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臓物
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太陽が僕を焦がさんばかりに照らす。血が滴り落ちる。もしかするとこれは僕の血か?否、滴りの元は先程ジャンパーのポケットに入れた臓物。そういえばそうだったか。まるで夢を見ているようだ。もしかすると夢かもしれない?きっと夢だ。現実の僕が臓物をポケットに入れるはずが無い。脳味噌がドロドロに溶けたみたいに、視界がうねってまともに物事を考えられなくなっている。皮膚はこんなにも焼け爛れそうだというのに、胸の奥は凍えるほどに冷たい。確かめるようにポケットの臓物をジャンパーの上から柔らかく握ると、それは生温かった。生温くて、直に触れば手がぬめるだろうなと思わせる感触。それは不気味でありながらもどこか安心をもたらすものだった。直後、一度冷えきったそれはもう戻らない、と誰かが僕の耳元で囁いた。ハッとして辺りを見回すも人の気配がない。何がそうさせたのだろうか、僕はゆっくりと心臓に手を伸ばし、その真ん中に触れた。ひんやりと冷たくて、僕でも人間でも無い何かがこの中にいるような気がした。起きろ、と天から声が降ってきて、ぐんという感覚と共に現実と夢の狭間に吊り上げられる。何が何だか分からないまま、僕はぼうっとした意識の中で、僕を永遠の夢に閉じ込めようとする鉛のような身体を引きずって現実へ浮こうとする。向こうにある何かに手を伸ばすと、絶望の光が僕の手を握り返した。
煩く鳴る目覚まし時計の頭を叩く。ああ、朝だ。朝。
煩く鳴る目覚まし時計の頭を叩く。ああ、朝だ。朝。
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