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【 東南アジアの旅 】
15: 再びのバリ ① たかが5万ルピーされど5万ルピー
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「僕の心の故郷は沖縄なんです。沖縄大好き!」とか言う本土の人が結構いて、軽いなぁアンタ、それホンマかいな?とかいつも思うんですが、その程度でいいなら「アンの心の故郷はバリです」と言える位には、アンはバリが好きです(笑)。
以下のテキストは2回目にバリを訪れた時の文章を加筆したものです。
文中に出てくる中島らもさんが死去したのもそれくらいの頃かな。
まあ半分、このエッセイは、遅ればせながらの中島らもさんの追悼文みたいなものです。
アジアを代表する人気リゾート地でもあるバリ島は、年々高級リゾートが増えて1泊10万円以上もする豪華ヴィラやスイートルームが続々と登場。
10年ほど前の、物価の安さは今いずこって、感じだそうです。
ジュリア・ロバーツ主演映画、『食べて、祈って、恋をして』の世界ですね。
洗練された快適スポットが凄く増えたらしいけど、こちら日本は、現首相が何と言い張ろうとへたり目です。
それにバリの場合は、治安の問題もあるし、この次、バリに遊びに行けるのは何時の日か。
そうそう、2014年4月におきたジャカルタの名門インターナショナルスクールJISのトイレで起きた、5歳男子生徒へのレイプ事件ニュースを知った時は、かなりショックでした。
別に旅行中に学校見学したわけじゃないけど、何泊もしてれば、嫌でも現地の生活光景には触れるわけで、当然、バリの学校や生徒の姿は、目に馴染んでて親近感を感じてたんです。
6歳の誕生日を迎えたこの少年は、学校が外部委託してた清掃会社 ISSのスタッフにレイプされ、結果、ヘルペスと細菌感染を患ったそうです。
勿論、精神的なダメージは強烈なものだったでしょう。
加害者達は、少年が授業中に教室近くのトイレに行ったときに犯行に及んだという事です。
少年が、学校の幼児プログラムに参加していて事件が発生したのが、授業中であったことから、両親は、教師が少年が長時間戻ってこない事を認識しており、彼がクラスに戻った時に様子がおかしかった事に気づいていたはずだと、学校も訴えています。
また、この少年の両親が公の場に出た後、別の母親が弁護士に「自分の息子もトイレで青い制服の男性に襲れ、揉みあいになったことがある」と語ったそうです。
お気楽に、バリを「浄化の島」「神々の島」と表したり、善良の固まりの地のようには、もう言えなくなっているのかも知れませんね。
・・・ たかが5万ルピーされど5万ルピー ・・・
多くの人間が、心の内で「自分は信念を持っている」と思っている。
だがそれは幻想かも知れない。
その信念の強さが、試される場面は、そういつもあるわけじゃないから。
信念とはある意味、徐々に熱くなっていく鉄球を我慢して手に持っているような状況に近いのかも知れない。
そこには、ここまでいう絶対値などなく、相対的なものしかない。
ある者にとっての微熱は、ある者にとっての灼熱なのだ。
出発の朝の空は「夏特有の朝曇り」と言いたい所でしたが、完全な曇天で、もうすぐ雨が降り出しそうでした。
でもリムジンバスが空港に向かう道路状況は、渋滞もなく良好でした。
リムジンバスには、ペアの外国人客が多かったです、彼らも里帰り?でも、いちゃつきすぎ。
道ばたで犬がさかっていても、通行人にはそれを避ける自由があるけれど、狭いバスの中では何も出来ません。
彼らに挟まれた形の中学生ぐらいの女の子は、ちょっと可哀想でした。
彼女の耳に付けたイヤホーンくらいでは、彼らの痴態は遮断出来なかったでしょう。
でも「自分たちの事しか見えない病」は、恋をした外人さん特有のものかなと思ったんですど、みんなが見てるのに、空港の待合室のテレビのど真ん前に座りこんで、いちゃついてる中年カップルは日本人だったし、、、。
