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30 メインクエスト チャプター1 姫の旅立ち2
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「はよ追いかけろニャ!」
いきなり命令する正体不明の子猫。
ぴょんと俺の肩に乗ると、さらに話を続けた。
「姫がさらわれたニャ! 急ぐニャ!」
「わかった、わかった。だがその前に……君は何者だ?」
「ぼくは猫型の魔導機械。街のみんなが怖がるから、ずっと昔の王様によって幽閉されたニャ……寂しかったニャ、でも姫が話し相手になってくれてたニャ」
子猫は、うるうると目を潤ませた。
ヴェリタスも話しに加わる。
「ずっと昔って、何年?」
「千年くらいニャ……って、そんなことより姫を助けるニャー!」
寿命ながっ!
見た目は可愛いもふもふな子猫。しかし中身は機械だから不老不死なのだろうけど、電源はどうしてるんだ? あ、魔力で動くのか……まぁ、考えても仕方ない。俺とヴェリタスは光りのさす出口へと走る。
「……!?」
外は森の中。
姫をさらった魔族がどちらへ行ったか分からない。すると、子猫がまた指示を出す。
「足跡を見つけるニャ!」
地面を調べる。
するとヴェリタスが何かに気づいた。
『ツッチーさん! これ、足跡では?』
地面を見てみると足跡が残っていた。
膝をついて、さらに調べてみる。
「靴のような足跡……どれも大きいな、姫は担がれたのだろう」
『北東に向かってますね』
「急ごう!」
俺とヴェリタスは森を駆け抜ける。
途中、鬼の魔物ゴブリンや植物の魔物ネロピーが出現したが、俺のハンドガンとヴェリタスの剣術で攻撃。見事、一瞬で魔物を片付けていく。
『ツッチーさん、銃を装備したんですね』
「はい、魔力の消費を抑えたいので」
『さすがですね……えっ!?』
はっと背後を気にするヴェリタス。
一瞬の出来事だった。地面から、にょきにょきと植物の根っこが伸びてくる! これは見覚えがあるぞ。以前、ミルクたちと倒した大型の魔物!?
[ ボスネロピー ]
荒れ狂う木の触手が迫る。
あっという間にヴェリタスの足に絡みついた。バンバン! と銃を撃ったがダメだ。枝が多すぎて助けられない。
『……』
話せないヴェリタス。
しゅるしゅると触手が身体に巻きつき、そのまま逆さ吊りになってしまう。吹き出しは相変わらず『……』のまま。モツナベもそうだったが、やはり自力では逃げられないらしい。ボスネロピーは大きな口を開けている。捕獲したヴェリタスを食べるつもりか……魔法を使って助けよう!
「サブルム!」
魔物の足元に土魔法を放つ。
ズゴーン!
ボスネロピーは、ぐにゃりとバランスを崩した。
よし、ダウンさせたぞ! すると触手の力が緩む。その瞬間をヴェリタスは見逃さない。刀を抜いて触手を切断。そのまま回転斬りを放つ。斬撃が花のように咲き乱れる。
【三日月宗近 乱舞】
す、すごい!
ボスネロピーの枝が木っ端微塵。まるで冬の枯れ木のような寂しい姿になった。スタッと着地したヴェリタスは、静かに刀を正眼に構えた。必殺技をするのだろう。ますます魔力がみなぎっている。
『ツッチーさん、土魔法ありがとうございます! 助かりました!』
疾走するヴェリタス。
それは雷のような青い光り。明るかった世界が闇夜に展開!?
【三日月宗近 満月斬】
黄金色に円を描いた斬撃が、ボスネロピーの顔の部分に直撃する。
すさまじい攻撃力だ。ダウンした状態で攻撃するとクリティカルヒットになる。99999のダメージが連発され、巨木の魔物はデジタル粒子となって消えた。ヴェリタスは刀を鞘に納めて、
『やっぱり、話せないと連携が難しいですね……ツッチーさんの貴重な魔法を使わせてしまいました……』
とコメントした。
いや、貴重な魔法は言い過ぎだよな。否定しておこう。
「大丈夫ですよ。魔力のエレメントに触れれば回復できますから」
『でも、魔物と連戦になったら? もっともっと強い魔族と戦うことになったら?」
「魔族?」
「魔族は言葉を話す魔物……私たち人間と同じように群れて連携してきます」
「そ、そうしたら回復アイテムでなんとか……」
『アイテムがなくなったら?』
「えっと……」
どした? ぐいぐい質問してくる。
ヴェリタスは、何かの覚悟を決めたらしい。真剣な表情をしていた。
「私は連携不足でツッチーさんに嫌われたくありません!』
ジジジジ……
マイクが入った音が聞こえる。
ま、まさか声を出すつもりか!?
「……聞こえますか?」
森の中に、綺麗な声が響いた。
いきなり命令する正体不明の子猫。
ぴょんと俺の肩に乗ると、さらに話を続けた。
「姫がさらわれたニャ! 急ぐニャ!」
「わかった、わかった。だがその前に……君は何者だ?」
「ぼくは猫型の魔導機械。街のみんなが怖がるから、ずっと昔の王様によって幽閉されたニャ……寂しかったニャ、でも姫が話し相手になってくれてたニャ」
子猫は、うるうると目を潤ませた。
ヴェリタスも話しに加わる。
「ずっと昔って、何年?」
「千年くらいニャ……って、そんなことより姫を助けるニャー!」
寿命ながっ!
見た目は可愛いもふもふな子猫。しかし中身は機械だから不老不死なのだろうけど、電源はどうしてるんだ? あ、魔力で動くのか……まぁ、考えても仕方ない。俺とヴェリタスは光りのさす出口へと走る。
「……!?」
外は森の中。
姫をさらった魔族がどちらへ行ったか分からない。すると、子猫がまた指示を出す。
「足跡を見つけるニャ!」
地面を調べる。
するとヴェリタスが何かに気づいた。
『ツッチーさん! これ、足跡では?』
地面を見てみると足跡が残っていた。
膝をついて、さらに調べてみる。
「靴のような足跡……どれも大きいな、姫は担がれたのだろう」
『北東に向かってますね』
「急ごう!」
俺とヴェリタスは森を駆け抜ける。
途中、鬼の魔物ゴブリンや植物の魔物ネロピーが出現したが、俺のハンドガンとヴェリタスの剣術で攻撃。見事、一瞬で魔物を片付けていく。
『ツッチーさん、銃を装備したんですね』
「はい、魔力の消費を抑えたいので」
『さすがですね……えっ!?』
はっと背後を気にするヴェリタス。
一瞬の出来事だった。地面から、にょきにょきと植物の根っこが伸びてくる! これは見覚えがあるぞ。以前、ミルクたちと倒した大型の魔物!?
[ ボスネロピー ]
荒れ狂う木の触手が迫る。
あっという間にヴェリタスの足に絡みついた。バンバン! と銃を撃ったがダメだ。枝が多すぎて助けられない。
『……』
話せないヴェリタス。
しゅるしゅると触手が身体に巻きつき、そのまま逆さ吊りになってしまう。吹き出しは相変わらず『……』のまま。モツナベもそうだったが、やはり自力では逃げられないらしい。ボスネロピーは大きな口を開けている。捕獲したヴェリタスを食べるつもりか……魔法を使って助けよう!
「サブルム!」
魔物の足元に土魔法を放つ。
ズゴーン!
ボスネロピーは、ぐにゃりとバランスを崩した。
よし、ダウンさせたぞ! すると触手の力が緩む。その瞬間をヴェリタスは見逃さない。刀を抜いて触手を切断。そのまま回転斬りを放つ。斬撃が花のように咲き乱れる。
【三日月宗近 乱舞】
す、すごい!
ボスネロピーの枝が木っ端微塵。まるで冬の枯れ木のような寂しい姿になった。スタッと着地したヴェリタスは、静かに刀を正眼に構えた。必殺技をするのだろう。ますます魔力がみなぎっている。
『ツッチーさん、土魔法ありがとうございます! 助かりました!』
疾走するヴェリタス。
それは雷のような青い光り。明るかった世界が闇夜に展開!?
【三日月宗近 満月斬】
黄金色に円を描いた斬撃が、ボスネロピーの顔の部分に直撃する。
すさまじい攻撃力だ。ダウンした状態で攻撃するとクリティカルヒットになる。99999のダメージが連発され、巨木の魔物はデジタル粒子となって消えた。ヴェリタスは刀を鞘に納めて、
『やっぱり、話せないと連携が難しいですね……ツッチーさんの貴重な魔法を使わせてしまいました……』
とコメントした。
いや、貴重な魔法は言い過ぎだよな。否定しておこう。
「大丈夫ですよ。魔力のエレメントに触れれば回復できますから」
『でも、魔物と連戦になったら? もっともっと強い魔族と戦うことになったら?」
「魔族?」
「魔族は言葉を話す魔物……私たち人間と同じように群れて連携してきます」
「そ、そうしたら回復アイテムでなんとか……」
『アイテムがなくなったら?』
「えっと……」
どした? ぐいぐい質問してくる。
ヴェリタスは、何かの覚悟を決めたらしい。真剣な表情をしていた。
「私は連携不足でツッチーさんに嫌われたくありません!』
ジジジジ……
マイクが入った音が聞こえる。
ま、まさか声を出すつもりか!?
「……聞こえますか?」
森の中に、綺麗な声が響いた。
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