騙されて奴隷にされてたおっさん、即買いしたらチートすぎてヤバい!

厨二病・末期

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エルフの過去

02話 捨てられたエルフ

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 私は未だにこの世界に馴染めないでいた。ここは、前世に生きた世界より随分と不条理だ。

 だからなのか、転生した今でも無性に元の世界へと望郷の念に駆られてしまう。

 王都は夕暮れ時になっても蒸し暑い。姿を隠す為の長いローブが、汗でぴったりと肌に張り付き不快だ。幼少期育った場所にいい思い出は無いけれど、あそこは森に囲まれていたからか、ここよりもまだ過ごしやすかった。

 私はごった返す酒場の隅で、目深にフードを被ったままチビチビとぬるいエールを飲んでいた。生姜の風味が鼻を抜け、喉の奥がピリリとひりつく。

 隣の席の奴が、店の店主と口喧嘩を始めた。あぁ、またか。この世界の人間は些細なものを含め、とにかく諍いが多い。私は背を低く丸め、飛んできたグラスをひょいっとよけた。

 そして、ため息をひとつ吐いて呟く。

 「はぁ、キンキンに冷えたペ●シが飲みたい。」


*****************


 今の私はエルフだ。ただし、里を追放されたって注釈が入るけど。そもそも私にはエルフ的な種族の特徴がほとんどない。耳の形も普通。たぶん、エルフ?そんな感じ。

 なんとなくだけど、人とエルフのハーフなんだと思う。人の血の方を色濃く継いだんだろうな。まぁ、前世なんか目じゃ無いくらい美少女なのは確かなんだけど。

 容姿が優れていても、幸せになれるとは限らない。むしろ、ここでは足枷にしかならないかもね?人攫いや、奴隷制度があるから。若く、美しい、女ってだけで危険度がグッと上がる。私はいつも危険と隣り合わせだ。

 強い魔法でも使えたら良かったんだけど、生憎なんのチートもない。でもこうやって細々と生きてこられたのは、前世の記憶と多少なりとも魔法を習得できたおかげだ。

 (私は認識阻害の魔法をもう一度、掛け直す。)

 この世界に生まれ落ちた時から私は半端者だった。今まで自分が何者なのかよくわからなかったけど、それは私が捨て子だったからだ。

 私はエルフの里にある世界樹の根っこの隙間に捨てられていた。世界樹の場所を知っているのはエルフだけだから、捨てたのは間違い無くエルフ。

 エルフは男も女も皆んな等しく美しい。だから人間はエルフを見つけると、捕まえて奴隷商に売るんだ。寿命が長く、いつまでも若く麗しい姿のエルフは高く売れるからね。

 エルフは人族を野蛮な民族だと思ってる。まぁ、確かにその通りだからしょうがない。何も間違ってないよね?エルフは人間を嫌っていて、私はそんな憎むべき遺伝子を半分継いでいる。

 そんな訳で、里に捨てられた私の世話を誰もしたがらなかった。私はほとんど放置されて育ったんだ。嫌がらせはされなかったけど、ほぼ居ない者として扱われ、話しかけても無視されていた。

 里のエルフは、私がすぐ死ぬと思ってたらしい。ご飯もろくに与えて貰えなかったし、当たり前だよね。

 ーーーでも、しぶとく生き残った。

 運良く生き残れたのは、私に前世の記憶があったから。でなきゃ間違い無く飢えて死んでたね。毎日死にものぐるいで食べ物を探したもん。誰だって死にたくはないでしょ?文字通り、這ってでも食べ物を探した。

 私は食べられる物を探しながら、里の中をゾンビみたいに彷徨い歩いた。木の実や樹液、葉っぱなんかを見つけて持ち帰る。タンポポに似た植物や、ヨモギ、ドクダミなんかも川で洗ってむしゃむしゃ食べた。いつも空腹で頭の中は、安全なものをお腹いっぱい食べたい。それしか無かった。

 少し体が大きくなってくると、火をおこせるようになり、罠を作って魚や小動物なんかを焼いて食べられるようになった。効率よく獲物を捕まえられるようになってからは、今までの反動でお腹がいっぱいになるまでモリモリ食べた。

 それから私は、ぐんぐん逞しく成長した。ときどき死亡確認に来ていた監視のエルフも、まだ生きてるのかって気味悪がってたっけ?

 普通なら幼子が1人で生きていける訳無いもんね。私は里にあるボロい空き家で独り寂しく暮らしていた。誰かと会話もしたかったし、人恋しくもあった。

 里の河原でなんの憂いもなく無邪気に遊ぶ子供エルフ達を眺めて、人知れず涙を流したこともあった。なんで自分だけ除け者なんだって、その時は理不尽さが只ただ悔しかった。

 ある日、外で遊ぶ他の子達の様子を盗み見てふと気がついたんだ。小石を遠くに投げ、的当てで競い合っていただけなんだけど、それがありえないくらいすごい勢いで飛んでいくの。

 そこで、初めて魔法がある事に気がついたんだ。皆んなは風を操る精霊魔法を使っていた。精霊魔法はエルフしか使えないらしい。

 いいなぁ、私も使いたい!!あれを使えたら、動物を狩るのだって断然楽になる。そう思ったんだよね。

 わくわくしたし、凄く羨ましかった。私は彼らの唱えた呪文を見よう見まねで真似てみた。右手を振り上げ、キメポーズまでやったのに・・・。

 私の右腕は、うんともすんとも言わなかった。

 








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