騙されて奴隷にされてたおっさん、即買いしたらチートすぎてヤバい!

厨二病・末期

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エルフの過去

04話 邪智暴虐のピカロ

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 ーーー前回までのあらすじーーー

 嫌がる精霊にうっかり(悪党)の意味を持つ(ピカロ)と言う名前を与えてしまった。強制的に契約をしてしまったけれど、他意はなかったんだと、私は誠心誠意、彼に謝罪を繰り返すしか無かった。

 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 「ぐすっ。俺は、終わりだ。輝かしい未来も、すべて。」

 輝く稲穂の髪をふるふると震わせ、契約した精霊は、自身の不幸を嘆き悲しんだ。

 時折ハタハタと靡く羽根が辺りに七色のプリズムを巻き起こし、その光がとても神秘的で私はピカロから目が離せなかった。

 パッチリとしたターコイズの瞳がうるうると潤んで、ポロポロと大きな涙が宝石のように溢れ落ちる。あんなに小さな身体から、こんなに沢山の水分が排出されても大丈夫なんだろうか。

 彼の足元には大きな水たまりが出来ていて、脱水症状を起こしてしまうんじゃないかと、私は全くトンチンカンな心配をしていた。

 「もう、死ぬしかない。あとオマエ、やっぱすげー臭ぇ。」

 私は木製の茶碗に、樹液と果汁と塩を少々を混ぜたスポーツドリンクもどきを注ぎ、彼に差し出した。だって、脱水症状は怖いからね。

 あんなに辛辣な言葉を吐くのに、見た目はとても儚く見えてしまう。小さくて愛らしく、そのふわふわの髪を指先でそっと撫でてみたい、そんな衝動に駆られてしまうのだ。

 「ぐすん、ぐすん。ひっく。んく、ごくり!」

 あぁ、飲んでくれて良かった。私はピカロに対して、酷く申し訳ない気持ちになっていた。だから出来るだけ望みを聞いてあげようと、こんな言葉をかけたのだった。

 「ごめんね、ピカロ。私にできる事があれば、なんでも協力するからさ。これからは仲良くやって行こうよ。ね?」

 彼とは運命共同体だ、これからの人生を助け合って生きていけたらいいなぁ、そんな気持ちだった。

 「ごっく、ごっく、んま。んくんく、ごっくん。」

 えぇぇ、全然聞いていないし。めちゃくちゃ飲むやん。大丈夫??明らかに身体の容量より今飲んだ水分量の方が多い気がするんだけど。まさか、水風船みたいに弾けたりしないよね?

 「おかわりだ!」

 「・・・・・。」

 私はそわそわしながら、言われるままに再びスポドリをなみなみと注いだ。木製の茶碗は、ピカロが中に入ってゆったり寛げるくらいある。例えるなら、足の伸ばせる浴槽サイズくらいだ。

 「ング、ごっくん、んま、んま、ング、プハー!」

 の、飲み干しただと??
 ファンタジー??ファンタジーなの?
 ここでは物理法則は存在しないの??
 スポドリは異空間に消えてるの???
 どこに行ったの、スポドリはぁぁ!!

 「おい、貴様!オマエの名前を言え!!」

 私が混乱していると、ようやく泣き止んだピカロが突然ニタリと口角の端を上げて名前を聞いてきた。なんだか、めちゃくちゃ悪い顔をしている。まさにピカロだ。

 「えっと、名前?なまえ?うーーん。」

 私は自分の名前を思い出そうとして、戸惑う。あれ?あったっけ名前?

 「チッ!!やっぱりな、何でも協力するとか言っておきながら、結局は教えないんじゃないか!!善人振りやがって。そっちだけ俺様を名前で縛るなんてずるいぞ!!俺様に魔力を貢ぎやがれ!!」

 「え?い、いや、ごめん。名前を教えるのを渋ってるわけじゃ無くて、私には名前が無いの。今まで、誰も私の名前を呼ばなかったから、自分に名前が無いって事、忘れてたわ。」

 前世の名前はあるんだけど、今世はまだ誰にも名前をつけてもらっていない。

 「はぁぁぁ!?名前が無いだとぉぉぉ!!じ、じゃあ、てめぇ、どうやって魔力を頂戴すれば良いんだ!?忌み名だけじゃ無く、通称まで無いんじゃ、俺様は、おまんま食い上げじゃねぇかよぉぉ!!」

 ふむ、魔力をあげるのに名前が必要なのね。忌み名とか、通称が何を指すのかよくわからないけど、私は怒り狂う彼にこう提案した。

 「じゃあさ、ピカロが私に名前をつけてよ。色々教えて欲しいの、この世界の事。よくわからないことばかりだから、ピカロが私の名付け親になってよ?」

 この時の私は、お互いに名前を付け合うのがフェアだとか、そんな甘い考えを持ってしまっていた。まだまだこの世界の考えに馴染んでいなかったからだ。それをこの後、直ぐに後悔する事になる。

 「ふぅむ、いいぜ!ケケケケっ。その提案、気に入ったぜ。」

 「うん!!」

 私は悪どい顔をする、愛苦しいピカロを疑いもせず、にこにこと見つめ返したのだ。

 「よし!決めたぜ!!貴様の真名いみなはエリンギだ、通り名は、エリンにする、くれぐれも真名は口にするなよ。絶対、俺以外の奴に知られるな!」

 「ねぇ、どうして知られちゃいけないの?」

 「くくくっ。バカめ!!でなきゃこうなる、エリンギ、お前の魔力を全て俺によこせ!」

 「うぐっ。」

 その途端、私は身体中の力が抜けて、意識がブラックアウトしたのだった。

 「クヮーッハッハ!力がみなぎって来るぞ!この魔力があれば俺は最強だ!どんな奴にも負ける気がしない!パワーだ、俺のパワー!!クヮーッハッハッハハー!!」




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