土魔法で無双するVRMMO 〜おっさんの遅れてきた青春物語〜

ぬこまる

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18 クラフト④

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 ここはフルゴル商店街のメインストリート。
 道具屋で毒草を3つ買った。残りの財産110ポイント。さて、どうやってポイントを貯めようかな。

「ふーん、ヴェリたそを取り合う対戦をしたんすね~」
「ヴェリタスさんにも悪いことしたわ……こんなイケメンな師匠と知り合いなら、わいの出る幕はあらへん」

 戦士マクドはミルクに俺との出会いを話していた。   
 しかし、プハッ! と吹き出すミルク。ねぇ、そこ笑うところ?

「ツッチーさんがイケメン!? なしよりのなしっすよ~」
 
 ムッとした戦士マクドが少女エルフに詰め寄る。

「なんや! ちびっ子エルフ! いてまうぞ!」
「あ!? ごろつきドワーフ! こちょこちょするぞ!」

 ミルクにくすぐられる戦士マクド。
 なんでもう仲が良いの? ちょっと羨ましい。

「こーちょこちょこちょー!」
「やめろやー! やめやめ、ハヒヒヒヒヒッヒー!」

 戦士マクドが笑い死にしそうだ。
 俺はミルクを抱き上げた。

「やりすぎですよ、ミルク」
「マックが変なこと言うっすから~ムキー!」

 すると戦士は怒った。

「マクド!」

 ミルクも怒る。
 
「マック!」

 2人の言い争いが続いた。

「マクド!」
「マック!」
「マクド!」
「マック!」

 それいつ終わんのー!?
 疲れてきたマクドが息を切らす。

「はぁはぁ、元気な嬢ちゃんやなー」
「嬢ちゃんじゃないっす!」
「あ?」
「男の子っすよ!」
「はー紛らわしっ! 声が女の子やんけ」
「ショタボと言ってもらえるっすか? お姉さんからモテるんすから」

 やれやれ、とマクドは肩をすくめる。
 そして俺の肩を、ポンと叩いた。

「師匠……ヴェリタスさんといいこの子といい、キャラと性別が合わん人に好かれとりますな~」
「は?」
「ん? ヴェリタスさんは女の子やで」
「うそ……」

 ほらね、とミルクがボソッとつぶやいた。
 ヴェリタスは女性だったのか。ってことは女子高生じゃん。やべぇ、混浴しちまったぞ!?
 するとマクドは、じーと遠くの空を見つめだした。どした?
 
「忘れもせん……ヴェリタスさんと初めて会ったマッチングクエスト……」
「詳しく教えるっす!」
「初めてプロテルをやったんやろな、ボイチャがオンになっとってヴェリタスさんの声が聞こえたんや」
「どんな声っすか?」
「忘れもせん……あの声はまるで女神……そや、通天閣から舞い降りた女神様やった!」
「ちょっと意味わからないっすけど、それで?」
「透き通った綺麗な声やった。そしたら他の連中がヴェリタスさんに惚れてまってクエストどころじゃなくなったんよ」

 ほう……。
 俺とミルクは興味津々でマクドの話を聞いている。

「そやからわいが自慢の斧で連中の頭を粉砕。残ったわいとヴェリタスさんでクエストしたっちゅうわけや」
「粉砕したんだ……」
「でも不思議やな。なんでヴェリタスさんはボイチャをやめたんやろ……綺麗な声やからまた聞きたいのに」

 女心がわかってなーい!!
 俺とミルクは道端でズッコケ、ゆっくり立ち上がった。

「戦士マック、バキバキ童貞っすね」
「マクドな……」

 斧を肩にかけたマクドは、ボビーの工房に目をやっていた。
 そうだった。俺は思い出したようにアイテムボックスを開く。

「師匠ぉ、ここやんね?」
「うん……でも武器のエンチャントを教える前に、ちょっと待ってください」

 ええよ、と答えるマクドは工房の中に入っていく。
 ミルクと俺も続いた。
 
「いらっしゃい……」

 カンカンカン、とボビーは金属をハンマーで叩いていた。
 俺がカウンターに立つと彼はタバコに火をつけ、

「銃の設計図は見つかったのか?」

 と聞いてきた。
 くゆる煙のなか、俺はカウンターに設計図を置いた。

「あんたのじいさんが言ってた通りだぜ」
「城で見つけたか……よくみせろ」
  
 ボビーは設計図に目を落とす。

「ふむ、必要な素材はカーボン、モリブデン、ステンレス……それに弾の製作に炭、硫黄、硝石がいるな」
「なるほど」
「マップを開け、採取できる場所を教えてやる」

 コマンドからマップを開く。
 ほとんどが未開の地で白いモヤがかかっている。ボビーは説明を続けた。

「コーデリア草原を北に進むとシムクル砂漠がある、このあたりの鉱山に行け」

 わかった、と俺は言って地図にマーカーをうつ。
 シムクル砂漠があるらしい場所に旗がつく。するとコマンド画面が光りサブクエストが出現した。
 
[ ハンドガンの製作 推奨レベル14 ]

 ボビーは、ふぅーと口から煙を吐いた。

「製作料は20万でどうだ?」

 俺は首を横にふる。

「10万」
「あ?」
「死んだじいさんも喜ぶぜ?」
「やれやれ……15、これ以上はまけられない、こっちも商売なんでね」
「嘘つけ、工房は趣味だろ? ボビー?」
「うるせえよ、さっさと素材持ってこい!」

 俺とボビーのやり取りを見ていたミルクとマクドは唖然としていた。

「いい……敬語じゃないほうがいいっす……イケボすぎるっす……」
「さすが師匠ぉ! NPCと交渉できるなんて親密度が高杉晋作ですわ~! あ! フレンド登録もよろしゅう」

 高杉晋作? 高いってことか。

[ マクドさんとフレンドになりました ]

 
「盾役はわいにまかせろや!」
「あ、ああ……」

 いっしょに旅するつもりだ。
 大丈夫かな……と思いながら工房まで歩き、俺はマクドにエンチャント方法を教えた。

「毒草だけじゃなく、しびれ草もある……こうやってすり鉢で砕いて……」
「さすが師匠ぉ!」

 放っておかれたミルクは叫んでいた。

「……ぼ、僕にも教えるっすー!」
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