11 / 24
1章 婚約破棄という名の終わり、出会いという名の始まり
9-アズラーイールさんと交流
しおりを挟む
「ラファエル!」
「!」
後ろからする声に振り返る。
「ガブリエル!」
「もう、マインドドラゴンに閉じ込められたって聞いて心配で…!
大丈夫?怪我してない?狼に食べられてない?」
「な、なんのこと?狼…?
私は大丈夫だよ??」
意味が分からず取り敢えず大丈夫だと言ってみせると、
「…ラファエル。そういう純真無垢すぎるところ、男にしてみたらただの蜜だから、気を付けてね」
「???」
更にガブリエルの言うことが分かんなくて目をぱちくりさせる。
「あー、なんだ。
その、つまり…ラファエルのそういう無邪気な所が、男のあまりよくない方向性の本能を擽るんだ」
アリエルさんが横からフォローに入ってくれた。
「な、なるほど…。
わかりました!では、次からは善処します!」
とは言うものの、どうすればいいんだろうか。
すごく理論的で非の打ち所がない人?
優雅すぎてなかなか近寄りがたい人?
うーーん…ぶっちゃけ、やりやすいのは後者だ。そういうのは得意だし。前世とかそういうのを省けば元々は令嬢だからね、私。
「よし、じゃあ今のうちに練習しよう!」
つい最近までやって来たことを練習するなんて、変な感じだが。
ただ、口調は「ですわ」とかのお嬢様言葉じゃなくて、「ですね」みたいな義務的な感じ(?)にしよう。
「ふう…おはようございまs」
コンコン
「………え…」
誰もいないものかと思って大きな声で練習してたんだけど……終わった…。
「こんばんは、ラファエル」
「アズラーイールさん?どうぞ入ってください」
どうせ引かれるなら開き直ってやる!
「ところで、一人で何をしていたの??」
「ええと…マインドドラゴンから救助された時に、アリエルさんが男の本能って言ってたから、直してみようと思ったんです」
「ふふ」
私が必死に伝えると、くすりと笑われた。
「そういうところだよ。
誰かの言葉を飲み込んで言われたところを訂正しようとする、そういう無垢なところ。
そこに男性は惹かれるんだ」
「へぇ………。
じゃあアズラーイールさんとか、ミカエルの奥方もそういうところあったんですか?」
「………うん??
ちょっとどころじゃない誤解が生じてる気がするんだけど…。
まず、僕やミカエルに妻はいない。
神から、
「結婚するのならば真に愛し、強い独占欲を感じる者としろ」
って言われてるんだ」
「へぇ」
………まさかあの神様の口から「独占欲」なんてワードが出てくるなんて…。
「だけど、僕からすればあんまりそういうの分かんないんだよね。
真に愛する人、それは何なんだろうってね。」
「なんか、わかります。
思わず自我を保てなくなるほどの独占欲や嫉妬を感じさせる人、それはどこにいるんでしょうか…」
「………」
「?アズラーイールさん?」
「………」
呼び掛けても沈黙するアズラーイールさん。
………寝てしまったのだろうか?
ちら、と見てみると目を閉じて心地良さそうに寝ていた。
「…しょうがないな…」
私の部屋のやけに広いベッドに寝かせておこう。
………いや、持てるか…?
「…頑張ってみよう…」
落としたらごめんなさい、アズラーイールさん。
予め謝っておきつつ、片腕を私の肩に持っていきベッドまで引き摺る。
そしてベッドに座らせる体制にして、寝転がさせる。
「………ふぃ~…」
よくやった、私。
ただなー…。
今日はアズラーイールさんの睡眠を妨げないようにソファーで寝ようかな。
魔法で私の周囲にだけ灯りを点し、本を持ちソファーに横たわる。
「ぅん………」
うとうとしていたその時。
「ぅ、ぐ………あ…!!!」
私の背後から呻き声が聞こえる。
「アズラーイールさん…?!」
アズラーイールさんの周囲に黒いもやがかかっている。
これは………
呪いの重度の症状!?
アズラーイールさん、呪いにかかっていたの?!