わかんねぇです、この病気の根元は(笑)。
前回のバリ旅行では、山手のウブドが中心だったけれど、今回はバリ島の南部のビーチリゾート・ヌサドゥアに泊まる事になります。
旅の第一目的が、ジョグジャカルタ近郊に残る世界遺産ボロブドゥールにあるからです。
その他、プランバナン寺院やブサキ寺院といった、前回訪れる事の出来なかったビッグネームも訪れるつもりです。
勿論、買い物好きな相方の為に、前回概訪のレギャンやスミニヤックも外せないだろうけれど。
ガルーダ航空のジャンボ機は日本人客でほぼ満杯。
三時の機内軽食で、サンドイッチとおにぎりが選べるのには驚きました。
日本人強し。
しかし、台湾上空で食べる泉大津市のコンビニおにぎりって不思議な感じでしたね。
今回アン達が泊まる事になったヌサ地区は、観光客と地元住民を隔絶する方針で成り立っている珍しい(アンにとっては?)場所です。
実際、ヌサ地区に入る中央ゲートでは、車が一台一台止められて、映画で見るような検問を受けました。
「夜ご飯は、南ゲート近くのヌラヤンってゆーシーフードレストランに行こうよ。」
「どうやって行くの?」
「歩いて二十分くらいだと思うよ。」
「えーっ。こんなに暗いし、歩くのやだよー。タクシー乗っていこうよ。」
後から考えると、このやりとりが総てのトラブルのはじまりでした。
方針も決まらず、ホテルの玄関まで行った途端、相方が、なにやら森進一を厳つくしたようなボーイさんとやりとりとしていて「歩いていくなんてとんでもない、俺が車呼んで案内してやるって。」って感じの流れになっていました。
「そんなの、いいじゃん、歩いていこうよ。バリってそんなに危なくないし、ヌサの中は特に安全だよ。」
それにアンも一応男だし、とは言わなかったけれど、、、。
そんなやりとりとしてる内に、車がやってきて、結局、くだんの角刈り森進一さんが同乗して出発。
車の中でも、角刈り森進一は上機嫌であれやこれやと早口でまくし立てます。
で、聞いているとジンバランの屋台が世界一だから、俺が今から案内してやろうとか、おいおい待ってくれ、誰がジンバランに行くって言ったよ。
「ノー。ノー、ジンバラン、アイムゴーツー・ヌラヤン!!」って大きな声で三回位言って、やっと角刈り森進一が諦めるって感じ。
実際、車が途中で道を大きく迂回したから、本気でジンバランの屋台に連れていく積もりだったんだろうと思います。
結局、指定したレストランについたんだけど、降りた途端に「マネー」と露骨な催促が来ました。
車代かと思って、ハウマッチとやると指を5本立てます。
5千ルピーかと思って、相方が財布の中を開けると角刈り森進一が覗き込んで「ノーノー、これと同じ」と言って自分の財布から5万ルピーを抜き出して見せる。
5分も乗ってないのに「えー」と思ったけれど、この頃はまだ二人とも、頭の中の換算機能が働いていないので、しぶしぶ支払ってしまいました。
ヌラヤンでは炭火焼きのセットメニューを、オーダーした後、さっきの5万ルピーが妥当な額かどうかを、相方と徹底討論。
スナックパインや西瓜にライムをかけながら「5万ルピーあればここのメインディッシュが一皿頼めるものね。」 「第一、さっきの車はタクシーじゃないし、ホテルのでもないみたいだよ。」
「・・でも、これ果物にライムをかけるのって面白いよね。」
「西瓜に塩をかけるのと同じじゃん?」
「でもさ5万ルピーって、騒いでるけど日本円にすれば子どもの駄賃にもなんないよ」
「そーゆー問題じゃなくてさ、、えっ嘘~、このナシゴレン、、美味しい、、なんでこんなに店によって味が違うのよ。ナシゴレンって。」
とか言いながら、ヌサの夜は更けていくのですが、レストランに帰りの車を手配してもらって、新しい事実が判明しまた。
なんと、このレストランとホテルの間の送迎は完全無料なのだそうです。
、、、そして、、アン達を迎えに来た車の外見は、まんま、あの角刈り森進一が、手配した車そのものだったのです。
「ムカツクー。今度あったら、絶対文句言ってやっからね。」と相方、、「でもバリ人ってみんな同じような顔してるし、今度会っても、どいつがあの森進一もどきか、アンには見分けられないよ、、。」
実際、このホテルには4泊したのですが、あの角刈り森進一に再会することは二度となかったのです、、。
以下のテキストは2回目にバリを訪れた時の文章を加筆したものです。
文中に出てくる中島らもさんが死去したのもそれくらいの頃かな。
まあ半分、このエッセイは、遅ればせながらの中島らもさんの追悼文みたいなものです。
アジアを代表する人気リゾート地でもあるバリ島は、年々高級リゾートが増えて1泊10万円以上もする豪華ヴィラやスイートルームが続々と登場。
10年ほど前の、物価の安さは今いずこって、感じだそうです。
ジュリア・ロバーツ主演映画、『食べて、祈って、恋をして』の世界ですね。
洗練された快適スポットが凄く増えたらしいけど、こちら日本は、現首相が何と言い張ろうとへたり目です。
それにバリの場合は、治安の問題もあるし、この次、バリに遊びに行けるのは何時の日か。
そうそう、2014年4月におきたジャカルタの名門インターナショナルスクールJISのトイレで起きた、5歳男子生徒へのレイプ事件ニュースを知った時は、かなりショックでした。
別に旅行中に学校見学したわけじゃないけど、何泊もしてれば、嫌でも現地の生活光景には触れるわけで、当然、バリの学校や生徒の姿は、目に馴染んでて親近感を感じてたんです。
6歳の誕生日を迎えたこの少年は、学校が外部委託してた清掃会社 ISSのスタッフにレイプされ、結果、ヘルペスと細菌感染を患ったそうです。
勿論、精神的なダメージは強烈なものだったでしょう。
加害者達は、少年が授業中に教室近くのトイレに行ったときに犯行に及んだという事です。
少年が、学校の幼児プログラムに参加していて事件が発生したのが、授業中であったことから、両親は、教師が少年が長時間戻ってこない事を認識しており、彼がクラスに戻った時に様子がおかしかった事に気づいていたはずだと、学校も訴えています。
また、この少年の両親が公の場に出た後、別の母親が弁護士に「自分の息子もトイレで青い制服の男性に襲れ、揉みあいになったことがある」と語ったそうです。
お気楽に、バリを「浄化の島」「神々の島」と表したり、善良の固まりの地のようには、もう言えなくなっているのかも知れませんね。
・・・ たかが5万ルピーされど5万ルピー ・・・
多くの人間が、心の内で「自分は信念を持っている」と思っている。
だがそれは幻想かも知れない。
その信念の強さが、試される場面は、そういつもあるわけじゃないから。
信念とはある意味、徐々に熱くなっていく鉄球を我慢して手に持っているような状況に近いのかも知れない。
そこには、ここまでいう絶対値などなく、相対的なものしかない。
ある者にとっての微熱は、ある者にとっての灼熱なのだ。
出発の朝の空は「夏特有の朝曇り」と言いたい所でしたが、完全な曇天で、もうすぐ雨が降り出しそうでした。
でもリムジンバスが空港に向かう道路状況は、渋滞もなく良好でした。
リムジンバスには、ペアの外国人客が多かったです、彼らも里帰り?でも、いちゃつきすぎ。
道ばたで犬がさかっていても、通行人にはそれを避ける自由があるけれど、狭いバスの中では何も出来ません。
彼らに挟まれた形の中学生ぐらいの女の子は、ちょっと可哀想でした。
彼女の耳に付けたイヤホーンくらいでは、彼らの痴態は遮断出来なかったでしょう。
でも「自分たちの事しか見えない病」は、恋をした外人さん特有のものかなと思ったんですど、みんなが見てるのに、空港の待合室のテレビのど真ん前に座りこんで、いちゃついてる中年カップルは日本人だったし、、、。
わかんねぇです、この病気の根元は(笑)。
前回のバリ旅行では、山手のウブドが中心だったけれど、今回はバリ島の南部のビーチリゾート・ヌサドゥアに泊まる事になります。
旅の第一目的が、ジョグジャカルタ近郊に残る世界遺産ボロブドゥールにあるからです。
その他、プランバナン寺院やブサキ寺院といった、前回訪れる事の出来なかったビッグネームも訪れるつもりです。
勿論、買い物好きな相方の為に、前回概訪のレギャンやスミニヤックも外せないだろうけれど。
ガルーダ航空のジャンボ機は日本人客でほぼ満杯。
三時の機内軽食で、サンドイッチとおにぎりが選べるのには驚きました。
日本人強し。
しかし、台湾上空で食べる泉大津市のコンビニおにぎりって不思議な感じでしたね。
今回アン達が泊まる事になったヌサ地区は、観光客と地元住民を隔絶する方針で成り立っている珍しい(アンにとっては?)場所です。
実際、ヌサ地区に入る中央ゲートでは、車が一台一台止められて、映画で見るような検問を受けました。
「夜ご飯は、南ゲート近くのヌラヤンってゆーシーフードレストランに行こうよ。」
「どうやって行くの?」
「歩いて二十分くらいだと思うよ。」
「えーっ。こんなに暗いし、歩くのやだよー。タクシー乗っていこうよ。」
後から考えると、このやりとりが総てのトラブルのはじまりでした。
方針も決まらず、ホテルの玄関まで行った途端、相方が、なにやら森進一を厳つくしたようなボーイさんとやりとりとしていて「歩いていくなんてとんでもない、俺が車呼んで案内してやるって。」って感じの流れになっていました。
「そんなの、いいじゃん、歩いていこうよ。バリってそんなに危なくないし、ヌサの中は特に安全だよ。」
それにアンも一応男だし、とは言わなかったけれど、、、。
そんなやりとりとしてる内に、車がやってきて、結局、くだんの角刈り森進一さんが同乗して出発。
車の中でも、角刈り森進一は上機嫌であれやこれやと早口でまくし立てます。
で、聞いているとジンバランの屋台が世界一だから、俺が今から案内してやろうとか、おいおい待ってくれ、誰がジンバランに行くって言ったよ。
「ノー。ノー、ジンバラン、アイムゴーツー・ヌラヤン!!」って大きな声で三回位言って、やっと角刈り森進一が諦めるって感じ。
実際、車が途中で道を大きく迂回したから、本気でジンバランの屋台に連れていく積もりだったんだろうと思います。
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5分も乗ってないのに「えー」と思ったけれど、この頃はまだ二人とも、頭の中の換算機能が働いていないので、しぶしぶ支払ってしまいました。
ヌラヤンでは炭火焼きのセットメニューを、オーダーした後、さっきの5万ルピーが妥当な額かどうかを、相方と徹底討論。
スナックパインや西瓜にライムをかけながら「5万ルピーあればここのメインディッシュが一皿頼めるものね。」 「第一、さっきの車はタクシーじゃないし、ホテルのでもないみたいだよ。」
「・・でも、これ果物にライムをかけるのって面白いよね。」
「西瓜に塩をかけるのと同じじゃん?」
「でもさ5万ルピーって、騒いでるけど日本円にすれば子どもの駄賃にもなんないよ」
「そーゆー問題じゃなくてさ、、えっ嘘~、このナシゴレン、、美味しい、、なんでこんなに店によって味が違うのよ。ナシゴレンって。」
とか言いながら、ヌサの夜は更けていくのですが、レストランに帰りの車を手配してもらって、新しい事実が判明しまた。
なんと、このレストランとホテルの間の送迎は完全無料なのだそうです。
、、、そして、、アン達を迎えに来た車の外見は、まんま、あの角刈り森進一が、手配した車そのものだったのです。
「ムカツクー。今度あったら、絶対文句言ってやっからね。」と相方、、「でもバリ人ってみんな同じような顔してるし、今度会っても、どいつがあの森進一もどきか、アンには見分けられないよ、、。」
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