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【 煩悩四国旅 順打ち・逆打ち・乱れ打ち 】
16: 四国は愛媛 今治 「桜井からタオル美術館へ」
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花の匂いというものは、不思議ですね。
薔薇の香りなどは「むせかえる」という言葉がピッタリくるし凄く記憶に残るんだけれど、梅の花の場合はどうなんだろう。
実際は、それなりの主張のある香りなんだけれど、かといって薔薇のように、向こうからどんどんこちらに近づいてくるという強い印象のものでもないし。
アンの中では、梅の花の匂いは、本物ではなく「梅ガム」を噛んだ時に感じる、あの香りだという本末転倒ぶり(笑)。
でもそれが「梅」なんだという気がしますね。
そんな梅林で有名な四国今治の桜井を後にして、午後からは、越智郡朝倉村のタオル美術館に移動しました。
当時はこの施設、『ネーミングで少し損をしてるかも』と思ったんですが、今ではショップブランド名になるくらいで、世の中はわかりませんね。
この館、フォションの紅茶が飲めたりする、結構ゴージャスな施設なんですよね。
(ちなみにアンがこの日注文したフレーバーティは、梅ならぬローズ)
それに、テーマとして扱う素材がタオルだけなのに、ここまで展示内容をボリュームアップできるのも、凄いと言えば凄いです。
この美術館の特別企画で、「キャシー中島のハワイアンキルト」と出逢いました。
アンの持っているキルトに対する知識と、タレント・キャシー中島さんに対する意識を完全に覆された日でしたね。
まずはキルトです、古い布端切れをパッチワークで新しい作品に再生する技術、あるいはその作品、、そう思っていました。
でもここに展示された作品は、奔流する圧倒的な迫力の色彩と、精緻で生命力にあふれたデザインを持つ一枚の完成されたタブローでした。
キルト製作、それは、楽器と演奏者との関係にも似ていて、「技術」と「感性」と「道具」が出逢って生まれるもので、そしてそれを愛でる時の感覚は、優れた音楽を聞いた際の感動に近いものですね。
だからキャシー中島さんは、優れたキルトの奏者でもある。
アンはこんな視覚作品に出逢う度に、仏教思想の中に「色」という言葉が生まれた事の自然さと、必然を何時も考えさせられます。
美は「力」であり、人の「祈り」のようです。
そうそう、四国と言えば讃岐うどん、、四国の秘宝、製麺所出来立て麺を探す旅でもあります。
湯ノ浦温泉から始まって、桜井からタオル美術館へのこの旅も、その締めくくりはやっぱり讃岐うどん(笑)。
でも今回はちょっと失敗しちゃいました。
・・・アンは前回の讃岐うどん旅の「中村」で、味をしめちゃっていたんですね。
でもあの時は、村上春樹のエッセィに惹かれて、メインがうどん探しの旅だったから、お宝にありつけたみたいなんです。
なんでもそうだけど、事のついでは駄目ですね(笑)。
讃岐うどんは、麺が売り切れた時点で、おしまいになるお店が多いんです。
この時も、ついでに立ち寄ろうなんて事を考えてるから、目的のお店に到着するのが午後を大きく回り込んで、、(今回は「蒲生」さんってお店狙いだったんですが)距離的には2回もチャンスがあったのに、全部空振りでした。
目的地を変えた「彦江」さんで、かろうじて午後の部の製麺上がりに間に合ったんだけど、ここでの食事は市販のだしを使ったつけ麺のみでした。
それでも、美味しかったですよ。
讃岐うどんって、麺に粉っぽさが微塵もないのが、本当に不思議です。
・・・・・・・・・
大好きな「竹の子の木の芽あえ」を食べながらビールを飲んでいると、日々雑多な悩み事もどこかに流れていってしまいます。
コップは、この前の四国旅行で購入した桜井漆器。
吃驚するほど軽くて、唇への感触が柔らかい。
ビールの冷たさが手のひらに伝わってこないので、その冷たさがなんの予告もなしに唇に直接やってくる、これはとっても不思議な感じがしますね。
普段、当たり前だと思っている「手順」を変えたり、変えられたりするだけで、「感覚」というものが違ってくるんだなぁと妙に感心したり。
そうですね。
人間関係もそう、その時々の利害が一致するかどうかで、無自覚に「好き嫌い」を変えていく人が一杯いますね。
その人たちの絶対値は、常に「自分」なんでしょうね。
まあどうでもいいんだけど、、、。
今の所、アンは自分が飲んでいるビールが美味しければそれで満足。
冬枯れの港に立っていると、ある日、遙か沖合から一艘の船がこちらに入港してくるのが見えた。
その船は、どことなく懐かしい匂いがした。
その船の名前は「春」という、、。
春よ、来い。
※ 本編は『13: 四国は愛媛 今治 「湯ノ浦温泉とスローバラード」』の続編です。
薔薇の香りなどは「むせかえる」という言葉がピッタリくるし凄く記憶に残るんだけれど、梅の花の場合はどうなんだろう。
実際は、それなりの主張のある香りなんだけれど、かといって薔薇のように、向こうからどんどんこちらに近づいてくるという強い印象のものでもないし。
アンの中では、梅の花の匂いは、本物ではなく「梅ガム」を噛んだ時に感じる、あの香りだという本末転倒ぶり(笑)。
でもそれが「梅」なんだという気がしますね。
そんな梅林で有名な四国今治の桜井を後にして、午後からは、越智郡朝倉村のタオル美術館に移動しました。
当時はこの施設、『ネーミングで少し損をしてるかも』と思ったんですが、今ではショップブランド名になるくらいで、世の中はわかりませんね。
この館、フォションの紅茶が飲めたりする、結構ゴージャスな施設なんですよね。
(ちなみにアンがこの日注文したフレーバーティは、梅ならぬローズ)
それに、テーマとして扱う素材がタオルだけなのに、ここまで展示内容をボリュームアップできるのも、凄いと言えば凄いです。
この美術館の特別企画で、「キャシー中島のハワイアンキルト」と出逢いました。
アンの持っているキルトに対する知識と、タレント・キャシー中島さんに対する意識を完全に覆された日でしたね。
まずはキルトです、古い布端切れをパッチワークで新しい作品に再生する技術、あるいはその作品、、そう思っていました。
でもここに展示された作品は、奔流する圧倒的な迫力の色彩と、精緻で生命力にあふれたデザインを持つ一枚の完成されたタブローでした。
キルト製作、それは、楽器と演奏者との関係にも似ていて、「技術」と「感性」と「道具」が出逢って生まれるもので、そしてそれを愛でる時の感覚は、優れた音楽を聞いた際の感動に近いものですね。
だからキャシー中島さんは、優れたキルトの奏者でもある。
アンはこんな視覚作品に出逢う度に、仏教思想の中に「色」という言葉が生まれた事の自然さと、必然を何時も考えさせられます。
美は「力」であり、人の「祈り」のようです。
そうそう、四国と言えば讃岐うどん、、四国の秘宝、製麺所出来立て麺を探す旅でもあります。
湯ノ浦温泉から始まって、桜井からタオル美術館へのこの旅も、その締めくくりはやっぱり讃岐うどん(笑)。
でも今回はちょっと失敗しちゃいました。
・・・アンは前回の讃岐うどん旅の「中村」で、味をしめちゃっていたんですね。
でもあの時は、村上春樹のエッセィに惹かれて、メインがうどん探しの旅だったから、お宝にありつけたみたいなんです。
なんでもそうだけど、事のついでは駄目ですね(笑)。
讃岐うどんは、麺が売り切れた時点で、おしまいになるお店が多いんです。
この時も、ついでに立ち寄ろうなんて事を考えてるから、目的のお店に到着するのが午後を大きく回り込んで、、(今回は「蒲生」さんってお店狙いだったんですが)距離的には2回もチャンスがあったのに、全部空振りでした。
目的地を変えた「彦江」さんで、かろうじて午後の部の製麺上がりに間に合ったんだけど、ここでの食事は市販のだしを使ったつけ麺のみでした。
それでも、美味しかったですよ。
讃岐うどんって、麺に粉っぽさが微塵もないのが、本当に不思議です。
・・・・・・・・・
大好きな「竹の子の木の芽あえ」を食べながらビールを飲んでいると、日々雑多な悩み事もどこかに流れていってしまいます。
コップは、この前の四国旅行で購入した桜井漆器。
吃驚するほど軽くて、唇への感触が柔らかい。
ビールの冷たさが手のひらに伝わってこないので、その冷たさがなんの予告もなしに唇に直接やってくる、これはとっても不思議な感じがしますね。
普段、当たり前だと思っている「手順」を変えたり、変えられたりするだけで、「感覚」というものが違ってくるんだなぁと妙に感心したり。
そうですね。
人間関係もそう、その時々の利害が一致するかどうかで、無自覚に「好き嫌い」を変えていく人が一杯いますね。
その人たちの絶対値は、常に「自分」なんでしょうね。
まあどうでもいいんだけど、、、。
今の所、アンは自分が飲んでいるビールが美味しければそれで満足。
冬枯れの港に立っていると、ある日、遙か沖合から一艘の船がこちらに入港してくるのが見えた。
その船は、どことなく懐かしい匂いがした。
その船の名前は「春」という、、。
春よ、来い。
※ 本編は『13: 四国は愛媛 今治 「湯ノ浦温泉とスローバラード」』の続編です。
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