これを治療する方法…は…何だっけ…。
なんでこんなときに機能しないの私の脳!!目の前に死にかけの人がいるのよ?!
とにかく痛みを和らげないと…!!
アズラーイールさんの額に手を当てる。
そこに治癒魔法を施しつつ必死に脳みそを回転させる。
思い出せ、思い出せ思い出せ思い出せ……!!!
「!」
思い出した。
重度の呪いを解く方法。
それは、解く側の魔力をギリギリまで消費すること。
魔力とは本来、命と同等だ。
だから、魔力を失うという事は命を削るということになる。
もちろん、魔力は回復する。
けれど、回復するまでには本人の持つ精神力と時間が必要だ。
精神力と時間は比例しない。
どんなに鋼で、強靭な精神力を持っていても必要な時間は微塵も動かない。
だが、死ぬこともある。
魔力が回復するまでは、どこか夢を見ているようなふわふわした感覚で、ずっと暗闇を歩いているような感覚らしい。
そして、回復に近づけば近づくほど光が近くなってくるらしい。
そして、その歩みを止めてしまえば死ぬ。
自らの命を削ることに心のどこかで躊躇いを感じている。
死にたくない。楽したい。と、そう思っている私だったが、
「あ”、う”…っ………!」
汗を浮かべ、朦朧とした瞳で声ならぬ声で私に助けを求めるその目を見て、迷っている場合じゃないと思った。
死んでも良いじゃない。どうせ、一回死んでるんだから。今度はこの命を誰かの為に捧げるのも悪くないわ。
「………神よ。私のこの魔力と引き換えに、アズラーイール殿の呪いを解いてください………」
その場で跪きお祈りのポーズをとる。
どうか、ご慈悲を………。
私の意識は、そこでシャットアウトした。
「!」
後ろからする声に振り返る。
「ガブリエル!」
「もう、マインドドラゴンに閉じ込められたって聞いて心配で…!
大丈夫?怪我してない?狼に食べられてない?」
「な、なんのこと?狼…?
私は大丈夫だよ??」
意味が分からず取り敢えず大丈夫だと言ってみせると、
「…ラファエル。そういう純真無垢すぎるところ、男にしてみたらただの蜜だから、気を付けてね」
「???」
更にガブリエルの言うことが分かんなくて目をぱちくりさせる。
「あー、なんだ。
その、つまり…ラファエルのそういう無邪気な所が、男のあまりよくない方向性の本能を擽るんだ」
アリエルさんが横からフォローに入ってくれた。
「な、なるほど…。
わかりました!では、次からは善処します!」
とは言うものの、どうすればいいんだろうか。
すごく理論的で非の打ち所がない人?
優雅すぎてなかなか近寄りがたい人?
うーーん…ぶっちゃけ、やりやすいのは後者だ。そういうのは得意だし。前世とかそういうのを省けば元々は令嬢だからね、私。
「よし、じゃあ今のうちに練習しよう!」
つい最近までやって来たことを練習するなんて、変な感じだが。
ただ、口調は「ですわ」とかのお嬢様言葉じゃなくて、「ですね」みたいな義務的な感じ(?)にしよう。
「ふう…おはようございまs」
コンコン
「………え…」
誰もいないものかと思って大きな声で練習してたんだけど……終わった…。
「こんばんは、ラファエル」
「アズラーイールさん?どうぞ入ってください」
どうせ引かれるなら開き直ってやる!
「ところで、一人で何をしていたの??」
「ええと…マインドドラゴンから救助された時に、アリエルさんが男の本能って言ってたから、直してみようと思ったんです」
「ふふ」
私が必死に伝えると、くすりと笑われた。
「そういうところだよ。
誰かの言葉を飲み込んで言われたところを訂正しようとする、そういう無垢なところ。
そこに男性は惹かれるんだ」
「へぇ………。
じゃあアズラーイールさんとか、ミカエルの奥方もそういうところあったんですか?」
「………うん??
ちょっとどころじゃない誤解が生じてる気がするんだけど…。
まず、僕やミカエルに妻はいない。
神から、
「結婚するのならば真に愛し、強い独占欲を感じる者としろ」
って言われてるんだ」
「へぇ」
………まさかあの神様の口から「独占欲」なんてワードが出てくるなんて…。
「だけど、僕からすればあんまりそういうの分かんないんだよね。
真に愛する人、それは何なんだろうってね。」
「なんか、わかります。
思わず自我を保てなくなるほどの独占欲や嫉妬を感じさせる人、それはどこにいるんでしょうか…」
「………」
「?アズラーイールさん?」
「………」
呼び掛けても沈黙するアズラーイールさん。
………寝てしまったのだろうか?
ちら、と見てみると目を閉じて心地良さそうに寝ていた。
「…しょうがないな…」
私の部屋のやけに広いベッドに寝かせておこう。
………いや、持てるか…?
「…頑張ってみよう…」
落としたらごめんなさい、アズラーイールさん。
予め謝っておきつつ、片腕を私の肩に持っていきベッドまで引き摺る。
そしてベッドに座らせる体制にして、寝転がさせる。
「………ふぃ~…」
よくやった、私。
ただなー…。
今日はアズラーイールさんの睡眠を妨げないようにソファーで寝ようかな。
魔法で私の周囲にだけ灯りを点し、本を持ちソファーに横たわる。
「ぅん………」
うとうとしていたその時。
「ぅ、ぐ………あ…!!!」
私の背後から呻き声が聞こえる。
「アズラーイールさん…?!」
アズラーイールさんの周囲に黒いもやがかかっている。
これは………
呪いの重度の症状!?
アズラーイールさん、呪いにかかっていたの?!
これを治療する方法…は…何だっけ…。
なんでこんなときに機能しないの私の脳!!目の前に死にかけの人がいるのよ?!
とにかく痛みを和らげないと…!!
アズラーイールさんの額に手を当てる。
そこに治癒魔法を施しつつ必死に脳みそを回転させる。
思い出せ、思い出せ思い出せ思い出せ……!!!
「!」
思い出した。
重度の呪いを解く方法。
それは、解く側の魔力をギリギリまで消費すること。
魔力とは本来、命と同等だ。
だから、魔力を失うという事は命を削るということになる。
もちろん、魔力は回復する。
けれど、回復するまでには本人の持つ精神力と時間が必要だ。
精神力と時間は比例しない。
どんなに鋼で、強靭な精神力を持っていても必要な時間は微塵も動かない。
だが、死ぬこともある。
魔力が回復するまでは、どこか夢を見ているようなふわふわした感覚で、ずっと暗闇を歩いているような感覚らしい。
そして、回復に近づけば近づくほど光が近くなってくるらしい。
そして、その歩みを止めてしまえば死ぬ。
自らの命を削ることに心のどこかで躊躇いを感じている。
死にたくない。楽したい。と、そう思っている私だったが、
「あ”、う”…っ………!」
汗を浮かべ、朦朧とした瞳で声ならぬ声で私に助けを求めるその目を見て、迷っている場合じゃないと思った。
死んでも良いじゃない。どうせ、一回死んでるんだから。今度はこの命を誰かの為に捧げるのも悪くないわ。
「………神よ。私のこの魔力と引き換えに、アズラーイール殿の呪いを解いてください………」
その場で跪きお祈りのポーズをとる。
どうか、ご慈悲を………。
私の意識は、そこでシャットアウトした。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」
公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。
忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。
「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」
冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。
彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。
一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。
これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
あの日々に戻りたくない!自称聖女の義妹に夫と娘を奪われた妃は、死に戻り聖女の力で復讐を果たす
青の雀
恋愛
公爵令嬢スカーレット・ロッテンマイヤーには、前世の記憶がある。
幼いときに政略で結ばれたジェミニ王国の第1王子ロベルトと20歳の時に結婚した。
スカーレットには、7歳年下の義妹リリアーヌがいるが、なぜかリリアーヌは、ロッテンマイヤー家に来た時から聖女様を名乗っている。
ロッテンマイヤーは、代々異能を輩出している家柄で、元は王族
物語は、前世、夫に殺されたところから始まる。
わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが
水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。
王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。
数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。
記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。
リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが……
◆表紙はGirly Drop様からお借りしました
◇小説家になろうにも掲載しています
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる