婚約破棄された転生悪役令嬢は`七大天使´に選ばれた

東 るるる

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1章 婚約破棄という名の終わり、出会いという名の始まり

10-生に執着するが故に歩を進めるだけの生き地獄

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ーーーーここは、どこだろう。
何もなくて、ただ真っ暗で、寂しいような気がする。
今感じるのは、歩かなければということだけ。
どこかから警鐘が鳴る。
ーーーーああ、歩かなければ。
そういう衝動に駆られて、私は歩を進めた。
ただ、地を踏みしめて歩いているというより、どこか浮遊しているような感じだ。
歩きながら辺りを見回す。
どこもかしこも真っ暗で、それがどこまでも続いているだけ。
なんだか、寂しい。
ああ、アズラーイールさんは大丈夫だろうか。
でも、私が今こうして歩いているということは。きっと神様はアズラーイールさんに慈悲を授けたのだろう。
そして、私はその慈悲のための代償。
言ってて、なんだか切なくなる。
まるで、私は世界の誰からも必要とされていないようだったから。
ふと、スピードが遅くなっていることに気づく。
慌ててスピードを上げた。
………無意識にやってることだけど、私は、生きることに執着してるなってつくづく思う。
あのままスピードが遅くなっていることにも気づかず歩いていたら、きっと死んでいただろう。
心は、二つの派閥に別れた。
ーーーー「そのまま死んじゃえ」
ーーーー「まだ生き永らえろ」
どっちに従えばいいのか、わからなくなる。
生きていたいのに、死にたいって心が悲鳴を上げる。
死にたいのに、生きていたいって心が矛盾の涙を流す。
私の心の一番奥に絡み付く二つの矛盾は、私をひどく困らせた。
そして、それを取り除きたいのに、複雑な所だから突っ込むのを躊躇する。
どうしたらいいのか。
………どうしたいのか。
後者すら分かんなくて、惨めな感情になる。
心が揺れて、ピシ、と小さな亀裂が入る。
そういう時、私は死にたいって思う。
けど、それとは反対に、何か楽しいこととか、感謝を述べられると、心が暖かくなって、ぽわぽわする。
そういう時は、死にたくない、生きてたいって思う。
現実逃避から帰ってくると、苦しくなっていることに気づく。
息がしにくいって言うのもあるし、感情的な意味で心が締め付けられる。
それは、歩を進めるたびに強く、存在感を増していく。
どうして、私がこんなに苦しまなきゃいけないの?
どうして、いつも、私だけ………。
そんな思考を、頭を振って打ち消す。
それを考えてしまえば、アズラーイールさんを助けたことを後悔しているみたいで、心からの拒絶反応が出た。
………ゴールが見えてくるのはいつだろう。
とにかくそんな事しか考えられなかった。
存在感を増す息苦しさと胸の締め付けは、私の思考の範囲をどんどん狭めていった。
次第に、私の脳には、
ーーー生きたい
ーーー殺して
そんな二つの感情だけが残った。
理論的な思考なんてもう持ち合わせていない。


何時間、いや…何日経っただろう。
もう心が限界だ。
死にたい殺せと悲鳴を上げている。
ここで生に執着することを捨てられたらどんなによかったか。
まだ、光は見えてこない。
もう最早足が自分の意思で動いているようだった。
視界に白みがかかる。
ついに幻覚が見えだしたらしい。
………瀬戸際かな。
体力がもう限界らしい。
それでも歩みを安易に止められない。
いくら悩んでも結局進む路を選ぶ。
精神が壊れそうだ。
…いや、壊れてくれた方がいっそのこと楽か。

もう、限界だ。
あと五歩。あと五歩進んだら、歩みを止めよう死のう
前を見据えて歩いていると、ぼうっ、と光が見え出した。
………よりによって、こんなときに………。
私は頬に暖かいものが伝うのを感じながらまた生き永らえる路を選んだ。
手を伸ばせば届きそうだけど、そんなことで残り僅かな貴重な体力を費やす馬鹿ではない。

段々、何も考えられなくなってきた。
語彙も、思考力も、著しく下がってる。
体力も、もう底を尽ききった。
でも、それでも歩けるのは、光が強くなっているから。
苦しい。もう止まりたい。
その思考に対して、
でも、そろそろこの生き地獄が終わる。
そう考えることによって、足取りは、以前より軽くなった気がした。


しにたい。
そろそろ、げんかい。
でも、まだ、あと少し、がんばらないと。
ほら、手がもう少しで届きそう。
あといっぽで、ひかりに足が、全身が届く。
踏み入れたとき、真っ暗だった視界を目映い、けれど暖かく優しい光が包み込んだ。

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