからなどと、ボクが駄々をこねたからではない。
いやまあ、駄々自体は少しだけ、すこーしだけこねちゃったんだけど……それが理由じゃないからね?ホントだよ?!
閑話休題
王都に向かえば何かしら有益な情報が得られる、ボクたちがそう考えた根拠は一応、ある。
アマネクス王国を含め、ユースフィラ帝国とその属国は女神ソフィアを信仰し、そのお告げを絶対としている。そして、その女神のお告げを直接代弁できるとされているのが、三聖女と呼ばれる乙女たちである。その三聖女のひとりが、王都ヴァルンダの教会にいらっしゃるのだとか。
女神様のお告げによって旅へ出ることになったのだから、その女神様に関係がある聖女様に話を聞くのが手っ取り早いよね。というわけだ。
そんなわけで、ボクたちは今、王都ヴァルンダに向かって旅を続けている。
◇
どうやらボクは、リアの膝の上で少し眠ってしまっていたらしい。目が覚めると、いつの間にか散策から戻ってきていたロルフが目に入る。
「さすがに2人とも歩き疲れたんだろう。リアの為にも、そのままもう少しゆっくりしているといい」
ロルフは、まるで小動物を愛でているような穏やかな表情で、ボクたち双子を眺めて言う。
「……たしかに、それが良さそうなのです」
ボクを膝の上に乗せたまま、リアは静かに寝息を立てていた、今、動くべきではないだろう。
すっかりロルフと同じような穏やかな表情になったボクは、天使のように可愛い妹を見つめながら微笑んだ。
ーーーーーーーーーーー
本来は、この後に起こるちょっとした出来事も3話で書き切る予定でしたが……
せっかくリアが気持ちよさそうに眠っているので、続きは次話に回しますね。
お気に入り登録やコメントなんかをいただけると大変喜びます(図々しい)
並行して『転生したら悪役令嬢……の取り巻きだったけど、自由気ままに生きてます』という作品も連載始めましたので、宜しければ併せてぜひ。
現時点では、唐突な情報は「ふーん」くらいの感覚で読んでいただいて、たぶん大丈夫です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
生まれ育ったシンイット村から旅立って早三日。
初日にはあれほど手こずった野営の準備も卒なく終わらせ、ボクたち双子は暫しの休憩を取っていた。
ロルフが食料を調達するべく周辺を散策してくれている間、妹のリアは旅の緊張を少し緩めてボクに甘えてくる。
こういう場面こそ、姉としての包容力の見せどころである。
「今日もお疲れ様なのです。リアの風読みのおかげで、ここまで順調に進めているのですよ」
リアには、風の流れを読む才能がある。周辺の魔物や人の存在を、ある程度把握することができるのだ。リア曰く、風の流れが周辺の状況に関する情報を伝えてくれるのだとか。
数十メートル程度の範囲しか分からないし、風下はカバーできないから。とリアは謙遜するけれど、おかげで余計なトラブルを避けることができている。本当に頼もしい。
「お姉ちゃんこそ、いつもありがとうね。お姉ちゃんがいるから、わたしもロルフも頑張れているんだよ?」
いつの間にか立場は逆転し、甘えさせていたはずのボクがリアの膝の上に乗せられていた。こんなはずでは……と思うものの、何気に疲れが溜まっていたらしいボクの身体からは、みるみると力が抜けていく。ああダメだ、やっぱりリアの温もりには抗えない。ボクの自慢の妹は、なかなかに手強い。
そもそも、風読みの他にも攻撃系の魔法に長けているリアや、勇者に選ばれるほど才に恵まれたロルフとは違って、凡人のボクなんかは全然役に立ってないのだけど。リアが口にした感謝の言葉に対し、少しネガティブな感情が過る。せめて姉として、二人の支えにならないとね。
お姉ちゃん、頑張ります。
◇
大前提として、ボクたちの旅は、明確な目標がないままに始まっている。
考えてもみてほしい。あの日、女神様から告げられた内容は、まもなく目覚めようとしているナニカをうち滅ぼさなければならないという、その一点のみなのだ。
ナニカ、なんて漠然なものを相手に立ち向かわねばならない状況を作った女神様には、少し反省していただきたい。
ボクたちには圧倒的に情報が足りない。ならば、まずは王都に訪れて情報を仕入れるべきだろう。当然のように導き出された結論が、それだった。
この世界は、ユースフィラ帝国という大国が事実上の覇権を握っている。強大な軍事力を誇り、帝王ロイストフ12世が統治するこの国は、実に世界の三分の一にあたる国家を属国としていた。
その中でも最古参の属国と言われているのが、アマネクス王国だ。十数年前まではすっかり力を弱めてしまっていたこの国だが、国王のシルヴィオ = カネパが弱冠15歳で王位をついて以降は、徐々にかつての栄光を取り戻しつつあるという。
もっとも、これらの知識はどれも村長の息子、ニコラおじさんから教わった話にすぎないのだが。おじさん自身が村から出ている姿を見た記憶がないので、ぶっちゃけ半信半疑なところはある。
そして、ボクたちの生まれ育ったシンイット村は、アマネクス王国の中でも最も西の辺境に位置している。
というわけで、まずは距離的にも向かいやすいアマネクスの王都ヴァルンダを目指そうと決まるのも必然だった。
けっして、幼い頃にニコラおじさんから教わった王都名物の海鮮グルメを食べてみたいからなどと、ボクが駄々をこねたからではない。
いやまあ、駄々自体は少しだけ、すこーしだけこねちゃったんだけど……それが理由じゃないからね?ホントだよ?!
閑話休題
王都に向かえば何かしら有益な情報が得られる、ボクたちがそう考えた根拠は一応、ある。
アマネクス王国を含め、ユースフィラ帝国とその属国は女神ソフィアを信仰し、そのお告げを絶対としている。そして、その女神のお告げを直接代弁できるとされているのが、三聖女と呼ばれる乙女たちである。その三聖女のひとりが、王都ヴァルンダの教会にいらっしゃるのだとか。
女神様のお告げによって旅へ出ることになったのだから、その女神様に関係がある聖女様に話を聞くのが手っ取り早いよね。というわけだ。
そんなわけで、ボクたちは今、王都ヴァルンダに向かって旅を続けている。
◇
どうやらボクは、リアの膝の上で少し眠ってしまっていたらしい。目が覚めると、いつの間にか散策から戻ってきていたロルフが目に入る。
「さすがに2人とも歩き疲れたんだろう。リアの為にも、そのままもう少しゆっくりしているといい」
ロルフは、まるで小動物を愛でているような穏やかな表情で、ボクたち双子を眺めて言う。
「……たしかに、それが良さそうなのです」
ボクを膝の上に乗せたまま、リアは静かに寝息を立てていた、今、動くべきではないだろう。
すっかりロルフと同じような穏やかな表情になったボクは、天使のように可愛い妹を見つめながら微笑んだ。
ーーーーーーーーーーー
本来は、この後に起こるちょっとした出来事も3話で書き切る予定でしたが……
せっかくリアが気持ちよさそうに眠っているので、続きは次話に回しますね。
お気に入り登録やコメントなんかをいただけると大変喜びます(図々しい)
並行して『転生したら悪役令嬢……の取り巻きだったけど、自由気ままに生きてます』という作品も連載始めましたので、宜しければ併せてぜひ。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる